ロードサイド系チェーン「伊藤松吉商店」に立ち食いそばの原点を見た【東京ソバット団】

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こんにちは! 東京ソバット団の本橋隆司です!

今回は立ち食いそばの新しい動きをみなさんに紹介したいと思います。

立ち食いそばというと、十年一日の変化がない業界のように思うかもしれませんが、つぶさに見ていくと、いろいろ面白い動きがあるんですよ。

今回、登場するお店は「伊藤松吉商店」。都内に3店舗を展開しているのですが、本店の中落合店があるのは西武新宿線下落合駅から歩いて15分ほど。

車がビュンビュン走りまくる新目白通り沿いにありまして、お客さんのほとんどがドライバーさんの、いわゆるロードサイド店ですね。

 

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ロードサイドの立ち食いそばというのは1980年代ぐらいまでは多く見られたのですが、コンビニエンスストアの隆盛や交通取締りの強化などがあり、徐々に減少。

いまや都内では数少ない存在となっているのです。

そんな折、伊藤松吉商店は2014年にロードサイド店としてオープン。

しかも淡めのツユに生麺という昨今の流行を無視して、ゆで麺にガツン系の濃いツユが売りという、このご時世には珍しいスタイルで攻めてきたんですよ。

そりゃもう、立ち食いそばファンとしては気になって仕方ないというわけで、「伊藤松吉商店」の中落合店まで話を聞きに行くことにしました!

と、インタビューに入る前に、まずはおそばを紹介しておきましょうか。

 

「伊藤松吉商店」の看板メニューと言えば……

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こちらの看板でもある、げそ天そば(410円)。

かえしのガツンときいた濃いツユに、しっかりとした食感のむらめんのゆで麺。

そしてこのげそ天が出色ですよ。

クリスピーな六文そば系の衣に、長めに切られたげそがゴロゴロ。

むしゃむしゃ食べる感じで、げそのうまさを堪能できますよ。

麺量も多めで、まさにしっかり食べられるそばって感じです。

 

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店内はカウンターのみ。

この「ザ・立ち食い」という空間も、たまんないもんがありますね。

今回、お話を聞かせていただいたのは、運営元である「レブロン株式会社」のFC事業部部長である、渡邊さん

シャイな方なので後ろ姿のみなのですが、質問はズバズバ遠慮なくさせていただきます。

 

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── まずはなぜ今、ロードサイド店を始めようと思ったんでしょうか。

 

f:id:Meshi2_IB:20180425170951p:plain実は私どもレブロンは、親会社が空調設備の会社で、現場仕事をやっていたんですよ。朝早くに現場に行って、体を動かして働くんですね。そんな職人さんたちが現場に行く前に、気軽においしく食べられるお店があればいいのに、と考えて始めたんです。体を使う仕事ですから、食事はなにより大事ですからね。

 

職人さんたちが元気に働けるように、安くておいしいものを食べてもらいたい。

現場を間近で見てきたからこそ、出てくる発想ですね。

前に取材をした、相模大塚の「あさひ」に、成り立ちが似ているかもしれません。

 

www.hotpepper.jp

 

f:id:Meshi2_IB:20180425170951p:plain汗をたくさんかきますから、ツユは濃いめに。そばも早く提供できるようにゆで麺を選択しました。満足できるよう、ボリュームも意識しましたよ。

 

確かに、メニューは丼ものを加えたセットが、すごく充実しています。

ガツッと朝から食べて現場に行くという感じですね。

 

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ロードサイド店というのも、もちろん職人さんたちを意識したもの。

しかし、この立地を選んだ理由はそれだけではないようです。

 

f:id:Meshi2_IB:20180425170951p:plain飲食店をやるなら普通は繁華街にある路面店と考えるんですが、今はとにかくテナント料が高いんですよ。その点、ロードサイド店はコスト的に見合う物件がけっこうあるんです。

 

さらに、通常のロードサイド店はファミレスやコンビニのように、大きな駐車場がないと商売にならない。

その点、立ち食いそばの場合は滞在時間が短いこともあって、駐車場は不要でコインパーキングがあればいい。

ロードサイドで駐車場なしの物件というのは、探せばわりとあるらしく、テナント料も安く済むのだという。

なんと、ロードサイドの立ち食いそば店というのは、商売的にけっこうアリなスタイルだったのです。

「伊藤松吉商店」がこの中落合本店の他、新高円寺店、中野店としっかりフランチャイズ展開しているのも、商売として「アリ」だった証拠でしょう。

 

f:id:Meshi2_IB:20180425170951p:plain立地はかなりリサーチしていますね。条件としては車が駐められる、人どおりがある程度ある、駅から歩いて15分ぐらい。駅からこのぐらい離れると、テナント料もかなり下がるんです。今はロードサイドのお店が減っているので、逆に狙い目だと思いますよ。

 

なんと、オールドスタイルの立ち食いそば店と思いきや、実はかなりリサーチしたうえでの、最新の商売の形だったわけなんですね、う~む。

 

オールド系の立ち食いそば店を食べ歩いて研究

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さて、お話を聞いていたらお腹がすいてきたので、ガツンとしたメニューの代表格、松吉丼セット(600円)をいただきましょうか。

麺量多めのかけそばに、かき揚げとたっぷりの肉がのった丼。

 

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いやはや、いかにも働くぞ、という気持ちになるガッツリ具合。

濃いめの味つけがいいですね~。

ちなみにこちらの店長である伊藤さんは、飲食店で働いた経験はあったものの、立ち食いそば店での経験はなし。

お店を始める際にあちこち食べ歩いて、独学で立ち食いそばを勉強していったんだとか。

 

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そのときに目指した味が、一由そば六文そばなど、オールド系の立ち食いそば。

なるほど、さっき食べたげそ天が六文っぽいと思ったら、そういうことだったんですね。

 

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スパムにぎり(150円)なんてのもあるところが、いかにも研究したって感じです!

 

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ガツンとしたツユのそばをパパっと食べる。これぞ立ち食いそばでしょう。

 

── スタンダードなスタイルの新店ができるなんて、ファンとしてはうれしいですよ。

 

f:id:Meshi2_IB:20180425170951p:plain今は店内がきれいで、料理以外に空間を提供するという飲食店が主流です。女性のお客さんは、そのほうがうれしいでしょうが、そういう人たちばかりじゃないと思うんですよね。私のような中年男性は、手軽にパッと食べられるそばのほうがうれしい。そんなお客さんって、けっこう多いと思うんです。

 

── そうなんですよね。

 

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きれいで落ち着けるそば店もいいんですが、パッと食べてパッと仕事に戻りたいときもありますし、昔も今も立ち食いそばの需要はけっこうあるんですよね。

 

安くておいしいものを手軽に、よく考えてみれば、これって立ち食いそばの原初の形なんですよね。

今では駅そばも生麺使用で手の込んだそばを出しますが、あえて古いスタイルでやるのもアリなわけです。

 

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いやはや、今回の取材で、あらためて立ち食いそばの原点を見たような気がします。

みなさんも車でお出かけの際には、この「伊藤松吉商店」に、ぜひ寄ってみてください。

古いようで新しい、実はここに立ち食いそばの未来があるのかもしれません。

 

お店情報

伊藤松吉商店 中落合店

住所:東京新宿区中落合2-9-5
電話番号:03-6908-0574
営業時間:月曜日~土曜日5:30~15:30
定休日:日曜日

 

書いた人:本橋隆司

本橋隆司

フリーランスの編集、ライターとしてウェブや雑誌などで仕事中。立ち食いそば好きが高じて2013年に『立ち食いそば図鑑 東京編』を、2014年に『立ち食いそば図鑑 ディープ東京編』を制作。そばであればだいたい好き。最近、注目しているのは細うどん。

撮った人:安藤青太

安藤青太

カメラマン、書籍制作。グラビア系から食べ物系まで何でも撮るカメラマン。本橋とは『立ち食いそば図鑑 東京編』『立ち食いそば図鑑 ディープ東京編』を制作。その他『檀蜜DVD色情遊戯2』『DK 男子高校生萌え』『書店男子』など。最新作は『TOKYO餃子図鑑』。好きな立ち食いそばは「コロッケそば」。

東京ソバット団

早く安く美味く、そして面白い立ち食いそばの魅力を広めるために結成。団員は現在、本橋と安藤、そしてケビンの3名。

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