飲食チェーン店トラベラーのBUBBLE-Bです。
「食い倒れの街」大阪は、いつも私の食欲を刺激してやみません。
何でも食べたくなる性分の私は、大阪に行くと「オムライスを食べようか? いや、スパゲティか? はたまたカレーか?」と迷います。悩んだまま2時間くらい歩いていることも一度や二度ではありません。
そんな迷える民にうってつけの、美味しいものが全てオール・イン・ワンされた夢のようなプレートがあって、そこに「伝説のミツヤライス」と名付けられていると聞いてやってきました!
ダンジョンをさまよって「伝説」に出会った
ダンジョンのように広大な大阪駅の地下街「ホワイティうめだ」。今回目指すお店はこの中にあります。
それがこちら。
「心斎橋ミツヤ」。
戦前にオープンした甘味食堂「みつや」をルーツとし、1947年に喫茶洋食店の「心斎橋ミツヤ」として大阪・心斎橋で生まれました。
今回は取材日時点で心斎橋本店が改装中だったため、ホワイティうめだ店での取材となりましたが、こちらもホワイティうめだが1963年にウメダ地下センターとして開業した時からの店舗。実に半世紀以上の歴史を刻む老舗です。
丁寧に作られたメニューサンプルの数々に目を奪われます。
喫茶店らしくドリンクメニューやスイーツも充実!
このファンシーさに老舗を感じます。
メニューはボリューミーな洋食のラインナップ。こちらはスパゲティととんかつの合わせ技プレート、その名も「心斎橋モヒカン」!
こちらは「おとな様ランチ」と名付けられたアダルト向けのお子様ランチ。かなりの情報量です。
そして……
これが今回の目的となる「伝説のミツヤライス」!
ボンバーな見た目がインパクト抜群のプレートです。
では、さっそく中に入って注文してみましょう!
「伝説のミツヤライス」は多層構造だった
オーダー後に運ばれてきた「伝説のミツヤライス」(税別980円)。
大きなプレートにめいっぱい盛り付けられており、その破壊力は満点!
そしてとにかく立体的で高さがあるんです。
プレート右側にはたっぷりのミートソースが。
そして左側にはたっぷりのトマトソースがかけられています。
丘の向こう側(っていう表現をしたくなるほどのボリューム)にあるサラダには、フレンチドレッシング。
2階部分はとんかつが鎮座!
それぞれ左側にはトマトソース、右側にはミートソースという2WAYな味付けが楽しめそうです。
とんかつの下、1階部分はフワフワの玉子で覆われています。
中を開けると…
左側はオムライス、右側はスパゲティという構成になってました!
つまり……
1階部分はこのような構成になっているわけです!
実はレジェンドになる途中だった
伝説のミツヤライスについて、料理長に聞いてみることに。
▲ホワイティうめだ店 阪田料理長
──「伝説のミツヤライス」のコンセプトとは何でしょうか?
阪田さん:ミツヤにある様々なメニューの美味しいとこ取りをするというのがコンセプトです。長年の評判メニュー「ツインズセット」に対抗するようなメニューになってほしいと思って作りました。
▲心斎橋ミツヤで評判の「ツインズセット」。好きな組み合わせでオーダーできる
──それにしては見た目のインパクトが凄いですよね? 1つのプレート上で洋食のスターらが入り乱れていて、ただごとではないように思えますが……。
阪田さん:これはですね、インバウンド受けというのを狙っています(笑)。あとはインスタ映えも。だからあえてインパクトの強い見た目にこだわりました。
──確かにビジュアルが強いですよね。「伝説」と付けられたネーミングが気になるんですけど、どのような伝説があるんでしょうか?
阪田さん:伝説と名乗っていますけど、実は2015年に生み出した新しいメニューなんです。でも先ほど言いましたように「ツインズセット」を超えて、インバウンドに受けてインスタにも映えるという伝説となるために、名付けました。
──なるほど、これから伝説を作るぞという心意気なんですね! でもそう簡単に伝説は作れないのではと……。
阪田さん:はい! ここに至るまでは試行錯誤の連続だったんです。10年以上前からこのような「全部載せスタイル」のプレートを出したいと思っていたんですが、原価を抑えるのがなかなか厳しくて、悪戦苦闘していたんです。
──これだけのボリュームや内容があると、原価に跳ね返ってしまいますよね。
阪田さん:でも、そんなことを言っていてもしょうがないので、心斎橋の本店スタッフで「魅力的な商品やし、赤字云々は気にせんと、とりあえずやってみましょか!」となったんです。その時の本店の店長がまとめて、全店舗でスタートとなりました。それが始まりなんです。
──おお、結局最後は勢いでGOになった。
阪田さん:ここまでくるのに、なかなか時間がかかりました。でも、前々からこういうのを作りたいな、という想いが形になりました。
──具体的にはどの辺が難しかったのでしょう?
阪田さん:やはり調理工程ですね。作るのに手間がかかることと、現状でもメニューが多いのに、その中に加えるのが大変でしたね。
各々のこだわりがワンプレート上で塊に
──では伝説のミツヤライスのこだわりポイントをお聞きします。まず、スパゲティとミートソースについて、こだわりポイントはありますか?
阪田さん:ミートソースはですね、弊社の創業者がかつて宝塚にあったイタリア料理店のミートソースが美味しいと思い、そのお店のミートソースを再現したのが最初なんです。
▲洋食には欠かせないミートソース
──それってレシピを教えてもらったわけではなく、舌で記憶して再現したのですか?
阪田さん:そうです、舌で覚えてコピーしたようです。舌コピですね。それが今のミツヤで使っているミートソースの基本になりました。
──次に、オムライスとトマトソースについてのこだわりポイントはどこでしょう?
阪田さん:トマトソースもミートソースと同様にオリジナルのもので、スパゲティ用に工場で作ったものをオムライス向けに少しアレンジして使っています。玉子についてもフワフワになるようにこだわっています。
──上に載っているトンカツ部分についてのこだわりポイントは?
阪田さん:まずチルドの豚肉を使うことにこだわっています。チルドにすることで、豚肉の甘みなどの美味しい部分が活きるんです。パン粉は日本食研さんのものを使い、サクサクとした食感になるようにこだわっています。
──ありがとうございます。ミツヤさんの美味しいとこ取りはこだわりの塊でもあるんですね。
推定カロリー1400キロ!?
──でも、これが税抜き価格980円って、無理してないですか?
阪田さん:それはもう、勉強させてもらってます! 正直、他のメニューに比べるとちょっと無理してますので、これしか出ないようになるとやばいです(笑)。
──私みたいな欲張りにはとてもありがたいです! ところで、食べ始める時、どこから食べ始めるのがオススメでしょうか?
阪田さん:まずはミートソースだけを味わってもらうのがいいかもしれません。ミートソースのコクを味わってもらって、その後は一気にドーンと食べてもらいたいですね。カロリーを気にする商品ではないですから(笑)。
──私もカロリーのことは見て見ぬふりをしているんですけど、実際何キロカロリーくらいあるんでしょうか?
阪田さん:計算したことがないから分からないですが、軽く1000キロカロリーを超えて1300、1400くらいでしょうか。もっとあるかも知れないですね。
──かなりのボリュームですもんね。それでもさらに「大盛り」としてオーダーされる方もらいらっしゃるんですか?
阪田さん:まれにいらっしゃいますね。その場合、オムライスを大盛りにいたしますね。メニューには載っていませんが……。
──これ以上のボリュームを求める方って、どんな方なんでしょう?
阪田さん:意外と女性のお客様が多いです。特にアパレル接客のお仕事をされているような方が頼まれますね。やはりエネルギーが必要なお仕事だからでしょうか。
──すごい……。完食することで間違いなくエネルギー充填ができそうですね。ありがとうございました!
いよいよ「伝説」を食べてみる
ではいざ実食してみましょう。
まずは阪田料理長のオススメ通り、ミートソースだけを味わってみることに。
深いコクがあってほんのり甘さもあり、ゴロゴロした肉の存在感もバッチリなミートソースがすでに絶品です。
ミートソースはとんかつにつけても、スパゲティにつけても、両方おいしい。
この感じ、群馬のイタリアンレストラン「シャンゴ」で食べた「シャンゴ風パスタ」をちょっと思い出させてくれます。
とんかつの肉は柔らかく、旨味も抜群。何よりサクサクの衣が気持ちよいです。
オムライスにはトマトソースをたっぷりつけることで、食欲が次へ次へと連れて行ってくれます。
最後まで全く飽きることなく平らげました!
長い歴史を物語るコーヒーでフィニッシュ
伝説のミツヤライスを平らげた後は、単品のアイスコーヒー(税別420円)でシメました。
焙煎の深いコクをじっくり感じさせてくれるアイスコーヒーは、喫茶洋食店として長い歴史をもつ心斎橋ミツヤならではの味わいです。
大阪の老舗が生み出した、新しい伝説のプレート。そこには多くの工夫、こだわり、そしてカロリーがありました。
大阪のB級グルメといえばたこ焼きや豚まんが有名ですが、オムライスやカレーのような洋食にも長い歴史と広い裾野があるんです。
そんな大阪の味をワンプレートにした「伝説のミツヤライス」を食べて、生けるレジェンドを確かめてはいかがでしょうか。
ただしカロリーについて考えてはいけません!!
店舗情報
心斎橋ミツヤ ホワイティうめだ店
住所:大阪府大阪市北区小松原町梅田地下街4-7
電話番号:06-6312-4761
営業時間:9:00〜23:00
定休日:なし
書いた人:BUBBLE-B
飲食チェーン店トラベラー。日本中の飲食チェーン店の本店や1号店を探訪し、創業者の熱い想いに共感しながら味わうと3割増で美味しくなるグルメ概念「本店道」を提唱する。
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- ブログ:飲食チェーン店めぐりブログ「本店の旅」