背の高いグラスに入ったおいしそうなパフェ。
その上に、どこかから飛んできて、たまたまそこに乗っかってしまったかのようにドーンと大きなケーキがフタをしている ──。
これが「ケーキパフェ」か!
大阪・梅田に店舗を構える老舗カフェ「ミオール」には、チーズケーキ、モンブラン、ロールケーキなどの定番ものから季節限定メニューまで、さまざまなケーキがある。
そして、ストロベリーパフェ、チョコレートパフェなどのパフェメニューも用意されている。
どちらも食べたいのでどちらも注文する。そうすると、しばらくしてパフェグラスの上にケーキが直接乗った状態で運ばれてくる。
うん。確かに、何も間違ってない。
パフェとケーキを注文したのだから両方出てきて当然なのだが、こういう風にか!
小学校ではじめて習った足し算のような、ピュアな感覚。
ちなみに、こちらの「ケーキパフェ」、ツイッターに画像が投稿されるなりその見た目の豪快さから6万回以上リツイートされた話題の品である。
前から気になってたの頼んだけど考えた人すごいばか pic.twitter.com/IOH3vdEyW5
— 明星 (@utsukichi) 2017年9月22日
(個人的感覚にて)たくさんのファボリツありがとうございます
— 明星 (@utsukichi) 2017年9月22日
こちらのお店は
ミオール神戸 梅田三番街店でございます
阪急梅田駅にて下車
梅田新食堂街にあります pic.twitter.com/aKyAXPNfnY
「ショートケーキNYカットケーキパフェ」というのが正式な商品名で、お値段は税込で1,036円となっている。
かなりのボリューム感だ。高さ30cmはあるのではなかろうか。
私の前に置かれたドデカいケーキパフェの存在に気付いた少し離れたテーブル席に座るマダムたちが「うふふふ!」「あはは!」と笑い出した。
「それ、どうするの!?」と聞かれ、「えーと、食べます」と答えた。そう、それしかないのだ。
どうやって攻略するか
しかし、どこから食べればいいのか。お父さんのような広い背中をみて見てためらってしまう。
まずはグラスのふちから大きくはみ出した部分、下手すると崩れ落ちてしまいそうなところを下からすくい上げるように食べるしかない。
じっと見ていて、ふと、昔遊びに行った千葉の鋸山の断崖「地獄のぞき」を思い出した。
※千葉県公式観光物産サイトより引用
思い切ってスプーンを入れてみるとうまく全体を崩さずに端っこの部分をすくうことができた。
一口食べてみると、うん、おいしい。
パフェまで行けたら楽勝
ミオールでは、自分の好みのケーキとパフェを組み合わせてオーダーすることができるのだが、私が選んだ「ショートケーキNYカット」は一番の好評メニューなのだという。チョコスポンジの間に生クリームがぎっしり詰まっており、イチゴの爽やかな酸味が甘さを引き立ててくれる。
左右の端からガシガシと削るように食べていく。
お店の方によれば、まず、ケーキの部分をまるごとカパッとはずして、一緒に運ばれてくる大皿に移してから食べる人も多いという。
確かにそれが一番食べやすいけど、だったら最初から別々に……。いや、考えるのはよそう。
ケーキ部分が終わり、パフェゾーンへ突入。
私が選んだ「ストロベリーパフェ」は、ソフトクリームの中にカットフルーツとストロベリーソースが入っていて、ストロベリーとフルーツの甘酸っぱさのおかげで食べ飽きることなく、最後まで一気においしくいただくことができた。
「ミオール」のケーキパフェを食べる方にアドバイスとして伝えたい。
「パフェまで行ったらあとは楽」と。
ちなみに「ショートケーキNYカット」+「ストロベリーパフェ」の組み合わせは、ボリューム満点ながら味のバランス的に一番食べやすいセットらしい。
もっと甘いものが好きな人にはパフェ部分を「チョコレートパフェ」にするのがおすすめだそうです。
誕生の理由は「会話に集中してもらうため」
メニューにあるケーキならなんでもケーキパフェにできるそうだが、形状的にどうしてもパフェの上に乗せられないものは別皿での提供になるという。
お店の入口のケースの中にも組み合わせ例として「モンブランパフェ」、「ルミエールパフェ」のサンプルがあった。「モンブランパフェ」はこんな感じ。
「なるほど、こんな組み合わせもおいしそうだなー」と、いつしかパフェの上にケーキを乗せるということに慣れ始めている自分に気づいたが、もう一度冷静に考え直してみれば、なかなか思い切った発想である。
このような提供方法がどうして生まれたのか、ぜひ聞いてみたいと思い、「ミオール」の運営元である株式会社 千鳥屋宗家の広報担当の方にお話をうかがった。
── ケーキパフェの存在感には圧倒されました。パフェにケーキをそのまま乗せるというあのアイデアはいつ頃、どのようにして生まれたんでしょうか?
「こちらの『ミオール』では、30年ほど前からパフェの上にケーキを乗せてお出ししているんです」
── 30年も前からあるメニューなんですね! 最近生まれたものなのかと思っていました。
「はい、弊社の専務の原田という者が30年ほど前に考案したものです。原田がある時、喫茶店に入って、近くのテーブルで女性たちがパフェとケーキを食べながらおしゃべりをしている様子をなんとなく見ていたそうです。女性たちは会話を楽しみながら、スプーンでパフェを食べて、今度はフォークとナイフを使ってケーキを切り分けて食べて、またスプーンに持ち替えてパフェを食べて、とすごく忙しそうにしていて(笑)。それを見ていてすごく大変そうだなと思ったと。主役であるおしゃべりの邪魔をしないようなメニューにするにはどうしたらいいかと考えた結果、パフェにケーキを乗せてしまえばスプーン1本だけで食べられる! と考えたそうです」
── すごい発想です! 確かにスプーンだけで食べられます。逆にちょっと会話が上の空にもなりそうですが(笑)。
「原田はその後、千鳥屋宗家の名物にもなった『みたらし小餅』(みたらしのタレをお餅で包んだお菓子)も開発しておりまして、なかなかのアイデアマンなんです」
── みたらし団子が逆転したような、他にないお菓子ですよね。ちなみにケーキパフェは、お店で実際に提供しはじめたばかりの頃はどんな反響があったんでしょうか? かなり驚かれたんじゃないかと……。
「一気に注目を集めまして、行列ができるようになりました。東京にもお店を出して欲しい! というリクエストがたくさん寄せられたり、パフェの作り過ぎで腕を痛めてしまったアルバイトの方が立て続けにやめてしまったり」
── 当初から大注目だったのですね。
「それからもコンスタントにテレビや雑誌などに取り上げていただいて、ずっと話題になっている状況です。東京や関西のテレビ番組にはよく取材してくださっています。最近ではインターネット上でも頻繁に取り上げていただいていますね」
── これこそSNSに絶対アップしたくなる“インスタ映え”するパフェだと思います。
「スマートフォンでたくさん写真を撮っていかれる方が多いですね」
── どのケーキにどのパフェを合わせるかによっていろいろな組み合わせが試せますよね。やはり、注文が多いのは「ショートケーキNYカット」と「ストロベリーパフェ」との組み合わせですか?
「『ミオール』で一番大きいケーキが『ショートケーキNYカット』なので、見た目としても一番面白がっていただけると思います。食べ応えもあるので人気ですね。食べやすいもので言えばタルトなどがおすすめです」
── 結構なボリュームがありましたが、例えば女性でもみなさん食べ切れるんですか?
「はい。ほとんどの方が一人一つずつケーキパフェを召し上がっていかれます。その時の気分で組み合わせを変えて何度も楽しんでくださっているようです。女性のお客様が中心ですが、男性のお客様もいらっしゃいます。男性の方にもぜひ気軽に食べていただきたいですね」
── ケーキパフェについて、なにか今後新しくやってみようと計画されていることなどはありますか?
「いえ、特に目新しいことは考えておりません。30年前からご好評をいただいているメニューですので、変わらずお客様に楽しんでいただけるよう、おいしさを保って長く続けていこうと考えています」
── 私も今度はまた別のケーキを組み合わせてみたいと思います! お話を聞かせていただきありがとうございました!
喫茶店で会話を楽しんでいる人たちができるだけ話に集中できるように、という繊細な気遣いからあのようなワイルドなメニューが生まれたというところが非常に面白かった。いつか、100%会話に集中しながら当然のように「ミオール」のケーキパフェを食べられるようになりたい。
「ミオール」の色とりどりのケーキ。
あなたならどれをパフェに乗せますか!?
取材協力:千鳥屋宗家
お店情報
【閉店】ミオール 梅田三番街店
住所:大阪府大阪市北区芝田1-1-3 阪急三番街 1F
電話番号:06-6373-4885
営業時間:10:00~22:00(金曜・土曜・祝前日は23:00まで)
定休日:無休
※この記事は2017年10月の情報です。
※金額はすべて税込です。
※このお店は現在閉店しています。
※飲食店の掲載情報について。