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食欲と知識欲をシゲキする食メディア

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「パクチーはもはやメディアなんです」東京・経堂「パクチーハウス東京」代表・佐谷 恭 氏にインタビュー!

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「今年はパクチーが来る!」

2016年の初め頃、食のトレンド予想でちょくちょく耳にした言葉。

それに対し、周りの熱狂的なパクチーファンからはこんな声が。

 

え、なにそれ!? とっくにキテるんですけど!

もう10年前から!!!(ただし世田谷区限定で……)

 

東京・世田谷区の経堂。ここに2007年から営業している世界でほぼ初のパクチー料理専門店があります。その名も「パクチーハウス」。

東京の、いや関東の、いやいや全国の、いーやもしかしたら世界中のパクチーマニアから総本山と崇められているお店です。

 

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▲「パクチーハウス東京」の店内

 

お店の代表者は佐谷 恭(さたに きょう)さん。無類のパクチー好きが高じて、前代未聞の専門店までを作ってしまった、パクチー愛あふれる方です。

 

『メシ通』編集部では、そんな佐谷さんにインタビューを敢行。聞き手は、三度のメシにはかならず盛りたいくらいのパクチー好きな、ミュージシャンのDJ SASAさん。最近はパクチーに絡めたライブ&ツアーイベントや、パクチー卸業にまで手を出しているほどの熱の入れようだとか!

 

満席でワイワイにぎわう「総本山」の店内で、メガジョッキのビールを飲みながら佐谷さんにお話をうかがいました。

 

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▲左が聞き手のDJ SASAさん、右が「パクチーハウス東京」代表、佐谷 恭さん。名物ドリンクの「琥珀エビス メガジョッキ」でカンパイ!

 

脇役ですらなかったパクチーを主役に

そもそもパクチーって何なのかっていうところから聞きたいんですけど。野菜なのかハーブなのか、と。

 

基本的にはハーブなんですが、かといって添え物じゃないと思っています。もともと私自身がパクチー好きで、「日本パクチー狂会」という集まりを立ち上げて、お店を始める前に「パクチーを薬味から主役へ」というスローガンを立てたんです。パクチー料理だけでこれだけの量を食べるのって世界でも珍しいんじゃないかなと。パクチー料理という新しいジャンルを日本の調理技術を持って世界に発信していきたいと思ってます。

 

今年ってマスコミ的にはパクチーブーム、流行の食材と騒がれていますよね。

 

自分がパクチー料理店をやっている理由をお話しますと、パクチーは世界中で食べられていて日本にも1000年以上前からあるけど、一般化されていないんですよね。全然メジャーな存在じゃなくて、脇役にもなってない。でも逆にいうと、非常に面白いポジションの野菜なんじゃないかと。
そんなパクチーを通じて人と人とが出会うきっかけになればと思ってお店を作りました。日本の料理って、いろんな調理法があるし、パクチーもアレンジしがいが大いにある野菜だと思っていて。「パクチーハウス東京」で出してる「パク天」とかもそういう意味では面白いメニューだと思っています。

 

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▲看板メニューのひとつ「パク天」  (852円)

 

確かに「パク天」をはじめ、個性的なメニューばっかりです。

 

メニューに関しては、年間10回くらいパーティを行っていて、そこからオリジナルパクチーメニューを生み出しています。また、まかないでいろいろ実験を繰り返してメニュー開発をすることもあります。最近ではいろんな会社からパクチー商品開発の依頼があるのでアイデアを出したり。

 

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▲パクチーモヒート (961円)

 

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▲パクチー前菜3点盛り (1,296円)

 

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▲島豆腐南蛮パクタルソース (810円)

 

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▲パクチーの絨毯にラム肉が乗った「ヤンパク」 (Wサイズ、1,706円)

 

パクチーじゃないけど、このメガジョッキもド迫力!

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▲「琥珀エビス 中ジョッキ」(400ml、680円) 「琥珀エビス メガジョッキ」 (1,000ml、1,361円)

 

ハハハ。これね、琥珀エビスの導入を機にメニュー入りを果たしました。最初の飲んだ印象が「こいつはガブガブ飲みたい!」っていうビールだったので、メガジョッキにしちゃえっていう。このサイズだとおかわりするペースも減るし、なにせ自分がのん兵衛なので(笑)

 

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▲もうちょっとパクチー盛りたい! と思ったらぜひ「追パク」を。なんと無料!

 

パクチー好きに共通するのは「好奇心旺盛」

佐谷さんが出版した書籍『ぱくぱく! パクチー』(2008年、情報センター出版局 刊)には「日本にはパクチー嫌いが多い(過半数)」というデータが記載されてますが、最近はどうですか。ブームもあって、好きな人がグッと増えているのでは。

 

んー、半分以上の人はパクチーが嫌いだと思い込んでいるんじゃないかなぁ(笑)

 

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パクチーの好きな人と嫌い人の違いというか、傾向ってありますか?

 

ひとつ言えるのは、食に対して好奇心旺盛かどうかでしょうね。第一印象は嫌いって人が多くて。でも食べ続けるとあれ? といつの間に好きになっている人が結構いる。「味覚は10日で変わる」という説があって。なんでも興味を持って食べていくと慣れていくんじゃないかと思います。
ほら、料理って食材の組み合わせじゃないですか。パクチー単体を食べるんじゃなくて、パクチーとともに調理された料理を食べて欲しいなと。例えばポルトガル料理あたりにもパクチーがふんだん入ってるんだけど、気づかない人が多いですよね。タイ、ベトナムはこれでもかってくらい思いっきりトッピングされてるから、苦手と思う人がいるんじゃないかな。

ただ、実はパクチーはタイやベトナムの印象があるけど、実際現地行くとそうでもない。想像しているほどには料理には出てこないんです。スタッフと去年ベトナムに行った時にパクチーがなくて「パクチー出してくれ!」って何度もリクエストしちゃったくらい。

 

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▲店内は、いかにも旅好きな人が集まる雰囲気

 

自分の場合、パクチーを食べたのが25年前、新橋の台湾料理屋でした。その頃から「これ好き!」ってピンときたんですが、その後、今住んでる狛江にあるベトナム料理店のバインミー(ベトナムサンドイッチ)を食べてハマりまくりました。地元、狛江産のパクチーがモッサリ入っていて。

 

ところでパクチー苦手な方のための克服方法ってありますか?

 

うーん、慣れ……かなぁ。自分が初めて食べたのはカンボジアで。かなり茎が太くて固いパクチーで。ニオイも強烈だったんですが、もう一生懸命食べたんです。うわー、すごい野菜だなって思ってね。正直、最初はキツいと思ったけどそのうちパクチーに慣れていったというか。なくてはならないくらいの存在になってました。

 

お店の商圏は20,000km!

そもそも、どうして世田谷区の経堂でこの「パクチーハウス」を出そうと思ったんですか?

 

もともとゲストハウスのようなコミュニケーションの取れる場所を作りたくて。イベントやパーティを企画して知らない人と出会って欲しいというのがそもそもの事業テーマなんです。僕はもうここ16年くらい世田谷区に住んでいて。自分がコミュニティーを作るには世田谷で会社を作り、世田谷で店を出したいという思いがずっとあった。電車通勤しない場所ですよね。30軒以上内見をしたけど、この物件に決めた理由は、柱がないので店内のお客さんやキッチンも見えるところです。ただ、オープンした当初はお客さんが入るか心配だったので、そのときは地元の友達に声をかければさすがに来てもらえるだろうって思って。それも経堂を選んだ理由のひとつです。

 

お店をスタートする以前は、会社にお勤めで?

 

意外に思えるかもしれませんが、富士通やIT系のベンチャー企業に勤めていました。堀江さんが代表を務められていた頃のライブドアにもいましたよ。いわゆるITベンチャーがいちばん盛り上がっていた時代ですね。

 

ホリエモンさんはお客さんとして来ないですか?

 

んー、来てないですねぇ。でも僕がパクチー料理店をやってるのはご存じだと思いますよ。ライブドア時代の同僚はたまに来たりしてますし。

 

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▲取材中、たまたま隣にいたお客さんグループと意気投合。これぞパクチーハウス東京の醍醐味!

 

『メシ通』はネットメディアです。佐谷さんがライブドアに勤務していたのは意外性もあるし、興味を持つ読者も多いはずですよ。

 

ネットは好きですね。21年前に初めてインターネットを触ってから衝撃を受けて、仕事もそっちの道へ行ったし。自分が始めた日本パクチー狂会のインターネット展開は10年。ライブドア在籍中にmixiの「人をmixする」というコンセプトに衝撃を受けて、パクチーのスペルをあえて「paxi」にしました。ある意味、パクってるわけですね(笑)。プログラミングも出来るので、サイトのhtmlは自分で設計しているし、twitterも早くから利用しています。ウチはパクチー料理店として取材を受けることもありますが、「ネットを有効活用する飲食店」というテーマで取材をお受けすることも多々ありますね。

 

最近は東京都内でもパクチー専門店が増えていろいろ食べ歩いたりもしているんですが、やっぱり「パクチーハウス東京」は別格というか、存在感が独特だと思います。食材としてのパクチーだけで終わらない、というか。

 

パクチーはもはやメディアだと思ってます。パクチーというキーワードから広がるコミュニケーションが大事だなと。たぶんバジルやキュウリじゃ無理がある。あの「パクチーハウス東京」って商圏20,000kmって考えているんですよ。つまり世界中のお客さんに来てほしい。実際、札幌名古屋からお客さんがいらっしゃるのは日常的で、ときには海外からもお客さんがきます。これはインターネットの伝播力も大きいとは思いますけどね。

 

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なるほど、確かにメディアになってますね。自分の場合も、今はCDのジャケットデザインをしてくれている会社の中にパクチー事業部を作って、故郷の高知の農家さんとパクチーのブランド化を推進したり、自分のライブとパクチーのコラボイベントをやったり。たぶん、パクチーっていう食材じゃないとここまで発展しなかったように思えます。

 

マイナーなほどやりがいもある!

佐谷さんが「パクチーハウス東京」をやっていてよかったことは?

 

ここ実は、交流する飲食店というサブタイトルが付いてるお店でして。店名にハウスとつけたのはここを「家」みたいにしたかったからなんです。友達が友達を呼んで知らない人とつながっていくようなホームパーティ感覚というか。つながった人同士が面白いことを始めたら最高ですよね。
その後、「パクチーハウス東京」に続く事業としてコワーキングスペースも作りました。そこはパーティするように仕事ができる場所として。こういう広がりができたというのが、お店をやってよかったことのひとつですね。

 

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▲店内ではさまざまな関連食材&グッズも販売中。これも「つながり」の一環

 

正直、ここまでポリシーを持って続けられているだけでもすごいですよ。

 

いやいや、最初は「パクチー専門店みたいなマニアックなことやっても流行るわけない」って周りからさんざん言われましたよ。そんなの言われなくても分かってたんです。でもパクチーを面白いツール、メディアとして捉えてみたかった。最初、人づてに飲食コンサルティングの人を紹介してもらったんだけど、よくパクチーを知らないのに「うまくいくわけない」と言われて。でも逆に燃えたましたね。やってやるよ! って(笑)。

 

なるほど。

 

ただ、「パクチー好きだけ集まれ」だけだとちょっと狭いので、いろんな工夫をしないといけないなと。なので、今まで写真展をやったりトーク&ライブイベントをやったり。そういうイベントをやることでパクチー好きじゃない人が来る機会も作ってきました。

 

聞くところによれば、経営面だけじゃなくフィジカル的にも「走りまくってる」そうで……。

 

今は個人的にランニングが趣味なので、パクチー(89)に絡めていろいろなチャレンジをしています。2014年は89km走る南アフリカのコムラッズマラソンに参加したし、2015年はパクチーハウスのオープン89カ月を記念して、モロッコのサハラ砂漠(389)マラソンで250km走りました。つい先日はロシアのバイカル湖へ行って氷上フルマラソンに参加したんですよ。シベリア鉄道の廃線となった部分が89km観光列車になっているところがあり、そこに向かって直線で走るフルマラソンです。「パクに向かってまっしぐら!」ですね。次は北緯89°を走る北極を視野に入れています。


そ、そのバイタリティーには脱帽ですっ。最後に、佐谷さんみたいに個性的なお店をやりたいと考えている人にアドバイスを。


それがマイナーならマイナーなほどやりがいがあるし、本当に好きならやるしかないと思いますよ。諦めなければ、継続しますから。個性があればメディアにも取り上げられやすいし。「パクチーハウス東京」も、5年続いた時点でやっと価値が出てきたと思ってます。ただ、マニアックなことをやる人はマニアックになり過ぎないようにする工夫が必要。みょうに閉じすぎず、あくまで裾野を広げていった方がいいとは思いますね。

 

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▲今夜のシメは、炊き込みご飯の「パクライス」 (961円)。まさにパクチーづくし!

 

余談ですがインタビュー中、我々はメガジョッキを4杯飲みましたがインタビュー後に佐谷さんは新橋方面に出向いて朝4時まで飲んだそうです。さっすが世界を駆けるマラソンランナー。めっちゃタフ!!

 

<お知らせ>

DJ SASA主催"パクチー日帰りバスツアーVol.1"開催決定!
「パクチーハウス東京」代表・佐谷さんも参加して。千葉のハーブ園にてパクチー収穫&ランチ、トークショー&ライブと盛りだくさん。
詳細はこちら→  https://www.facebook.com/events/873571092769869/

 

撮影:守屋貴章        構成:『メシ通』編集部

 

お店情報

パクチーハウス東京

住所: 東京都世田谷区経堂1-25-18 2F
電話番号:03-6310-0355
営業時間:18:00-23:00(LO 22:00)
定休日:無休
ウェブサイト:http://paxihouse.com/

 

書いた人:DJ SASA

DJ SASA

ミュージシャン、DJ歴25年。スカ、ロックステディ、レゲエ、カリプソ、ハワイアン、沖縄音楽など、アイランドミュージックのプレイを得意とする。2003年からCD企画制作を開始し、80枚以上のCDを企画・制作・監修。2012年には沖縄県渡嘉敷村観光大使に任命されている。

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