乳化にこだわったニンニクと新生姜でペペロンチーノをの作り方を立ち飲みビストロ居酒屋のシェフに聞いてきた

吉祥寺の立飲ビストロRYOで料理長を務める松林涼さんに、新生姜のパスタの作り方を教えてもらいました。季節限定で食べられる新生姜と、ちょっと変わったパスタの作り方は必見です。

エリア吉祥寺(東京)

こんにちは、メシ通編集部です。

立飲ビストロRYOさんに、家庭でもまねできるビストロメニューの作り方を教えていただいているのですが、今回は第3弾としてあるメニューの作り方を取材してきました。

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そのメニューは新生姜のパスタ。

辛みの少ない新生姜だからこそ実現できる春から夏限定のパスタで、ビールやハイボール、ワインなど、さまざまなお酒に合う一品なんだとか。

「うちは正統派ではなく、ビストロ居酒屋としてお酒に合うパスタを目指しています」と語る料理長の松林涼さん。パスタの具材としては珍しい新生姜を用いたパスタの作り方を丁寧に解説していただきました。

立飲ビストロRYO、新生姜のパスタの作り方

──いきなり質問してもいいですか? 新生姜と普通の生姜はどのような違いがあるのでしょうか?

松林涼(以下、松林):実は一般的にスーパーなどで売られている生姜と新生姜は全く同じものになります。新生姜は収穫してすぐに店頭に並べられるフレッシュなもの。生姜は新生姜を数カ月貯蔵してから販売されている違いがあります。

──そうなんですね! なぜ一般的な生姜は貯蔵されているんですか?

松林:新生姜は6月〜10月が旬と言われているのですが、生でも食べられるくらい水分量が多く辛みが少ないことが特徴です。

しかし、その状態で1年間流通すると腐ることもあるため、貯蔵して水分量や出荷の時期をコントロールしているのです。

──なるほど、新生姜は基本的に6〜10月のみ食べられるということなんですね。

松林:はい、今回紹介するパスタは、そんなフレッシュで辛みの少ない新生姜をメインに据えたパスタになっていますので、楽しみにしていてくださいね。では早速調理に移っていきます。

──よろしくお願いします!

松林:まずは具材の下ごしらえからお見せしますね。材料は1人前の分量になります。

新生姜のパスタはペペロンチーノに近い要領で作っていきますので、ニンニク1片をみじん切りにします。

松林:続いて、新生姜を千切りにしていきます。食感や味わいで新生姜を強く出したいので、1人前60gほど使います。

──ちなみに、いい新生姜の見分け方はありますか?

松林:新生姜は、白っぽくて触った時に少しだけ弾力があるものがおすすめです。硬すぎると食感が悪いので、ほどよく弾力があるものがいいと思います。

──参考になります!

松林:刻んだニンニクとオリーブオイル大さじ2をフライパンに入れて弱火で加熱していきます。

松林:3分ほどじっくりニンニクに火を入れて、オリーブオイルがニンニクと同量になるくらいを目安に加熱してみてください。ニンニクを焦がさないようにすることがポイントですよ。

──じっくりニンニクに火を入れることが重要なんですね。

松林:次に2〜3%の塩分濃度の塩水を100mlほど入れます。(100mlの水に対して塩2〜3gを入れたもの)

※後出するパスタを茹でる塩水を使用しても構いません。

松林:ニンニクを加熱する際は、焦げやすいので注意しておいてください。塩水を入れるとニンニクが焦げづらくなって余裕ができるので、このタイミングでパスタをゆで始めるとミスが減りますよ。

パスタ(100g)を沸騰した塩水に投入し、袋に記載されている時間の1分ほど前をめどにゆでてください。パスタをゆでる塩水も2〜3%の塩分濃度に調整してください。

松林:続いて、エシャロットやパセリなどを合わせた特製バターを大さじ1フライパンに投入します。

──パスタにバターですか。珍しいですね。

松林:そう思います(笑)。ペペロンチーノ風のパスタにバターは一般的ではないと思いますが、コクが出てお酒との相性も良くなります。新生姜はさっぱりした味わいなので、試行錯誤の結果、バターを入れています。イタリアンの方が見たら絶対に「邪道だ!」と言うと思いますが、うちなりのアレンジということで……。

家庭でまねされる場合は、有塩バターで代用してください。

松林:そして、バターが溶けたら湯むきしたトマトを15gほど投入して、つぶすように加熱していきます。

──少量のトマトですか……! ペペロンチーノにトマトって、これも珍しいですよね?

松林:珍しいと思います。これまたイタリアンの方には「邪道だ!」と言われてしまうかと思いますが、少量のトマトを入れることで全体を邪魔しない程度の酸味が加わって、味に深みが出るんです。どんなパスタでもバターとトマトを少量入れると味のベースが底上げされるのでおすすめです。

松林:次に、鶏や野菜でとったブイヨンを大さじ1、千切りにした新生姜を10〜20g、一味唐辛子をお好みで投入してください。ブイヨンは水に溶かしたコンソメスープの素などで代用可能です。

──途中で少しだけ新生姜を入れるんですね。

松林:そうですね。パスタ全体に新生姜の風味が行き渡るようにしています。あとは、一般的にペペロンチーノなどでは唐辛子を入れますが、全体に辛みが行き渡るように一味唐辛子にしています。

──逆に言えば、ペペロンチーノなどの唐辛子は一味唐辛子でも代用できるんですね。ちなみにどのくらいをめどに火にかけるといいでしょうか?

松林:バターやオリーブオイルなどの油分と水分が混ざるくらいを目安に加熱してください。

松林:強火にしてフライパンの中を沸かして、ゆで上がったパスタを投入して全体に絡めていきます。

──パスタを投入する前に、具材を沸かしておく理由はなんですか?

松林:パスタをぬるい具材と合わせると火が入りすぎたり、ソースと絡みづらくなったりするので、沸騰した状態にしておくといいですよ。ここで醤油を一回しして、全体の味を調えます。

松林:パスタと具材を合わせて、フライパンの水分と油分が混ざりあった状態(乳化)を目指します。乳化すると全体にとろみが出て、味がまろやかになります。

松林:乳化ができたらお皿に盛っていきます。残りの新生姜40〜50gをのせ、ごま風味のドレッシングをかければ新生姜のパスタの完成です!

──シンプルな見た目ですが、かなり食欲が湧いてきます。

松林:新生姜の清涼感がクセになるはずです。夏でも食べたくなるようなパスタになっていると思います。

──では熱いうちにいただきます!

立飲ビストロRYOの新生姜のパスタの味わいはいかに?

どっさりと盛られた新生姜の千切りと一緒にいただいてみます。

まず新生姜のフレッシュさと心地良い食感が口の中に広がっていきます。その後、バターのコク、ニンニクの風味、一味唐辛子の辛み、ほんのりとトマトの風味が次から次にやってきて、一口で深みのある味わいを楽しむことができます。

松林さんがおっしゃっていた少量のバターとトマトを入れる意味がよくわかります。シンプルなパスタなのに、少しの工夫で主役が引き立てられつつも深い味わいになっているのが驚きでした。

こんなにたっぷりの生の新生姜を食べたのですが、味わい食感ともに抜群。清涼感のある味わいは、夏を感じさせてくれるので、新生姜を食べられる季節を逃さず毎年食べていきたいなという気持ちになりました。

独自の工夫やアイデアが詰まったパスタの作り方ですので、新生姜を他の具材に置き換えて、自分好みの食材でカスタマイズしてみてもいいかもしれませんね。

まとめ

井の頭恩賜公園の目の前にお店を構える立飲ビストロRYOに、新生姜のパスタの作り方を丁寧に解説していただきました。

とにかく新生姜とバターの風味が最高。実際お店でも一つ注文が入ると、つられて周りのお客さんもオーダーしちゃうほど食欲をそそる香りがしました。ファンも多く、よく注文される一品だそうなので、ぜひこの季節限定のパスタをお店に食べに行ってみてください。

また家庭でも再現できるように丁寧な解説をいただいていますので、気になる方は新生姜を買って作ってみてくださいね。それでは!

お店情報

立飲ビストロRYO

住所:東京都武蔵野市吉祥寺南町1-17-9
電話番号:0422-26-7235
営業時間:火~金: 12:00~15:00 (料理L.O. 14:30 ドリンクL.O. 14:30)
17:00~23:30 (料理L.O. 22:00 ドリンクL.O. 23:00)
土、日、祝日:12:00〜23:00(L.O. 22:00)

定休日:月
月曜日が祝日、または祝前日の場合は営業いたします。詳細は店舗に直接ご確認ください。

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書いた人:メシ通編集部

メシ通編集部

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