
カレーが好きです。
自分でもスパイスから作るし、いろんなカレーを食べて生きてきました。
そのなかでも、初めて食べたときに一番衝撃を受けたカレーといえばマジックスパイスかもしれない。
もともとは札幌に本店があり、全国にスープカレーを広めたとして有名なお店です。他のスープカレー屋さんとは一線を画するその個性的すぎる佇まい、覚醒〜虚空まで選べる辛さ、不思議な名前だらけのトッピング、食べ終わったあとに本当にちょっといっちゃってる感覚になる飛び具合など、とにかくすべてが他のカレー屋さんとは違いました。衝撃でした。開店から14年を経てもいまだ衰えないその味と魅力について、今回はレポートします!
異空間へ
東京、下北沢のスズナリという劇場の脇を上がっていくと、住宅街の中に突如、怪しいオーラを放つ赤い建物が現れます。見つけられなかったらどうしようなんて心配はいりません。それはもう、絶対見落としたりしない存在感です。

この日は閉店1時間前の22時に訪問したためすんなり入れたのですが、行列ができていることもしばしば。
中に入ってみると……、


かなり 異 空 間 ですが、不思議と落ち着くんです。なぜだろう。店員さんがみなさんとてもフレンドリーで優しいからかな。
でも、そうはいってもみなさん個性的だし、たまに店員さんどうしで「◎×★〜 △△!!〜」と明らかに日本語ではないナゾの言葉で会話をしておられる。ちなみにナゾの言葉はマジスパ語なのだそうです。
どのぐらい飛ぶ覚悟があるのか、ということ

さて、席に案内されたら、まずはメニューを見て
チキン(1,000円)、ビーフ(1,160円)、ベジビーン(1,030円)、キーマビーン(1,140円)、モモ(1,050円)、ポーク角煮(1,080円)、ハンバーグ(1,160円)、シーフード(1,210円)、ベジマッシュ(1,100円)の9種類の中からベースとなるカレーを選びます。
そして、次に辛さを決めます。
ハイ、ココ、一番重要ポイントです!

▲一番辛い「虚空」は、「最強辛宇宙超感覚覚醒」との説明が!
辛さは覚醒から虚空まで7段階あり、辛さによって値段も変わってきます。
あまり辛いのが得意ではない、という方は一番マイルドな「覚醒」から始めてみるのがよいと思いますが、普通に辛いのも食べれるという方は真ん中の「涅槃」あたりがオススメ。「涅槃」以上は食べたあとの「……なんだこりゃ」感がかなりすごいので。
この辛さはどのぐらい「飛ぶ」覚悟があるのか、ということを問われているわけですね。体調や気分とも相談しながら真剣に検討しましょう。
私はこの日、一番辛い「虚空」のベジビーン(野菜と豆のカレー)。
友人は「涅槃」のチキン。

トッピングもいろいろありますので、お好みで!
食べているときは自分の世界
カレーが運ばれてきました。
まず、チキンの涅槃。
マジックスパイスでスタンダードかつ好評な組み合わせのひとつだと思うので、もし迷ったらオススメです。


中には骨付きチキンがゴロリ。身をほぐして食べ進めます。
そして、虚空のベジビーン。

虚空は正直、かなり辛いです。でも辛いだけではないのです。
ウマイ、辛い、ウマイ、辛い、でもウマイ! うわぁぁあぁ。しかしウマイな。
このループが延々繰り返され、どうしても手を止めることができない。気がつくとカレーに没頭している。カレーのことしか考えられなくなっている。
そして、ビールが甘く感じられる。
全体的にどうかしている。

中盤あたりからだんだん汗が出てきます。
汚くてスミマセンが鼻水も出てきました。
この事態を見越してか、ありがたいことに各テーブルにはティッシュと水が完備されております。

もうここはなりふり構わずデトックスということで、ティッシュ片手に無心でフィニッシュを目指すのみ!
そして完食したあかつきには、ランニング後のような心地よい疲労感。高揚のあとの放心状態。
もう言葉を発するのも面倒なぐらい。
カレーを一杯食べただけなのに、こんなになるなんて……!?
実際、ひとりで来て自分の世界に浸っているお客さんも多いようでした。

▲このライスに添えられた一片のパイナップルに救われるので、最後までとっておくことをおすすめします
アクエリアスという世界
先ほど辛さレベルは7段階だと言いましたが、補足させていただきますとアクエリアスというものもあるのです。
気軽に注文すると、店員さんに止められるレベルの食べ物です。
覚醒から虚空までが人間界の修行のレベルだとすれば、アクエリアスは異次元。
ちなみに最高に辛い「虚空」が25ピッキーヌ(※ピッキーヌはここでは辛さの単位ととらえてください)だとすれば、アクエリアスは200ピッキーヌ以上。まさに次元が違う、のです。
なので、お店の方は虚空をクリアしたうえで、50ピッキーヌの虚空、100ピッキーヌの虚空などを経てアクエリアスにいくことをすすめるのだそうです。
なんなんだこのカレー道!

そんな幻のアクエリアスは1日5食限定で、他のサラサラのスープカレーとは見かけからして違い、ドロッとしているのだとか。私もまだその姿を拝んだことはありません。
自信と勇気があるかたはぜひチャレンジを。
この不思議な世界はどうやって作られているの?
マジックスパイスは1993年に札幌店からスタートしました。東京店ができたのは2003年で、現在は大阪、名古屋にも店舗があります。
社長の下村泰山さんはもともと医学の知識もあったことから、医食同源をキーワードにメニューを開発。おいしいだけでなく体に良いカレーを作っているのだそうです。
たしかに、マジックスパイスのカレーは食べ終わったあとの爽快感や意識がクリアになる感じがくせになってまた食べたくなってしまうのですが、それらはすべてスパイスの配合によるものなのですね。まさにマジックスパイス。
また、店内の個性的な内装や独特のネーミングセンスもすべて下村さんによるものなのだそうです。
「カレーを食べる」
ただそれだけのことのために用意されたこのマジスパワールド、まさに食のエンターティンメントだと思います。ぜひぜひ楽しんでみてください!

▲最後に、インタビューにお答えいただき、楽しい時間を一緒にすごさせていただいた下北沢店のベータカロチン店長。店内のガネーシャとともに
お店情報
マジックスパイス 東京下北沢店 (Magic Spice)
住所:東京都世田谷区北沢1-40-15 北沢ゴルフマンション1F
電話番号:03-5454-8801
営業時間:月曜日・木曜日・金曜日 11:30~15:00/17:30〜22:30(LO)、土曜日・日曜日・祝日 11:30~22:30(LO)
定休日:火曜日・水曜日
ウェブサイト:http://www.magicspice.net/
※この記事は2017年4月の情報です。
※金額はすべて税込みです。



