大晦日でも間に合う!料理家が1時間で爆速おせち5品を作ってみた 年末忙しくてもここまでやれる

おせち料理って作るのが大変……。そんなイメージがありませんか? 今回は2023年の年明けにピッタリ! 1時間で作れる「爆速ワンプレートおせち」の作り方を料理家の真野遥さんに教えてもらいました!

こんにちは! 料理家の真野遥です。

いよいよ年の瀬ですが、皆さん年越しの準備はできましたか?

 

毎年この時期になると悩まされるのが、おせち問題。

「おせち作らなきゃ。でも面倒くさい……」「おせち料理、あんまり好きじゃないんだよね」「お正月だからって、おせちを食べなきゃいけないわけじゃないでしょ?」などの理由で気乗りせずに用意しなかったものの、お正月にSNSに上がってくるおせちの写真を見て「やっぱり用意すればよかった……」と後悔したこと、ありませんか?

 

おせち料理は思っているよりも難しくなく、数品だけでも手作りすると、新年をより気持ちよく迎えることができますよ!

今回は、1時間で作れる「爆速ワンプレートおせち」をご紹介いたします。

 

おせち料理5品と調理の段取り

今回ご紹介するのは、こちらの5品です。

 

・伊達巻(左)

卵と白身魚のすり身で作る卵焼き。形が巻物に似ていることから「知恵が増えるように」との願いが込められています。その華やかな見た目がハレの日にふさわしく、おせち料理の定番中の定番。家庭でははんぺんを使って作る方法が一般的です。

 

・紅白なます(上)

大根とにんじんを細切りにして甘酢で和えたもの。紅白の水引がモチーフとなっており、一家の平和への願いが込められています。

 

・わさチー紅白かまぼこ(中央)

かまぼこの半月形が初日の出のようであり、紅白で並べると縁起がいいとされています。飾り切りでおめでたさを表現するのが定番ですが、今回は美味しさ重視! ピンク色のかまぼこにクリームチーズとわさびとかつお節を混ぜたものを挟んだ「わさチー紅白かまぼこ」です。

 

・田作り(右)

カタクチイワシの稚魚を甘辛く飴煮にしたもの。「ごまめ」とも呼ばれます。昔はカタクチイワシを田畑の肥料として撒いていたことから、五穀豊穣の願いが込められています。今回はくるみをプラスして、より美味しく仕上げます。

 

・ローストビーフ(下)

日本の伝統的なおせち料理ではないものの、ハレの日の定番料理であることから、近年はおせち(特に洋風おせち)に入れられることが増えました。ローストビーフが加わるだけで一気に気分が上がりますよね!

 

必要な調理道具について

伊達巻を作るためには「卵焼き器」と「ブレンダー(またはフードプロセッサー)」「巻きす」が必要になってきます。

これらが無い場合は、伊達巻は市販品を買うのがいいでしょう!

その他の料理も、適宜市販品を織り混ぜて、無理なく作りましょう。

 

調理の段取り

5品を1時間で作るため、段取りが大切になってきます。

まずは調理工程をざっと押さえておきましょう。

 

0:00 ローストビーフの牛もも肉に塩胡椒をすり込む(15分置く)

0:05 紅白なますの野菜を切り、塩揉みする(10分以上置く)

0:10 伊達巻の材料をブレンダーにかけ、焼き始める(7〜8分ほど蒸し焼き)

0:15 ローストビーフを焼き始める(蒸し焼き4~5分)

0:20 伊達巻を巻く、ローストビーフをアルミホイルで包む

0:30 紅白なますの野菜の水気を絞り、甘酢に漬ける

0:35 田作りを作る

0:45 わさチー紅白かまぼこを作る

0:50 ローストビーフのタレを作る

0:55 盛り付け

1:00 完成!

 

塩揉みするものや余熱で火を通すものなど、時間がかかる工程を最初に済ませ、効率よくスムーズに調理しましょう!

まずは各料理の材料をご紹介します。

真野遥の「爆速ワンプレートおせち」

材料

【伊達巻(1本分)】

卵 3個

はんぺん 1/2枚(50g)

砂糖 大さじ1

みりん 小さじ1

塩 ふたつまみ

油 適量

 

【紅白なます(作りやすい分量)】

大根 150g

にんじん 50g(1/4本)

塩 小さじ2/3

(A)米酢 大さじ1

(A)砂糖 大さじ1/2

ゆず あれば1/2個(盛り付け用のカップとして使用)

ピンクペッパー あれば適量

 

【わさチー紅白かまぼこ(3個分)】

かまぼこ(赤) 5cm分(約1/3本)

クリームチーズ 15g(小分けタイプ1個)

わさび(チューブ) 小さじ1/2

かつお節 1.5g(小分けタイプ1袋分)

 

【田作り(作りやすい分量)】

カタクチイワシの稚魚(乾物) 20g

 (ごまめ、またはそのまま食べるタイプの煮干しでも可)

くるみ 25g

白ごま 適量

(B)酒(または水) 大さじ1

(B)みりん 大さじ1

(B)醤油 大さじ1/2

(B)砂糖 大さじ1

 

【ローストビーフ(作りやすい分量)】

牛もも肉(ブロック) 300g

塩 小さじ1/2

胡椒 適量

玉ねぎ 1/2個

(C)バター 10g

(C)醤油 大さじ1/2

(C)赤ワイン 大さじ1

サラダ油またはオリーブオイル 大さじ1/2

 

材料を揃えたら、早速調理開始です!

 

0:00 ローストビーフの牛もも肉に塩胡椒をすり込む(15分置く)

▲牛もも肉300gのレシピのため、これよりも大きいor小さい場合は塩の量を調節してください

まずは、ローストビーフ用の牛もも肉300gに下味をつけましょう。

塩小さじ1/2と適量の胡椒をすり込んで、室温に15分置きます。

肉を触ったあとは、石鹸で手を洗いましょう。

 

0:05 紅白なますの野菜を切り、塩揉みする(10分以上置く)

紅白なます用の大根150gとにんじん50gは、皮を剥いて細切りにし、ボウルに入れます。塩小さじ2/3をまぶして軽く揉んだら、10分以上置きましょう。

 

ローストビーフ用の玉ねぎ1/2個も、このタイミングで切りましょう。繊維に沿って薄切りにします。

 

0:10 伊達巻の材料をブレンダーにかけ、焼き始める(7〜8分蒸し焼き)

続いて、伊達巻の材料をブレンダーにかけます。

卵3個を容器に割り入れ、はんぺん1/2枚をちぎって加え、砂糖大さじ1とみりん小さじ1、塩ふたつまみを加えたら、ブレンダーで滑らかになるまで撹拌します。

 

卵焼き器に油を薄く引き(ペーパータオルでなじませるといいでしょう)、中火にかけ、温まったら混ぜた卵液を流し入れます。

 

全て入れたら弱火にし、アルミホイルをかぶせて7〜8分ほど蒸し焼きにします。

 

火加減はこれくらい。とろ火ほど弱くても焼き色が付かず、火が強すぎると焦げてしまいます。最弱ではない弱火で7〜8分ほど焼きましょう!

 

0:15 ローストビーフを焼き始める(蒸し焼き4~5分)

さて、そろそろ牛もも肉にしっかり下味がなじんだ頃。焼き始めましょう!

 

フライパンに大さじ1/2ほどの油(サラダ油でもオリーブオイルでもOK)を入れて強火で加熱し、十分にフライパンが温まったら、牛もも肉を全面焼いていきます。

 

6面全てに焼き色が付いたら肉を端に寄せて、薄切りにした玉ねぎを中央に並べ、その上に牛もも肉をオン!

 

蓋をして、弱火で4〜5分、蒸し焼きにします。

 

牛もも肉のサイズが400g程度の場合は5〜6分、200g程度の場合は3〜4分に調節してください。

焼きすぎると硬くなるので、必ずタイマーをかけておきましょう。

 

0:20 伊達巻を巻く、ローストビーフをアルミホイルで包む

さて、牛もも肉を蒸し焼きにしている間に、そろそろ伊達巻が焼けてきたはず。

 

表面までふっくらと火が入り、こんがり焼き色が付いたら、フライ返しを使ってひっくり返します。

 

多少焦げても大丈夫! 焼き色があった方が、きれいな伊達巻になります。

裏面もさっと焼いたら、巻きすで巻いていきます。

 

巻きやすいように、何カ所か浅い切り込みを入れるといいでしょう。

 

熱いうちに、手前からギュッギュッときつめに巻いていきます。

 

巻いたら、輪ゴムで縛って立てて冷まします。きれいな形に仕上がりますよ!

巻きすが無い場合は、ラップで巻いてもOKです。

 

さあ、ローストビーフがそろそろ焼けた頃でしょうか?

タイマーがなったら速やかに牛もも肉を取り出し、アルミホイルで包みましょう!

 

このまま余熱でじっくり中まで火を通します。

フライパンの玉ねぎは、あとで肉汁と共にソースにするため、そのまま置いておきましょう。

 

0:30 紅白なますの野菜の水気を絞り、甘酢に漬ける

▲手でギュッと優しく力を入れて揉むと、味が早くなじみます

続いて、先ほど塩揉みした大根とにんじんの水気を絞り、(A)の調味料(米酢大さじ1と砂糖大さじ1/2)と和えます。

 

ゆずの皮をカップにして盛り付ける場合は、横半分に切ったゆずの果肉を取り除いておき、底部分の皮を薄く剥いて千切りにしてなますに加えると、香りよく仕上がります!

なますは盛り付けるまで冷蔵庫に置いておきましょう。

 

0:35 田作りを作る

続いて田作りです!

 

カタクチイワシ20gとくるみ25gは、アルミホイルの上にのせてオーブントースターで1〜2分ほど、カラッとなるまで焼きます。カタクチイワシは焦げやすいので要注意。

 

焼いている間に、フライパンに(B)の調味料(酒または水大さじ1、みりん大さじ1、醤油大さじ1/2、砂糖大さじ1)を入れて中火にかけます。

 

ゴムベラなどで混ぜながら1〜2分ほど煮詰め、水分が少なくなり気泡が大きくなったらカタクチイワシとくるみを加えます。

 

適量の白ごまも加えてさっと煮絡めたら、バットか皿に広げます。

そのまま冷ましておきましょう。

 

0:45 わさチー紅白かまぼこを作る

ここまで来てしまえば、完成まであと一歩!

わさチー紅白かまぼこを作りましょう。

 

まずは、クリームチーズ15gとわさび小さじ1/2、かつお節1.5gを混ぜます(わさチー)。

 

かまぼこは3等分に切ったら、それぞれ下部1cmほど残して切り込みを入れ、わさチーを挟みます。スプーンと指を使って詰めるといいでしょう。

 

クリームチーズとわさびとかつお節、この組み合わせが驚くほどかまぼこと相性抜群なんです! お酒のおつまみに最高ですよ。

 

0:50 ローストビーフのタレを作る

いよいよラストスパート!

ローストビーフを蒸し焼きにした時の玉ねぎで、ソースを作りましょう。

アルミホイルに包んでいた牛もも肉から出てきた肉汁をフライパンに入れ、(C)の調味料(バター10g、醤油大さじ1/2、赤ワイン大さじ1)を加えてさっと煮詰めたら完成です!

 

0:55 盛り付け

伊達巻とローストビーフを切り分けたら、あとはお好みの器に盛るだけ!

少し大きめの平皿に盛るのがおすすめです。

 

和食の盛り付けは「奇数」で盛るのが縁起がいいとされているため、伊達巻と紅白かまぼこは3切れずつ、ローストビーフは5切れ盛るのがおすすめです。

 

平らに盛るよりも立体感がある方が美しいので、伊達巻は重ねて盛り、ローストビーフはソースを引いたところに立てかけるようにして盛るといいでしょう。

 

紅白なますはそのまま盛ってもいいですが、ゆずのカップに入れたり、あれば豆皿に盛り付けたりすると、お皿にメリハリが生まれます。

今回は、彩りとしてピンクペッパーを添えてみました。

 

あれば、お皿にあしらいを添えるとなおいいですが、もちろん無くても100点満点!

私は家の軒下に生えている南天の葉っぱを飾ってみました。

 

今回はワンプレートにしましたが、もちろんお重やお弁当箱に詰めても◎

1:00 完成!

1時間であっという間におせちが完成しました!

どうですか? 意外と難しくないでしょう?

おせちの保存方法と保存期限

おせち料理には「お正月に料理をしなくても済むように」との意味合いもあり、保存性の高いものが多く、今回の5品もそれなりに保存がききます。

 

伊達巻、紅白なます、わさチー紅白かまぼこは冷蔵保存で1週間が目安です。

田作りは常温保存でOK。保存期限は1週間が目安ですが、時間が経つにつれて湿気で食感が悪くなるので早めに食べ切りましょう。

ローストビーフは冷蔵保存で3〜4日が目安です。

 

おせち料理といえば手間がかかると思われがちですが、1時間だけ頑張れば立派なおせちができてしまいます。年末に自分で作ったおせちと共に新年を迎えてみてはいかがでしょうか。

自家製おせちの美味しさは格別ですよ!

 

書いた人:真野遥

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商社勤務を経て料理家として独立。 東京と京都を拠点にレシピ開発、メディア出演、発酵食と日本酒のペアリング料理教室の主宰など幅広く活動中。2022年からは「発酵室 よはく」として、発酵を通じて人生に余白を作る活動をスタート。Podcastラジオ「よはく採集」を毎週火曜日に配信中。 著書『手軽においしく発酵食のレシピ』(成美堂出版)、『いつものお酒を100倍おいしくする最強おつまみ事典』(西東社)

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