【酸菜白肉鍋】野菜をモリモリ食べたい時は「白菜たっぷり鍋」がスッパうまい

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白菜って、なにげに鍋料理の「センター」だと思う

この季節といえば鍋。そして、鍋の具材といえば白菜

残念なのは、ひとり暮らしの身の上ゆえ、特売で買った白菜を、けっこうな頻度で無駄に余らせてしまうことだ。

これ、身に覚えのある独身の読者は少なくないのでは?

 

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そんな悩みを一気に解消してくれるウマーなレシピを、以前、本誌でも取材させていただいた、東京・代々木八幡にある「煮込みとお惣菜スタンド ウエトミ」の大野清和(おおの・きよかず)さんに教えていただいた。

ちなみに、大野さんは料理好きが高じて居酒屋さんを始めてしまった『メシ通』の読者でもある。

www.hotpepper.jp

 

f:id:hiro81p:20190126105119j:plain大野:白菜の浅漬けって、サラダなんじゃないかって思うんですよ。だから山盛りでシャキシャキ食べられる、サラダ感覚の浅漬けを考えてみました。それよりなにより、余った浅漬けは鍋にするとマジでうまいです。旅行で台湾に行ったときに食べた白菜漬けの鍋・酸菜白肉鍋(スワァン・ツァイ・バイ・ロウ・グゥオ)がすごくおいしくて、そこからヒントをもらいました。

 

白菜の浅漬け……からの白菜鍋! うん、これはイケそうだ。

 

サラダ感覚でシャキシャキ食べられる「白菜の浅漬け」の作り方

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まずは、浅漬けから大野さんに作っていただくことに。材料は以下のとおり。なお、分量はあくまで目安なので、白菜の量に応じて随時変えてください。

 

【白菜の浅漬け 材料】

  • 白菜 1/2個(量はお好みで)
  • 白だし 大さじ1
  • 塩昆布 3つまみ
  • 塩 適量(味付けはやさしめで)
  • お酢 大さじ1
  • 柚子 適量
  • 鷹の爪 少々 

 

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まずは用意した白菜をざっくりと。

 

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続いて1/4にした白菜を1cm〜1.5cmくらいの幅で切る。

 

f:id:hiro81p:20190126105119j:plain大野:あらかじめ切っておくのは短時間で漬けるためです。

 

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切り終わると、そこには白菜の山。

 

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柚子の皮も刻んでおこう。

 

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①材料が用意できたら、白菜をジッパー付き保存袋の1/4くらいの所まで入れ、

 

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②塩と塩昆布、刻んだ柚子をひとつまみ。鷹の爪(今回は七味唐辛子で代用)も適量を。

 

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③白だしと酢を1/3の量ほど注入。

 

f:id:hiro81p:20190126105119j:plain大野:塩分や風味ががムラなく全体に行き渡るように、①から③までを3回繰り返します。白菜と調味料をミルフィーユ状に重ねていくのがポイントです。

 

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白菜と調味料を層を作るように入れたら空気を抜き、ジッパーを閉め、

 

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もむ。もむ。もむ。

 

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2、3分ほどもんだらジッパーを開け、袋の中の材料を混ぜる。混ぜる。

 

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これで終了。ここまでの大まかな作業時間は15分たらず。すごい簡単。

 

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器に盛り付け、お好みで糸唐辛子をのせて、白菜の浅漬けが完成。

寝かせることなく、作りたてのまま食べてみると、これがイケる。

 

白菜そのものの控えめな風味とシャリシャリ感がいい具合に残っていて、実にフレッシュ。白だしの甘みと塩昆布の風味がうまく溶け合い、柚子の香りが口中に広がる。七味唐辛子のピリっとした辛さが心地よく舌を刺激する。

 

大野さん、これはマジ、サラダ感覚の浅漬けです。っていうか、「浅々漬け」って感じ?

 

f:id:hiro81p:20190126105119j:plain大野:うまいでしょ。モリモリいけるでしょ。飲兵衛の僕としては、山盛りのコレがあれば、野菜系のつまみは他に要りません。もちろん、寝かせてから食べてもおいしいですよ。

 

たしかに。これで、白菜が余った時のレパートリーがひとつ増えました!

 

スッパうまい! 残った浅漬けを「酸菜白肉鍋」に

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お次は本命の酸菜白肉鍋。

 

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こちらが、取材の2日前に大野さんが作った浅漬けの残りを冷蔵庫で寝かせて(放置して!?)おいたもの。

試しに味見してみると、作りたてのものと比べて塩味が濃く酸味も増している。ヌルっとしているのは昆布のヌメりと発酵のためだろう。浅漬けというよりも、いわゆる白菜の漬物だ。これをおいしい酸菜白肉鍋に仕立てるわけである。

 

鍋の材料は以下のとおり。

 

【酸菜白肉鍋 材料】(2人分)

  • 白菜の漬物 1/4個
  • 豚バラ肉 80グラム
  • 油揚げ 1枚
  • えのき茸 1/2袋
  • しいたけ 1個(乾燥ものでもOK)
  • 昆布 1片
  • ニンニク 1片
  • 鶏がらスープの素 小さじ2
  • 白菜のつけ汁 適量

つけダレ

  • めんつゆ(ストレートタイプ) 大さじ4
  • 万能ねぎ 2、3本
  • パクチー 1、2本
  • ごま油 適量
  • 麻辣醤(マーラージャン) 適量

 

まずはつけダレから準備しましょうか。

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材料はこちら。右上から刻んだ万能ネギ、パクチー、そしてめんつゆ。左下はごま油で、右下は麻辣醤だ。

 

f:id:hiro81p:20190130205432j:plain大野:出汁からこだわってつけダレを作るのもいいのですが、最近のめんつゆは結構おいしいし手間なしなので、僕はよく使います。パクチーはお好みで。このつけダレの一番のポイントは麻辣醤。不思議なことに、これを入れると、どんな料理でも本場中国料理風の味になってしまうスグレモノなんですね。家に1ビン常備しておくと何かと便利ですよ。

 

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中華を作るなら麻辣醤。実にいいことを聞いてしまいました。

 

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作り方はちょー簡単。器に入れためんつゆ(ストレート)に麻辣醤とごま油を足して混ぜるだけ。

 

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お好みで、刻んだ万能ネギとパクチーを足せばできあがり。

 

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いよいよ本命のトロトロ白菜鍋に取り掛かかりましょう。まずは食材の準備から。水で戻しておいたしいたけを5mm程度の厚さに切る。

 

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ニンニクもスライスしておこう。

 

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水を張った鍋に鶏がらスープの素、出汁昆布、しいたけ、ニンニクを入れる。

 

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えのきを適当な大きさに切り、

 

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油揚げは2cmほどの幅で切る。切ったら湯通ししておこう。
 

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豚バラは食べやすい大きさに。

 

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鍋に白菜漬けをがっつりと入れ、

 

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えのき、油揚げを敷き、豚バラをのせればセッティング完了。

 

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おっと、肝心なことを忘れてました。隠し味に白菜漬けのつけ汁を適量

これがあるかないかで、味の深みは大きく変わる。

 

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連日の営業がたたってか、少々お疲れモードの大野さん。あとちょっとです。たのんますっ!

 

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コンロに点火して6、7分でグツグツと煮立ってきました。いい感じ。

 

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酸白菜鍋の完成。めっちゃうまそうです。

 

ホクホク白菜がトロトロに……無限に食べられるかも

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火にかけ続けることで、さらにトロトロ感が増してきた白菜。

まずはつけ汁を使わずに、白菜漬けのみを試食してみる。

 

……え、え、え、なにこのかまずに舌で押しつぶすことができるレベルのトロトロ感!? 塩辛さがほどよく抜けた白菜から染み出す昆布の甘み、鶏がらスープのうま味、しいたけの風味。いいなあ。優しいうまさだなあ。

 

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大野さん、自画自賛。

 

続いて、豚肉と白菜を一緒につけダレにつけて食べてみる。

うほっ、白菜のみで食べるよりも数段おいしい。白菜漬けの塩味と酸味に絡み合う豚の脂身のジューシーな甘さ。うまさの波状攻撃が脳味噌を襲う。そこにかぶさるパクチーの香り。これが食のマリアージュってやつなのか? いやはや、ハシが進みますな。

 

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f:id:hiro81p:20190130205432j:plain大野:豚バラ肉は安いもので構いません。脂身の多いもののほうが白菜漬けの風味とマッチしてよりおいしく食べられると思いますよ。今回はパクチーと麻辣醤をアクセントにしたつけダレで食べましたけれど、つけダレも薬味もお好みでいろいろ試してみてください。

 

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確かに。大野さんオリジナルのつけダレもおいしかったのだが、個人的にこの鍋のベストな食べ方は、そのまま柚子胡椒をはらりとさせていただくのがシンプルにうまいんじゃないかと思った。

 

「街角の立ち飲み屋さん」が日本全国をつなぐ ーウエトミの野望ー

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ところで、今回、白菜鍋のレシピを、白菜料理専門店でもなく鍋料理専門店でもないウエトミさんにお願いしたことには理由がある。

それは、ウエトミの今後の展開、野望だ。

 

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取材日当日は「LOVE 大月」なるイベントの開催日。

このイベントは、お店で山梨県大月市の物産を紹介し、実際にお客さんに食べて楽しんでもらうことで大月市をPRすることを目的としたものだ。

 

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店内には大月市の観光名所や名産品のパンフレットをおいたコーナーが。

 

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特別に、大月市の地場の酒蔵、笹一酒造の「純米 笹一 夢山水」(写真右、グラス1杯500円)と「山廃純米 笹一」(写真左、グラス1杯500円)もメニューに加わった。

www.sasaichi.co.jp

 

「夢山水」は滑らかな口当たりでボージョレーヌーボーのようなフルーティーさ。

「山廃」は優しい口当たりながらも後からガツンとくる渋みが好ましいエッジの効いた直球勝負の逸品だ。ともに、大月市内の契約農家が栽培したお米を使っているために限定生産。県外に出回ることはあまりない希少品なのだ。

 

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こちらの食品も全部、大月市が開発したオリジナル製品。

 

そして、今回鍋に使った白菜も市内の農家が無農薬有機栽培で作った大月産。

 

それにしても、そもそもどうして大月市の物産イベントをウエトミで?

 

f:id:hiro81p:20190130205432j:plain大野:お店を作った時から地域の物産を紹介しつつ、食べて楽しんでもらえるようなイベントをやってみたかったんです。ウチのような街場の立ち飲み屋さんでそういうことをやっているお店ってなかなかないですしね。

 

いわば、「アイリッシュパブ的地域密着型の大人の社交場」「会社帰りにふらりと立ち寄れる我が街の立ち飲み屋さん」を標榜するウエトミが日本全国の生産者とつながるというのは面白い。

ちなみに、イベント当日の特別メニューの一部がこちら。

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大月市産白菜と大根の浅漬け2種盛り(300円)

 

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鹿肉と白菜の大月メンチカツダブル 特製ソース(500円)。

大月で捕れた鹿肉のミンチに刻んだ白菜を入れてカツにしたもの。脂肪の少ない野生の鹿肉とあっさりした白菜との組み合わせがヘルシーで、夜でも罪悪感なく食べられる(笑)。

 

f:id:hiro81p:20190130205432j:plain大野:このメニューでB級グルメグランプリ、本気で狙ってます(笑)。

 

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そしてこちらは鹿カツ(500円)。ミルフィーユ状に重ねた鹿肉に衣を付けて揚げたカツに、地元、渋谷区富ヶ谷の隠れた名店、酒坊主の特製ラー油を付けていただく。

 

これらはすべて、イベント当日のみの提供なので、残念ながら、お店に行っても食べられない。が、

 

f:id:hiro81p:20190130205432j:plain大野:今後はこういった催しを定期的にやって行きたいと思います。Instagramで随時告知しますのでぜひチェックしてみてくださいね。それから、レシピを紹介した白菜の浅漬けは、今後定番メニューにする予定です。白菜鍋も裏メニューとして残すかもしれません。

 

なるほど。ウエトミ、これからも目が離せませんな。

 

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あれ、後ろのポスターの娘、なんか見たことがある気がするんですけど……。

 

お店情報

煮込みとお惣菜スタンド ウエトミ

住所:東京渋谷区上原1-1-21
電話番号:03-5790-9990
営業時間:12:00~22:00
定休日:不定休 

uetomi.tokyo

 

書いた人:渡邊浩行

渡邊浩行

編集者、ライター。アキバ系ストリートマガジン編集長を経て独立。日本中のヤバい人やモノ、面白い現象を取材するため東へ西へ。メシ通で知ったトリの胸肉スープを毎日飲んでるおかげで、私は今日も元気です。でも、やっぱりママンの唐揚げが世界一だと思ってる。

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