【メシ達直伝】肉汁絶倒の「男のハンバーグ」を料理研究家・土屋敦さんに手ほどきしてもらった!

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そのハンバーグを一口かみ、カゲゾウは驚愕した。「ナ、ナンジャコレは!」 ごくごくシンプルな材料と家庭のキッチンで作ったハンバーグなのに、まるで専門店で食べているかのような超本格的な味!

 

この記録は私カゲゾウが、料理研究家・土屋敦さんに手ほどきを受け、肉汁を丸抱えしたような激うまの「男のハンバーグ」の秘密に迫ったレポートである。

 

まるで求道僧。究極のハンバーグレシピを考案するために……

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土屋敦(つちやあつし) 料理研究家・ライター。情報系サイト・オールアバウトにて「男の料理」ガイドを担当。著書に『男のパスタ道』『なんたって豚の角煮』など。その他テレビ、ラジオ、雑誌等の各メディアでも、数々の激うまレシピを世に送り出している。

 

時間は少し巻き戻る。ある時、書店でカゲゾウが手に取った本。それは土屋さん著作の『男のハンバーグ道』(日経プレミアムシリーズ)という書籍。パラパラとめくるとその内容は驚くべきものだった。

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究極のハンバーグレシピを考案するために、材料、調理器具、調理法などあらゆるパラメーターを変え、数カ月にわたり試作に次ぐ試作。味覚を鋭敏にするため、日々の食事から魚や肉を排除。日々真摯にハンバーグに向き合い、試食に次ぐ試食。

 

時には文献も渉猟し、歴史や科学的なアプローチからもハンバーグに迫る。そう、一つの究極のハンバーグレシピのために、新書まるまる一冊が費やされていたのだ。

 

その姿勢、まるで真理を究めんとする求道僧にも重なる。間違いない。この人はメシ達(料理の達人)だ。そんな土屋さんに取材を申し込んだところ快諾をいただいた。さらに、ご好意により、この本で紹介されている究極のハンバーグレシピの中から、ごく普通の材料と一般の家庭でも簡単に作れる「節約&激うまハンバーグ」をご本人自ら手ほどきしてくれるという。

 

しかも、このレシピは出版後にさらなる改良が加えられているとのこと。さっそく土屋さんのご自宅を訪ね、メシ達直伝の指導を受けてきたゾ!

 

土屋敦さん直伝! 「男のハンバーグ(節約&激うま&進化版)」の作り方

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材料(2人前)

  • 牛豚合いびき肉(200g)
  • タマネギ(1/4個)
  • お麩(ひとつかみ)
  • 牛乳(5カップ)
  • サラダ油(少々)
  • 塩(小さじ1/2弱)

これらの材料はご自宅にうかがう直前に、土屋さん宅の近所のスーパーで買い求めたものばかり。そう、特別な材料は一切使っていないのだ! さあ調理にかかりますよ。

 

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まずは肉の臭みを取るために、牛乳で洗っていきます。肉は2度洗いするので、ボールに肉をあけたら、まずは用意した牛乳の半分を注ぎましょう。

 

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菜箸で肉をほぐしていきます。ちなみに牛乳は新しくなくてもOK。むしろ乳酸菌が多い古めの牛乳の方がよいとのことです。

 

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よく混ぜたら水切り・・・・・・、じゃなくって乳切りしていきましょう。洗いに使った牛乳は少しもったいないけど食用に適していませんから捨てくださいね。

 

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2度目の肉洗いです。今度も一生懸命に混ぜて臭みを取りましょう。終わったらしっかり乳切りしてください。

 

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次はおろし器でタマネギをすりおろします。力を入れずとも円を描くようにすればOK。

 

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続いてはビニールにお麩を入れて細かくします。すりばち棒などで叩いていきましょう。

 

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お麩は粗みじんに潰れればOK。完全な粉末にしてしまうのはやりすぎですよ。

 

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すり鉢に乳切りした肉を移し、塩を投入します。

 

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さあ、ここがポイントに。肉は粘り気がでるまでしっかり練り上げてください。

 

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練り具合の目安ですが、肉の中央にすりばち棒をつっ込んでみます。タコの吸盤のように肉がまとわりつき、棒を引き上げるのにやや抵抗があるくらいになればOK!

 

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ここにおろしたタマネギと先程のお麩を投入したら、さっくりと混ぜ合わせましょう。これで肉ダネの完成です。

 

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テフロン加工のフライパンに油を敷きましょう(ここではまだ火をつけませんよ)。

 

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ここでいよいよハンバーグ調理の華、肉ダネの成型です。両手にサラダ油をつけたら、肉ダネ半量を取って両手間でキャッチボール。中の空気を抜いて小判型に成型しましょう。

 

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形が崩れないように肉ダネをそっとフライパンに置いたら着火。火加減は鍋底に火がつかないくらいの弱火で。

 

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こんな弱火でハンバーグが焼けるの? と、お思いの方、カゲゾウも最初はそう思いました。しかしご安心あれ、しっかり焼けます。ほどなく油がパチパチと小気味良い音を立ててくるはずです。

 

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油がパチパチからバチバチと強めの音に変わり、肉ダネの下部1/3くらいの色が変わったら、ハンバーグをひっくり返します。

 

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今度はふたをして蒸し焼きに。時々ふたを開けて、油の音や焼き色をチェックしましょう。

 

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竹串をハンバーグの真ん中まで刺し、引き抜いた後に出てくる肉汁が透明になっていれば……、

 

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皿にハンバーグを移して……、

 

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ついに「男のハンバーグ」が完成です!

 

いざ実食! 肉本来のうま味が堪能できる「男のハンバーグ」

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どうですか、この量感! このビジュアル! ゴクリ、いよいよハンバーグ入刀の時ですぞ、いざ参らん。

 

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うっはー、かみ締めればジューシーな肉汁が溢れてくるのはいわずもがな。それでいて歯を押し返してくるようなしっかりとした弾力もあり、一口目から「俺は今肉を食っている」という幸せに一瞬にして包まれる。

 

調味料は塩だけなのに、コクとうま味にまみれた肉の風味がたまらない。ソースなどなくてもこれだけでぜんぜんイケる! お母さんの優しいハンバーグとは対極にある、ワイルドでパワフルなテイスト。まさに「男のハンバーグ」なのである。

 

マジか! メシ達の絶技なおおよび難し

と、ハンバーグの味にすっかり満たされ、ここで取材を終えようと思ったところ、その事件は起こった。

 

これまでのハンバーグ画像は、肉ダネから一人分を先行してカゲゾウが焼き、試食&撮影用に皿に盛り付けたものだ。

 

この時、すり鉢の中にはまだ一人分のお肉が残っていた。撮影をしている間に、土屋さんが「残りのお肉を焼いちゃいますね」と自ら調理し、完成したものがこちら。

 

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は、はあッ!? マジか! キツネ色のうまそうな焦げ目、今にも内側から肉汁で破裂せんばかりにパンパンに膨れあがった表面。まったく同じ肉ダネを使っているはずなのにカゲゾウ作とはまるで別物。土屋さんが成型・焼いただけでこの出来栄えだとっ。 

 

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土屋さんのハンバーグは、フォークを刺しただけで肉汁が溢れ出してくる!

 

土屋さんによれば、成型もものすごく丁寧に行うべしとのこと。空気抜きをしたあと、上下左右とも丁寧に表面をなめし、シワ・ヒビ一つないよう仕上げたのこと(キズがちょっとでもあると、そこから肉汁が漏れてしまう)。

 

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ぐうう、メシ達の絶技、なおおよび難し。我がハンバーグ道は、まだ入り口に立ったばかりと知ったり。

ちなみに土屋さんが心血を注いだ『男のハンバーグ道』では、“材料”、“調理器具”、“調理法”を極限まで吟味した「究極のハンバーグ」のレシピも紹介されている。ご興味のある方はぜひ一読を!

 

書いた人:飯炊屋カゲゾウ

飯炊屋カゲゾウ

1974年生まれの二女一男のパパ。共働きの奥さんと料理を分担。「おいしいものはマネできる」をモットーに、料理本やメディアで紹介されたレシピを作ることはもちろん、外で食べた料理も自宅で再現。家族と懐のために「家めし、家BAR、家居酒屋」を推進中。「双六屋カゲゾウ」名義でボードゲーム系のライターとして活動中。「子育屋カゲゾウ」名義で育児ブログも更新中。

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