おいしいつまみでおいしい日本酒が飲みたい
ちょっと気の利いた旬の味をつまみながら、いろいろな日本酒を試してみたい。
でも、そんなに高いお金は出せないし、常連のおじさんがたくさんいるお店は良さそうだけど、なんとなく入りづらい、なんて方も多いのではないでしょうか?
そんな方も気楽に入れて、おいしいつまみと日本酒をお財布の心配なしで楽しめる、そんなお店が高円寺にあります。
今年6月にオープンしたばかりの「区民酒場 左利き」です。
高円寺駅北口から徒歩2、3分。
角地にあり、全面ガラス窓でとても入りやすい雰囲気です。
中に入ると、明るくて広々。グループでも1人でも入りやすいです。
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※写真の価格はすべて税抜です。
店内には、毎日日替わりのメニューが貼ってあります。
料亭並みのつまみがリーズナブルな価格で
店長の齋藤友央さんは、静岡県の沼津出身。都内の飲食店で16年間の経験を積み、今年自分のお店を開店しました。
齋藤さん:22歳で東京に出て来てから、和食、居酒屋さん、鉄板焼き、串カツとやってきて、銀座の日本酒の繁盛店が最後の3年です。
──最初から和食を目指していたんですか?
齋藤さん:親父が沼津の旅館の息子だったんですよ。なので魚とか和食に進むのは自然でしたね。
日替わりメニューは、ちょっと珍しい魚介系が多いです。
──魚介を中心にしようというのはあったんですか?
齋藤さん:得意な部分なので。あと日本酒に合うじゃないですか。日本酒って普通に飲むとやっぱりすごく高いんですよね。で、カッコつけて和食屋さんに行くと、7,000円とかになっちゃうから。それをどれだけリーズナブルに出せるかって考えました。だから逆にこういう大衆的なつくりにして、気軽に来られて、お通しもチャージもないよ、っていう業態にしました。
──でも、お料理は大衆的じゃないんですよね。料亭みたいです。
齋藤さん:やってることは銀座でやっていたこととたいして変わらないんです。だけど、自分でも毎日来られるような値段設定で、気軽な大衆的なお店を作りたいなって思ったんです。
──高円寺という土地柄も関係あるのでしょうか?
齋藤さん:高円寺は、知り合いが何軒かお店をやってたりしたので土地勘がありました。あと、商売的には土日でも動く場所なんです。平日も、土日も人がいるので。会社員の人もいるし、住宅地でもあります。家族連れで、三世代が来られるようなお店がいいと思いました。お子様も歓迎です。
──日本酒の品ぞろえもいい感じですね。
齋藤さん:日本酒は常時50種類くらいです。この辺が日替わりになってる感じで、今はひやおろし。11月頃にはあらばしりとか新酒が10種類くらい出てくるんじゃないかな。全国満遍なく、フルーティーなものから、純米酒の辛口までそろえてあって、あとは燗(かん)酒用のものですね。
──利き酒し放題、っていうのもありますね!
齋藤さん:はい。50種類の日本酒利き酒し放題1時間1,598円というとてもお得なシステムもあります。最初にビールを飲んで、その後に日本酒にいけます。同じテーブルは全員参加でお願いします。
うちはグランドメニューってものがないんです
店内に張り巡らされている日替わりメニュー、そしてテーブルに備え付けてあるメニューも毎日変わっているんだそうです。
齋藤さん:その日にある良いものを仕入れているので、うちはグランドメニューってものがないんです。(定番っぽいものも)毎日何品か変わっちゃっているので、メニューも毎日プリントアウトしてるんです(笑)。
──変わった食材がある時もありますよね?
齋藤さん:その日によってモウカサメの心臓とかマンボウの腸とか。貝も、ナガラミとかシッタカとかそういうのがあって。地方の漁港でつまめるようなものがあると、お客さんも食いついてきますね(笑)。
高価ではないけど、東京ではなかなか食べられないような珍しいものがよくメニューに載っています。毎日通うと、いろいろな未知の味に出合えそうですよ。
日本酒に合う絶品つまみ10選
そこで、齋藤さんに「日本酒に合う絶品つまみ10選」を紹介していただきました。
ただ、これはあくまでも「今日の」メニューです。いつでもあるわけではありません。
でも、いつ行っても日本酒に合うつまみがたくさんあるのは間違いありません。
つまみも、そして日本酒も一期一会なのです。
▲秋の炊き合わせ(734円)
上品に美しく炊き込まれているのは、大黒しめじ、秋かぼちゃ、鳴門金時、栗、紅もみじ麩。女子が歓声を上げそうな美しさです。
齋藤さん:その季節に旬のものを使っているので、内容は毎日変わります。上品な出汁がしっかり染みた優しい味です。
▲ゴルゴンゾーラチーズのハムカツ(734円)
ハムカツの中に、とろ〜りとろけるゴルゴンゾーラチーズが挟まれています。
絶対においしいに決まってますが、家で作ろうと思うと手がかかるこういう料理を手軽に食べられるのがいいですね。
サクサクの食感とハムとゴルゴンゾーラのうま味があいまって、お酒がすすみ過ぎます!
──ワインに合うイメージですが、甘めの日本酒にも合いますよね。
齋藤さん:このメニューは結構前から他のお店でやってたりしました。お酒はわりと何でも合うんですが日本酒だとちょっと濃いめのものか、にごり酒系とかも全然合っちゃいますね。
▲黒バイ貝の旨煮(734円)
齋藤さん:これは、もう、酒飲みには貝。かつお出汁で炊いてます。
つまようじで、ゆっくり回転させながら引っ張ると、つるんっと取り出せます。
チビチビつまみながら日本酒をいただくのが最高です。
▲無限ピーマン(324円)
家庭で作る無限ピーマンはツナなどが入るイメージですが、これはピーマンのみ。
でも、なんだか普通のピーマンとは違います。食感が超シャキシャキなのです。
齋藤さん:ピーマンのみです。1時間水にさらしているのがポイントです。箸休めにぴったりなさわやかな一品です。
▲栗麩とよもぎ麩の焼き田楽(626円)
これは、懐石料理のようです!
齋藤さん:栗麩は栗が入った生麩です。よもぎ麩はよもぎを練りこんだお麩。
──生麩って京都の錦市場とかで売っているイメージです。
齋藤さん:ですね。つまみにできるように、焼き目をつけて、二色の田楽味噌でつまむみたいな感じにしています。女性受けはやっぱりいいですね。
プルンプルンでふんわりとろけます。ちょっと甘めの田楽味噌が生麩のおいしさを引き立ててます。
▲あん肝ポン酢(734円)
日本酒のつまみには定番のあん肝ポン酢も雑味のないまろやかな味。
齋藤さん:もちろんお店で仕込んでます。
▲九条ネギの塩昆布和え(518円)
細切りにした九条ネギと塩昆布を和えたもの。シンプルなのにシャキシャキの食感といい少しごま油の入った味付けといい、すべてがちょうど良過ぎます。調理のちょっとしたところに和食の技がいきているのです。
齋藤さん:笹打ちといって、斜めにミリ単位の細切りにしているんです。で、最後にお水でさらすはさらすんですが、香りを残すために一瞬だけ。ぬめりを取るくらいな。これは、お酒が止まんなくなるやつですね。
▲半熟玉子生うにのせ(302円)
トロ〜リとろける絶妙な加減の半熟玉子の上に、たっぷりと生うにがのっています。
生うにと玉子を同時に口にいれると、もう言葉にできません……。
これは絶対、1人1個頼んで、パクッといきたいです。
──こんなに生うにがたっぷりで、これがこの値段って安過ぎませんか!?
齋藤さん:お店開く時に、キラーアイテムを作ろうと思ったんです。キラーアイテムが高いんじゃなくて、激安にして。1人1個マストアイテムみたいな。ここに来たらこれ、みたいな。そういうのができればいいかなと思ったんです。
▲唐すみポテトフライ(540円)
ポテトフライに、唐すみ(ボラの卵を干して作る高級食材)のパウダーがまぶされています。唐すみの風味で、ポテトフライがグッと日本酒に合う味わいになっています。
齋藤さん:ポテトフライ自体はどこにでもあるんだけど、日本酒を飲むなら、これがいいですね。
▲ハマグリと生のりの酒蒸し(734円)
容器のフタを開けた途端に、生のりの香りが漂います!
齋藤さん:生のりは浜名湖産のアオサです。千葉県産のハマグリを普通に酒蒸しにして、最後に生のりを入れて香りを出しています。
ハマグリのぷりぷり食感と磯の風味に生のりの香りがプラスされて、これも日本酒が止まりません。
「半熟玉子生うにのせ」の間違いない作り方
さて、自宅でもこんなつまみを作ってみたくなった方もいらっしゃるんじゃないでしょうか?
でも、魚介は仕入れが大切。まず、良い素材を仕入れてくるところが高いハードルです。
そこで、スーパーでも買える材料で作れる、でもコツが必要なこの料理の作り方を教えていただきました。
キラーアイテムの「半熟玉子生うにのせ」です。
半熟玉子って、簡単なようで、ちょうどいい感じに作るのって難しいですよね?
今回は、そのあたりについても詳しく聞いてみました。
【材料】
- 玉子L玉:1個
- 生うに:お好みの量
- 大葉:1枚
- 醤油:適量
- わさび:適量
- 大根のつま(盛り付け用に):適量
作り方は、単純に半分に切った半熟玉子に生うになどをのせるだけです。
まず、半熟玉子を作ってみましょう。
冷蔵庫から出した玉子に穴を開けます(100円ショップなどにある穴開け器使用)。
沸騰したお湯に入れてゆでるのですが、鍋の底に落とすと割れてヒビが入ってしまうので、お玉などに入れてやさしく入れます。
ゆで時間は6分半。
時間になったら取り出し、すぐに氷水に漬けます。
普通の水だとさらにどんどん火が入ってしまいます。
すぐにむかずに、30分くらい置いてしっかり冷えてからむきます。
玉子の中までしっかり冷えないとゆるくてむけません。
とても柔らかいのでよく切れる包丁推奨です。
かなりトロトロな状態です。
美しい半熟です。
器に大根のツマを入れて土台にして半熟玉子をのせ、醤油を垂らします。
醤油は、あれば九州などの甘い醤油が合いますが、普通の醤油でもOKです。
カットした大葉をのせます。
生うにをのせます。
わさびをちょこっとのせて出来上がり。
自宅飲み会で、これを振舞ったらスターになれますよ。
季節の日本酒&絶品の〆カレー
この日にいただいた日本酒の数々もご紹介しましょう。
季節の限定のものを中心にいただきました。
というか、よく見たら、「秋酒&限定酒のおすすめ」全部ですね。
すべてグラス540円、一合1,058円です。
▲しもふりロ万(ろまん)福島県
▲貴(たか)山口県
▲梅乃宿(うめのやど)奈良県
▲宮の雪(みやのゆき)三重県
▲始緑(しろく)岐阜県
▲七田(しちだ)左:山田穂使用 右:愛山使用 佐賀県
そして、〆にいただいたカレーも絶品でした。
▲鶏とみょうがの自家製スパイスカレー(756円)
こんなお店が近所にあったら毎日通ってしまいそうです。
さて、これからの季節、燗酒もおいしそうですね。
齋藤さん:そうですね。燗酒に合う日本酒もおさえてます。でも実は夏も、冷たい日本酒飲んだら、帰りがけには熱燗とかぬる燗とか飲んでいった方が体にはいいんですよ。冷たいお酒を胃に入れると、そのアルコールを分解する時に、常温に戻さないと体がアルコールを分解しないので、体に負担がかかっちゃうんです。ぬる燗くらいにしておいて飲んで帰ると本当は体に負担がなく帰れるんです。
それは、良いことを聞きました。飲み過ぎたら帰りにぬる燗で〆ましょう!
ごちそうさまでした!
お店情報
区民酒場 左利き
住所:東京都杉並区高円寺北2-21-10 丸善ビル1階
電話番号:03-5356-6799
営業時間:月曜日〜金曜日 17:00~翌2:00、土曜日・日曜日・祝日 14:00〜0:00
定休日:水曜日
obanzai-cuisine-72.business.site