富良野といえば、北海道でも「行ってみたい観光地」の上位に必ずランキングされるスポットですが、富良野のご当地グルメ「富良野オムカレー」って知ってますか?
国民食ともいえるカレーとオムライスを地元食材を使って組み合わせてしまうという、新しいカテゴリーのご当地カレーなんですね。
で、この「富良野オムカレー」、いろいろとルールがあるんですね。まず、その辺のところを「富良野オムカレー推進協議会」会長の飯沼巌さんにうかがってみました。
「富良野オムカレー」は、2004(平成16)年に当時の観光協会の主導で始まりました。昔から富良野にはとても恵まれた食材がそろっています。ジャガイモ、ニンジン、タマネギ、豚肉、牛肉、鶏肉……。で、このおいしい食材を使った料理で「食のトライアングル」である「農・商・消」(農業・店舗・消費者)を連携させたい、ということで生まれたメニューなんです。
(飯沼巌さん談)
でも、やるならほかにないものをやりたい、ということで、オムカレーの中央に旗を立てるなどのほかに「富良野オムカレー」のルール6カ条が決められたんです。以下がそれ。
「富良野オムカレー」のルール6カ条
- 第1条 お米は富良野産を使い、ライスに工夫を凝らす
- 第2条 卵は原則 富良野産を使い、オムカレーの中央に旗をたてる
- 第3条 富良野産の「チーズ(バター)」もしくは「ワイン」を使用する
- 第4条 野菜や肉、福神漬(ピクルス)なども富良野産・北海道産にこだわる
- 第5条 富良野産の食材にこだわった一品と「ふらの牛乳」をつける
- 第6条 料金は税抜1,000円以内で提供する
*富良野産とは富良野市、上富良野町、中富良野町、南富良野町、占冠村のエリアを指す
*季節等により他産地(国産)の食材になる場合あり
*「ふらの牛乳」が不足あるいは牛乳が苦手なお客様には富良野産「にんじんジュース」をつける
*富良野産の卵が不足の際には、北海道産の卵になる場合あり
以上、富良野オムカレー推進協議会規約からの抜粋です。
ね、スゴイでしょ。「富良野オムカレー」を食べれば、これはもうほかにはない富良野の食の魅力が体感できてしまうというわけです。さて、1軒目、行ってみましょうか。
山香食堂
こちらは「山香食堂」。創業から44年の老舗食堂です。富良野市街から車で5分ほど南に行った国道38号&237号の重複道路沿いにあります。メニューは定食、丼物、ラーメン、そばなど多彩にそろっています。
店内はこんな感じ。もう完全に昭和のたたずまいです。中央に置かれた石油ストーブと長い煙突。地元に愛される大衆食堂を映画のセットにしたようです。
奥にある畳の小上がりもたっぷりの広さがあります。ドライブの疲れも足を伸ばしてくつろげば、ゆったりいやされそうな優しい空間です。
さて、こちらが「山香食堂」の「富良野オムカレー」です。お米は市内扇山特で栽培された「ななつぼし」ケチャップライスに、卵は市内布部地区の「さくらたまご」。
カレールーには「富良野ワイン」を隠し味に使い、添え物は富良野産の野菜を使った自家製の漬物。一品は「上富良野ポーク」のロースカツ。もちろん「ふらの牛乳」もついて料金は900円。
見事に6カ条をクリアしています。
クミン、カルダモン、コリアンダーなどのスパイスを使ったルーの味は、ややスパイシーで本格的。大衆食堂の黄色いカレーとは一線を画します。スープカレー風の、素揚げしたマイタケ、ピーマン、ニンジンもおいしい。
ロースカツも実にふんわり揚がっていて、スプーンでも切れそうな柔らかさ。味わい深いブランド豚「上富良野ポーク」らしいうま味たっぷりの逸品です。
このお店では「富良野オムカレー」の、さらに派生版の「ホワイト」と「ゼブラ」も味わえちゃいます。「ホワイト」やや辛さを抑えた白いルーのホワイトカレー、「ゼブラ」はそのハーフ&ハーフです。食べ比べてみてもいいかも。
お店情報
山香食堂
住所:北海道富良野市緑町9-20
電話番号:0167-22-1045
営業時間:11:00~14:00
定休日:日曜日(7月・8月は無休)
てっぱん・お好み焼 まさ屋
そして2軒目。こちらは「てっぱん・お好み焼 まさ屋」。富良野市街にあり、JR富良野駅からは徒歩5分ほど。美しいタイル外装の一軒家レストランです。
店内は白い壁にウッディーなインテリア。大きな鉄板が据えられたオープンキッチンになっていて、カウンター席では目の前で調理している様子が見られます。メニューは鉄板で焼き上げるお好み焼きや、自慢のデミグラスソースを使ったオムライスが好評です。
まず、ご飯は富良野の農家直送のお米を使い、「富良野バター」で炒めます。このとき醤油が少々加わって、鉄板の上からは香ばしい香りが漂ってきます。
卵は富良野市内の大西養鶏場の「さくらたまご」を使用。このときにマヨネーズを加え、卵焼きにうま味とコクを注入。半熟に仕上げられたこちらは、ちょっと甘い香りが鼻腔をくすぐります。
そして一品は「上富良野ポーク」のトントロ。トントロは豚の頬の肉で1頭の豚からわずかしか取れない希少なお肉。脂がたっぷりのっていて、繊維質を感じさせる口当たりが独特の部位なんです。これをソテーして仕上げです。ここまで約2分。目の前でオムカレーができあがっていくのを見るのが楽しい。
こちらが「まさ屋」のオムカレー 1,080円です。ルーは富良野産の玉ねぎをじっくり炒め、やや甘めのデミグラスソースをベースにして、継ぎ足しながら熟成される同店の秘伝の味。大きなスキレットに乗ったままアツアツでサーブされます。
目の前の鉄板の上で作られた、できたてを食べられるのが魅力ですね。ルーは最初はまろやかな口当たりで、後からジワジワ辛味が来るタイプ。デミグラスソースの厚みのあるうま味がいきています。ふわふわの半熟卵との相性も見事です。そして口直しのキャベツの甘酢漬けも個性的でちょうど良い感じ。
お店情報
てっぱん・お好み焼き まさ屋
住所:北海道富良野市日の出町11-15
電話番号:0167-23-4464
営業時間:11:30~15:00(LO 14:30)、17:00~22:00(LO 21:30)
定休日:木曜、祝日の場合営業
さあ、今回は「富良野オムカレー」代表的なお店を2軒ご紹介しました。地産地消の考えから生まれた富良野のご当地グルメですが、現在は市内10軒で食べることができます。ちなみに、毎月6日は「富良野オムカレーの日」ということで、いろいろなサービスを予定しているようですので、今度の6日はそれを狙って行ってみてもいいかも。
※この記事は2017年7月の情報です。
※金額はすべて税込みです。