そう、それは夏のある日のことでした。
容赦のない太陽に奪われていく体力……
終わりのない暑さに失われていく食欲……
止まらない汗・汗・汗。
な~んだか元気が出ない、な~んにもヤル気がしない、いっそこのまま夏に溶けてしまおうかと思った、その時。ふと、ある考えが頭を過ぎったのです。
「そうだ、辛いモノ食べに行こう」
歓迎光臨! 活気あふれる中国の食堂「燕郷房」へようこそ!
ということで、やって来たのは那覇市・泉崎にある「燕郷房(ヤンキョウファン)」。
ゆいレールの県庁前駅・旭橋駅から徒歩5分の場所にある中華料理店です。
ディナーではバリエーション豊かな本格中華をワイワイ楽しく、そしてランチでは戦う会社員に“ひとときの休息”と“午後の活力”を与えてくれる料理を気軽に味わえます。
「うまい」というのは大前提。
「燕郷房」がアツイ支持を集める理由の1つが、豊富なうま辛メニューがそろっているということ。
これは期待が高まります!
ドアをくぐると、店内は古き良き中国の食堂といった雰囲気です。シャレてるんだけど、気取らない感じがイイ。
今回、取材に訪れたのはランチタイム。11:30~の開店から、あっという間に人が増えて店内は活気であふれます。
この日もご多聞に漏れず暑い日でしたが、みんな汗を拭き拭きうまい中華を堪能する姿は、なんとも壮観です。
こういう雰囲気だけでも、なんだか元気がチャージされます。
こちらが気になる「燕郷房」のランチメニュー。
お店の雰囲気と、メニュー表を見ているだけで、失っていていた食欲がムクリと起き始めました。我ながら単純です。
ガッツリ腹にたまるという「ダブルのせごはん」や、中国のぶっかけご飯「的士飯」も気になりますが、ここはもちろん初志貫徹で。
とにかく辛い。とにかくうまい。
と名高い「燕郷房」のうま辛メニューの2強をオーダーしてみましょう!
白米が魔法のように消えていくうま辛・汗だく「麻婆豆腐定食」
▲麻婆豆腐定食 880円
店長さんが「辛いですよ! 」とニコニコしながら運んで来てくれたのがコチラ。麻婆豆腐・ライス・スープ・小菜・漬けものがセットになった「麻婆豆腐定食」です。
真っ赤なお皿がテーブルに置かれた瞬間、鼻と胃袋を刺激する素晴らしい香り。
……この香りは山椒だ!
「燕郷房」の麻婆豆腐は、山椒がガツンと効いた四川風。
皿を前に深く息を吸い込めば、山椒の後ろから「あぁ、コレコレ」と、思わずため息が出てしまう麻婆の奥深い香りが追いかけてきます。
これ間違いなく、
匂いだけでメシが食べられる系ですね。
だって無意識のうち、ライスに手が伸びてましたもん。
危うく“白米フライング”するところでした。
香りだけで、そのポテンシャルの高さをアピールしてくるとは……侮れん!
気合を入れなおして、いざ尋常に勝負!
レンゲで豆腐をすくうと、一層深く沸き立つ香り。
そしてクチに運べば、舌と喉にビリビリくる潔い辛さ。
これは辛い、これはうまい!
後頭部の毛穴がスゴイ開く!
辛いけどうまいから、レンゲが止まりません。食べ始めて数秒で、麻婆豆腐→ライス→麻婆豆腐→ライスのゴールデンラインが完成しました。
辛い麻婆豆腐の合間に食べる、優しいスープや副菜も、素晴らしい完成度。
このスープ1つ取っても「燕郷房」の料理がうまいと言われる理由が分かります。
そうそう。素晴らしいといえば1つお伝えし忘れていました。
特製の醤(ジャン)を使った麻婆豆腐は具だくさんで、香り・辛さ・味だけでなく食感も素晴らしいんです。柔らかい豆腐、ジューシーな肉、ザクザクの野菜。
食感って、食欲スイッチを押す重要なファクターですよね。かむほどに味と香りが変化する、具だくさんサイコー!
具だくさん!
具だくさん!
具……
こ、これは……!
良く見るとあっちにも、こっちにも!
ここまで気付かずにモグモグそしゃくしていたけど、そりゃ辛いよね。
この問答無用に内側から毛穴を開いてくる辛さはコレだよね。
聞けば、特製のジャンには山椒だけでなく、こだわりの唐辛子もたっぷり入っているのだとか。
こんな存在感バツグンの唐辛子にも気付かないくらい、無心でレンゲを運ばせる「燕郷房」の麻婆豆腐、恐るべしです。辛さとうまさで食が進み、夏のダルさは、汗と一緒に吹き飛びました。
ちなみに、この麻婆豆腐は「燕郷房」の辛さレベル5段階中でレベル4だそう。
辛いモノ好きの筆者が、素直に辛いと言うレベルです。いや本当に辛かったです。でも、それ以上にうまかったです。
これぞうま辛の真骨頂!「四川担々麺」
▲四川担々麺 780円
「これも辛いですよ! 」と、これまた店長さんがニコニコしながら運んで来てくれたのが、お次のメニュー「四川担々麺」です。
担々麺といえば、言わずと知れたうま辛界のジェントルマン。(※筆者談)
暑さにやられた体を辛さで起こしつつ、胡麻のやさしさでフォローすることも忘れない、なんともデキル料理です。
とはいえ、そこは「燕郷房」。
“四川風”の冠はダテじゃない、パンチの効いた辛さが光ります。
それでは、いざ尋常に勝負!
まず麺を持ち上げたときの香りが絶品です。クチへ運ぶ動作がもどかしく感じるほど。
ツルリとした喉越しが心地よい中太ストレートの中華麺に、たっぷりの山椒と、ネリ・ツブ・スリが三位一体となった胡麻のスープが絡みます。海鮮醤を使った濃厚なうま辛スープと共に、喉を爽快に通り抜けて……
つまり早い話。
すすり出したら止まりません。
箸も汗も止まりません!
あたかも“1人わんこそば”をしているかのように、ひたすらに、ただひたすらに担々麺と向かい合います。
麻婆豆腐に続き辛い! うまい! と、汗だくで食べていると「お酢をちょっと足すのもおいしいですよ」と店長さんが教えてくれました。
それは試して見なければということで、1/2ほど食べたところでお酢を投入です。
お酢が入ると、辛さが押えられ胡麻の甘みがより引き立ちます。すっぱ辛い「酸辣湯(サンラータン)」のようになり、これはこれでうまい!
辛いのはちょっと苦手という人も、これならいけるかも。なにより辛さ×酸味は食欲を取り戻すトリガーですよね。
「四川担々麺」も完食し、説明不要の汗だく具合になりました。
「燕郷房」のうま辛メニューは、どちらも汗だくになった
夏バテを吹き飛ばすような、汗だくメニューを求めてやって来た「燕郷房」。
今回いただいた「麻婆豆腐定食」も「四川担々麺」も、どちらも汗だく必須のうま辛メニューでした!
腹の底から元気が欲しいときは、ストレートな辛さの「麻婆豆腐」。
減退気味の食欲に火をつけたいときは、スルリと食べられる「四川担々麺」。
これがあれば、もぅ夏バテなんて怖くないでしょう。
「うちの売りは“味”。うまい中華はココにありです! 」
そう話してくれた店長・村松さんの言葉に、汗を振りまきながら「そのとおり! 」と激しく同意してしまいました。
うまいがあるからこそ、体の中からパワーがチャージされる。
失われた食欲もすっかり元通りで大満足。ごちそうさまでした!
お店情報
燕郷房(ヤンキョウファン)
住所:沖縄県那覇市泉崎1-11-3
電話番号:098-862-0011
営業時間:平日 11:30~14:30(LO 14:00)、17:30~23:00(LO 22:30)
土曜日・日曜日・祝日 17:00~23:00(LO 22:30)
定休日:火曜日
※この記事は2017年7月の情報です。
※金額はすべて税込みです。