パンは、とてもおいしい。
日本人の主食はお米とは言われているが、私のように毎日のようにパンを食している人も決して少なくはないと思う。
総菜パンやデザート代わりのパンなど、具だくさんのパンはもちろんおいしいが、その中でも私が好きなのは、ごくごくシンプルな食パンだ。
生のまま、何もつけずに食べることも多々あるのだが、最近は冷蔵庫の余りものを適当にのっけてトーストするという、オリジナルの総菜トーストのようなものを作ることがマイブームとなっている。
今回は、これまで作ったものの中で自分的に大ヒットだったレシピを5つ紹介させてもらおうと思う。
夕飯の残りで「肉じゃがトースト」
ひとたび作るとなるとついつい大量になってしまい、確実に翌日へと持ち越しになってしまう肉じゃが。
夕飯と同じように米のおかずとして食べてもいいのだが、せっかくなら前日とは違うアレンジを加えてみたい……そんな発想からできあがったのが、「肉じゃがトースト」だ。
作り方はそりゃあもうシンプルで、食パンの上に肉じゃがをのっけて焼くだけ。
量としては、煮汁が少しパンに染み込むくらいがいいと思う。
煮汁がほんのり染み込んだトーストに具だくさんの肉じゃが。
この組み合わせは驚くほどにマッチする。
それこそ、肉じゃがと米の相性の良さに匹敵するレベルだ。
ボリューミィーではあるが、これ一枚を食べれば仕事前のパワーチャージは完璧。
気力・体力が必要な朝にぜひオススメしたい。
お酒と一緒に楽しみたい「イカの塩辛トースト」
私はイカの塩辛が大好物だ。
昔から食パンに塩辛をそのままのっけて食べるなどして、家族から白い目で見られてきたが、あまりに「ないわ~」と糾弾されるので、誰もが食べたくなる「イカの塩辛トースト」を意地で考案してみた。
まず、オリーブオイルにニンニクを入れ、イカの塩辛も加えて混ぜ合わせる。
これを食パンにたっぷり塗りたくって、トーストする。
焼いている時点で、もう間違いない香りが部屋中に充満していく。
ハッキリ言って、この時点で確実に酒が飲みたくなるので、このトーストを作るならば夜、もしくは休日のブランチタイムを推奨したい。
ちなみに私は、このトーストを作り始めた時点ですでに白ワインを開けている。
焼き上がったトーストからは、得も言われぬガーリックの香りが立ち上る。
この味を例えるならば、バーニャカウダ。
あれはパンをソースにつけて食べる料理だが、それが丸ごとトーストになったような味といえばわかりやすいだろうか。
イカの塩辛は、いわばアンチョビの代わりのような役目を負ってくれている。
これ1枚でワインが1本空いてしまうくらいにソソられる逸品なのだ。
胃が弱っている時にも優しい「卵豆腐トースト」
私は茶わん蒸しが大好きだ。
子どもの頃、バースデーケーキの代わりに土鍋茶わん蒸しを母親にオーダーしたくらい大好きだ。
ゆえに、それに近しい味わいの卵豆腐も大好物。
スクランブルエッグ+トーストは鉄板の組み合わせだが、それよりももっと優しく温かみのある味を求めて、卵豆腐のトーストを作ることにした。
崩した卵豆腐を食パンに塗りたくり、トーストする。
個人的にはトーストせずにそのままかぶりつくのもアリとは思ったが、あえてトーストにこだわってみたい。
卵豆腐が焦げてしまわないかの不安はあったが、心配なかった。
適度に温まりプルプル感が増したようにも見える卵豆腐。
この上に付属のだしをかけて三つ葉を散らすと、見栄えとしてもなかなかに思える。
味の方はというと……これが自画自賛してしまうが絶品なのだ。
だしが適度に染み込んだトーストの食感は楽しく、さらに卵豆腐のふわふわした優しさ、三つ葉のアクセントが非常に効いている。
飲み過ぎで胃が疲れた朝にもスルっと食べられるのも大きなポイントと言えよう。
チーズと和総菜の相性にもん絶必至の「ひじき煮チーズトースト」
我が家では常備菜として常に冷蔵庫に保存されているひじき煮。
適度に甘めの味付けがしてあるこの総菜も、トーストに合うのではないかと思案。
しかし、これをただのっけるとしても地味すぎる食材だ。
そこでトーストにおける万能食材、チーズを登場させてみた。
ひじき煮のせた上にシュレッドチーズをのせ、そのままトースト。
とろ~り溶けたチーズがひじき煮に絡んでいく様をオーブンの窓からのぞいていると、いやが応でも期待値が高まる。
そして期待通り、この組み合わせは最高のマリアージュを生み出した。
チーズのしょっぱさとひじき煮の甘さが見事にマッチし、トーストとの相性もバツグン。
同じような要領で、切り干し大根やきんぴらごぼうでアレンジしてもおいしい。ぜひ試してもらいたい。
オリジナルのふりかけでもうひとアレンジ「納豆マヨトースト」
さて、私は納豆が大嫌いである。
しかしながら年齢もアラフォーとなった現在、乱れた食生活の改善を考えると、健康食材として避けて通るわけにいかないのも、納豆なのである。
なんとか納豆を克服したいと考えた私は、納豆を使ったトーストレシピを編み出すことにした。
タレを入れて混ぜ合わせた納豆を食パンにのせ、さらにマヨネーズをかける。
ネットで調べてみたところ、納豆+マヨネーズのコンボにより納豆嫌いを克服したという話をちらほら確認したのだ。
しかし、この時点でもまだ納豆に「うっ」とひるんでしまっているので、これをトーストしたところで食べられる気がしない。
「納豆マヨトースト」を焼いている間、私はさらにもうひと手間かけることを考えついた。
これも我が家の常備菜。
ほうれん草とじゃこをごま油で炒め、めんつゆで味付けしたふりかけにご登場いただいた。
「納豆マヨトースト」の上にほうれん草じゃこふりかけをのっけて、納豆の存在を忘れつつ食べてみた。
これが意外とイケた。
ごま油の風味によって納豆の匂いがさらに芳醇(ほうじゅん)になったのだが、それは決して嫌な方向ではない。じゃこの海産物の香りも加わっているせいか、すんなり口にすることができたのだ。
そしてマヨネーズの威力もなかなかのもの。
納豆の味がマイルドになり、気がつけば完食である。
これでどうにか納豆を克服できそうな予感がする。
とどのつまり、食パンは基本的にはどんなトッピングもマッチする。
そこにトーストというひと手間をくわえることで、さらなるおいしさを見出すことができる。
ぜひ、皆さんも自分なりのトーストレシピを生み出して、日々のパン生活をさらに豊かにしてはいかがだろうか。