
こんにちは、パリッコです。今回も調査という名の飲み歩き活動にいそしんでいきたいと思います。
この間、普段そんなに行く機会のない「小岩」という街に用事があり、その用事も済んで、せっかく来たんだしと、ふらふら散歩していたんです。
「なかなか活気があって、下町風情も残ってて良い街だな~」なんて歩いていたんですが、ある商店街にさしかかった時、前方に何か、ただならぬオーラを発している一角を発見しました。
距離にして数十メートルですが、あきらかにその周囲の空気だけが異質。
無論、ものすごく興味を持ち、まっすぐそちらの方向に進んでみます。

う、うおお……。

なんだこの人だかりは!
あまりの混雑で中がよく見えませんが、周囲にはなんとも食欲をそそる香りが漂っており、どうやら飲食店のようです。
そして雰囲気からして、ここにいるみなさん、ほとんどが常連さんっぽい。
こんなの、どんなお店か確かめないで帰るわけにはいかないでしょう!
というわけで、人々の間を慎重にすり抜けながら、店内(と思われる空間)へとおそるおそる歩みを進めてみると……

おー、なるほど、

焼鳥店だ!

そんでもって、

立ち飲み店だ!
そう、焼きスペースを囲むようにテーブルやカウンターが配置された、かな~りオープンエアな立ち飲み店のようです。
そんなにお腹はすいていなかったんですが、こんなおもしろそうなお店で飲んでいかない手はないと、少しだけ寄せてもらうことにしました。
アットホーム感たっぷり

うん、安っ!

お酒も安すぎっ!
飲食代金に「とにかくお客さんに喜んでもらいたい!」という人の良さが反映されすぎてしまっている“サービス過剰系”のお店のようですね。
値段表に描かれている、およそ酒場のイメージからはほど遠い、かわいらしいタッチのお花や動物の絵も味があります。

「パパのやきとりは、おいしいよ。」
どうやら娘さん作のようですね。
そしてそんな美味しい焼鳥を焼いてくださっていたのが、

パパ!
こと、焼鳥店「鳥勢」店主の糸田さん。
大勢のお客さんのため、常に手を休めることなく働き続けていますが、ふとした瞬間の常連さんとのやりとりひとつを見てもアットホーム感たっぷりで、ここにいるみなさんから愛されていることが伝わってきます。
地元の外国人にも大好評
しばし飲んでいたらこのお店のシステムもおおよそ把握できてきました。
- まず営業時間は14:30〜品切れまでで、早い時は20時くらいには終了してしまうこともあるそう。
- 焼鳥は紙に書いて注文、お酒は自分で取って申告。
- なるべく多くの人が楽しめるよう、利用時間は最大1時間まで。
- さらに、焼鳥の割引サービスは細かく設定されていて、100本以上の注文でなんと1本50円になったり(持ち帰りでパーティ用にしたら盛り上がりそう)、18本で1本、それを越えると6本に1本サービスが発生したりといろいろあるんですが、まーそのへんはお店に行って確認してみてください。
この日はほんの一杯で帰ることにしましたが、すっかり「鳥勢」が大好きになり「あらためてじっくりと飲みに来たい」と思った僕。
帰り際にご挨拶し、ついでに店頭に「LINEにて予約注文できます」の文章とともに張り出してあった、ご主人のLINE IDをメモらせてもらって、お店をあとにしました。
そんでもって後日、さっそくLINEで「今度うかがいま~す!」と連絡し、メシ通担当のM氏を誘って、再び小岩へ。
お腹ペコペコ、万全の状態で「鳥勢」へとやって来ました。

今日はじっくり飲むぞ~!
と、まずは缶ビール(230円)で乾杯。
この値段、あらためて儲ける気ないですね……。
時間は午後の7時ほどで、この日もお店は大盛況。
どうやら近隣には外国の方も多く住まれているらしく、日本人との割合が半々くらい。
ご主人に聞いたところ、「祖国を離れて日本で暮らしている外国人の方々に、美味しいものを安く食べてもらいたい」という思いもあって、こういう値段設定にされているそうです。
ふと隣にいた外国の方々のグループに目をやると、

すでにフルスロットル状態!
あまりにゴキゲンなので思わず写真を撮らせていただいたんですが、こんな風にお財布を気にせず豪快に楽しめるのも「鳥勢」ならではなんですよね。
酒の持ち込み料、1本30円!
そうこうしていると我々のところにも……

第1弾到着~!!!
串の1本1本は若干小ぶりなんですが、ライト感覚でいろいろ味わえて、おつまみとしては大変ありがたいです。
お酒にぴったりの濃い甘辛味なのに後味はスッキリしており、次々食べても食べ飽きません。
特におもしろいのが右端の「たたき(自家製つくね)」。
普通の「つくね」もあるんですが、こちらは鶏ひき肉に「ぼんじり」など他の部位を成型する際に出た端肉が混ぜ込んであり、それが複雑かつ濃厚な、クセになる旨味を生み出しているんですよね。
ほぼ野外の開放的な空間で、焼鳥をつまみにビールをグイグイ。
いや〜、幸せだな〜!
また、店内のいたるところに貼ってあるメニュー表や注意書き全てに、いちいち味があるんですよね。
これらを眺めているだけでも酒が進む。

「できるだけ」ってあたりに人柄がにじみ出てます。
行かれる方はぜひご協力ください。

お酒の持ち込み料にも注目!
これもすごい。
さもルール違反者への厳しい罰則のようなニュアンスで書かれていますが、肝心の持ち込み料、1本あたり30円って!
いち客の立場から言わせてもらっても、せめてこの10倍は取っていいと思いますよ……。どこまで良心的なのか。
さて、ビールはあっという間に飲み干してしまったので、

▲缶チューハイ(150円)
を追加。
大好きな「Takara焼酎ハイボール」なのが嬉しいです!
しかも150円って、それ、僕がいつも買って帰るコンビニの値段と変わんないっすよ……。

第2弾到着~!!!
味の指定は特にしなかったのですが、今度は塩で出していただきました。
きっとご主人、お客さんの様子を見ながら飽きないように出してくださってるんでしょう。※食べかけに見える串はさっきのタレの残り
いや〜それにしてもこの気軽さ、楽しい!
そしてうまい!
しかも気持ちいい!
なんなんでしょうかこのお店は。
あ、天国ってやつですか。

そりゃ〜酒も進む。
お酒(200円)を追加。
世の中「せんべろブーム」なんていわれてますが、千円札1枚でベロベロに酔えるお店なんて意外となかったりするんですよね。
しかしここ「鳥勢」は違う!
上のように、ビール、チューハイ、日本酒と飲んでも、まだ合計が580円!
残りの420円で焼鳥が7本も食べられるんですから!
なんだか店主の糸田さんが、聖人か神様のように見えてきました。
お腹も心も大満足したところで、そろそろおいとましましょう。
ごちそうさまでした〜!

▲「どうもありがとうね〜!」と、底抜けに明るい糸田さん
最後に、お忙しい中少しだけお話をうかがえたんですが、まず、なぜお店に看板がないのかを聞いてみると……。
焼鳥店って看板がなくてもいいんですよ。みんな煙に吸い寄せられるから!
た、確かに……。印象的な黄色い内装に関しては「インパクト重視」とのこと。
糸田さんは焼鳥一筋30年以上の大ベテラン。
原点は、スーパーでの店頭販売だったそうなのですが、なんと講習を受けたのはたった1日で、それからはすべて独学なんだそう。
「お客さんに怒られながら、ずいぶん遠回りしながら勉強しましたよ〜」と話す明るい笑顔が、すごく印象的でした。
そうか。「鳥勢」の味、値段、そして雰囲気がこんなにもお客さんに優しいのは、糸田さんのこれまでの経緯から生み出された哲学が、そこに反映されているからだったんですね。
これ、ある意味最強の焼鳥店といえるかもしれません。
以上、出会った時のインパクト以上に素敵なお店「鳥勢」のご紹介でした。
なんだか今夜もまた、小岩に行きたくなってきちゃったな〜!
お店情報
鳥勢
住所:東京都江戸川区南小岩7-23-19
電話番号:非公開
営業時間:14:30〜22:30(売り切れ次第終了)
定休日:日曜日(月曜日は不定休)



