チャーハンはウイスキーの肴に合う?
新刊『無限の本棚 増殖版』(筑摩書房・刊)も好評の特殊古書店マニタ書房店主のとみさわ昭仁さんが、最近チャーハン作りに凝ってるんですよ。
とみさわさんが書いたこの本を読めばわかるように、この人はやたらな凝り性なわけですよ。
そんな人が作るチャーハンなんて、うまいに決まってるじゃないですか。
マイ中華鍋は買い込むは、日々研究するわで、どんどんスキルをアップさせているんですよ。
それじゃあ、食べさせていただきましょうよ、ということで、知り合いのお店の厨房をお借りしまして、とみさわさんにチャーハンを作っていただいたわけです。
ちなみにお借りしたのは、高円寺のゲームBAR「raid=gig」です。
レトロなビデオゲームからアナログゲームまで楽しめる男の子の秘密基地のような素敵なお店であります。
当然のようにマイ中華鍋、マイおたま、マイ調味料持参でやってきたとみさわさん。
今回は具に頼らないシンプルなチャーハンを作ってもらいました。
さすがに華麗なる中華鍋さばきですね。
そして完成。
これぞ正しく王道チャーハン。
ではいただきます。
ちゃんとビールも用意。
うーん、うまい。あー、おれ、チャーハン大好き。
この香ばしさと油っぽさが、ビールとよく合うんですよね。
そう、チャーハンってのは、いいつまみになるんですよ。
ちびちびとつまんだりすると、けっこう長持ちするし。
東海林さだお先生は「炒飯は意外にウィスキーの肴として合うのである」と名著『ショージ君の「料理大好き!」』(新潮社・刊)に書かれておりまして、ショージ君原理主義者の僕としては、その教えを守って、よくチャーハンでウィスキーを飲んだりしております。
なのでチャーハンで、ウィスキー水割りもいただきます。
うん、おいしい。
しかし考えてみると、ご飯モノってあんまりツマミにはならないというイメージですよね。
でも、チャーハンがこんなに合うってことは、ご飯にはツマミとしての可能性がまだまだあるんじゃないだろうか。
食堂なんかだとカレーにビールなんて組み合わせもやるじゃないですか。
この連載でも以前、本格インドカレーとクラフトビールのお店を紹介しましたしね。
で、試してみました。某超有名レトルトカレーで。
今のレトルトカレーって、そのまま電子レンジでチンできるようになってて、すごい便利ですね。
はい、いただきます。
んー、あらためて合わせてみると、それほど合わない気もしますね。
確かにチャーハンほどはお酒に合わないな。
ビールとカレー味は合うけど、この場合はご飯がちょっと邪魔ですね。
これで「ビールが進むか」ってほどではないね。
じゃあ、ウィスキーなら合うかな……合わないな。
香りのものだからね。香りがぶつかっちゃうんだろうね。
カレーに関しては、結局、水が一番おいいもんなぁ。
カレーチャーハンにしちゃえば合うと思うだけど。
カレーのかかってない白米の部分が(お酒に合わせるには)キツイんですよね。
こうなると、白米のご飯をお酒にあわせることはできないか、と言う気になってきました。
何かをふりかけたりすることによって、ご飯も立派なつまみになるのかもしれない。
ちょっといろいろ実験したくなってみました。
で、「ご飯の友」っぽいうものをいろいろ買ってきましたよ。
この中からいくつか試してみましょうか。
米そのものの力で判断したいので、具がメインになるような丼物とかはNGにしました。
ご飯を「おつまみ」にしてくれるトッピングたち
まずはシンプルの極み、ごま塩のふりかけから行きましょうか。
ごま塩って、のり玉とかと一緒に入ってる三色ふりかけだと、最後まで残っちゃったりして軽視されがちなんですが、実はけっこうな実力者だと思うんですよね。
あつあつご飯とごま塩の組み合わせは、すごい力があるはずですよ。
ごま塩ふりかけご飯にビールは合うのか?
お、悪くないな。考えてみたらこれは赤飯の味だ。
あ、これはいけますな。
赤飯とビールって合うじゃないですか。うん、これは「お祭りの味」ですよ。
では、ごま塩ご飯にウィスキーを合わせてみます。
……。
……。
次に行きましょう。
赤しそのふりかけを合わせてみる
次は定番の赤しそのふりかけですね。
爽やかな酸味が効いていて、根強いファンも多いんですよね。
まずは、赤しそのふりかけご飯&ビール。
あ、これはいいね。ふりかけの酸味とビールは相性いい。
ビールは何でもいけちゃうからなぁ(笑)。
次はワインも行ってみましょうか。白ワイン。
ワインと赤しそふりかけご飯は果たして合うのか?
あれ、白ワイン、意外にご飯と合うな。
全然抵抗ないな。むしろビールの方がつまんない。ワインの方が合うよ。
(再びビール飲んでみて)あ、本当だ。ビールよりワインの方が合うな、赤しそのふりかけご飯には。この酸味がいいのかな。
塩気がけっこう強いしね。うん、これ、いけるよ。
では、赤しそふりかけご飯&ウイスキー。
……ウィスキー、難しいな。
難しいね。
ワカメふりかけで合わせてみる
次はワカメ行ってみましょう。
ご飯に混ぜ込んでおにぎりにしたりするヤツですね。
ほのかな潮の香りがいいんだよなぁ、これ。
ビールとワカメふりかけご飯もいけるね。でも、ちょっと弱いかな。赤しそふりかけの方が酸味が強い分、よかった気がする。
悪くはないけど、ワインの方が合うよ。
あ、本当だ。意外にワインとご飯、相性いいような気がする。
ビールはかなり塩分と油分が強くないと、おいしいという感じにならないね。
苦戦すると思ったワインが、意外に健闘してるなぁ。
ウィスキーは?
……うーん、これもキツイかなぁ。難しいな。ウィスキーと合うご飯、なんとか見つけたいなぁ。
オリーブオイル+塩+ご飯で合わせてみる
次はオリーブオイルと塩でご飯。
これ、実はワインにご飯を合わせるにはどうすればいいかと考えた組み合わせなんですが、ここまでの時点で意外にワインが合っちゃってるので、あんまり意味がなくなっちゃいました。
う……、なんだ、これ。これはそもそもオリーブオイルとご飯が合わない…。
酒に合わせる前の時点でダメか(笑)。
パンだとうまい組み合わなのになぁ。
オリーブオイルの臭みが目立っちゃうね。ここにニンニクでも加えれば一気においしくなると思うんだけど。
ビールは、まぁ、なんとかいける。ビール、やっぱつまんないヤツという気がしてきた(笑)。
なんでもそこそこ合うんだけど、すごく合うってことがないんだな。
……ウィスキーはやっぱり難しいなぁ。
ハイボールにすればいけそうだけどね。
ハイボールも、なんでもいけそうですもんね。
猫まんまにお酒を合わせてみる
それではかつお節に醤油行きましょうか。
いわゆる猫まんま。
これはオールマイティにいける気がします。
ビールも当然合いますね。ワインもばっちり。そして問題のウィスキーは……おっ、おっ、これいいんじゃない?
あ、本当だ。うん、ウィスキーと猫まんま、合うじゃない。
醤油の力かな。いや、かつお節ってスモーキーな風味があるから、それがウィスキーに合うのか。
かつお節がウィスキーに合うのは発見だね。
絶望的だと思われたウィスキーとご飯の組み合わせですが、かつお節と醤油の力を借りれば、なかなかいけることがわかりました。
やればできるじゃん、ご飯!
そして最後に僕のおすすめを試していただきたい。
はっきり言ってここまでの組み合わせは、よかったとしても、まぁ、積極的にはやらないよね、という程度のマッチング。
ところが、これは僕も自宅でよくやっている組み合わせなんですよ。
それが、ごま塩ご飯と熱燗!
絶対にお酒と合う組み合わせ
あつあつの炊きたてご飯にごま塩を振って、それを燗をした日本酒でいただく。
これ、最高なんですよ!
お、これはいいね。日本酒も米だから合うのは当然なんだけど、相乗効果で甘みが増してくる。そしてゴマがいい仕事してるね。時々来る香ばしさがたまらない。
カメラマンのねじ君も「これはうまいですね、これはすごい」と絶賛してくれてます。
これは実は、柳沢きみお先生の名作『大市民』(双葉社・刊)で提唱された飲み方なんですが、まねしてみたら素晴らしかったので、僕の定番となりました。
簡単な組み合わせなので、ぜひみなさんもお試しください。
というわけで、コメ飲み実験。
ビールにはチャーハン、もしくはごま塩。
ワインには赤しそのふりかけ、もしくはワカメふりかけ。ウィスキーにはかつお節。
そして日本酒にはごま塩、という組み合わせがオススメということになりました。
いや、しかし米を食いすぎたせいで、お腹がパンパンになりましたよ。
食事でも、こんなにご飯食べたりしないからなぁ……。
ええ、実は翌日の朝まで苦しかったです。