日本人が食べやすい魯肉飯を作るポイントを台湾料理専門店に聞いてみた

東京・白山で台湾料理を提供するalsoに、魯肉飯の作り方などを取材。スパイスの味わいが強い魯肉飯を日本人好みにアレンジするこだわりは必見です。

こんにちは、酒場案内人の塩見なゆです。

突然ですが、皆さんは台湾料理はお好きですか?

台湾料理といえば、魯肉飯(ルーローハン)や大鶏排(ダージーパイ)を思い浮かべます。もし、これらの料理が自分でおいしく作れるようになったら、自宅で飲むお酒がより一層楽しめるようになるのに……と思うことがよくあります。

そんな思いを抱えていたところ、台湾料理専門店のalso (オルソー  鶯嵝荘)で看板メニューである魯肉飯の作り方などを取材させていただけることに!

ということで本日は、alsoマネージャーの高橋愛理さんに魯肉飯の作り方を伺っていきます。台湾料理専門店の魯肉飯には、一体どのようなこだわりがあるのでしょうか?

台湾の魯肉飯を日本人好みにアレンジ

塩見なゆ(以下、塩見):高橋さん、よろしくお願いします。まずはalsoについて教えていただけますか?

高橋 愛理さん(以下、高橋さん):こちらこそ、よろしくお願いします!

alsoは2021年にオープンしたお店で、台湾料理とクラフトビールをウリにしています。1階はタップを並べたビアホールで、2階はカジュアルレストランになっています。

塩見:タップが並んでいてテンションが上がりますね。スパイスがほどよくきいた台湾料理はクラフトビールによく合いそうです。早速ですが、alsoの魯肉飯の作り方を教えていただけますか?

高橋さん:はい! まずは2cm幅に角切りした豚バラ肉を30分〜1時間ほど水に浸して、水気をよく切ったら1日ほど冷蔵保存しておきます。

塩見:豚バラ肉を水に浸すんですね。これにはどんな狙いがあるんですか?

高橋さん:これは豚バラ肉を血抜きする工程で、臭みを取り除くことが狙いです。翌日に豚バラ肉をフライパンで軽く炒めます。こうすることで、さらに臭みが取れ、余計な脂を落とすことができます。

塩見:豚バラ肉の臭みを取ることを重要視しているんですね。

高橋さん:そうですね。本場の魯肉飯は、八角や五香粉などのスパイスをきかせた味わいのものが多いのですが、alsoの魯肉飯は日本人の方が食べやすいようにスパイスを控えめにしています。

それだけに、豚バラ肉の味わいがダイレクトに伝わるので、丁寧に下処理をしています。

塩見:まだ豚バラ肉の下処理の段階ですが、非常に勉強になります! 

高橋さん:豚バラ肉を軽く炒めて焼きめがついたら煮込み鍋に移して、水、台湾醤油を3種類、八角、フライドエシャレット、ザラメを投入して弱火で30分ほど煮込みます。とろみや照りが出るザラメを使用するのもポイントです。

塩見:台湾醤油は3種類も使用するんですね。

高橋さん:異なる3種類の台湾醤油を使用することで、複雑で奥深い味わいになると思っています。

また、本場では五香粉を入れることがあるのですが、alsoではフライドエシャレットを使用しています。

塩見:それは先ほどおっしゃっていた、日本人が食べやすい工夫でしょうか?

高橋さん:そのとおりです。五香粉を入れると本場の味わいに近づくと思うのですが、スパイスを強く感じてしまう方もいらっしゃると考えています。なので、あっさりと食べやすい味わいを目指してこのような材料で味付けをしています。

温度が下がるタイミングで豚バラ肉に味が染み込むので、常温になるまでおいておけば仕込みはほとんど完了になります。

高橋さん:あとは、煮込んだ豚バラ肉を温めてごはんにのせ、同じ調味料で別に煮込んだしいたけとたけのこ、高菜と大根のお漬物を添えれば、alsoの魯肉飯の完成です!

塩見:どのような味わいになっているのか非常に楽しみです! 

alsoの魯肉飯の味わいはいかに?

塩見:早速、alsoの魯肉飯(780円)をいただきます。

食べた最初の印象は、一般的な魯肉飯と比べてさっぱりとした味わいになっていることです。ほどよい八角のスパイス感や豚バラ肉のこってり感はあるものの、あっさりしていて、締めに注文してもぺろりと食べられそうです。

トッピングされているしいたけとたけのこにも、しっかり味が染みていて食感のアクセントになっています。高菜と大根のお漬物もトッピングされているので、最後まで味わいや食感の変化を楽しめるように設計されていました。

▲(左:クラフトビールMサイズ 右:クラフトビールSサイズ)※価格は種類によって変動

alsoでは、台湾料理の他にもクラフトビールにこだわっているとのことで、注文してみました。お店には5つのタップが用意されており、気分や好みに合わせて複数のクラフトビールを選ぶことができます。サイズも選べるため、たっぷり飲みたい方も、ちょっとだけ飲みたい方も気軽に注文できるようになっています。

また、今回注文したクラフトビールと魯肉飯の相性は抜群で、ほどよい豚バラ肉の脂感をクラフトビールが爽快に洗い流してくれます。前述のとおり、魯肉飯はスパイス感が控えめなので、クラフトビールのフレッシュさと心地よい苦みが後味に残り、両者の相性のよさを感じずにいられません。

alsoに来た際には、ぜひお好みのクラフトビールと魯肉飯のマッチングを楽しんでほしいなと思いました。

2種類のひき肉を使用して作る台湾ワンタン

塩見:せっかくなので、魯肉飯の他にalsoでよく注文されているメニューもご紹介していきます。一品目は台湾ワンタン 豚肉4個(660円)です。

私が思い浮かべるワンタンとは異なり、あんがみっちりと詰まっています。高橋さんいわく、粗い豚ひき肉と細かい豚ひき肉の2種類を使用し、特注のもちもちした大判の皮で包むことで食べ応えを演出しているそうです。

自家製のラー油と黒酢をつけていただくと、台湾ワンタン一つでずっしりとした重量とお肉のゴロゴロ食感を味わうことができます。まるでハンバーグを食べているような印象があります。

肉だねには、砂糖、塩、ネギ油、ラード、そして台湾醤油を加えてよく練っているそうで、ジューシーでありながら、ほんのり台湾感も味わうことができます。

alsoでは、台湾各地の屋台や売店で食べることができる葱油拌麺(ツォンヨウバンメン 750円)も注文可能です。

文字通り、焦がしネギと油を使ったシンプルな麺料理です。東京で葱油拌麺を食べられるお店がなかなか見つけられなかったのですが、alsoで出会えました。

葱油拌麺の黒く見える具材は、万能ネギを揚げ焼きして、台湾醤油、オイスターソース、砂糖と一緒に煮込んだものだそう。特注の細い香港麺と絡めていただくと、歯切れのいい細麺の食感と万能ネギの甘辛い味わいが堪能できます。

万能ネギは黒く焦げているように見えるかもしれませんが、苦みや雑味などは皆無。オイスターソースのうま味がきいていて、日本人が親しみを感じやすい素朴な味わいになっています。

葱油拌麺をまだ食べたことがない方には、ぜひalsoで味わっていただきたい、おすすめの一品でした。

扉を開ければ、日本人が親しみやすい台湾が

本日は東京・白山にお店を構えるalsoで魯肉飯の作り方などを教えていただきました。

お店のドアを開くと、台湾のナイトマーケットや食堂に漂うあの香りも感じることができますが、料理は日本人が食べやすいように工夫されたものばかりです。

そんな、地下鉄で行ける台湾料理店にぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。それでは。

お店情報

also (オルソー 鶯嵝荘)

住所:東京都文京区白山5-32-13
電話番号:03-5615-9969
営業時間:11:30~14:00(LO)、17:30~22:00(LO)
定休日:月曜日

書いた人:塩見なゆ

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酒場案内人(飲食・酒類専門ライター)。東京都杉並区・荻窪生まれ。 得意分野は街と酒。 新宿ゴールデン街に通ったお酒好きの両親を持つ。両親が飲んでいた瓶ビールに憧れて成長する。趣味からはじまった酒場めぐりは、次第に仕事になっていく。

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