
ひょんなきっかけで「富士そば」の新メニュー開発をすることに
こんにちは、東京ソバット団のソバット本橋です。
今、「名代富士そば」の一部店舗で、「淡麗煮干し汁つけ蕎麦」と、それに肉を乗っけた「淡麗煮干し汁肉つけ蕎麦」という限定メニューをやっているのを、ご存知でしょうか?

▲淡麗煮干し汁つけ蕎麦(420円)

▲淡麗煮干し汁肉つけ蕎麦(590円)
このつけ蕎麦の特徴は、なんといってもツユ。「富士そば」の一部店舗で展開している煮干しラーメンのスープに特別なそばツユをミックスしたもので、いわゆるラーメンのつけ麺テイストな味わいになっているんです。
そばにはたぬきに青ネギ、ノリにゴマがかけられ、しっかりしたツユに負けないような工夫が。このそばを、煮干しの香りとそばツユのうまみがよくブレンドされた汁にドプッとつけてズバズバ食べると、かなりいい感じなのです。
もちろん、この汁はたっぷり乗った肉とも、相性は抜群ですよ。

提供する店舗は富士見台店、神楽坂店、武蔵小山店、稲田堤店の4つ。
みなさん、ぜひお試しください! と、強く推すには理由がありまして……実はこのメニュー、私、ソバット本橋が開発をお手伝いさせていただいたのです。
そもそもは、以前に取材でお世話になった「富士そば」の工藤さんから届いた、1本のメール。
内容を要約しますと、なんと
「富士そばフィリピン店で使っているツユが5,000食ぶん余ってしまったので、それを使って新商品の開発をしたいので、ちょっと手伝ってもらえませんか?」
というもの。
富士そばさんからの突然の「大人の事情」なリクエスト

フィリピンのツユ? 5,000食ぶんあまった?
詳しい事情はさておき、なんだか面白そうだったのでとりあえずオーケーして、後日、代々木にあるダイタンホールディングス株式会社を訪れたのです。

本社の会議室で待っていたのは、ダイタンホールディングス株式会社の工藤寛顕さん。(写真は後日撮影したもの)

そして池袋ダイタンフード株式会社の木村正志常務取締役。今回のプロジェクトの中心となる2人です。
このときテーブルに置かれていたのが、フィリピンで使っているそばのツユ。
ツユといってもいわゆる「かえし」で、ダシ汁にこれを加えてそばツユを作るわけです。

で、そのフィリピン店で使うためのツユが注文の手違いで5,000食ぶん余ってしまったと。
フィリピンと国内では使っているツユが違うので、国内の店舗では使えない。
なおかつ余ったツユの賞味期限が7月22日なので、それまでになにか新メニューを開発して使い切ってしまいたいと、要するにそういう事情だったのです。
そうは言いますが、どうしたものか

う~む、そば店で新メニューとなると、どうしたって天ぷらとか乗せもの系になりますよね。
そばの要であるツユを新開発するなんて、素人である自分には無理ゲーですよ~、なんて思っていたところ思い出したのが、先日取材した新橋「三松」の和風中華。
そばツユ7に対してラーメンスープを3の割合でミックスした、あのスープです。
「富士そば」はラーメンもやっているし、そのスープとこの「フィリピンツユ」をミックスさせたらおもしろいんじゃないかと。
このアイデアを話したところ、つけそばにするかとか、夏も近いし冷やし中華っぽいぶっかけにしようかとか、トッピングにパクチーを乗せようかとかあれこれ盛り上がりまして、トントン拍子に試作品を作ることになったのですよ。

素人の思いつきが形になっちゃうなんて……とビビっていたんですが、そこから工藤さんたちが試作を重ね、テストメニューが完成。
言い出しっぺとして「富士そば」神楽坂店の2階にお邪魔して、他の社員の方々も交えて試食をすることになりました!
試食会で却下された「幻のメニュー」も

まず、前回のアイデア会議から生まれたのが、この煮干し肉つけそば(仮)。
煮干しラーメンのスープを3に、「フィリピンツユ」をベースにしたそばツユを7の割合で合わせた温かいツユでいただきます。

スープとツユの割合はいろいろなパターンを試したようで、完成度がかなり高いですよ。このままいけちゃうぐらい、普通にうまい。自分が思いつきで言ったメニューが実際に作られて、ちゃんとうまいって、けっこう感動的でした。

もともとの煮干しの香りがけっこう強いんで、そばツユ感がかき消されちゃうんじゃないかと不安だったんですが、「フィリピンツユ」は国内のものより甘みが強いせいか、どうやらうまくマッチしています。
ただ、肉にたぬきにノリと、具を豪勢にしたため原価がけっこういってしまったようで、工藤さんたちが値段をいくらにするか、あれこれ話していましたよ。
そして2品目が和風冷やし中華(仮)。
「富士そば」で提供している「昔ながらのラーメン」のスープに、やはりフィリピンツユを足してそばにぶっかけたもの。具は思い切り冷やし中華に寄せてあります。

ただ、これはラーメンスープがすっきりしているぶん、そばツユが勝ってしまって冷やし中華っぽさがなかったかな。
うまいかどうかで言えばうまい。
でも、何度も食べたくなる個性があるかというと……ない。うまかったんですけどね。
こちらは今回は試作品のみの、幻のメニューとなってしまいました。残念!

というわけで、大人の事情から生まれた煮干し肉つけそば(仮)が、正式に「淡麗煮干し汁つけ蕎麦」と、「淡麗煮干し汁肉つけ蕎麦」として、メニュー化されたのです。
「フィリピンツユ」があまったぶんだけの提供なので、限定5,000食。
富士見台店、神楽坂店、武蔵小山店、稲田堤店の4店舗で、全食を売り切るまでやっていますから、ぜひぜひどうぞ。
賞味期限の7月22日までには売り切ります(予定)!
さらに温泉卵をトッピングにすると絶妙に

あと、ツユの味が濃いめになっていますが、ここに温泉卵をおとすと、まろやかになってまたうまいです。
また、冷たいツユにも変更できますので、これを丼にザザッとかけてぶっかけで食べるのもアリです。さらにこのツユ、けっこう良い出来なので、食べ終わったらそば湯で割って飲んでみてください。

いやはや、今回はツユが余るという緊急事態があってのメニュー開発だったんですが、しっかりした商品に仕上げてくるとは、さすがみなさんプロです。

いろいろな意味でレアなこの限定メニュー、なくなっちゃう前にぜひ一度、食べてみてください!
お店情報
住所:東京都練馬区貫井3-2-8
電話番号:03-6276-3527
営業時間:24時間営業 ※従業員の休憩のため、午前3時より45分間の閉店をしております
定休日:年中無休
書いた人:本橋隆司

フリーランスの編集、ライターとしてウェブや雑誌などで仕事中。近著は『東京立ち食いそばジャーニー』『立ち食いそば大図鑑』(ともにスタンダーズプレス)そばであればだいたい好き。
- サイト:立ち食いそば図鑑の中の人のサイト
- Facebook:東京ソバット団
撮った人:安藤青太

カメラマン、書籍制作。グラビア系から食べ物系まで何でも撮るカメラマン。本橋とは『立ち食いそば図鑑 東京編』『立ち食いそば図鑑 ディープ東京編』を制作。その他『檀蜜DVD色情遊戯2』『相撲部屋の幸せな猫たち』『東京の、すごい旅館』など。好きな立ち食いそばはコロッケそば。


