
みなさん、カツは好きですか?
好きですよね。ジューシーな肉をサクサクとした衣で包んだあの幸せな食感。
今回はそんなあなたのためにとっておきのカツをご紹介しましょう。
その名は……
「パンカツ」!
トンカツではありません。「パンカツ」です。まさかとお思いでしょうが、その想像はたぶん当たっています。そう、「パンカツ」とは、
パンにパン粉をつけたカツ
なのであります。どこまで行ってもパン! かめばかむほど炭水化物! いったいどういうつもりだ!
でも俺はたぶん大好きです!
この「パンカツ」、東京・八王子のご当地グルメとしてにわかに脚光を浴びているとのこと。さっそく、その正体を確かめに行きましょう。
「日本パンカツ協会」とは!?
「パンカツ」を求めて、我々が今回訪問したのは、「パンカツ」の聖地のひとつと言われる八王子市元横山町のお好み焼き店「やまと」。
店先にはたしかに「パンカツあります」の貼り紙が。

営業時間外にもかかわらず、女将さんがやさしくもてなしてくれました。
「もう少し待っててね。“協会”の人もそろそろ来るから」
……協会?
ほどなくして、店内に現れたふたりの男性が。

よろしくお願いします、我々が「日本パンカツ協会」です。
「日本パンカツ協会」! そんなのもあるのか!
取材に応じてくださったのは、「日本パンカツ協会」の仕掛け人であり、近隣の商店街の振興に尽力する加藤一詞さんと、ミュージシャンとしてAKB48やV6、AAAなどにも楽曲を提供するトーリーさんこと、鳥海剛史さん。
……それだけじゃなく、なんかかわいい女の子たちもいるぞ?

こちらの女子たちは「日本パンカツ協会公認アイドル」に任命された八王子ご当地アイドル「8princess」のメンバー、なのであります。
聞いてないよ! ここまでハナシがデカいなんて聞いてないよ!
戦後の食糧難をいやした「パンカツ」

▲「日本パンカツ協会」の中心人物、八王子市商店会連合会副会長の加藤さん
とりあえず落ち着いて、加藤さんとトーリーさんに「パンカツ」の成り立ちからうかがうことに。
実はワタシ(本稿記者・ふじー)も八王子に越してきて6年目になるんですが、「パンカツ」なるものの存在を知ったのはつい最近なんです。
ええ、実は「パンカツ」は八王子全域ではなくて、このあたり(横山町・八幡八雲神社周辺)の文化なんです。ここは戦後いわゆる闇市があったところで、せめてカツの気分だけでも味わいたいという人に出していた食べ物でした。屋台では結構な人気だったようです。(加藤さん)
B級ならぬC級グルメという呼び名も、そのピンポイントなところからの発想だといいます。
ところで女将さん、この「やまと」はいつごろから始められたんですか?
もう60年前ですね。そのころからウチでは「パンカツ」はメニューに入れていましたよ。これだけ注目される前は注文する人も少なかったですが、今では遠くから来てくれる方もいてね、レシピを手紙で送ったりもしましたよ。(やまと、おかみさん)

▲パンカツの伝統を60年守り続けるお好み焼き「やまと」の女将さん
面白いのはね、浅草とかに行っても「パンカツ」を出すお店はあるんですよ。ただどこも積極的にはやりたがらない。脂でえらいことになるから(笑)。広くあった焼け跡文化が、八王子で受け継がれてると思うと感慨深いですよね。(加藤さん)
トーリーさんが「パンカツ」に関わられたきっかけは?
僕は八王子の“みずき通り商店街”というところの音楽イベントで審査員をやっていまして、そのとき突然、「日本パンカツ協会」に入ってみないか! みたいなことを言われて(笑)。あげく「パンカツ」の歌を作ってとか言われたんですけど、そのころ「パンカツ」なんて食べたことないから(笑)。ちなみに、実は「8princess」もそのイベントがきっかけでデビューしたんですよね」(トーリーさん)
──言い方は悪いですが、芋づる式に……
そんな感じでいろんな人を巻き込んで、メンバーは多士済々ですよ。通訳担当として外国の人もいますしね。(トーリーさん)
さまざまな人々を巻き込んでブームを作り出す、恐るべし「日本パンカツ協会」……。

▲「日本パンカツ協会」のキーパーソン、加藤さん(左)とトーリーさん。ちなみに中央のキャラの名前を聞くと……加藤さんいわく「パンカツマン」。「ええっそんなんでいいの?」(トーリーさん)
いよいよ「パンカツ」の調理実演
あまりの熱さに前置きが長くなってしまいましたが、ここで実際に「パンカツ」をつくっていただきましょう。
まず材料がこれ。

ごくふつうの食パン2枚と大量のラード。食パンには溶いた小麦粉をつなぎにしてパン粉がまぶされています。
つまり、食パンwithパン粉 feat.小麦粉です。ピュア小麦!

まずは十分に熱のとおった鉄板にラードをがっつり投入!

ラードが溶けてふつふつと泡立ったら、そこにパン粉をまとった食パンを投入。大量のラードの中で、ちょうど「揚げ焼き」のような格好で食パンが香ばしく焼きつけられます。
「パンカツ」にはラードが必須。そうじゃないと肉っぽい甘みとカラッとした食感が出ないんです(加藤さん)

1分~1分半ほどで片面がきつね色になった頃合いを見て、ひっくり返してもう片面を焼く。
そしてこのとき、「追いラード」を投入!
実はワタシはこの量のラードは絵的に盛っていただいたものだと思ってたんですが、まさか食パン2枚にほとんど全部使い切るとは……!
そうして焼き上がったパンに、さらにソースを回しかけます。
おかあさん、協会のソースない?(加藤さん)
ごめん、いまはないのよ。(おかみさん)
実は、「日本パンカツ協会」は西東京の業者にパンカツ専用ソースの開発を依頼したほどのこだわりよう。残念ながら取材時にはそのソースは味わえませんでしたが、それでも両面にソースをたっぷりかけてさらに焼くときの香ばしいにおいときたら!

焼き上がったパンにソースを回し掛け……

両面をこんがりと焼いて……

切り分ければ……ほら!
これで完成!
遠くにトンカツが……見える!
あっという間に調理終了。「パンカツ」。たしかに見た目はカツっぽい……が、ほんとにカツなのかー?
とりあえず、一口食べてみましょう。

▲パンカツを味わう八王子ご当地アイドル「8princess」のみなさん。左から「なーみん」こと佐々木なおみさん、「りこち」こと中神璃子さん、「ゆきち」こと鴨下祐季さん
かむと、さくりとした食感とともに口中に広がるラードの甘み……いや、肉ではない。肉でないことは確かなんだけど……。
ほら、かみしめていると遠くにトンカツが見えてくるでしょ?(トーリーさん)
ああ、見える! たしかに見える!
炭水化物の地平の向こうに、おぼろげながら「概念」としての肉が!
同じく実食していただいた「8princess」のメンバーも、「お菓子みたいでおいしいよね」「私たちには逆に新しいね」と好評。まさに世代をつないで継承される、「パンカツ」のレガシーなのであります。
最後に、加藤さんに「日本パンカツ協会」の今後の野望を聞いてみました。
野望はね、某超大手ハンバーガーチェーンを越えること。これは店舗数ってことじゃなくて、「パンカツ」ならご家庭でも簡単に作れるから、「パンカツ」を食べてくれる人をそのくらい増やしたいってことです。あとはアフリカで「パンカツ」を焼くことかな。簡単な材料でみんなの食を満たしたい。実は「パンカツ」を宇宙食にしてもらうっていう展開も考えてるんですよ。そっち方面のパイプもありますしね!(加藤さん)
な、なんと遠大な計画!
映画の八王子ロケにも協力しエンドロールにも名を刻む「日本パンカツ協会」、その活動の広がりには目が離せない!
もちろん聖地・八王子「やまと」は「パンカツ」以外にもお好み焼きを始め数多くのメニューをそろえたお店なので、ぜひ下町の風情を味わってください。
「日本パンカツ協会」のみなさん、ありがとうございました!
ちなみに「8princess」のオフィシャルサイトはこちら。
トーリーさんプロデュース、「8princess」のパフォーマンスによる『デカパンカツ体操』はYoutubeでも視聴可能!
みんなでおどろう!
取材協力:日本パンカツ協会
お店情報
やまと
住所:東京都八王子市元横山町2-15-3
電話番号:042-622-4475
営業時間:16:30~22:00
定休日:水曜日・木曜日
※この記事は2017年1月の情報です。
※金額はすべて税込みです。



