うまい明太子はどこが違う?辛子明太子を生んだ「ふくや」に聞いてみたら意外な答えが……

みんな大好き、明太子。しかし、おいしい明太子とそうでないものの差って案外分かりませんよね。そこで元祖であるメーカー「ふくや」さんに教えていただくことに。驚愕の事実に加え、おいしく食べるための「黄金のセオリー」も聞いてきましたよ!

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こんにちは。福岡県在住ライターの大塚拓馬です。

 

福岡県の名物の定番といえば、明太子です。しかし、福岡県民である私は日常的に明太子を食べません。自分が食べるためよりも、贈り物として買ったことの方が多いと思います。

 

市販の安い明太子と比較して、贈答用の明太子はかなり高い値段が付けられています。でも、たまーに食べる安価な明太子もそれなりにおいしい。

 

正直、ブラインド状態で食べると、市販の安い明太子と贈答用の明太子の違いが分かる気はしません。

 

 

Twitterで尋ねてみると、なんと過半数の人が明太子の味の違いが分からないと回答しました。うまい明太子の違いは、消費者に伝わりきっていないのです……。

 

結局、美味い明太子ってどんなものなの?

 

今回の取材を通じ、僕も明太子のおいしさが分かる人間になろうと思います。

 

改めて専門店と市販の明太子を食べ比べてみよう

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明太子を食べるときって、それほど味の違いを意識して食べていないので、正直まったく分かりません。

 

そこでまず、いくつか明太子を買って食べ比べてみることにしました。

 

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並べてみるとけっこう色が違いますね。

 

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▲見た目だと分かりづらいが食べると明らかに違う

 

明太子がスケトウダラの卵から作られるのはご存じの方も多いかもしれませんが、食べてみて違いを感じるのは、明太子の粒立ち。

有名メーカーの専門店で購入した明太子は、一粒一粒がしっかりしているのに対し、私が買った市販の安い明太子はなんだかねっとりしたジェルのような食感です。

 

また、有名メーカーの方は明太子が持つ魚介系の香りがするのに対し、自分で買ってきた安い明太子のほうは香りがあまりなく、やたら塩辛い印象でした。

 

……とはいっても食べ比べると、ようやく分かる感じです。

 

市販の安い明太子も「臭みがない」という点では及第点をクリアしていますし、ごはんのおかずにはちゃんと使えるし、普通においしいと思います。

 

明太子の元祖「ふくや」へ突撃

そもそも辛子明太子は福岡の明太子メーカー「ふくや」の創業者である故・川原俊夫氏が、韓国の「たらこのキムチ漬」をヒントに、改良に改良を重ねて完成させたものです。

 

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▲ふくや創業者・川原俊夫氏(写真提供:株式会社ふくや)

 

ふくやの明太子はたちまち評判となりました。

近所の店から「うちの店でも取り扱いたい」とお願いされましたが、川原俊夫氏は卸売をしない主義だったので、これを断ります。

 

しかし、そのかわりに「あんたんところもつくればいいやろ」と、苦しみ抜いてつくりあげた明太子のつくり方や原料の仕入れ先を同業者に教えたのです。

 

結局、ふくやは明太子の商標登録や製造法特許も取得しませんでした。

 

その結果、どうなったか。数々のメーカーから様々な明太子が生み出されました。ふくやが商標登録や製造法特許も取得せず、明太子のつくり方を広めたことが、結果的に福岡の名物として定着するきっかけとなったのです。

 

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このふくやの功績はあまりにも有名で「めんたいぴりり」(東憲司著、集英社)という小説にもなっています。映画やドラマ、舞台化もされて話題になりました。

piriri_movie.official-movie.com

 

そんな明太子のレジェンドであるふくやなら、きっと「うまい明太子」について教えてくれるはず……!

 

そう思った僕は明太子のおいしさの違いはどこにあるのかを知るために、博多の辛子明太子文化の生みの親である「ふくや」本社を訪れました。

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そもそも原料の「鮮度」が違う

出迎えてくださったのは、株式会社ふくやの代表取締役社長、川原武浩さん。伝説の創業者である川原俊夫氏のお孫さんにあたります。

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──実は市販の安い明太子と、空港や駅の専門店で売っているギフト用の明太子で味の違いが分からないという声が多くありまして……。

 

川原社長:あー……そうなんですか。

 

──僕も分からなくて改めて市販の一番安い明太子と、専門店の明太子を食べ比べてみたんですけど、粒立ちが違うなあと思いました。安い明太子はなんかジェル状というか……。実際のところ、どこが違うのでしょうか?

 

川原社長:安いパックの明太子と贈答用に使われるような明太子との違いは、原料の品質差が大きいと思います。

 

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──原料の品質差、とは具体的にどのような部分でしょうか?

 

川原社長:まずは鮮度ですね。たとえば、ふくやの明太子はスケトウダラを獲った船の中で卵を取り出して冷凍を始めているんです。

 

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▲ふくやの工場で上映されている加工風景

 

──えっ、陸に戻る前に船内で加工を始めるんですか!

 

川原社長:その方がすぐに冷凍できて、鮮度が守られますからね。ただ、魚を獲ってそのまま陸に戻り、工場で初めて卵を取り出して加工をするケースもあります。陸に戻る間に時間がかかるので、その間に鮮度がどうしても落ちます。そうなると、どうしても生臭さが出てきてしまいますね。

 

最も適しているのは「真子」

川原社長:それと、原料の品質に関係するのは卵の成熟度合いです。

 

──卵の成熟度合いでも味が変わってくるんですか。

 

川原社長:はい。たらこの成熟度合いはガム子、早真子、真子、目付、水子、皮子に分かれています。ふくやでは明太子づくりに適した「真子」を中心に「早真子」「目付」の一部を原料に使っています。

 

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▲ふくやの工場にて、見学者向けに展示されている明太子の成熟過程の表。ご覧のとおり「真子」がベストな状態

 

──なるほど。「真子」以外の原料なら、製造コストもカットできるということでしょうか。

 

川原社長:そうです。売られている中でも特に安い明太子のうち、ネットリとした食感の明太子は、卵がまだ未熟な「ガム子」を使ったものである可能性が高いですね。「ガム子」でも明太子がつくれないというわけではないので。

 

──成熟度合いはどうやって分かるんですか?

 

川原社長:スケトウダラから卵を取り出した時に分かります。たとえば、弊社が仕入れる原料の場合は、船の中で「真子」に近いものを取り出していますね。仕入れた後、社内でさらに「真子」に近いものを厳選します。

 

──それで食感に違いがあったんですね。納得。

 

川原社長:スケトウダラの卵は成熟していくとどんどんお腹の中の粒が大きくなっていきますが、ガム子はまだ粒が全然大きくなってない状態なんですね。一粒一粒が小さいので、どう頑張っても粒々を感じるほどにはなりません。

 

──原料の鮮度と成熟度合いでだいぶ差がつくことがよく分かりました。

 

川原社長:「明太子が嫌い」という人は成熟度がよくなく、鮮度の悪いものを食べてしまっているのではないかと思います。新鮮なものにはない生臭さが出てきますからね。

 

──とはいえ、市販の安い明太子にそこまで生臭さは感じなかったんですよね。「おいしそうな香りがしないなぁ」とは思いましたが。

 

川原社長:そうでしょうね。近年では生臭さを消す加工も発達しているので、そんなに分からないんですよ。メーカーの加工技術も上がってきていて、大して良くない原料からでも商品レベルの明太子がつくれるようになってきています。全体のレベルが非常に上がってきてますね。

 

【驚愕】「つぶつぶしているのが良い」というわけではない

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──いろいろ分かってきました。やっぱり明太子はつぶつぶしていた方がいいんですね。

 

川原社長:いえ、そういうわけではないんです。「つぶつぶ感が強い」というのは明太子の品質にはまったく関係ないのが実情で……。

 

──ええっ! そうなんですか? でも、専門店の明太子はどれもつぶつぶしていましたよ。

 

川原社長:確かにガム子を使った明太子と比べるとつぶつぶしているとは思います。ただ、つぶつぶ感は加工するときにある程度コントロールができてしまうんですよ。もちろん、ガム子を使ったものはコントロールしようとしても厳しいレベルですが。

 

──でも、明太子はつぶつぶしているとおいしいイメージがあります。

 

川原社長:それは明太子のおいしさをレポートするメディアの影響で生まれ、根付いた偏ったイメージですね。メディアがおいしい明太子の表現で「つぶつぶしている!」ってやたらとおっしゃるんですよ。それで「つぶつぶしたものがおいしい」というイメージが広まっていきました。

 

──とはいうものの、やっぱり、あの、つぶつぶしている方が……。

 

川原社長:あまりつぶつぶにしすぎると、たらこ本来の旨味が抜けますし、調味液の味が染みないので、おいしい明太子ができません。ふくやの明太子は「真子」に近いものだけを使用しているので、ある程度つぶつぶしていますが、そこまでつぶつぶ感を追求しようとはしていません。

 

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──確かに調味液の味が染みなかったらおいしくありませんね。

 

川原社長:つぶつぶ感は品質ではなく、加工次第なので……。市場の中には「とびっこかな?」と思うくらい、過剰につぶつぶ感を強くしている明太子も見かけますよ。

 

──つぶつぶしているという食感の違いは分かりやすいので、試食した時に「おいしい」と錯覚しやすいんでしょうね。つぶつぶ感に惑わされずに、おいしい明太子を選ぶにはどこに注目するとよいでしょうか。

 

川原社長:あまり「つぶつぶ」ということにとらわれずに、シンプルに味と香りを感じた方が品質は分かりやすいかもしれませんね。

 

社長直伝「合わせワザ」のセオリーとは

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──「良い明太子をもらった」場合に、なかなか期限内にうまく食べられないという人も多いと思います。何かアドバイスはありますか?

 

川原社長:とりあえず、たくさんもらって食べきれないと思ったら素早くラップにくるんで冷凍した方がいいでしょうね。賞味期限内に食べるという前提ではありますが。

 

──冷凍を解凍しても、明太子はおいしいんですか?

 

川原社長:はい、おいしいですよ!

 

──ぜひ試してみます。冷凍する以外にも何かおいしく消費できる食べ方はありませんか?

 

川原社長:日本酒のおつまみにはおすすめですね。日本酒が持っている旨味ともよく合います。

 

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──他にもごはん以外で、食べ物の組み合わせでおすすめのものはありますか?

 

川原社長:実はあまり語られていないんですけど、明太子を食べ物と合わせるときのセオリーがあって、それが「炭水化物×油」なんです。明太子が入ったおいしいものは、だいたいこの構成要素でできているんですよ。明太子スパゲティ、明太フランス、明太チャーハン、明太バターモチ……。

 

──本当だ! 大発見じゃないですか。

 

川原社長:顕在化して語られてはいないのですが、みなさん本能的に気づいてはいると思います。これをヒントに競合他社さんの商品開発が冴え渡り始めると怖いですが(笑)。

 

──明太子に炭水化物は想像がつきますが「油」が大事であると。

 

川原社長:軽く油で和えるとうまいんですよ。生臭さを感じる場合でも、ごま油で和えると臭みがなくなり香りが立っておいしくなります。明太子が苦手という人は、ごま油を一滴二滴たらすといいかもしれませんね。

 

──ごま油! 確かにおいしそうですね。やってみたい。

 

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▲やってみたら激うまだった

 

まだまだある! 激うまマッチング

川原社長:あとはツナと混ぜ合わすのもおすすめですよ。チャンクではなくフレークのツナ缶を買って、明太子を合わせるとめちゃめちゃうまいんです。

 

──ツナも油が入ってますもんね! 想像するだけでおいしそう。

 

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▲これも文句なしにうまい!

 

川原社長:ツナもちょっといいやつが良くて。おすすめは由比缶詰所さんのツナですね。弊社の明太子であれば、レギュラー(辛い方)を調味液と一緒に入れて生のまま混ぜ込むんです。

www.yuican.com

 

──御社からも似たような商品で「めんツナかんかん」がありますよね。

 

川原社長:めんツナかんかんはこの発想から生まれたものです。でも、めんツナかんかんに使われている明太子は加熱していますからね。

 

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▲めんツナかんかん(3缶900円)

 

──生は生でいい、ということですか。

 

川原社長:いいんです。生がまたうまいんですよ。これは製品化できないので、お客様の手でやってもらうしかない。おつまみとしても、おかずとしても……これはもうたまらんですよ。

 

──やってみたくなりました! 炭水化物以外にもいろいろあるとは。

 

川原社長:ありますよ。他にはサラダチキンと合わせる方法も、低糖質ダイエットをしている人から喜ばれていますね。明太子をトッピングして食べて、食べ飽きを回避できます。

 

──鶏ムネとの相性も良さそうです。

 

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▲間違いない、この組み合わせ

 

川原社長:納豆と混ぜるのもいいですよ。ふくやの明太子を使う場合は、ぜひ調味液といっしょにしてください。

 

──うわー納豆もおいしそう! よくホテルの朝食なんかで納豆も明太子も両方出てくるときありますね。

 

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▲混ぜるなキケン。だって白飯がとまらない注意報が……

 

川原社長:別々に食べるのもおいしいですが、たまにはインしてみることをおすすめします。納豆の粘り気の裏から明太子の辛味が顔を出して、うまいですよ。

 

──やはり明太子の食べ方にはお詳しいですね。さすがです。

 

川原社長:私自身、週5回くらいは明太子を食べます。常に「新しい食べ方はないかな」と思って、いろんな食べ物と合わせて試したりしていますよ。世界中の炭水化物や油と合わせて食べてみたいと思っています(笑)。

 

明太子が世に広まった最大の理由

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──明太子がこの世に誕生したばかりの頃、まだ誰もその存在を知らない中で、何がきっかけで広まったのでしょうか?

 

川原社長:明太子が誕生した当初は「少量でご飯がたくさん食べられる」というメリットが評価されたことにつきますね。明太子が広まった昭和30年~40年前半は、そんなに裕福な家庭ばかりではありませんから。普段の食事も白飯メインで「白飯をどう食べるか」ということだけが課題の食事だったわけです。

 

──そんなところに新しい白飯のおかずとして彗星のごとく現れた。

 

川原社長:「塩ジャケとか昆布だけとか飽きたよ」というところに新しいおかずの選択肢として明太子が登場しました。「ご飯がすすんでうまいね!」と喜ばれたのが広まったきっかけです。

 

──でも、明太子って毎日の食卓に並ぶには、値段が高いんじゃないですか?

 

川原社長:実は明太子のグラム単価は、今の時代が一番安いんです。しかし、当時は塩分濃度がかなり高かったので、一食で食べる量がかなり少なかったんですよ。透けて見えるくらいうすーく切ったものが一食分でした。

 

── 一食あたりの単価が安かったんですね。

 

川原社長:そうです。現在、明太子は5%程度の塩分濃度ですが、誕生当時の塩分濃度は12%くらいでした。

 

──えっ、倍以上……!

 

川原社長:主婦目線で言うと、明太子をうすーく切って食卓に出すだけで、一品料理を作らなくてよくなるわけです。時短にもなる、優秀なおかずだったんですね。

 

明太子好きほどメーカーにこだわらない!?

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──明太子の味がここまで長く愛され続けている理由はなんだと思いますか?

 

川原社長:まず第一に、明太子のおいしさの構成要素の大部分が魚介の旨味であることでしょうね。昆布のグルタミン酸系の旨味と、かつおのイノシン酸系の旨味が明太子の味の構成要素であり、この味は元来日本人が好んできた味です。

 

──誰もが納得できるお答えだと思います。

 

川原社長:明太子はメーカーによって味が違うので飽きにくいところもいいですね。日常的に明太子を食べている明太子好きの人はブランドを指定せずに、いろんなものを食べる傾向がありますよ。

 

──へぇ、それは意外でした。「うちはこれじゃなきゃ」みたいな感じで決めているのかと。

 

川原社長:贈答はブランド指定が多いんですよ。日常使いは、気軽にいろんなメーカーを買う人が多いですね。

 

──さきほどアレンジ術を教えてくださったとおり、いろんなものにも合いますし、調味料に近い使い方ができるのもメリットですね。

 

川原社長:そうですね。明太子はこれからの時代はもっと、料理をおいしくする引き立て役として、調味料のように活用されていくと思います。

 

明太子になれる卵はナント10分の1

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──数ある明太子の中で、ふくやの明太子の特徴はどんなものでしょうか?

 

川原社長:「シンプル」ということですね。魚卵の旨味があって、魚卵の臭みを抜いて、新たに調味液で旨味と辛味をつける、シンプルな考え方でつくられた明太子です。

 

──シンプルであり続けるためには、何が必要ですか。

 

川原社長:臭みがない新鮮で上質な原料ですね。

 

──やっぱり原料が一番大切である、と。

 

川原社長:ふくやの明太子は、船で獲れたうちの10分の1しか使えませんからね。良い原料だけまとめたものを仕入れるのですが、それでも4割程度しか明太子には使えません。

 

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▲工場にあったパネルより。選ばれし卵だけが明太子になりうるのだ

 

──それほど厳選した原料だからこそ、シンプルな加工や味付けで十分おいしいんですね。

 

川原社長:漬け込みの時間も短いんですよ。1日から2日くらいなのでかなりの浅漬けといっていいでしょう。

 

──浅漬けでおいしくなるのも、原料に臭みがないからでは。

 

川原社長:そうです。長く漬けすぎると旨味も抜けてしまいますからね。

 

──そこまで徹底したシンプルさにこだわる理由はどこにあるんでしょう。

 

川原社長:雑味がなくうまみがしっかりある原料の美味しさを活かすというのももちろんですが、お客様にいろんな食べ方を楽しんでほしいという想いもありますね。

 

──特徴が強いと使い方が限定されてしまいますしね。

 

川原社長:そうですね。シンプルな明太子なので、自分でチョイ足ししてイジるのには最高の明太子だと思います。

 

ふくや「らしさ」は唐辛子にあり

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──ふくやのおいしさのカギは原料の品質にあることはよく分かりました。

 

川原社長:それだけではありません。他の大切な要素として「唐辛子」が挙げられます。唐辛子はまさに、ふくやの肝です。

 

──そんなに唐辛子で他社と差があるんですか?

 

川原社長:弊社の明太子を特徴づけているのは、唐辛子の香りの部分が大きいですね。最近の明太子の主流はあまり唐辛子を使わない方向になっているんですが、ふくやの明太子は「これでもか」というくらい唐辛子を多く使います。

 

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──確かに唐辛子のピリッと感がほかのメーカーよりも強いと思います。でも、そんな激辛という感じではなく、さわやかな辛さです。

 

川原社長:唐辛子の量は多いんですが、辛いだけではありません。香りを出す唐辛子、甘みを出す唐辛子、辛味を出す唐辛子に隠し味が混ざって、明太子の調味液はできています。

 

──唐辛子へのこだわりは、明太子が誕生した初期の頃からですか?

 

川原社長:そうですね。創業当時と同じメーカーさんのものを使い続けています。

 

──唐辛子の配合は当時から変わっていないんですか?

 

川原社長:いえ、配合は変わり続けていますね。というのも、唐辛子って同じ品種でも、年によって味が変わるんです。ですから、唐辛子メーカーさんが毎年の出来に対応しながら配合を変えていますよ。

 

──毎年唐辛子の出来が違うのに、「ふくやの味」に仕上げて納品するというのはすごいですね。

 

川原社長:まさにプロの仕事ですね。さすがにノウハウはメーカーさんの社外秘で、私たちも何を使っているかは知っていますが、毎年の配合比率までは分からないんですよ。その唐辛子メーカーさんがなくなると困りますね。

 

味わいが変わり続けるわけは……

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──ふくやの明太子の味は、時代に合わせて変えていっているんですか?

 

川原社長:明太子の味はずっと変わっていっていますね。毎年、気づかれない範囲でじわじわと変えていますよ。

 

──そういう嗜好の変化はどのようにして感じ取るのでしょう。

 

川原社長:弊社の場合は、明太子をすべて直営店で販売しているので、お客様の反応がダイレクトに分かります。主に店頭でのお客様の反応や、アンケートから判断していますね。

 

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──それで傾向が見えてくるものなんですね。

 

川原社長:たとえば味を変えていないのに「塩辛い」という声が多くなっていると、お客様はしょっぱくないものを求めるようになっているということです。いろんな要素を見ながら、その年その年の味をどうするかとか考えています。

 

──お客さんに気づかれない程度に味を変えるのはなぜ大切だと思いますか?

 

川原社長:変えないと「味が落ちたね」と言われます。人間の味覚は本当に贅沢で、同じ刺激だったら同じようには感じないんですよね。だからこそ、お客様がお気づきにならない範囲内で少しずつ時代に合わせて変えていく。これが理想の姿でしょうね。

 

──なるほど。お話をうかがい、これからも明太子はもちろん、ふくやも愛され続けるだろうと思いました。

 

川原社長:ありがとうございます。私たちを愛し、育ててくださったお客様と地域ひとすじに、これからも歩んでいきたいと思います。

 

──貴重なお話を本当にありがとうございました!

 

少しだけ違いを知ってうまい明太子を食べよう!

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ふくやの川原社長の話をまとめると、うまい明太子の違いは、主に以下の2点でした。

  • 明太子に適した成熟度の原料を使用している
  • 船内加工した新鮮な原料を使用している

 

この記事で紹介した食べ方はかんたんにできるものばかりですし、ちょい足しするだけでけっこう化けますので、ぜひ体感してみてください。

明太子の魅力は、各メーカーで味に違いがあったり、様々な食べ物に合わせやすく、食べ飽きがこないことにあります。

 

僕も今回、川原社長に教わったいろんな明太子の食べ方を試したせいで、明太子のマイブームがきてしまいました。やみつきになる。

 

福岡を訪れた際には、ふくやはもちろんですが、様々なメーカーの明太子に触れてみてくださいね!

www.fukuya.com

書いた人:大塚拓馬(おおつか・たくま)

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福岡に住む九州を愛するライターで二児の父。グルメ、旅行、子育てに関する記事を多数執筆。便利で心を動かす記事を書きたい。取材が大好きで、情報量の多い記事を目指しています。

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