飲兵衛必読の新雑誌『酒場人』創刊記念! パリッコ×スズキナオの酒場対談

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2015年12月8日、オークラ出版より新しい雑誌『酒場人』が創刊された。

作家、漫画家、ミュージシャンら著名人がそれぞれの“酒場愛”をディープに語る内容で、その通好みかつ豪華なラインナップは以下のとおり。

 

【対談】

  • 吉本ばなな(作家)×ユザーン(タブラ奏者)
  • 押切蓮介(漫画家)×山本さほ(漫画家)

 

【インタビュー】

  • ラズウェル細木(漫画家)
  • 吉田戦車(漫画家)
  • かせきさいだぁ(ミュージシャン)
  • 坂崎重盛(作家)

 

【飲み歩き企画】

  • 清野とおる(漫画家)

 

それぞれが実際に居酒屋などで飲みながら、お気に入りの酒場、些細なこだわり、酒にまつわる失敗談など、この本でしか読めないエピソードを語っている。

 

また、各界で活躍するライター陣による幅広い読みものも見所のひとつで、せんべろ古本トリオ(安田理央/とみさわ昭仁/柳下毅一郎)は、電車を乗り継ぎながら古本屋と大衆酒場を交互にめぐる「せんべろ古本ツアー」をレポート。

 

他にも立ち食いそば屋、焼肉屋、回転寿司、公営ギャンブル場、銭湯などなど、様々なシチュエーションにおける至福の飲み方を考察するコラムや、レポ漫画なども充実している。

 

さらに取材班が実際に飲み歩いた酒場を紹介する「エリア特集」は、鎌倉・湘南・横浜(野毛)が舞台。有名店や、押さえておくべき名店のみにはこだわらず、地元民が愛する大衆酒場、定食屋、バーなど、他誌ではあまり見られないようなディープな酒場が多数登場する。

 

……と、ニュースっぽく始めてみましたが、よくありがちな“居酒屋データ本”とは一味違う、酒場へのこだわりと愛がたっぷり詰まった濃厚な“酒雑誌”が新創刊されまして、なんとその本の「監修」という大役を、いつも連載「ほろよい調査隊」でお世話になっております、僕ことパリッコがつとめさせていただきました!

 

そこで今回は「メシ通」さんのこの場をお借りし、飲み仲間であり、本誌の編集/執筆に多大なるお力を貸してくださったフリーライターのスズキナオさんと僕による、裏話満載の酒場対談を行わせていただきたいと思います!

 

何卒、お付き合いいただければ幸いです。m(_ _)m

 

唐突に実現した吉本ばなな×ユザーンの異種格闘技飲み

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▲今回の対談会場は新橋の某立ち飲み屋

 

スズキナオ(以下ナオ):パリッコさん、『酒場人』の監修、お疲れ様でした。

 

パリッコ(以下パリ):ありがとうございます!

 

ナオ:そもそもどういう経緯でこの本を作ることになったんでしょう。これまでの飲み歩きの成果が実を結んだんですか?

 

パリ:そう言われるとすごく気恥ずかしいんですが、強いて言えば、酒場で飲んではそのことを記事として記録したりと、アウトプットを続けてきた成果と言えなくもないのかもしれません。版元のオークラ出版の方が僕のそういう活動を応援してくださってたみたいで、「一緒に本を作りませんか?」と。

 

ナオ:すごい! そして完成した『酒場人』は、お店のデータ集というよりは、お酒を楽しむ雰囲気そのものを形にしたような、珍しい雑誌ですよね。

 

パリ:僕もよくこんな本が出版されたなって。オークラ出版さん、まさに酔狂というか。

 

ナオ:すごく多方面から著名人が参加していますが。

 

パリ: ありがたいことです。これまでに僕が様々なお酒の席で知り合わせていただいた方々が、たくさん、快く参加してくださって。まさに酒の神様が導いてくれたという感覚です。

 

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▲メシ通「ほろよい調査隊」ライターであり、今回『酒場人』の監修を担当したパリッコ

 

ナオ:まず、吉本ばななさんの名前を見て驚きました。しかもユザーンさんとの組み合わせって一体なんなんだろうと。異種格闘技戦みたいじゃないですか。

 

パリ:それこそ僕も恐縮すぎる出会いだったんですが、ユザーンさんとは以前からたまに飲みに行かせてもらってたんですね。ある時「飲もうよ~」って連絡もらって、僕が練馬の飲み屋をご提案してそこで飲んでたら「今日吉本ばななさんにも声かけてみたよ。あとで来るかも」とか急に言われて、こっちにしてみたら「え!!? 」って。

 

ナオ:「あの!? 」って思いますよね(笑)。

 

パリ:本当ですよ!「あの」じゃなかったらどの? って感じですが(笑)。ユザーンさんとばななさんはもともと、お互いを本名から「まほちゃん」「湯沢くん」って呼び合うほど仲良しで。それで、僕が作った「酒たぬき」というキャラクターのLINEスタンプをばななさんが気に入り、お互いに使ってくださっていたというありがたい話があって「あれ描いたやつと飲むから来ない?」みたいに声をかけてくれたという。ものすごく粋な男なんです! ユザーンさんという人は。

 

ナオ:そして日常の中に、急にばななさんが現れて。

 

パリ:現実感なかったですよね。その日「友愛(肉料理の美味しい居酒屋)」~「ひょうたん(大衆的タイ料理立ち飲み)」という練馬の酒好きなら誰もが飲み歩いたことのあるコースをたどったんですけど、そこにユザーンさんとばななさんがいるという。ひょうたん名物の激辛おにぎりを食べて「辛い~!」とか言って。

 

ナオ:「ばななさんほどの人でも、辛いと思うんだ!」って。

 

パリ:当たり前なんですけどね(笑)。

 

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▲吉本ばななさん×ユザーンさん+パリッコ、鼎談収録時の様子

 

ナオ:素朴な疑問として、そんなすごい方たちと同席して緊張しないですか?

 

パリ:そこはあの、最初はもちろん緊張しますけど……あとは酒の力で(笑)。

 

ナオ:ははは、酒の力すげー。でも確かに、美味しいつまみとかを食べた時、感じることはみんな大体同じですもんね。

 

パリ: そうそう。「これうまいね!」「そうだね!」って。西野カナの歌よりも幅広い世代が共感するテーマというか。

 

ナオ:うまい店の肉豆腐とか、累計100万枚以上売れてますもんね。

 

パリ:今まで肉豆腐より売れたCDはないんじゃないかな?

 

ナオ: CDの負けだぁ。

 

理想の酒場の条件は、ホッピーのナカがなるべく多い店!?

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▲スズキナオさん。「チミドロ」というテクノラップバンドのリーダーでもある

 

パリ:『酒のほそ道』という、飲兵衛のバイブル的漫画の作者、ラズウェル細木先生にも登場していただいたんですが、ばななさんと共通するのが、偉大な人ほど偉ぶらないし、本当に立場の違いによる垣根を感じさせないようにしてくださるんですよね。

 

ナオ:我々、たまにラズウェル先生と飲ませてもらったりしますが、世代もずいぶん上の大先輩なの「教えてやる!」みたいなこと一切ないですもんね。自分が今後何年もお酒と上手に付き合っていくことを考えたら、すごく色々なハードルがありそうじゃないですか? 健康とか。

 

パリ:ですよね。だけどラズウェル先生なんか、どう見たって若いし、スマートだし、本当すごいですよね。あの方こそ日本の酒飲みの鏡だって思うなぁ。それでいて、ちょっとネタバレになっちゃいますけど、インタビュー中で先生が語ってくれた理想の酒場の条件が「ホッピーのナカがなるべく多い店」という(笑)。

 

ナオ:庶民感覚までも忘れてない(笑)。ラズウェル先生のインタビュー会場は、石神井公園の「スマイリー城」でしたね。先生が焼鳥を焼いてる写真がまた良くて。

 

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▲先生が焼鳥を焼いてる

 

パリ:そうそう。お客さんが自分で焼き鳥を焼ける店なので。まず店員さんに「どっち側の人が焼き手をやりますか?」って聞かれるんですよ。それによって配置が変わって。で、僕はインタビュアーなんですけど、「あ、そっち側でお願いします」って(笑)。絵的に絶対、先生が焼いた方が面白いと思ったからなんですが、そういうことも笑って許してくれるという。

 

ナオ: 先生の焼いた焼鳥を食べたなんていいなー。

 

パリ:絶品でした。

 

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▲焼鳥の味を思い出して酒を飲むパリッコ

 

「うまいもの」が好きか、「酒場」が好きか

ナオ:吉田戦車先生の取材には、僕もはしっこの方で立ち会わせていただいて光栄でした! 大ファンなので。

 

パリ:僕もです。我々の世代は特に影響受けてますよね。学生時代、夢中で『伝染るんです。』や『ぷりぷり県』を読んでいた自分が、まさか先生と酒場で同席する日がくるなんて思ってもいませんでしたよ。

 

ナオ:ね! そして戦車先生も穏やかで、どんな店にも良いところを見つけて愛しそうな、器の大きさを感じましたね。

 

パリ:共通してますよね。そういう寛大さって、場や人をどれだけ楽しめるかっていう、「うまいもの」が好きか「酒場」が好きかっていう違いというのがひとつ、ポイントとしてあると思うんですけど。

 

ナオ:確かに。会場となった吉祥寺の「闇太郎」も、お客さんでもマナーが悪ければ遠慮なく注意したりする、愛すべき大将のいる居酒屋なわけで、それに対して「こっちはお客様だぞ!」って怒る人もいれば、戦車先生のようにそういう部分も含めて楽しみ、通うお客さんもいて。

 

パリ:闇太郎の大将なんか最高すぎて、うちら一発で惚れましたけどね(笑)。

 

ナオ:はは。で、さらには、家での料理、晩酌の楽しみ方の話などもたくさんしてくださって。

 

パリ: 最高でした。家族でキャンプへ行って、周りはみんなバーベキューしてるなか、ガスコンロでおでんだけ食べた話とか。しかもお子さん連れで(笑)。「練り物は甘すぎて飽きる。大根が普段の2倍おいしかった」みたいなことを大真面目に語る楽しみというか。

 

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▲「すごい引力をもった店だったな~」と闇太郎に思いをはせる

 

磁場は「赤羽」じゃなくて「清野とおる」なのかも

ナオ:『東京都北区赤羽』の清野とおる先生と、赤羽の“赤”ではなくて違う色の付く街で飲もうというコンセプトで「白山」で飲み歩いてた企画も面白かったです。あれ、かなりの時間、ただ歩いてるだけでしたよね。

 

パリ: あの日、2時間くらいはただ歩きました(笑)。

 

ナオ:危うく酒場が関係なくなりそうな。でも清野さんと歩いてたら、それだけで酒が不要なくらい楽しそうですよね。

 

パリ:清野さん初のグルメ漫画『ゴハンスキー』の単行本第1巻に、僕も何話か登場させてもらってるんですね。その中で、全然赤羽じゃない、僕の地元の練馬区に清野さんが来てくれて一緒に飲むエピソードがあって、そういう時もやっぱり、清野さんの周りだけにおかしな人が現れるんですよね。強力な磁場を持っているのは、実は「赤羽」じゃなくて「清野とおる」なんじゃないかっていう。かせきさいだぁさんと清野さんも面識があったらしいんですが、かせきさんも清野さんに対しては同じようなことを言われてて。

 

ナオ:(笑)。かせきさんのお話にも色々な発見がありました! 俺、インタビューでかせきさんが出身地である静岡の話をたくさんされているのを読んで、さっそく静岡までおでん食べに行きましたもん。

 

パリ:それはすごい! 確かに聞かせてくださる話が全部、なんだか幸せそうで、真似したくなるんですよね。こたつの上に新聞紙敷いて、大好物の落花生をバリバリむきながら食べるとか、忘れかけてた幸せの形だなって思いました。

 

ナオ:実家が酒屋と居酒屋をやっていて、 小さい頃から“ザ・酒場”な環境で育っていたというのも意外で。

 

パリ:実家がそういう人って、僕らからするとサラブレッドなわけで、まさかシティー派、世田谷カルチャーのイメージが強いかせきさんが生粋のサラブレッドだったとは!と。僕はとにかく昔からかせきさんのファンで、じっくりとお話を聞いて人間的にもさらに大好きになってしまいました。あまりにも質問しすぎて、全体の1/10 くらいしか本誌に収録できなかったのが残念で……。LB(リトル・バード・ネイション)黎明期のお話なんか悶絶ものだったんですが。

 

ナオ:たまりませんね! それでもかなりボリュームありましたよね。でも確かに、どの対談も、収録できたのってほんの一部でしょう?

 

パリ:そうなんですよ。何しろ本当にがっつりと飲みながらなんで、押切蓮介先生と山本さほ先生が、超ディープなゲームトークを30分くらい繰り広げていても、面白すぎるけど収録できないですもんね。

 

ナオ:その対談の中では、漫画『岡崎に捧ぐ』に出てくる幼馴染の「杉ちゃん」こと、ミュージシャンのディスク百合おんさんが、実は山本先生にとってすごく重要な役目を担ってたってことがわかって面白かったです。

 

パリ:彼がいなければ『岡崎に捧ぐ』はこの世に誕生していなかったのかもしれないという。ただ、その話はファンの間では有名だったりするんですが、その時の詳細な状況を聞くと、ところどころ美談でもなかったり(笑)。そこにも酒に酔った勢いがあったりして、そのあたりの話がひっくるめて聞けたのは最高に面白かったですね。

 

尊敬できる酒場人の共通点は「偉ぶらないこと」

ナオ:そして最後に、坂崎重盛さんのインタビューがこの1冊に重厚感を与えていて。

 

パリ:今回のインタビューで唯一僕が同席できなかったのですが、編集部からの強い推薦でご登場いただきました。僕も大好きな『東京煮込み横丁評判記』という本では、本当に気取らない飲み歩きエッセイを書かれてたりしますけど、実際に昔、僕とナオさんで立石で飲み歩いた時、路面店の、それこそ超~大衆的な飲み屋でお見かけしたりしましたよね。

 

ナオ:うんうん! ああいう店に普通にいるのはすごいっすね。

 

パリ:江戸川橋の居酒屋にいらっしゃるのを見たことあって、本当に現場主義というか。

 

ナオ:かっこいいですねー。

 

パリ:THE ALFEEの坂崎さんの叔父さんにあたる人で、文化人としての憧れでもあったらしいですよね。で、やっぱり気取らずに色々話してくださるんですが、その話に重みがありすぎて。

 

ナオ:文化とともに酒がある感じで、東京の少し昔の風景も出てくるし、 歴史を感じましたね。

 

パリ:ロマンのある、憧れる世界ですよね。ただ、感覚はやっぱり変わらない、というとおこがましいんですが、今回のインタビューの中でも、阿佐ヶ谷の某ロックバーで、どう見ても混んでないのに「満席です」って断られてしまったらしく、それを怒るんじゃなくて楽しんでたりして。そういう、おごらない、偉ぶらないっていうのは、言ってみれば、尊敬できる全酒場人に共通する部分なのかなと。

 

ナオ:そこは通じてますよね、みんな。

 

パリ: 通じすぎててこわいっす。

 

ナオ:まとめると、そういうお酒の楽しみ方のヒントがたくさん詰まった本ということですね。

 

パリ: そうなんです。わかりやすいまとめありがとうございます!

 

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▲キャッシュオンの立ち飲み屋で残った小銭は、次の店に持ち越しがち

 

というわけで『酒場人』、とても短時間で魅力を伝え切ることのできないような、本当に濃密な一冊に仕上がりました。

今回エピソードをご紹介したような対談、インタビュー以外にも、ちょっと他では読めないようなディープな記事がたっぷりと詰まってて、読めば酒場に繰り出したくなること間違いなし。コンビニ、書店などでお見かけの際は、是非手にとってみてください。

 

2016年4月18日には第2号目も発売予定。乞うご期待!

 

書いた人:パリッコ

パリッコ

DJ/トラックメイカー/漫画家/居酒屋ライター/他。FUNKY DANCE MUSIC LABEL「LBT」代表。酒好きが高じ、雑誌、Webなどの媒体で居酒屋に関する記事を多数執筆中。

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【閉店】福岡最強のトルコライス!普通盛りでもお腹が破裂寸前なんですけど……「HANAMARU厨房」

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おつかれさまです!

メシ通レポーターのマツータケシです。

 

あっ、今、お腹がパンッパンで爆発寸前なもんで、ちょいと口調が変になっとりまぁ〜っす。

これが噂の大食い'sハイってやつですね。

 

さてさて、何が起きたかというと、そう、喰って喰って喰いまくったんです。

全国に名を轟かすほどデカ盛りのトルコライスを。

いや〜、そりゃぁもう、びっくり仰天の助サイズ!

プロのフードファイターも挑戦するレベルなんですもん。

 

そんなデカ盛りトルコライスを出している店はというと、春吉にある「HANAMARU厨房」という料理店です。

店を構えて17年。数々の大食い自慢の鼻っ柱をへし折ってきた、「福岡のデカ盛りといえば」の代表的な店です。

 

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店内のグラフィティもなんだか挑発的!でも、マスターやお母さんたちは、なんともにこやか。アットホームな店でございます。

 

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各種定食に、カレーピラフパスタなんかを提供するお店なんですが、訪れるお客のほとんどが注文するというのが、名物のトルコライス。 

 

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ドライカレーの上にビッグサイズのトンカツが一枚のって、その横にはたっぷりのナポリタン「これでもか!」と盛られます。

さらにドライカレーの上から、カレーがどっぷり。実に1kgを超える、大盛りで……ん 違う? これで普通盛り!?

 

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「まじか!?」と叫びたくなるほどの量に、目が飛び出そうです!

大盛りは1.5倍得盛りは2倍、そして、なんとなんと、バカ盛りは3倍量のパスタ&ドライカレーに加えて、もう一枚トンカツが付いてきます。

これを平らげる人、いやもう、マジで次元が違います……。人間ブラックホールです。胃袋無限大です。刺身だと6〜7人前がイケちゃうような大皿に、モリッと乗っかってくるんですから。

 

いやいや、こりゃあ充分にヘビー級。男性でも食べきれない人が続出するというのも納得ですな。

あっ、ちなみにこれは『トルコライス』のウラバージョンというメニュー。飯はチキンライスで、パスタはカレー味のインディアン・スパゲッティ。そして、オモテと同じくBIGトンカツの上からカレーがかかっています。

 

そして2倍サイズの得盛りの登場です。

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うへぇ〜、やっぱすっげ〜ボリューム。総重量2kgの曙クラスです。並べてみると、とんでもない。

 

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いわゆる小錦サイズのバカ盛りは、写真の普通盛りと得盛りを足した量ってわけで。もう、凄すぎて声になりません。

 

てなわけで、いざ挑戦スタートです。

まずはウラヴァージョンのカレーがかかったチキンライスをパクリ。

 

「おっ、ウマい!」


独自に調合したスパイシーなカレーが食欲をそそって、「これは案外、完食イケちゃうかも!?」となります。同じくドライカレーのスパイスの爽やかな香りにもご満悦。

「今回は取材だから特別」と、そのままナポリタンにもインディアン・スパゲッティにも手を伸ばしてみると、やっぱりウマい! トンカツもジューシーで食べ応えあり。ボリュームに注目が集まりがちだけど、この味こそが話題の秘訣だと頷けます。

 

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、、、、、、、3分後(完食まで後3/4)。

「ははは〜(笑)、ぜんぜん平気っス。こりゃいけるな」

 

、、、、、、、7分後(完食まで後1/2)
「あれ? いやいや、まだまだ、まさか半分というわけにはいかんしね。大丈夫大丈夫、イケるイケる」


、、、、、、、15分後(完食まで後1/4)
「う〜っぷ」。お腹がじわじわと悲鳴を上げてきました。


、、、、、、、20分後(完食まで、あとちょい)
「(無言)」。やばい、ナメてました、、、。


、、、、、、、25分後
「ぐふぁぁぁぁ」。なんとか、完食いたしましたぁ〜。普通盛りのみですが、、、。

 

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もう、無理です。お腹がはち切れそうです。得盛りなんてとんでもない。もう、米一粒たりとも入りません。

試合に勝って、勝負に負けた気分です。

ちなみに、これまでにデカ盛りを平らげた強者は40名ほど。女性の完食者も結構多いそうです。今年のデカ盛り完食者はまだ2人のみ。

 

ちなみにちなみに、カレーの辛さは「普通」「辛口」「大辛」「激辛」「死に辛」があり、「死に辛デカ盛り」の完食者は未だに0人だそう。

ただし、チャレンジに失敗すると「ヘタレノート」に反省文を書かなくちゃならないというのが店のおもしろルール。逆に大盛り以上を完食すると「完食ノート」に栄光の名を刻むことができるので、ぜひぜひ、チャレンジしてみて〜。

 

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お店情報

【閉店】HANAMARU厨房

住所:福岡福岡市中央区春吉2-2-5 エステートモア天神スタジオ1階
電話:092-762-8280
営業:11:30〜15:00/17:00〜24:00ぐらい(土曜、祝日12:00〜15:00/17:00〜24:00ぐらい)※売切れ次第終了
定休日:日曜日

※このお店は現在閉店しています。
飲食店の掲載情報について。

 

書いた人:マツータケシ

マツータケシ

福岡在住。某出版社を経て、フリーのカメラマン&ライターとして活動中。好きな言葉は「一日三度のメシ」。福岡の安くてうまい穴場を発掘することにはまっている。

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名古屋生まれの全国区お菓子「しるこサンド」の専門店!「しるこサンドの森 あん・びすきゅい」

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名古屋人は大のあんこ好き。バタートーストにたっぷりとあんこをのせた「小倉トースト」を朝から食べるし、小倉とマーガリンをサンドした菓子パン「小倉&ネオマーガリン」がスーパーやコンビニの売れ筋ランキングに常時入っているほどだ。

 

なぜ、そんなにもあんこが好きなのか。その理由は東海地方の茶の湯文化が大きく関わっているらしい。東海地方では江戸時代末期頃から茶の湯が大流行し、抹茶を楽しむ習慣が市井の人々にまで広がったそうで、その名残として、今でも和菓子を扱う店の数は全国でもトップクラスなのだ。

 

何でも、物資が不足していた終戦後でも、なぜか名古屋には砂糖が豊富にあり、あんこを使った和菓子も作られていたらしい。余談だが、米粉と砂糖を原材料とした「ういろう」も終戦後ほどなくして生まれたという。あくまでも仮説の域を出ないが、甘いものが身近にあったからこそ、独自のメニューが生まれたのだろう。

 

話題の秘密は「3枚食べてじんわりと広がる絶妙な甘さ」

さて、今回はそんな名古屋人が大好きなあんこを使ったお菓子「しるこサンド」を紹介しよう。

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名古屋人にとってはすっかりお馴染みどころか、名古屋のソウル菓子ともいうべき存在だが、知らない方のために「しるこサンド」について解説する。

 「しるこサンド」の製造元は、愛知県小牧市に本社がある松永製菓(株)。創業は昭和13年で、もともとはキャラメルを作っていたという。

 

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▲松永製菓株式会社、広報担当・藤田大輔さん

 

昭和31年にはビスケットの製造を開始しましたが、ずっと看板商品と呼べるものがなかったんです。そこで、洋菓子のビスケットに和の要素を加えられないかと考えたのがはじまりです(広報担当、藤田大輔さん)

 

和の要素。それが地元で圧倒的に支持される「あんこ」だったわけである。当時からクリームをサンドしたビスケットを商品化していたが、それらと差別化するべく、ビスケットの生地とあんこを焼き上げる前にサンドするという、独自の製法を試みた。

 

ところが、生地とあんこが剥がれてしまうという問題が起こりました。試行錯誤を繰り返した結果、構想から1年後の昭和41年に『しるこサンド』が誕生しました。物珍しさもあって、またたく間にヒット商品となりました(藤田さん)

 

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ビスケットにサンドしているのは、北海道産のあずきとリンゴジャム、はちみつなどを練ったあん。粒あんではなく、こしあんを使っているため、「おしるこサンド」も商品名の候補に挙がったが、語呂のよさから「しるこサンド」と名付けられた。

 

味の決め手は、ほのかな塩気がきいたビスケットと甘~いあんことのバランス。食べはじめると、手が止まらなくなるのだ。味付けにも相当なこだわりがあるそうで、「おしるこの味ですが1枚食べただけではわからないように作ってあります。3枚食べた頃にじんわりと甘さが広がります」と藤田さん。

 

なるほど、最初の1枚目からいきなりあんこの甘さが広がってしまっては、甘ったるくて2枚、3枚と手が伸びない。この緻密な計算こそ「しるこサンド」が半世紀もの間ずっと愛されている秘密なのだ。

 

あらゆる「しるこサンド」が一堂に会する夢の専門店

「しるこサンド」は、全国のスーパーやダイソー、セリアなどの100円ショップで購入できるが、今回は極めつけの販売店を紹介しよう。

まずは松永製菓(株)が手がけるボウリング場、小牧国際ボウルの敷地内にある「松永製菓直売店」。

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ココは知る人ぞ知る「しるこサンド」ファンの聖地なのだ。って、それは言いすぎか。

 

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ここのウリは検品の際に割れていたりして規格外となった商品を格安で販売している点。味は正規品とまったく変わらないので、かなりお得だ。

 

さらに、2014年2月には同じ敷地内に「しるこサンド」の専門店「しるこサンドの森 あん・びすきゅい」がオープンした。

 

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店内は、

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どこを見ても、

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「しるこサンド」だらけ!!!

 

ロングセラーの「しるこサンド」(155円)や、

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個別包装の「スターしるこサンド」(120円)や、

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クラッカータイプの「しるこサンドクラッカー」(105円)など、

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いろんな「しるこサンド」が一堂に会しているのだ!

 

なかには、ココでしか買えないレアな商品も。通常の「しるこサンド」15枚分のボリュームがある「メガしるこサンド」(250円)がそれ。 

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確かにデカイ。

 

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そのサイズ感は比べてみると一目瞭然。

 

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この「メガしるこサンド」は、しるこサンドに使う生地を型で抜いたりと手作業の部分が多いんです。そのため、量産ができず、オープン当初は品切れになることもありました。お土産に買って行かれる方が多いですね。(藤田さん)

 

店内奥にあるカフェスペースでは、しるこサンドをはじめとするビスケットが食べ放題の「ビスケットバイキング」(400円)を実施している。

 

すっきりしたイメージの店内では、

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しるこサンドが、

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食べ放題!

 

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どれだけ

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食べても、

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たったの

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400円!!!!!

 

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ビスケットの内容は随時入れ替わり、常時10種類以上が並ぶ。

 

ビスケットだけでは口の中がパサパサになってしまう……と思いきや、コーヒーやソフトドリンクも飲み放題だった。

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いやぁ、これは喫茶店に行くよりもおトクかもしれない。

 

構想10年、究極の逸品「生しるこサンド」

ところで「しるこサンドの森 あん・びすきゅい」最大の目玉は、2014年2月のオープンとともに新発売となった半生タイプの「生しるこサンド」。種類は、つぶあん、こしあんの2種類だ。

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▲つぶあん(160円)

 

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▲こしあん(140円)

 

「生しるこサンドを多くの方に食べていただきたくて、ここをオープンさせたと言っても過言ではありません」と、藤田さんが自信たっぷりに語る「生しるこサンド」とは、いったい何なのか?

 

構想は10年ほど前からありました。当時、生キャラメルや生カステラが流行っていまして、何とかそのブームに乗りたいと。生地には、しるこサンドの生地とほぼ同じ材料を使っているものの、納得がいく味や食感を生み出すまでに時間がかかってしまいました。商品化のメドが立ったのは2年前のことです。(藤田さん)

 

実際に食べてみたところ、しっとり食感のビスケット生地のほんのりときいた塩味とあんこを練り込んだ口溶けのよいクリームの甘さが絶妙にマッチしている。「しるこサンド」のDNAをしっかりと受け継ぎつつ、1ランク上の高級感溢れる味を実現させたのだ。

 

生しるこサンドの生地やクリームは工場のラインで製造していますが、クリームを絞ったり、生地にサンドしたりするのはすべて手作業で行っています。オープン当初は品切れになることが多くて、社員総出で夜なべして作りました。(藤田さん)

 

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あんこを使った洋菓子は世の中には沢山あるが、お世辞抜きにこれはかなり完成度が高い。長年にわたって「しるこサンド」を製造してきた技術力の賜だろう。

 

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現在、某有名百貨店などいたるところから「生しるこサンド」を売りたいというオファーが相次いでいるそうだが、賞味期限が短いということからすべて断っているという。だから、食べられるのは全国でもココだけ。

食べてみたい人はぜひとも行ってみるべし!

 

お店情報

しるこサンドの森 あん・びすきゅい

住所:愛知県小牧市大字西之島330
電話番号:0568-72-1211
営業時間:10:00~18:00
定休日:月曜(祝日の場合は営業)
取材協力:松永製菓株式会社

 

書いた人:永谷正樹

永谷正樹

名古屋を拠点に活動するフードライター兼フォトグラファー。地元目線による名古屋の食文化を全国発信することをライフワークとして、グルメ情報誌や月刊誌、週刊誌などに写真と記事を提供。最近は「きしめん」の魅力にハマり、ほぼ毎日食べ歩いている。

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