
日本には古来より、勝負事の前に「絶対に勝つ」という願いを込めてトンカツを食べるという験担ぎがあります。しかし、実際トンカツ屋さんにいくと……、

トンカツといっても肉の部位や等級など、さまざまな種類があります。
勝ちたいなら迷わず特上と行くべきでしょう。しかし勝負事の前にいつもお金に余裕があるとは限りませんし、トンカツのうまさに勝負の前に脳内で決着がついてしまうかもしれません。故に、一概に特上一択ではないのです。
というわけで、今回はロース3種とヒレ肉を4人で食べてからジャンケンを100回おこない、勝率を算出し、勝負事のまえに食べるべきトンカツを決定します!
大森に発見!隠れ家的トンカツの名店

おしゃれなトンカツ屋、「鉄(くろがね)」さんにお邪魔します。

勝負ごとには負けたくない男たちを招集しました。まず誰がどの肉を食べるかジャンケンで決めます。
ぶっちゃけ、ここが一番の勝負どころです。普段外食に使う値段からとびぬけた2,900円の熟成リブロース。こいつの味が気になって仕方ないのです。
今日の勝負を占う緒戦。トンカツの女神は誰に微笑むのでしょうか。


このように決定しました。ジャンケンで3位だった私は上ロースをいただきます。

一番の勝負所をおさえた熟成くんに2,900円のトンカツの感想をもらいましょう。

……熟成くんは笑みを浮かべ、多くを語ることはありませんでした。
そのうまさを証明するがごとく、彼は2日後、個人的にまたこの店を訪れています。

ヒレさん「おれジャンケンは負けましたけど、こんなうまいトンカツ食べたの初めてかもしれないです。」
特上さん「すげーうまいっすね。ジャンケンしなくていいんじゃないですか(笑)」
勝負に勝てる確率はトンカツの種類で違うかもしれません。しかし、トンカツはうまい。検証するまでもなく、普遍の事実でした。
検証開始
それぞれの肉を食べ終え、カツためのエネルギー、カツ力(かつりょく)が充填されました。メシ通ライターに絶対向かない小食な私は、上ロースを食べ切ることができず。これが結果にどう影響するのでしょうか。

いざ、ジャンケン!

テンポよく進めていきます。
これから30本ごとに、コメントとともに勝負の戦績を見ていきましょう。
30本目

ジャンケン30本目までの集計です。
熟成くんは最初の5戦を全勝する快挙を見せながらも、一気に特上さんに追いつかれました。スタートダッシュを決めたい勝負には熟成リブロースが適しているようです。
またヒレさんの勝率が異様に低いです。脂身のあるロースのほうが、食べた直後の「カツ力(かつりょく)」上昇が大きいのかもしれません。
60本目

酒が進み、だいぶだれてきました。ただのジャンケンが異様に楽しくなってきます。

特上さんと上(私)の一騎打ちの様相になってきました。
すでに燃料が底を尽きたのか、熟成くんが若干戦線離脱をはじめたいっぽう、ヒレさんはまだ土俵にすら上がれていません。
90本目

ここまでくると、だいぶジャンケンへの集中力、やる気が奪われてきます。この時点で20分ほどひたすらジャンケンをし続けているわけですから、無理もありません。

集中力を切らしたヒレさん。グーチョキパー以外の謎の手が出てくるようになりました。

90本目の時点で完全にヒレさんが脱落。トンカツを全部食べ切れなかった私がここにきてトップです。ラスト10回、特上さんからリードを守り切れるか。はたまたラストスパートを見せ始めた熟成くんが底力を見せるか。注目です。
結果発表
最終結果はこちらになります。

上ロース(私)が34勝、3分の1以上の勝率をたたき出しました。値段が高いからといって「勝負にカツ!」というわけではないのです。
結果を考察すると、勝負事の前だから頑張りたいときは奮発しますよね。となると「並」以上のものを食べたいと思います。もしかしたら「上」という言葉が勝負への気持ちを高めているのかもしれません。
一つ言えるのは、脂身の少ないヒレは勝負事には向かないっぽいということですね。
まさかの第二ラウンド
目的を果たし、お会計の伝票をもらったところで、勝率16%のヒレさんから意外な提案を受けます。

ヒレさん「単に100回ジャンケンだと勝負感がないので、もう20本勝負して一番勝てなかった人がお代払うのどうですか。負けても何もないんじゃ燃えないですよ。」
熟成くん「おれはかまわないよ」
特上さん「おれもいいよ」
たかだか勝率16%の分際で何を……言ってくれるじゃないのよ。ぶっ潰す!!

ジャンケン90本目のだらけた雰囲気は吹き飛び、それぞれが禍々しいオーラを放ち始めました。これが勝負ということか……。
ヒレさんの言うとおりだったのかもしれない。これで正しい検証ができる!!
トンカツの神よ!勝たせてくれとは言わない!負けさせないでくれ!!!
勝負の結果

さっきの100戦と勝率が全然違うぞ……。
イカサマしてんじゃねーのか!?と、頭をよぎりましたが酔っぱらって思考力もありません。お腹もいっぱいでとにかく眠いのです。

本来の目的であった100本勝負に勝ったのに、なぜ自分が支払うはめになっているのか。なんかちょっと胃の下のほうが変な感じです。不本意のまま支払いを済ませ、解散となりました。
写真を見返すと怪しい動きが
記事の執筆にあたって写真を選定していると、その時は酔っぱらって気が付かなかったことがいくつか出てきました。
1.特上さんが変だった

全体通してやる気なさそうだった特上さんですが、100本勝負のときにものすごい形相で私の手を見ていたときがありました。
その目つきに関しては、完全に引いてる熟成くんを見てもらえればわかると思います。私の手を綿密に分析していたに違いありません。
2.熟成くん、ヒレさんもそういえば変だった

20本勝負のとき、10本勝負した時点でインターバルを入れました。
そのときの写真を見ると、リードした喜びを外に出すことなくスマホを、私から見えないようにいじっています。残り10回の手を打ち合わせているに違いありません。
とはいっても、特上さんとヒレさんは元から友達同士ですが、2人と熟成くんはこの日が初対面。いきなりイカサマをするような連携プレーはできないはずなのですが……、
3.カメラマンさんからの証言

「そういえば、トイレ行ってたときにみんなでLINEの交換してたよ」
連絡先さえ押さえれば、100本勝負中に熟成くんを買収することも可能です。
これがイカサマの正体なんだろ!!
これら3つの状況証拠を踏まえて考えてみると、こんなことされてたんじゃないかと推測できます。

例えば、図の一番左側の黒枠を見てください。
特上さんがグー、他の2人はチョキを出すよう約束した場合、
- 私がグーを出す……私のジャンケンを精密に分析した特上さんとタイマン。
- 私がチョキを出す……特上さんに敗北。
- 私がパーを出す……あいこ。
そしてこれはグー以外の手の場合でもすべて通用します。
役割をばらけさせ、通常のジャンケンを織り交ぜ、さらに酒を入れれば……特定の一人を勝たせるのは難しくても、誰か一人を負かせるには十分です。

証拠がないためすべて仮説です。
しかし、勝負には負けてお代を支払ったのです。勝負にカツためにはトンカツの種類を考える以上に、「狡猾さ」で「活路」を見出すことも必要。
そういうことなのです。
そういうことなのです……でもトンカツはうまいです!
お店情報
鉄(くろがね)
住所:東京都品川区南大井6-19-16 カテリーナ大森B1
電話:03-6459-6416
営業時間:11:00-14:00 17:00-21:00
定休日:月曜日



