紹興酒の伝道師が織りなすアジア料理が300円から! 中国茶やアジアンスイーツファンにもじわじわ噂が広まっている【福岡・別府】

最初にピータン食べた人すごくないですか? あんなことになっちゃった卵を、なぜ食べようと思ったのか。でもおかげで美味しいピータンを食べられているんですよね。ピータン好きのみなさん、最初の誰かさんに感謝しながら福岡・大名「MAGNOLIAN CAFE & BAR」で最高に美味しいピータンを食べましょう。

エリア大名(福岡)

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こんなピータン、見たことない!

こんにちは、メシ通レポーターのあずま梓です。
紹興酒が好きな人は多いし、「かめ仕込みが最高」なんて言う通もいるけれど、銘柄やメーカーにまで詳しい人は珍しい。私自身、ここのマスターと話すまでは、紹興が地名だと言うことすら知らなかったわけで。


中国では蒸留酒を「白酒(バイチュウ)」、醸造酒を「黄酒(ホワンチュウ)」と言い、後者の中でもかめで長期熟成したものを「老酒(ラオチュウ)」と呼びます。そして、老酒の中でも浙江省紹興市で作られるものを、特に「紹興酒」と呼ぶのだそうです(シャンパーニュ地方で作られるスパークリングワインを、「シャンパン」と呼ぶのに似ていますね)。


無知極まりなかったわたしですが、紹興酒は大好きだし、「紹興酒に合う料理」をコンセプトにしたお店があると聞けば、行かないわけはありません。しかも、中華料理店ではないというではありませんか。

 

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そのお店は、別府橋のそば。地下鉄七隈線別府駅からすぐです。オープンから2年のまだ新しいきれいなお店。※2019年11月大名に移転済


学生時代、かつて済生会病院のそばの地下にあった有名店「上海文藝復興(しゃんはいルネッサンス)」でアルバイトとして中華料理と紹興酒に出合い、以来「いつか自分でお店をしたい」と夢を抱いたオーナーの冷川さん。広告代理店で営業の仕事をしたり、そこでのご縁で上海のガイドブックを発行したり、中国式リラクゼーションサロンの統括を務めたり、常に中国・上海と関わる仕事をしながら独立準備をして来られ、ついに2015年、別府の街に「マグノリアン カフェ」をオープンしました。


紹興酒の飲み比べもでき、それぞれに合わせて料理も紹介してくれ、中国茶やアジアンスイーツも豊富。リーズナブルなランチ、夜はちょい飲みからコース料理まで楽しみ方さまざま、という理想的なお店です。

 

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▲オーナーシェフの冷川さん

 

ここへ来て、わたしが真っ先に注文するのは、絶対これ!

 

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▲殻ごとピータン(300円)

 

この供し方、他で見たことありますか?

 

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専用の道具で、頭をパチンと切り取ります。カリメロの逆バージョン……。

 

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すくって、一口目は特製のタレをかけて。あとはスプーンで開いた穴にタレを注ぎ、プリプリの白身とトロトロの黄身とタレとを好みで絡めながら、じっくり味わいます。


ピータンは、どこへ行ってもメニューに載っていたら必ず頼みますが、ここが最高!
卵そのもののおいしさも当然ですが、スライスでは味わえないふくよかさに大満足です。これが、紹興酒に合うの何の。ビール党のわたしが、これのために一杯目から紹興酒でスタートすることもあるくらいです。

 

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常時5種類以上揃う紹興酒。その製法によって元紅酒、加飯酒、善醸酒、香雪酒に分かれ、日本でよく飲まれているのは加飯酒ですが、よく見るとラベルに「善醸」と書かれたものもあります。熟成年数の違いを飲み比べることもできて、自分の好みを探るのも楽しみです。

 

口いっぱいに頬ばるシアワセ、「ももいろ鶏」

このお店のウリは何と言っても、「ももいろ鶏」(500円)。中国で「白斬鶏(バイジャンジー)」と呼ばれる調理法で、分かりやすいよう冷川さんが日本語で名づけたそう。国産若鶏の胸肉を、徹底した温度管理でふわっふわに仕上げています。しっとり甘くて絶品! 家庭ではまねできない仕上がりに、リピート必至です。

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「ももいろ鶏」は、ソースの味を選べます。わたしのお気に入りは、写真の広東葱油ソース。

 

思わず赤字を心配してしまう、お得なコースも

さて、冷川マスター自信の限定コース「木蘭晩餐」(2,000円)は、自慢の「ももいろ鶏」を前菜として、選べるソースで味わえます。ではここから、簡単にコース内容をご紹介しましょう。
※限定コースは終了しても、お料理は単品でいただけます。

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前菜の「ももいろ鶏」に続くコース二品目は、「五種の点心をひとつずつ」。小籠包や海老蒸し餃子をはじめ、いろいろな味が楽しめます。わたしのお気に入りは「上海風もち米焼売」。おこわを焼売の皮で包んだような料理で、濃いめの味付けがまた、紹興酒を呼ぶのです。

 

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「チキンスープのシンプルなフォー」。そろそろお腹がいっぱいな私のために、ミニサイズにしてくれましたが、実際のコースでは倍の大きさです。希望の方にはパクチーも。もちろんわたしも、この後たっぷり乗せていただきました。

 

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「甘い点心と冷製デザート」。コースの〆には温かい&冷たいスイーツが供されます。

 

糖質制限中にも! 金欠にも!? うれしいお店

ここの料理は、全体的にオイルカット・ヘルシーメニュー中心です。いま流行の糖質制限を意識している人なら、ここのメニューはきっとうれしいでしょう。
そして、ほとんどのメニューが300円〜500円というのも魅力的!

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▲彩り野菜のセイロ蒸し(500円)

 

これは目にも楽しい。

 

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▲坦々豆腐(500円)

 

冷や奴を担々麺風の胡麻ソースでいただきます。

 

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▲有頭海老の老酒蒸し(500円)

 

生姜が効いていてお酒が進む!

 

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ランチ限定「海南鶏飯(ハイナンチキンライス)」つまり、マレーシア・タイ料理の「カオマンガイ」(ミニフォー・デザート2種付きで1,500円)。

 

最近福岡でも食べられるお店が増えてきましたが、わたしにとって「マグノリアン カフェ」のこれがベスト・オブ・カオマンガイです。やはり「カオマンガイ」はタイ米に限る!

 

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▲香港式ミルクティー(500円)

 

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流行の中国茶もいろいろ揃っています。写真は「16年発酵普洱(プーアル)茶」(500円)。他にも「爽身八宝茶」や「季節のおすすめ中国茶」(各500円)などいろいろ。どれもポットサービスなので、お湯を注ぎ直してお代わりできます。

 

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アルコールは紹興酒だけではありませんので、苦手な方もご心配なく。

 

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ゆったりとしたフロアで、本を読みながらゆっくり夕飯を楽しんでいる仕事帰りの女性一人客や、会話を肴にビールをお代わりする男性二人客など、その楽しみ方はさまざま。常連さんが、少しずつ増えているようです。

 

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奥のカウンター席に上がるときは、靴を脱いでスリッパに履き替えます。ここが家庭的で、ついついくつろいでしまうポイント。


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カウンターではいつもの常連さんが、夜な夜な冷川さんとの会話を楽しんでいます。初めて会った人とも、つい話が盛り上がってしまうリラックスした雰囲気で、わたしは一人で行ってもいつも誰かと笑っています。冷川さんのよく響く低音の美声も、密かなお気に入りポイント。


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テラス席もあります。煙草はこちらで。

 

イベントも、二胡教室も好評

「マグノリアン カフェ」では、もっと紹興酒を気軽に楽しんでもらおうと、イベント「うわずみの会」を開催しています。

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かめ仕込みの紹興酒をその場で開けて、かめが空になるまでみんなで飲み干そう! という何とも気前の良いイベント。


かめ仕込みは三年熟成させなければ出荷できないそうで、かめ仕込みの中では若い三年目の紹興酒を、みんなの前で開けて飲み始めます。参加費4,000円で、前菜や点心など紹興酒を引き立てる料理が付いて、開けたての一番おいしいうわずみをいただきます。定員15名で、9リットル飲み干すので、酒豪を自称するわたしも、帰りの足元はいつもフラフラ。

 

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以前の「うわずみの会」で、開いたかめに『給食番長』で知られる絵本作家のよしながこうたく氏がペイントをしたものが、店内に飾られています。すごい存在感です。

 

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二胡のコンサートを行ったり、教室も開いたりしているそうで、文化の発信地にもなっています。二胡の音って、紹興酒にぴったりですよね。お店のBGMでも、よく二胡が流れています。

 

紹興酒は、中華料理を食べに行ったときだけ何となく飲む、という人。
紹興酒が、どんな料理に合うのかイマイチ分からない、という人。
一度、「今日は紹興酒の日!」と決めて、「マグノリアン カフェ」をのぞいてみてはいかがでしょう。カンタンです。すべてのメニューが紹興酒に合わせてありますから、何を注文しても間違いありません。紹興酒のチョイスに迷ったら、冷川マスターに「甘さ控えめで」「コクのあるやつを」と相談してみてください。


紹興酒はちょっと……という人も、大丈夫。ビールにもワインにもちゃんと合います。
新しい味覚の扉を開いてくれるかも知れない「マグノリアン カフェ」。あなたもぜひ、カウンターでご一緒しましょう。

お店情報

マグノリアン カフェ ※2019年11月大名に移転済
住所:福岡福岡市中央区大名1‐8-5 養巴コープ105号
電話番号:092-517-7132
営業時間:12:00-16:00(15:00L.O.)、18:00-23:00(22:00L.O.)
定休日:毎週日曜日・その他不定休有
Facebook:https://www.facebook.com/magnolian58

magnolian.main.jp

www.hotpepper.jp

※この記事は2017年1月の情報です。
※金額はすべて税込みです。

 

書いた人:あずま梓

あずま梓

福岡県生まれの40代。地元情報誌の編集・ライターを経て2000年独立。現在コピーライター、エディター、プランナー、ディレクターとして、主に紙媒体と映像を中心とした広告制作に携わる。趣味は料理と食べ歩きと俳句。

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