「おいしい熱燗の作りかた」と「熱燗におすすめの日本酒ベスト5」を日本酒専門店で教わってきた

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熱燗(あつかん)の温もりが染みる季節。

香り高くまろやかな燗をチビチビ味わう喜びに、いつまでも浸っていたくなりますよね。日本酒は温めると香りや味わいが変化するため、ときに「……微妙」となることも……でも、そんな失敗はしたくないものですよね。

ということで、うまさ引き立つ最高の1杯を味わうべく、日本酒専門店「KURAND SAKE MARKET 渋谷※閉店」で、熱燗づくりのポイントからおすすめの銘柄まで、とことん聞いてみることにしました。

 

100種の日本酒が時間無制限で飲み放題

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今回熱燗レクチャーをしてくれる「KURAND SAKE MARKET 渋谷店」は、100種類もの日本酒が常備されている日本酒バー。

しかも、入場時に料金3,240円を支払えば、あとは時間無制限で飲み放題! という、超太っ腹なシステムなのです。

 

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店内は冷蔵庫から自由に選べるセルフスタイル。

好きな日本酒を好きなだけ飲むことができます。

 

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熱燗のセルフコーナーもあるから、いろいろな日本酒で試してみるのもアリ。

でも、おいしい熱燗の入れ方を知らないと、本来のうまさを味わいそびれる可能性のほうが大きい。

それじゃあ蔵元さんにも申し訳が立たないですよね。

そんな残念な熱燗にならないよう、広報部の小紙さんにしっかり教えていただきましょう!

 

熱燗に適した日本酒とは?

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▲広報部の小紙さん。大の日本酒好きだそうです

 

── さっそくですが、熱燗に合う日本酒を教えてください。

 

f:id:Meshi2_IB:20171127193622p:plainいちばんは「純米酒」です。日本酒は、温めると香りが開き、味わいも増すので、どっしりとしたうま味のあるタイプが向いています。

 

── 純米酒のなかでも、特に熱燗向きの種類はありますか?

 

f:id:Meshi2_IB:20171127193622p:plainお米のふくよかな香りを感じる「芳醇タイプ」ですね。「生もと」や「山廃」といったラベルが目安になるかと思います。

 

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── 熱燗を作るときに、気をつけることはありますか?

 

f:id:Meshi2_IB:20171127193622p:plainそれぞれの味に適した温度で温めることです。温め過ぎると香りや辛味が強くなりすぎることがあるんですよ。

 

── なるほど。では適した温度」はどのように見分けたらいいのでしょう?

 

f:id:Meshi2_IB:20171127193622p:plain蔵元さんおすすめの温度がいちばんですね。ただ、直接聞ける機会はなかなかないと思うので、次の表を参考にしてみてください!

 

 【熱燗のベストな温度表】

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── なるほど!!!!  日本酒好きにとって最高の情報をありがとうございます。温度だけでこれだけ味や香りが変わるんですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20171127193622p:plainただ、これはあくまでも目安。好みは人それぞれですし、日本酒1本1本味が異なるので、自分好みの温度を見つけるのも楽しいですよ。

 

自宅でできる! ウマい熱燗をつくる3つのポイント&裏ワザ

熱燗に適した日本酒がわかったところで、次に気になるのは「作り方」。

きっと、よりうまさを引き出す奥義があるのではないか?

というわけで、家でもできちゃう「ウマい熱燗をつくるポイント」を伝授していただくことに。

 

【Point 1】 湯せんでじっくり温める

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f:id:Meshi2_IB:20171127193622p:plain湯せんでゆっくりと温めることで、まろやかになります。日本酒を注いだ徳利やちろりを、湯温60℃くらいに保った酒燗器(なければ鍋でOK!)に浸してじっくり温めましょう。燗温計のセットも忘れずに!

 

【Point 2】 日本酒の温度は目安より1~2℃くらい高め

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f:id:Meshi2_IB:20171127193622p:plain徳利やちろりからおちょこへ注ぐとき、空気に触れて温度が下がってしまいます。口あたりが目安の温度になるように、少し高めの温度まで温めましょう。ぬる燗なら41~42℃、上燗なら46~47℃くらいですね。

 

【Point 3】 徳利におちょこをかぶせる

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f:id:Meshi2_IB:20171127193622p:plainおちょこが冷たいと燗の温度も下がってしまうので、湯せん中は、おちょこを徳利の上に乗せて一緒に温めましょう。ふたの役割も果たすので、風味が飛びにくくなるというメリットもあります。

 

どれも自宅でかんたんにマネできるコツばかり。

さらに、「ちょっと変わった熱燗を楽しみたい!」というときに使える裏ワザも、こっそり教えてくれました。

 

【裏ワザ1】 おでんと一緒に楽しみたい! 「だし燗」

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f:id:Meshi2_IB:20171127193622p:plain同温のだし汁と燗を1:1で割るだけです。相乗効果でうま味も香りもアップします。ちなみに当店でも、オリジナルのブレンドだしでお楽しみいただけますよ!

 

【裏ワザ2】 少し濃いなと感じたら、「燗ロック」でマイルドに

f:id:Meshi2_IB:20171127193622p:plain氷を入れたグラスに燗を注いで飲む方法です。燗の熱さで氷が一気に溶けてアルコール度数が下がるので、飲みやすくなりますよ。


【KURAND SAKE MARKET渋谷店厳選】熱燗におすすめの日本酒5選

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これで日本酒がもつ本来のうま味をたっぷり堪能できる熱燗づくりは完璧! 

でもせっかくなので、熱燗にぴったりの日本酒を5種類セレクトしていただき、実際に冷と燗を飲み比べてみることにしました。

 

YATSUO 八男

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おすすめ温度:40℃

特徴富山県の玉酒造と共同開発した無濾過純米酒。存在感のある濃い味わい。

 

f:id:Meshi2_IB:20171127193622p:plain冷でも肉じゃがやハヤシライスといった濃い味の料理によく合いますが、燗にすることでまろやかさが増し、より幅広い料理との相性がよくなります。

 

── 燗にするとキレが良くなりますね。存在感はそのままなのになじみはよくなり、スッと入ります。

 

紀伊国屋文左衛門 秋のぬる燗酒

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おすすめ温度:40℃

特徴:搾りたてをマイナス5度でひと夏寝かせた純米酒のひやおろし。落ち着きのなかにフレッシュさを感じる味。

 

f:id:Meshi2_IB:20171127193622p:plain名前のとおり、ぬる燗がおすすめのお酒です。生酒でも荒々しさはなく、ほのかに甘みを帯びているので、味噌系の料理などによく合います。

 

── 燗にすると甘みが増して、華やかな印象になりますね! 蔵元さんおすすめの温度だけあって、冷酒と熱燗のいいところ取りをしたような風味。

 

群馬

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おすすめ温度:50~60℃

特徴群馬県の土田酒造と共同開発した山廃純米吟醸。厚みのある優しい味わい。

 

f:id:Meshi2_IB:20171127193622p:plain燗におすすめの山廃造り。温度を高めにすることで酸味が出て、冷とはまったく違う表情を見せてくれます。さんまの塩焼きやナスの揚げ浸しなど、和食にしっくりくる味です。

 

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── 冷と燗で全然味が違いますね! びっくり。燗にするとうま味が深まって、お米の風味もより際立つように感じます。


KURAND CRAFT PROJECT 一段仕込み

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おすすめ温度:65℃

特徴:江戸時代の技法と現代の技術を織り交ぜ、埼玉県の寒梅酒造と共同開発した純米酒。メロンのような芳醇な甘さとコク。

 

f:id:Meshi2_IB:20171127193622p:plain温度はかなり高め。燗にすると、「はちみつレモン」のような味わいに変化します。インパクトのある味なので、単品で楽しむのがおすすめです。

 

── 冷は芳醇な甘みが際立っていますが、燗にするとほどよく酸味がプラスされて、アルコール感も強くなりますね。

 

I love choco

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おすすめ温度:40℃

特徴:チョコレートとのマリアージュを楽しむ日本酒として、寒梅酒造と共同開発した山廃熟成古酒。ウイスキーのようなふくよかな味わい。

 

f:id:Meshi2_IB:20171127193622p:plain9年の熟成期間を経ているので、味わいや風味が濃厚です。チョコレートの甘さに合わせて温度を変えると、より相性の良さを感じられます。

 

── チョコレート味ではないんですね(笑)。長期熟成らしくうま味が凝縮されていますが、チョコレートと合わせたら口あたりがマイルドになりました。本当、チョコレートと相性ばっちりです!

 

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温めるだけで、冷とは違った表情を見せる日本酒たち。

ひと言で「熱燗」といってもその味わいはそれぞれで、日本酒の奥深さをなおいっそう実感できる飲み方なんですね。

小紙さんのレクチャーを参考にすれば、自宅で毎日でも絶品熱燗が味わえるはず。

故郷の酒や地酒、変わり種など、お好みの日本酒で楽しみながらお気に入りの燗を見つけてみてください。

 

お店情報

【閉店】KURAND SAKE MARKET 渋谷

住所:東京渋谷区道玄坂2‐9‐10 松本ビル3階
電話番号:03‐6455‐0277
営業時間:平日17:00~23:00 土曜日・日曜日12:00~16:00、17:00~23:00
定休日:無休
ウェブサイト:http://kurand.jp/sakemarket/shibuya/

※この記事は2017年12月の情報です。
※価格は全て税込み表示です。

※このお店は現在閉店しています。
飲食店の掲載情報について。

 

書いた人:千葉こころ

千葉こころ

自由とビールとMr.Childrenをこよなく愛するフリーライター。旺盛な食欲と好奇心を武器に、人生を楽しむことに全力を注いで滑走中。

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