「五條家」のソース以外で味わう串カツ。今思い出しても、ただただヨダレがあふれます。

串カツと言えば、ソースが決め手。二度ヅケ禁止だからこそ、ドボンと浸すし、足りなければキャベツですくってかけるべし。そんな大阪串カツスタンダードにこだわらず、独自ルートで長年大繁盛している天満橋の「五條屋」を紹介するが、絶対に行きたくなるから覚悟せよ!

エリア天満橋 (大阪)

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大阪グルメ定番・串カツのおいしさは、なんといってもソース。

ちょい辛味の効いたソースに串カツをドボンと漬け、ひたひたになったところをパクリ。口の中で油とソースがほどよく絡まり……う、うめええええ(泣)。

 

ソース最高。ソースに絡めときゃとりあえず間違いない。

そんな「串カツソース大正義」な大阪世論にあって、ソース味にこだわらない独自ルートをひた走る串カツ屋が、今回ご紹介する「五條家」です。とても異端ながら、大阪人にしっかり受け入れられており長年大繁盛しているお店です。

 

メニューは「おまかせコース」のみ

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大阪「天満橋」駅から少し歩いた先にある「五條家」。

観光などのルートからは少し離れ知る人ぞ知る雰囲気ながら、わざわざここの串カツを食べに他府県からも多くの人が訪れます。

 

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カウンターのみの店内は、すみずみまできちんと掃除が行き届きとても清潔。串カツ屋さんといったら油で床がギトギト、カウンターもベタつきがちなイメージですが、そんな雰囲気はみじんもありません。

 

サラダや浅漬けといった一品メニューを除き、串カツは「おまかせコース」のみ。毎日25種類ほどの串カツを用意し、「ストップで!」と言うまでどんどん出てくるスタイルです。

 

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▲左から山椒入り岩塩、ポン酢、ウスターソース

 

「五條家」はワインも充実しているお店です。といってもワインリストはなく、好みのテイストを伝えれば、それに合わせて店主の山城さんがチョイスしてくれるというもの。

「なるほど。でもグラスワインは決まった種類なわけでしょう?」と思うじゃないですか。ご安心ください。

 

グラスワイン用のワインはあえて用意しておらず、1杯だけ注文する時にもストックボトルから選んでくれるという気前の良さなのです。スパークリングであっても栓を開けてもらえるというから驚きですよね。

 

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▲どんなワインでも一杯 680円(税抜)

 

あまりワインに詳しくなく「辛めで、スッキリした感じのものを……」というぼんやりしたオーダーをしてしまいましたが、そんな感じでOKです。

 

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▲甲州ワインをいただきました。うまいっ

 

一串一串が神がかってる……!

今回20品を過ぎたあたりでおなかがいっぱいになり「ストップ!」にしたのですが、無限の胃があればいいのに、と思うばかり。いろんな味が今まで経験したことない角度から攻め込んできて頭でうまく整理できないほどでして、とにかくおいしかった……。

そんなめくるめく串カツワールドから、とくに感動した5種類を紹介させてください。

 

その1:キスの新茶揚げ

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衣に新茶を混ぜ込んでいて、食べるとふわーっと新茶の香りが漂います。カリッと揚がった茶葉と、キスのふんわりした身の食感の違いも面白いです。串カツの定番食材であるキスがこんな風に変化するんだ……と、ただただ感服。

 

その2:からすみパスタ

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味を忘れないように食べながらメモを取ってたんですが、この串カツに関しては、ただ一言「おいしい」としか書かれていませんでした(笑)。

からすみのパスタを串カツに仕立てよう、というその心意気にまず敬意を表したいです。揚げたパスタはカリカリで香ばしく、塩気の効いたからすみと相まって上品なおつまみのような雰囲気。うなるうまさです。

 

その3:ゴーヤとシーチキンのベーコン巻き

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ゴーヤの苦味を感じながらも、まったく青臭さくない……! 下処理がきちんとなされているという仕事の丁寧さも、この一串から感じられます。

 

その4:カモとトリュフのピューレ

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カモとトリュフというフレンチのような組み合わせが、串カツでいただけるとは。

かむごとにうま味が倍増しつつ、上にのっているうすーく切った生のカリフラワーがさっぱり感をプラス。一口で食べ終わるのがじつにもったいない、抜群にバランスのとれた逸品です。

 

その5:ももとアイスと生ハム

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最後に出していただいたデザート串カツが、もうとびっきり。冷たいアイスとももを生ハムで包み、コーンフレークをまとわせてサッと揚げています。クリーミーなアイス&ももの甘さと、生ハムのしょっぱさ。異なる味わいを楽しみながら、コーンフレークのサクサク食感も同時に味わうという。至高でした。

 

今思い出しても、ただただヨダレがあふれます。しかもこれら、凝りに凝りまくった串すべて、1本 120円(税抜)なんですよ……! あまりに安すぎる。串カツのコースは年3回大きくリニューアル。どの串カツも複雑な味わいなので、何回食べても飽きず新鮮に楽しめると思います。

 

「独学でやってやろう」

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▲「五條家」の店主・山城さん

 

今から26年前、喫茶店で働きながら「何か自分でお店ができないだろうか」と考えていたときに、「あ、創作串カツならなんとかできるかも!」とピンときた山城さん。

知識はまるでないものの、若者ゆえの妙な自信により「独学でやってやろう」とお店をオープンしたそうです。ソース文化が根付く大阪にて最初はなかなか受け入れられなかったものの、多種多様な創作串、また驚きのコストパフォーマンスで徐々に認められていきます。

オープンから4、5年後には店内が多くのお客さんで埋まるように。それから今まで、週末はほとんど満席という日々が続いているそう。

 

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「こだわりは特にないんですよ。『ソーセージ食べたい』と言われたら、買ってきて揚げることもあるぐらいで。お客さんの要望にはできる限り応えたい、というのが唯一のこだわりかもしれませんね。あとは、自分が行きたいと思えるお店でいたいと思います。ハードルが高くなくて、でも料理のクオリティーは高くて楽しく飲める。これからもそんなお店でありたいですね」

 

知っていたら絶対に鼻高々になれるお店、「五條家」。週末は向こう3カ月ほど埋まっているそうですが、平日なら時間帯次第で予約も取れるので、ぜひ一度絶品串カツをご賞味あれ……!

 

お店情報

五條家

住所:大阪大阪市中央区内平野2-1-11 たけ産ビル
電話番号:06-6945-5045
営業時間:17:30~23:00
定休日:日曜日・祝日

www.hotpepper.jp

 

書いた人:木村桂子

木村桂子

福井県出身、大阪府在住。某エンタメ系企業にて雑誌編集に携わり、その後コピーライターを経てフリーランスに。大衆居酒屋から小洒落たカフェまで、うまいと聞けばどこへでも突入。ゆえに体重増量中。

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