【羊肉】パキスタン料理店に行ったらこれでもかとばかりに羊肉が出てきて最高だった件

羊肉大好きな皆さま、今度はパキスタン料理にご注目ください。こんなにも羊肉料理がいっぱいなお店がここにもありました。西新宿にある「ナワブ ダイニングカフェ」の羊肉料理は、とにかく羊肉ファンをうならせる充実度なんです。

エリア西新宿(東京)

パキスタン料理は羊肉料理の宝庫

こんにちは。羊も羊肉も大好きなカメラマン・工藤真衣子です。

今回はパキスタン料理店にやってきました!

実はこちらの「ナワブ ダイニングカフェ」、以前から大好きで度々伺っていたのですが、改めてメニューを見てみたらものすごい羊の充実度!

これはしっかり取材させていただかなければと満を持して伺ってきました。

 

お店情報

ナワブ ダイニングカフェ(Nawab Dining Cafe)

住所:東京新宿区西新宿6-5-1 新宿アイランドタワー B1F
電話番号:03-3340-5855
営業時間:ランチ11:00〜15:30(LO.15:00) ディナー17:00〜23:00(LO.22:30)
定休日:なし

www.hotpepper.jp

 

場所は西新宿のオフィス複合ビル・新宿アイランドタワーの地下1階。

地下といってもパティオ(中庭)に面したガラス張りのスペース。昼は明るく、夜はイルミネーションを楽しめるおしゃれなお店です。

 

外にはシンプルディナーセットのメニューが。ビリヤニもあるし、これも良いのですがこのお店の真骨頂はもっと他にあるのです。

 

それがこの黒板メニュー。その日おすすめのパキスタン料理の数々が書かれています。同じ内容の大きな黒板が奥にもあるので、詳細はこの後説明しますね。

 

清潔感あふれるきれいな店内。パキスタン料理って何? って人とのデートでも安心感を与えられます。

 

パティオに面した席はイルミネーションも楽しめます。

 

日本人にパキスタン料理を知ってもらいたい

レストラン ナワブの社長・Shakir Khan(シャキル・カーン)さんにお話を伺いました。

 

現在、店舗はこちらのナワブ ダイニングカフェ(西新宿)、ナワブ 湯島店、ナワブ 八丁堀店、ナワブ ビリヤニ ハウス(茅場町)他、フードコートに2店あります。

2001年に最初のナワブ湯島店をオープンさせてから22年、日本人になじみのなかったパキスタン料理のお店をここまで増やしたのにはどんな秘密があったのでしょう?

 

──こんにちは。よろしくお願いいたします。まずはシャキルさんの経歴を教えてください。パキスタン人のシャキルさんがなぜ日本でお店を始められたのかを知りたいと思います。

 

シャキルさん:私はパキスタンのパンジャーブ州バハーワルプルで生まれました。大学はカラチ大学で、卒業してからパキスタンで商売をしようと思っていたんですが治安が悪くなってしまって。日本に来たのは23歳の時です。なのでパキスタンで仕事をしたことがないんです(笑)。

 

──それでなぜ日本を選んだのですか?

 

シャキルさん:日本に来たのは治安が良いから。おじさんが宝石商の仕事をしていて、日本とパキスタンを行ったり来たりしていました。最初は宝石の仕事をしていましたがうまくいかなくて、日本の印刷会社で10年働きました。それでお金をためました。

そして1997年から友達と組んで飲食店はやっていたのですが、それはやめてまた2年くらい他の会社で働いて。

2000年に日本の女性と結婚してから、2001年に自分のお店を、ナワブ湯島店をオープンさせました。

 

──ナワブ ダイニングカフェは、昔はインド料理店というイメージがあったのですが?

 

シャキルさん:最初はインド料理で始めたんです。看板にはインド・パキスタン料理って書いたけど、インド料理だけで2年くらいやってました。理由はパキスタンのシェフがいなかったんですよ。10年くらい前に今も働いているパキスタンの優秀なシェフが来て、インド料理とパキスタン料理を混ぜてやるようになりました。

今の湯島店はパキスタン料理がメインです。

 

お店の奥にはChef's Specialとしてパキスタン料理のメニューが書かれた黒板があります。ぜひこの黒板メニューからオーダーしてみてください。

 

シャキルさん:ナワブ ダイニングカフェではインド料理だとしても作り方はパキスタン料理のやり方だったんです。(早く調理できるインド料理のように)ソースを作っておいて後から混ぜるやり方は最初からやってないんです。一つひとつ最初から作っていたんです。

またインド料理、パキスタン料理の違いといっても、私の両親は元々はインドだった場所で生まれました。私はパキスタンで生まれたのですが。

 

──インド料理、パキスタン料理は歴史的に近いものもあるということですね。

 

シャキルさん:そうですね。それに昔の東京だとパキスタン料理を日本人に食べさせるのはすごく大変でした。特にパキスタン料理に使うのは羊肉じゃないですか。ほとんどが羊肉です。その頃の日本人は羊肉は食べない、日本のお米じゃないパキスタンのお米も食べない、すごい難しかったんです。

 

──今は日本人にも羊肉は愛されていますよね。

 

シャキルさん:はい。羊齧協会の羊フェスタに4回出店しています。味坊(中国料理店で羊料理が有名)とかみんな仲間なんです。あのイベントをやって、「日本人、そんなに羊肉食べるんだ」って驚きました。がんばってたくさん作っても行列になってすぐ売り切れちゃう。

 

ほとんど羊肉料理ばかりが並ぶ黒板メニュー。

 

──パキスタンで一番食べる肉は羊肉ですか?

 

シャキルさん:羊肉が一番ですね。ビーフは安いので食べるし、チキンも食べるけど。それに私は名字がカーンなんですが、カーンっていうのは山の出身の名字なんですよ。だから元々羊を食べる血が流れている。

 

──そうなんですね! なるほど。

 

シャキルさん:この黒板メニューを見てください。チキン料理は一つしかないんですよ。あとは豆(笑)。あと全部羊です。

 

──日本人のお客さんもこの黒板メニューから注文するのでしょうか?

 

シャキルさん:ここのお客さんはほとんど日本人なんです。大体が黒板メニューで、まあ食べに来る人は大体わかってます(笑)。一般の人にはわかりづらいから本当は説明を書いた方がいいとは思うんだけど。でもなんかわかってますね、お客さんが。

 

──ランチメニューにはインド料理しかないので、近所の会社にお勤めの人はインド料理を食べるのかなと思っていました。

 

シャキルさん:そうでもないんですよ。黒板メニューを説明して、パキスタン料理をおすすめして一口味見してもらったりすることもあるし。あと電話での問い合わせもありますね。これが食べたいとか、これはどういう料理なんですかっていう。

うちのシェフはお客さんの声があれば「作りましょう!」って作ってくれるんですよ。それでパキスタン料理のメニューが増えてきました。

 

──一番注文の多いの料理はどれですか?

 

シャキルさん:プラオ(炊き込みご飯)がそうですね。ビリヤニはどこでもあるけど、プラオはあまりないので一生懸命説明しています。骨付きの羊肉のだしでお米を炊いて作っているので香りがすごい良いんですよね。羊肉が好きな人じゃないと難しいかもしれないけど、スパイスはほどほどで、羊肉の香りを活かして作っています。

 

さて、期待が高まったところで、料理をいただいてみましょう!

 

うま味たっぷりな羊肉料理が続々と

▲サラダ(サービス)

 

単品料理をオーダーするとサービスのサラダをつけてくれます。パキスタン料理は野菜料理が少ないので箸休め的でうれしいです。

単品料理はそれぞれ結構量が多いので、数人で訪れて、人数分のいろいろな料理を頼んでシェアするのがおすすめです。

 

早速、一番お客さんから注文が多いというプラオが運ばれてきました。

 

▲LAMB PULAO(ラムプラオ)/1,650円

 

ラム肉のだしで炊き込んであるご飯です。辛いスパイスは使われていないのですが、生姜、カルダモンなどの爽やかな香りが羊だしをたっぷり含んだバスマティ米と調和していて、やめられない止められない味わいです。

 

そのままでも、ライタ(刻んだ香味野菜入りの塩味のヨーグルトソース)をかけていただいても絶品です。

 

▲OJIRI(オジリ)/1,650円

 

羊の胃袋の煮込みです。胃袋のしっかりした弾力。スパイス感強めでしっかりした味付け。味的にはわかりやすくいうとカレー味です。お酒のつまみにもぴったりです。

 

羊肉の胃袋は脂がほとんどなく、とってもヘルシー。

 

▲ナン(サービス)

 

ナンもきました。

黒板メニューの単品料理をオーダーすると(プラオなどのご飯もの以外)、ナン、ロティ、ライスなどをつけてくれます。何も言わないとその料理に合うものを選んできてくれますが、希望を伝えれば対応してくれます。

 

▲LAMB NIHARI(ラムニハリ)/1,650円

 

パキスタン料理といえば、これ! 筆者も大好きなニハリです。羊のすね肉をゆっくりじっくり煮込んだ料理。トロトロに柔らかく煮込まれた肉、骨髄からもだしが溶け出しているので、スープ部分がなんともいえないうま味で満たされています。

 

持ち上げただけで自然に崩れ落ちるこの柔らかさ! スープ部分はさらさらでスパイスは最小限な感じで塩気も強くないので、そのままどんどん飲めてしまいます。

 

ちょっとレモンを搾ってもおいしい。

 

▲ロティ(サービス)

 

ニハリにはロティというパキスタンの薄焼きパンをつけるのが定番。全粒粉のパンなのでナンよりも硬く、さっぱりしています。個人的にはニハリはライスにかけてもすごく合うと思うのです。

 

▲HANDI GOSHT(ハンディゴーシュト)/2,200円

 

映えメニューがやってきました! 羊肉をじっくりつぼ焼きにしたメニューです。これも筆者が大好きな料理。

 

シャキルさん:つぼ焼きっていうのは、香りも出てくるからね。うま味も閉じ込めるし。今ちょうど、パキスタンから大きな肉用鍋が届いたところなんです。

 

バラの花はトマトで作ってありました。

 

中には骨付きの羊肉がたっぷり。

 

骨の周りの肉はコラーゲンのぷるぷる感があって特においしいのです。フォークだと食べづらいので手に持ってかぶりついちゃいましょう。味付けはいわゆるカレーにも近いのですが、生姜以外のスパイスはあまり強くなく、素直に肉のうま味が味わえます。

 

▲MUTTON KADAI(マトンカダイ)500g /2,500円

 

要予約メニューのマトンカダイ。お店によってはマトンカライ、マトンカラヒと表記されていることも多いです。

当日でも材料と時間があれば作ってくれます。1kg5,000円なので、今回は500gで作っていただきました。

 

カダイとはこの鍋の名前。トマトなどの野菜ベースのカレーなのですが、しっかりと焼き付けてあるため香ばしく、味もしっかり濃いめで、ライスがもりもり食べられてしまいます。

 

今回はロティで挟んでみました。

 

そうこうしているうちにショータイムがスタート!

 

基本的には第3木曜日の20時からがショータイム。(ぜひ見たいという場合は事前にお問い合わせください)

この日はインド舞踊、ベリーダンスの3名のあでやかなショーを鑑賞しました。

 

▲KULFA(クルファ)/420円

 

デザートタイム。クルファは牛乳を煮詰めて作ったもの。アイスクリームのようだけれども、普通のアイスクリームよりもねっとりとしていて、アイスクリームよりも冷たくない不思議な食感なのです。

 

▲左:HALWA (ハルワ)/420円  右:KHEER(キール)/420円

 

キールはトロトロでほんのり甘くほんのり温かいライスプディング。とにかく優しい味。

 

ハルワは、穀物、野菜などいろいろな材料で作られるが、これはニンジンのハルワ。やはりほんのり甘く温かい。

 

▲KASHMIRI PINK TEA(カシミールピンクティー)/500円

 

濃厚なミルクティー。スパイス感もあり。デザートとお茶すべてに刻んだアーモンドが入っていました。

 

──今回はディナータイムの紹介でしたが、ランチタイムにこういった黒板メニューを注文することはできるのでしょうか?

 

シャキルさん:ランチタイムの12時から13時の間はすごく混むので、ランチメニューのものを出すので精いっぱいで、お客さんに迷惑がかっちゃうのでできないんです。パキスタン料理は骨付きで煮込むものが多くて時間がかかるので。でも13時過ぎとか土日ですいている時なら作れます。

 

パキスタンとパキスタンの大洪水について

ここでちょっとパキスタンについての解説を。

正式国名はパキスタン・イスラム共和国、通称パキスタンです。

東にインド、北西にアフガニスタン、南西にイラン、北東に中華人民共和国と国境を接しています。人口は2億2090万人と世界で第5位(※外務省「最近のパキスタン情勢と日パキスタン関係(令和5年2月)」より)

現在のパキスタンの領土は、かつては英領インドの一部でした。イギリスからの独立運動の中でイスラム教徒とヒンドゥー教徒との対立が深まり、1947年にヒンドゥー教徒地域がインド、イスラム教徒地域がパキスタンとして分離独立することになりました。

結果、インドの西にパキスタンが位置することになりましたが、インド東部のイスラム教多数地域も東パキスタンとして飛び地のようにパキスタンに組み込まれました。1971年には東パキスタンがバングラデシュとして独立し、西側の領土のみが現在のパキスタンとなっています。

 

そのパキスタンの現在の状況ですが……。

2022年8月にモンスーンによる例年の10倍以上もの降雨により、大洪水が発生しました。政府によると国土の3分の1が水没して死者は1700人以上。3300万人が被災して今でも避難生活を送っている人々がいます。

 

この大洪水のためのチャリティーイベントが2022年10月にこのナワブ ダイニングカフェで行われました。

イベントには在日パキスタン大使や日本で活躍するパキスタン人、パキスタンを応援したいと思う多くの日本人が集まりました。

大洪水の報告会、音楽演奏、そして特製パキスタンワンプレート料理と、とても充実した会になり、参加者のパキスタンへの理解も深まったと思います。

 

▲2022年10月23日に行われた「パキスタン洪水チャリティー」で出されたパキスタン料理ワンプレート。通常メニューにない料理で、特に被害が多かった地域の料理を盛り合わせたもの。

 

この会で初めてパキスタン料理を食べたという人も多かったようですが、とても好評でした。パキスタン料理の魅力を知ってもらうことができたんじゃないでしょうか?

 

──これからナワブ ダイニングカフェをどんなお店にしていきたいと思っていますか?

 

シャキルさん:新宿店も今まではインド・パキスタン料理でやってきたけど、これからはパキスタンメインでやりたいなと思ってます。今はマニアの人はわかってくれているけど、もうちょっと一般の人にも知ってもらいたいです。今も20年前から比べるとだいぶ変わってきたと思いますが。

メニューにないものでも予約してくれればタイミングによってはお出しできますので問い合わせてくださいね!

 

パキスタン料理が大好きな方はもちろん、まだ食べたことがないという方もぜひナワブ ダイニングカフェでパキスタン料理を体験してみてくださいね。

お店情報

ナワブ ダイニングカフェ(Nawab Dining Cafe)

住所:東京新宿区西新宿6-5-1 新宿アイランドタワー B1F
電話番号:03-3340-5855
営業時間:ランチ11:00〜15:30(LO.15:00) ディナー17:00〜23:00(LO.22:30)
定休日:なし

www.hotpepper.jp

書いた人:工藤真衣子

工藤真衣子

カメラマン。美しい人が好きなのでグラビア、音楽が好きなのでライブ写真、映画やドラマが好きなのでスチール写真、美味しい食べ物が好きなのでグルメ写真。雑誌、WEBなど各メディアで活動中。趣味は美味しい料理を作って食べること。子供写真スタジオ「アトリーチェ」の経営もしております。

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