こんにちは! 料理・食文化研究家の庭乃桃です。本日は、豚バラといろいろな野菜を同時に食べたいという声にお応えし、居酒屋や焼き鳥屋などでよく見かける「豚バラ野菜串」をご紹介します。
豚バラの「おいしいけれど少し脂っぽい……」「意外と値段が高い!」といった気になる点も解決してしまう、豚バラ野菜串。野菜と組み合わせることで少量の肉でも食べ応えが得られ、ご家庭のフライパンで余分な脂を落としながら焼き上げることで、おいしくいただけます!
なお、串を打つのが面倒と思われるかもしれませんが、串があることでかさのある野菜をコンパクトにまとめることができますし、焼くときも一度にひっくり返せるので、打ち方さえ覚えてしまえばとても便利なんです。
それでは、さっそく作っていきましょう!
フライパンでおいしく焼けちゃう、「豚バラ野菜串」
材料(1~2人分)
- 豚バラ……13枚(約140g)
- 塩……小さじ2/3
- ブラックペッパー……ひとつまみ
【①ミニトマト串】
- ミニトマト(ヘタはとっておく)……2個
【②大葉チーズ串】
- 大葉……6枚
- ベビーチーズ……1個
【③レタス串】
- レタス……大きめの葉1枚(約60g)
【④万能ねぎ串】
- 万能ねぎ(根元は切り落としておく)……5~6本(約35g)
【⑤えのきたけチーズ串】
- えのきたけ(石づきは切り落としておく)……30g
- シュレッドチーズ(ピザ用チーズ ※スライスのプロセスチーズでも可)……10g
【⑥カラフルパプリカ串】
- パプリカ(赤色や黄色などカラーパプリカはお好みでご用意ください)……合わせて1/4個分(約40g)
※塩、ブラックペッパーの分量は、振りかけやすいよう多めに記載しています。お好みによって加減してください。
豚バラ野菜串 下準備編
豚バラは、スーパーなどで売られている長さ10cm程度、幅3cm程度のものを使用しています。これよりも長さのあるものを購入した場合は、適宜切るなどしてください。
味付けは、豚バラと野菜の味わいを思い切り楽しむため、塩とブラックペッパーのみ。言うまでもなくどの串とも、相性抜群です!
塩とブラックペッパーを小さめのボウルなどに入れて、混ぜ合わせておきましょう。
以降で串の打ち方を紹介していきますが、串を打ち終えたら、少量を指でつまんで1本ずつに振りかけておきます(チーズを使うものは、少し控えめにしましょう)。
豚バラ野菜串 串打ち編
下準備が終わったところで、さっそく具材を豚バラで巻いて、串に刺していきましょう!
最も重要なポイントは、野菜を豚バラでできるだけきつく巻くこと。重なった部分の豚バラがくっつくので意外と簡単にできますが、焼くと野菜が縮むため緩みが出ないように巻きます。
次に串を打つ位置ですが、必ず巻き終わりの部分に打つのが鉄則。これにより、豚バラがほどけるのを防ぐことができます。串が打ちにくい場合には、串を回転させるようにすると、打ちやすいですよ。
ダントツで簡単! 甘みはじける「ミニトマト串」
ミニトマト串の作り方は、とても簡単。
豚バラ1枚を広げ、ミニトマト1個をヘタが付いていた方を下にしてくるくると巻いていき、巻き終わりに串を打ちます。もうひとつも同様に巻いて、同じ串に刺します。
豚バラを寄せてミニトマトの赤い色が見えるようにしておくと、焼き上がりの見た目がきれいです。
おつまみに最適! うま味と香りの「大葉チーズ串」
相性抜群の大葉チーズ串も、簡単に作ることができます。
広げた豚バラ1枚の上に、大葉を3枚、上の写真のように少しずつずらしながら並べていきます。このとき、大葉の葉先の方が巻き始めになるように置くと巻きやすいですよ。
大葉の上に縦半分に切ったベビーチーズを1個のせたら、それを芯にしてくるくると巻き、巻き終わりに串を打ちます。もうひとつも同様に巻いて、同じ串に刺します。
野菜感たっぷり! シャキシャキおいしい「レタス串」
みずみずしいレタスをたっぷり巻き込んで、シャキシャキの食感を味わいましょう。
まずは、レタスの葉を幅10cmに切って重ねます。そして、上の写真のようにレタスの葉だけを巻いて最後にぎゅっと押しつぶし、豚バラが巻きやすくなるよう形を整えます。
3枚の豚バラを並べた上にレタスをのせ、できるだけきつめに巻いていきます。これまでの串よりも巻き上がりのサイズが大きいので、巻き終わりの串は2カ所に打ちます(上の写真のように半分でカットした際、それぞれの真ん中にくるところに打ちます)。串を打ったら、包丁で半分に切り分けます。
豚バラに合う! 甘くてジューシーな「万能ねぎ串」
続いて、万能ねぎ。香りと甘みで、豚バラがさらにおいしくいただけます。
まずは、万能ねぎを6~7cm長さに切ってから、豚バラ2枚を並べた上にのせてきつめに巻いていきます。
巻き終わりに串を2本打って留め、包丁で半分に切り分けて形を整えます。
チーズが効いてる! やみつき食感「えのきたけチーズ串」
ばらけやすいえのきたけは、チーズを入れて焼くことでまとまりが出ます。
えのきたけの長さを半分に切り、広げた豚バラ1枚の上に分量の1/4をのせます。そしてシュレッドチーズ(スライスのプロセスチーズの場合は、豚バラと同幅に切り、さらに細切りにしたもの)をのせ、その上にえのきたけの残りの1/4をのせて巻きます。巻き終わりに串を打ち、もうひとつも同様に巻いて同じ串に刺します。
彩り最高! 風味際立つ「カラフルパプリカ串」
最後は、フルーティーな風味と甘酸っぱさが魅力、彩りもきれいなパプリカ串です。
豚バラを2枚並べて、細切りにしたパプリカを豚バラの端からはみ出すようにのせてきつめに巻いたら、2本の串を打ちます。
こちらも包丁で真ん中をカットします。
豚バラ野菜串 焼き方編
それではいよいよ、焼いていきましょう。
どの串も、焼き方はほぼ同じです!
すべての串に塩、ブラックペッパーを振りかけたことを確認したら、ミニトマト串とレタス串を除き、巻き終わりを下にしてフライパンに並べます。ここではまだ点火しません。また、フッ素樹脂加工のフライパンであれば特に油は必要ありません。
上の写真の大葉チーズ串とえのきたけチーズ串のように、串同士が重ならないよう気を付けます。重なっていると、ひっくり返すときにやりにくいためです。
ミニトマト串とレタス串は、野菜にも焼き色を付けたいため、上の写真のように盛り付ける際に見せる面を下にし、立てて並べます(ミニトマト串は、赤い色がよく見える面を下にします)。
すべて並べ終えたら点火し、まずは中火で焼いていきます(この時点ではふたは不要です)。
焼いている途中で水分や脂が出てきたら、キッチンペーパーなどでこまめに拭き取ります。そうすることで、豚バラが香ばしく焼き上がるだけでなく、焼き色もきれいにつきやすくなります。
こんがりとおいしそうな焼き色がついてきたら、ひっくり返しましょう。ミニトマト串やレタス串など、立てて焼いていたものもここで寝かせてください。
その後、ふたをして弱火にし、まずは1分ほど蒸し焼きにします。
1分ほど蒸し焼きすると、火の通りやすい大葉チーズ串、えのきたけチーズ串あたりは豚バラも具材もほぼ焼けてきているかと思います。表面に好みの焼き色が付いたら取り出します。
その後、残りの串の豚バラにも完全に火が通るまで、再びふたをして1~2分蒸し焼きにしましょう。
焼けたらキッチンペーパーの上に取り出して、余分な脂を軽く切ってから皿に盛り付けます。これにより脂の重たさが軽減できるため、豚バラのジューシーさと香ばしさが際立ちます。
どれもきれいな焼き色が付き、こんがりとおいしそうですね!
豚バラ野菜串 試食編
それでは、ひとつひとつの味わいを紹介していきましょう。
まずは、作る工程が一番簡単なミニトマト串から。かんだ瞬間にトマトが口の中ではじけ、ジューシーな甘みと香りがあふれ出します。香ばしく焼けた豚バラとの相性も抜群で、これはぜひとも味わっていただきたい!
続いて、大葉チーズ串。大葉を3枚重ねて巻き込んでいるので、焼いても香りが飛ばず、チーズのコクにも負けていません! お酒がすすむこと間違いなしです。
レタスがぎゅっと詰まっていて、見るからにおいしそうです。層になっているため、加熱してもシャキシャキ感がしっかりと残っています! 豚バラとのバランスもよく、シンプルな味付けの塩とブラックペッパーがよく合います。
ボリュームたっぷりの万能ねぎ串。蒸し焼きで引き出された、万能ねぎのコクのある甘みとジューシーさがたまりません。ねぎ好きな方はもちろん、そうでない方にもおすすめです!
えのきたけチーズ串は、もう説明不要のビジュアルです。香ばしい豚バラに、溶けたチーズ、たっぷり巻かれたえのきたけの食感と、すべてが相乗効果となり止まりません!
最後は、カラフルパプリカ串。これひとつあれば、盛り付けがグッと華やぎます。味は焼くことでパプリカの甘酸っぱさと風味が強調され、香ばしい豚バラとも好相性です!
「豚バラ野菜串」はハイボールとの相性も抜群
香ばしく焼けた豚バラといろいろな野菜のおいしさが味わえる「豚バラ野菜串」は、おかずとしてはもちろん、お酒との相性も抜群です。
特にハイボールと合わせると、それぞれの具材が醸し出す複雑な味わいを上手に受け止めてくれて、よりいっそう贅沢な気分を楽しめるかと思います。
豚バラのうま味で食べ応えがありながらも、軽くつまめる「豚バラ野菜串」。暑くなるこれからの季節に、ぜひおすすめしたい一品です!
書いた人:庭乃桃
料理・食文化研究家、女子栄養大学 食生活指導士。「おいしい」を取り巻くさまざまな食卓の風景に目を向けながら、企業向けレシピの開発や、執筆、講演など多方面で活動中。著書『おいしく世界史』(柏書房、2017年)。