台湾の麺料理「担仔麺」は、豚ひき肉、にんにく、エビ、干し椎茸のうま味がたっぷり!

料理・食文化研究家の庭乃桃(にわのもも)さんが教える、台湾の麺料理「担仔麺」。うま味たっぷり肉そぼろや、エビのだしがきいたスープの作り方は必見です!

こんにちは、料理・食文化研究家の庭乃桃です。今回ご紹介するのは、台湾屋台の定番グルメ、「担仔麺(タンツーメン。以下、担仔麺)」。

台湾南西部の台南市発祥の料理で、もともとは具材やスープ、調理用具一式を天秤棒で「担(かつ)」いで売り歩いていたといわれるこの担仔麺。

豚ひき肉やエビ、干し椎茸、にんにくなど、食材の持つうま味が溶け合い、スープまで飲み干してしまいたくなるほどのおいしさです。

とても具だくさんで、一見すると手間がかかるイメージですが、作り方は意外とシンプル!

① 肉そぼろを作る
② スープ、トッピングを用意する
③ ゆでた麺にスープを注ぎ、トッピングをのせる

メインの具材である肉そぼろは、作り置きも可能です。また、トッピングのエビをゆでる時にスープも作れてしまうので一石二鳥!

干し椎茸や干しエビのうま味を引き出す戻し方や、エビのだしを取る方法なども解説していきます。

味の決め手となる「五香粉」

「五香粉が使い切れなくて余っている……」という方にもおすすめの担仔麺

担仔麺の味を決める上で重要なのは、「五香粉(ウーシャンフェン。以下、五香粉)」の風味。

五香粉といえば、同じく台湾料理の「魯肉飯(ルーローハン)」などでもおなじみの調味料。主に、八角、クローブ、花椒、シナモン、陳皮などを混ぜ合わせた、中華圏を代表するミックススパイスです。ひと振りするだけで肉や魚のくさみを消してくれるだけでなく、奥深いコクと独特の風味を加えてくれる万能調味料。甘辛い料理や油の多い料理などに合わせると、手軽に本格的な味わいになります。

メーカーにより使われているスパイスの種類は異なることがありますが、今回の担仔麺には八角が入っているものがおすすめです。

それでは早速、五香粉香るうま味たっぷりの担仔麺を作っていきましょう!

担仔麺

材料(1人分)

  • 中華麺(中細・ストレート)……1人前

【肉そぼろ】

  • 豚ひき肉……100g
  • 干し椎茸……1枚
  • 干しエビ……5g
  • にんにく……1/2片
  • しょうが……1/2片
  • ごま油……小さじ2

〈肉そぼろの味付け用〉

  • 干し椎茸の戻し汁 + 干しエビの戻し汁 + 水……合わせて100ml
  • 醤油……大さじ1
  • 紹興酒(または酒)……大さじ1
  • 砂糖……小さじ2
  • 五香粉……小さじ1/8

【スープ】

  • 水……300ml
  • 鶏ガラスープの素(顆粒)……小さじ1と1/2
  • おろしにんにく……1/2片分

【トッピング】

  • エビ(トッピング用)……1~2尾(※できればだしの出る殻付きがよい)
  • もやし……30g
  • 小ねぎ……適量
  • パクチー……適量

作り方① 肉そぼろを作る

まずは担仔麺のメイン具材である、肉そぼろを作っていきます。

うま味の強い干し椎茸と干しエビを、戻し汁ごと肉そぼろに使うのがポイントです。

肉そぼろの隠れた主役、干し椎茸と干しエビ(※戻し汁も使用)

まずは、干し椎茸と干しエビをそれぞれ戻していきます。

水の量はあまり多すぎると味が薄くなってしまうので、ひたひたに

干し椎茸は、椎茸の頭が少し出るくらいのひたひたの水(分量外)に、軸を下にして浸けます。干し椎茸が浮いてくるのを防ぐため、落とし蓋のようにラップをかけて、冷蔵庫で一晩置きましょう。このようにじっくり時間をかけると、干し椎茸のうま味がしっかりと戻し汁に溶け出し、椎茸自体もふっくらとおいしく戻すことができます。

干しエビは、中華食材のコーナーにあるものでOK

干しエビも、基本的には干し椎茸と同様にひたひたの水(分量外)に一晩浸けます。より短時間で戻したい場合は、30分程度浸すだけでもOK。水の量はあまり多くしない方が、うま味が凝縮した濃いだしが取れます。

干し椎茸と干しエビの戻し汁を合わせ、水を足して100mlに

干し椎茸と干しエビの両方が戻ったら、汁気をしぼって包丁で刻んでおきます。干し椎茸の戻し汁、干しエビの戻し汁を合わせ、水を足して100mlになるようにしておきます。

また、この段階で肉そぼろの味付け用調味料も合わせておきましょう。

次は、豚ひき肉を炒めていきましょう。

みじん切りにしたにんにくとしょうがをごま油と共にフライパンに入れて中火にかけ、香りが立ったら豚ひき肉を投入。ひき肉をほぐしながらそのまま中火で炒めます。

豚ひき肉の色が8割ほど変わったら、刻んだ干し椎茸と干しエビを加えてさっと炒め合わせます。

砂糖と五香粉は溶けにくいので、味付け用の調味料は入れる直前によく混ぜておく

干し椎茸と干しエビの戻し汁(水と合わせて100mlにしたもの)と味付け用の調味料を加え、煮立ったら中弱火で5分ほど煮ます。

干し椎茸と干しエビのうま味が溶け込んだ肉そぼろが完成!

これは作り置きができるので、多めに作っておくのもおすすめです。

作り方② スープ、トッピングを用意する

次に、スープとトッピングを作っていきます。

エビは、赤さをしっかり出したいならブラックタイガー、
手頃な値段ならバナメイエビがおすすめ

今回、スープのベースとなるのはエビのだしです。

担仔麺といえば、たっぷりの肉そぼろの上に赤いエビがトッピングされているのが特徴。このトッピング用のエビをゆでるついでに、スープに使うだしを取ります。

できれば殻付きのエビを選ぶと、より深みのある味わいのスープになります。

※だしを取らずにトッピングとして使う場合は、そのまま食べられるボイル済みのエビでもOK。

最初はエビの下処理です。冷凍エビを使う場合は、あらかじめ塩水(分量外)で解凍しておきましょう。殻付きのエビは、殻の2節目あたりにつまようじを差し込み、すくうように背ワタを取ります。背ワタが取れたら、くさみ防止として、エビに酒少々(分量外)をまぶしておきましょう。

鍋に水と塩少々(分量外)を入れ、沸騰したらエビをゆでます。ゆで終えたらエビは取り出しておきます。

そして、鍋に残ったアクを取ります。取り終えたら、鶏ガラスープの素とおろしにんにくを投入します。

煮立ったらもやしを入れ、10秒ほどさっとゆでたらすぐに取り出します。

これで担仔麺のスープも完成です!

次は、トッピングにする小ねぎを2〜3cmの長さに切り、パクチーは食べやすくちぎっておきます。先ほどゆでたエビは殻をむいておきましょう。

作り方③ ゆでた麺にスープを注ぎ、トッピングをのせる

いよいよ仕上げです!

中華麺は、袋の表記通りにゆでて湯切りし、器に入れておきます。

そこにスープを注ぎ、

真ん中あたりに、肉そぼろをたっぷりのせます。

周りにもやしと小ねぎを散らし、肉そぼろの上にゆでエビとパクチーを添えたら完成です!

それでは早速、いただいてみましょう。

すべての具材とスープのうま味が溶け合う担仔麺

麺の上にどっさりのった肉そぼろは、甘辛い味付けがたまりません……! 干し椎茸と干しエビの食感も加わり、かむたびにうま味がどんどんあふれ出します。この肉そぼろを麺と一緒に食べると、これまた最高! なめらかな麺と肉汁たっぷりの肉そぼろは相性抜群で、スルスルといただけてしまいます。

スープと肉そぼろを一緒に食べるのも最高

スープは、エビのだしと鶏ガラ、にんにくがしっかりときいており、あっさりとしていながらもやみつきになる味わいです。五香粉香る肉そぼろのうま味もスープに溶け出し、思わず飲み干してしまいたくなるおいしさ。

さらに、パクチーがアクセントとなり、五香粉の風味と相まって何とも食欲をそそります。赤色が目に楽しいトッピングのエビも、くさみがなくプリッとした食感。

もやしや小ねぎなどの野菜もシャキシャキとした食感で、飽きずに食べられること間違いなしです!

まとめ

最後の一口までおいしい、具だくさんのごちそう担仔麺。この一杯で、五香粉がふんわりと香る本格的な味わいが楽しめます。肉そぼろをたくさん作っておけば、あとは担仔麺を食べたい時にスープを作ってトッピングをのせるだけ! 意外と手軽にできるのもうれしいですね。

暑い季節は何かと冷たいものばかり食べてしまいがちですが、たまにはスパイスのきいた肉そぼろと香味野菜を使った汁そばでリフレッシュするのも◎。簡単なのに本格的な味が再現できる担仔麺、ぜひ作ってみてください。

書いた人:庭乃桃

niwanomomo

料理・食文化研究家、女子栄養大学 食生活指導士。「おいしい」を取り巻くさまざまな食卓の風景に目を向けながら、企業向けレシピの開発や、執筆、講演など多方面で活動中。著書『おいしく世界史』(柏書房、2017年)。

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