梅干しの新しい活用法!クミンシード×梅で、いつもの手羽先がグッとごちそうなひと皿に。

普段から食卓にもなじみのある「梅干し」。今回は、この梅干しをクミンシードと組み合わせて、エスニックな風味漂うひと皿を作ってみました。梅干しの新しい活用方法としていかがでしょう?

こんにちは、料理・食文化研究家の庭乃桃です。今回ご紹介するのは、ちょっと変わった組み合わせ、梅干し×スパイスで味付けした手羽先のお料理です。

梅干しは、そのまま食べるだけではなく、調味料として使ってもおいしい優れもの。もとが果実ですから、ただ酸っぱいだけでなく、フルーティーさやしっかりしたうま味も楽しめます。

それをクミンシードと合わせてみます。カレーに使われるスパイスとして最近はすっかりおなじみですが、梅干しと出合うことで新しい味わいに! 

メインとなる具材は手羽先。鶏の脂をしっかりと引き出しながら、梅干しのフルーティーな酸味やうま味、パンチの効いたクミンの香りが混ざり合って乳化したソースも絶品で、パンにもご飯にもよく合うひと皿になります。

それでは「梅干しとクミンシードの手羽先煮」を作っていきましょう!

「梅干しとクミンシードの手羽先煮」

材料(2人分)

  • 手羽先……6~8本(300g)
    <手羽先の味付け> 塩・胡椒……適量(少々多めに使い、しっかり味付けします)
  • 玉ねぎ……1/2個(100g)
  • 梅干し……中サイズ2個(20g)
  • 油……大さじ1
  • クミンシード……小さじ1/2
  • 赤または白ワイン……250ml ※1
  • 酢……適宜(お好みで。小さじ1/2程度から)※2
  • ディル、コリアンダー……適宜(お好みで。香り付けと飾り用)

※1 使用するワインは赤でも白でも構いません。赤ワインを使うとコクがアップし、白ワインを使うと多少さっぱりとした口当たりになります。

※2 酢は、あればワインビネガーを使うとよりまろやかな味わいになります。お使いの梅干しやワインの酸味に応じてお好みで加えてください。

作り方① 手羽先を焼く

皮目を香ばしく焼き、鶏の脂をしっかり出していきます

今回使用するのは、鶏皮から出るうま味とジューシーな肉質を併せ持つ手羽先。

鶏の脂を引き出して、そのうま味をそのままソースに加えていくので、まずは油を引いたフライパンでじわじわと皮目から焼いていきます。

焼きながら、上から塩・胡椒をしっかりめに振って味を付けます。火加減は、中弱火。焦らず、皮が焦げ過ぎないよう気を付けながら7分ほどかけてじっくり焼いていきます。

手羽先を焼いている間、少し時間があるので他の食材を準備します。

玉ねぎを1cm幅くらいのくし形切りにします。梅干しは、種を外して大きめにほぐします。この種も使うので取っておいてくださいね。

こちらはお好みですが、香り付けと飾りに使うディルとコリアンダーは、手で食べやすくちぎっておきます。ハーブを入れると、彩りが良くなるだけでなく、爽やかさも加わり、より食欲をそそる味わいに。包丁を使うより、手でちぎった方が香りが立つのでおすすめです。

さて、再び手羽先に戻ります。

鶏の脂がしっかりと出て、皮がおいしそうな色にこんがりと焼けてきたらひっくり返しましょう。こちら側にも塩・胡椒をしっかりめに振り、さらに3~4分焼きます。

中まで完全に火が通っていなくてもOK

手羽先の生の部分が見えなくなったら、一度取り出しておきます。フライパンに残った鶏の脂は捨てずに、これでスパイスと玉ねぎを炒めていきます。フライパンは、決して洗わないでください。

作り方② クミンシードと玉ねぎを炒める

フライパンを再び火にかけ、残った油にクミンシードを入れてじゅわじゅわと香りを立てていきます。そこに、玉ねぎを入れて炒め合わせましょう。

このときの火加減は、やや強めの中火。クミンシードがギリギリ焦げないくらいを目指すと香りが最大限に引き出されます。焦げそうになったところで玉ねぎを加えてフライパンの温度を下げて調節します。

そのまま炒めて玉ねぎ全体に油が回り、透明感が出てきたらワインを加える準備をします。

乾燥していたり貯蔵期間が長かったりした玉ねぎだと、状態によってはなかなか油がなじまないこともあります。そんな場合はふたをして2~3分蒸し焼きにするのがおすすめです。

作り方③ 梅干しとワインを加えて煮込む

ワインは赤でも白でもお好みのものを。こちらでは赤ワインを入れています

玉ねぎに油が回ってツヤと透明感が出てきたら、ワインと梅干しを加えます。煮立たせて味を見て、酸味がもう少し欲しい場合は酢を少量加えましょう。

梅干しは種の周りにもうま味があるので、加えてしっかり味を溶かします。

ワインが煮立ったら、手羽先を戻し入れます。取り出しておいた皿に残った焼き汁にもうま味があるので余さず加えてくださいね。

最初は皮目を上にして、できるだけ煮汁に沈めるように置き、ふたをして弱火で13~14分煮ていきます。その間、手羽先を2~3度ひっくり返して味を中まで含ませます。

煮ていると、鶏の脂と梅干し、ワインが混ざり合って徐々にソースが濁ってくるので、これがおいしさとできあがりのサイン。この状態になればワインのアルコールもしっかり飛んでいます。

フルーティーな梅干し×スパイシーなクミンが食欲をそそる!

赤ワインを使って煮た場合、全体像はこのような感じ。鶏の脂と梅干し、スパイス、ワインが煮詰まって極上のソースになっています。仕上げにハーブを散らします。

こちらは白ワインで作ったバージョン。どちらもおいしそうですね。

早速いただきます!

ジューシーな手羽先は、皮の部分を一度しっかり焼いているため、食べ応えはあるのにしつこくありません。何より、このソースが絶妙な味わいです。

煮詰めたワインのどっしりとしたコクに、ふわりと広がるクミンシードのスパイシーな香り。手羽先のうま味。それらに梅干しのほのかでフルーティーな酸味が加わることで、奥行きのある味に仕上がっています。

クミンの香りはもちろんカレーなどでおなじみかもしれませんが、そこに梅干しが加わるととても新鮮な味わいです! とろりと乳化したソースはこってりとしていそうですが、梅干しの酸味のおかげでさっぱりと飽きずにいただけそうです。

味の染みた玉ねぎも良いアクセント

お好みですが、最後に散らした生のハーブがさらにごちそう感を高めます。

ディルもコリアンダーもどちらかというと個性的なハーブですが、クミンシードの香りとも相まり、引き立て合っていますね。いつもの手羽先が一気にエスニックなごちそうメニューに変身しました。

まとめ

いつもとはひと味違う、梅干しの活用の仕方をご紹介しました。梅干しも使い方次第でいろいろな味わいを楽しめそうです。コンビニでも少量から手軽に買えますし、ぜひ皆さんもさまざまなスパイスとの組み合わせを楽しんでみてください!

書いた人:庭乃桃

niwanomomo

料理・食文化研究家、女子栄養大学 食生活指導士。「おいしい」を取り巻くさまざまな食卓の風景に目を向けながら、企業向けレシピの開発や、執筆、講演など多方面で活動中。著書『おいしく世界史』(柏書房、2017年)。

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