まだまだ日本では知られていない料理、ガンボ
皆さん、こんにちは。メシ通リポーター、BLObPUS(ブロッパス)です。
今回はいつものように東京・中野でのサブカルショップ巡りの後、空腹を満たすため飲食店街をブラブラ歩いていて見つけたお店をご紹介します。
雑居ビルの2階にあってちょっと入るのに勇気がいりますが、かわいいキャラクターの看板にひかれ、思わず扉を開いてしまいました。
まだまだ日本では珍しいガンボのお店ということで、期待が膨らみます。
アメリカ南部のルイジアナ州を起源とする郷土料理、ガンボ(Gumbo)。
見聞きしたことがない方へ説明すると、ガンボは、魚介や肉に香味野菜を加え、オクラを使ってとろみをつけたトマトベースの煮込み料理です。
その名の由来としてはフランス語で「オクラ」を意味する「Gombo」(ゴンボ)からきているとするものや、原産国のアフリカの方言でオクラがkingomboと呼ばれていたものが変化したなど、諸説あるようです。
「スパイシーだがカレーとは違う」そんな一皿を求めて
店主の岡村まきすけさんにお話を伺いました。
──はじめまして。まずは岡村さんのことから教えていただけますでしょうか?
岡村さん:もともとスパイスカレーを出すバーで働いていました。このお店のほかにも役者の仕事をやっているので、自分のスケジュールを自分で管理したいというのも独立のキッカケでした。最初は高円寺のバーで間借り営業をしていたんですが、ご縁があって中野で本格的にお店をオープンできました。
▲店内には妻のアイさんと一緒に写真展をやった際の作品集も
──店内を拝見していて、岡村さんはソウルやファンクなどの音楽がお好きそうだなと感じましたが、それもガンボのお店を始めた理由だったりするのでしょうか?
岡村さん:はい。関係しています。特にファンク系の音楽が好きで、料理としてガンボの存在はそんな音楽や文化の情報から知りました。
▲お店のキャラクターデザインを手掛けた友人のイラストレーターさんに描いてもらった絵も展示されている(©竹田数雄)
──スパイスカレーを出すお店での経験もあるとのことですが、なぜカレーでなくガンボで勝負しようと思われたのですか?
岡村さん:はい。自分自身もすごくカレーは好きなのですが、お酒を飲んでいる時にお店の中が常にカレーの匂いがしているのが好きではなかったんです。なので、自分でお店を始める際はスパイスを使いつつも、あまり匂いが店内にこもらないメニューであるガンボにしてみようと思いました。もともとスパイスの知識はあったので、いろいろと試作を繰り返して現在の味に仕上げました。
──ガンボに使うケイジャンスパイスなどの調合で、ご自身ならではのこだわりはありますか。
岡村さん:オレガノやコリアンダーなど、7種類のスパイスを使っています。こだわりというほどではありませんが、パプリカパウダーがメインになっているので、とても爽やかな香りのするスパイスに調合できていると思います。
またケイジャンスパイスについては、ウチはガンボ以外にチリコンカンやカクテルにも使っています。お食事に合わせるなら、ブラッディーマリーにケイジャンスパイスを入れたものもすごくオススメです!
──カクテルも気になりますね。お店ではご飯にバスマティライス(※編注:水気が少なくパラパラとした食感のお米で、主にインドで栽培されているインディカ米の一種)を使っているようですが、これも本場のガンボにはよく使われているものなのでしょうか?
岡村さん:いいえ。一般的にはカリフォルニア米が使われているようです。もともとガンボは家庭料理ですから、いろいろなレシピがあるんです。自分は毎日食べても飽きのこないような、極力油を使わないヘルシーなガンボを目指しました。
またガンボには小麦粉をバターで炒める工程があるのですが、グルテンフリー(※編注:麦や大麦、ライ麦などに含まれるたんぱく質であるグルテンを含む食品の摂取を制限すること)にしたかったので、うちではその工程もやっていません。そのため、わりとサラッとした仕上がりのガンボになっています。それに合うお米ということで、バスマティライスにしました。
こだわりのミックスガンボを実食!
▲ミックスガンボ (1,200円)にトッピングのケイジャンシュリンプ(昼400円、夜500円)とオクラ(100円)を追加
よく煮込まれたチキンとシーフードのミックスガンボにスパイシーなケイジャンシュリンプとオクラをトッピング。スープのとろみはオクラでつけています。
使っている野菜は季節ごとに変化させているそうで、この日は白菜が入っており、ほんのり甘くて温まる味。
バスマティライスの香りとガンボのスパイスの香りが溶け合った相乗効果で、さっぱりしているのに深い味わい。
また油をほとんど使っていないので重たい感じもなく、スルスルと食が進みます。うん、これならたしかに毎日食べられそう。
チリコンカンと絶品ナッツでお酒もグイグイ進む
▲チリコンカン(800円)。写真のものはハッピーアワーのハーフサイズ(400円)。左上は絶品ナッツ(600円)
岡村さん:以前、5歳くらいのお子さんが親御さんと来店した際に、ガンボが辛くて食べられなかったことがあって。それがショックで、このチリコンカンを開発したんです。ケイジャンスパイスは使用していますが、辛い要素は一切なく、お肉をたっぷりにしてみました。ハッピーアワーの17〜19時であればハーフサイズもありますので、おつまみとしても好評です。
──この絶品ナッツもウマいですね! これも何かスパイスを使われているんですか?
岡村さん:実はお客さんに教わったレシピでして、市販のナッツに企業秘密のスパイスを足しています。これもお酒が進みますよ(笑)。
──そうだ、お酒を注文するのを忘れていました。それでは、ケイジャンブラッディーマリーをお願いします!
▲ケイジャンブラッディーマリー(1,000円)
一見普通のブラッディーマリーだが、口に含んだ瞬間にケイジャンスパイスの香りがぶわっと広がります。レッドペッパーソースを入れて、辛さをアップさせてもいい感じ。もちろんガンボとの相性もバッチリ。
ガンボ以外にもまだまだ気になるメニューがありそう
今回紹介したメニュー以外にも鯖(サバ)の水煮をケイジャンスパイスでアレンジしたものや、妻のアイさんの出身地である熊本から取り寄せた柑橘(かんきつ)類を使ったカクテルなど、多彩で魅力的なメニューがまだまだあるマッキーズガンボ。
映画やお芝居、音楽や写真などにも造詣が深い店主の岡村さんとの会話も含め、お食事以外にも楽しいひとときを過ごせるバーでもあります。
まさにガンボのようにいろいろな文化が溶け合ってクセになりそうなお店です。
お店情報
マッキーズガンボ
住所:東京都中野区中野5-50-1 AMビル2F
電話番号:070-9066-7476
営業時間:平日・土曜日・祝前日11:30〜15:00(14:30LO)、17:00〜24:00(23:30LO)、 日曜日・祝日11:30〜22:00(21:30LO)
定休日:不定休
書いた人:BLObPUS
オリジナルキャラクターの怪獣フィギュア「BLObPUS(ブロッパス)」をリリースしたのをきっかけに活動開始。国内外のフィギュアイベントに参加しつつ中央線沿線を飲み歩く怪獣おじさん。蓄光素体にメタリックカラーを基調とした独特の色使いで彩色にも定評がある。