焼きそばない焼きそば、「焼きそばず」のご提案です。
握らない「おにぎらず」がありました。
はさまない「サンドらず」もありました。
焼きそばないのが「焼きそばず」です。
焼きそばが好きだからこそ、あのソース味の焼きそばとは別の新しい地平があるのではないかと考えるわけです。私は正気です。
袋の裏のレシピ通りに作ったソース味の焼きそば。
あれはおいしい。普通に調理するのを「焼きそばる」行為だとすると、「焼きそばず」はそうじゃない方向でおいしくいただく、ということになります。
単なる焼きそばアレンジレシピにならないようにがんばります。
「引かず、こびず、焼きそばず」の精神です。
「焼きそばず」の準備
まずはそば焼きの基本から。
「焼きそばず」は麺を炒める方法と焼き固める方法があります。
それぞれ「バラ」「カタメ」とします。
下準備として、袋のままレンジでチンしますと麺のほぐれがハンパなくなります。
500Wで1分です。
サラダ油をひいたフライパンで炒めます。
少量の水を差して水蒸気で蒸らしながらです。
ここまでで「バラ」の完成。
焼き固めて「カタメ」にする場合は次の段階に進みます。
そばを焼き固めます。
まずは前段の「バラ」の麺を作り、火を止めて、サラダ油を多めに追加し、クッキングシートを麺の上に置きます。
サラダ油を足すのは表面をフライ状に揚げるためです。
クッキングシートがフライパンの外にはみ出る部分は切りとりましょう。
飛び出したクッキングシートの端がいきなりバッと燃えてすごく慌てることになります。
クッキングシートの上に重しを乗せて強めの火力でだいたい1分焼きます。
私の場合は水を入れてちょうどいい重さにしたヤカンの底を使います。
ヤカンの下、見えないところで麺が揚げ焼きみたいになっています。サラダ油を多めに追加するのがポイントです。
耳と鼻が頼りです。
ジュワーという揚がりサウンドを聞きながら待ち、焦げ臭くなる直前が完成の目安です。
表面はこんがりクリスピー、中の麺はもちもちダヨ。
これで「カタメ」の完成です。
「焼きそばず」の麺はこのいずれかの方法で、先に用意しておきます。
「焼きそばず」の基本パターン
「焼きそばず」にはいくつかのパターンがあります。
- レトルト具材を使う
- 粉末または固形のスープを使う
- ありあわせの食材を利用する
このベースから焼きそばアレンジ、いや「焼きそばず」を作っていきましょう。
中華丼焼きそばず
レトルトの中華丼パックの中身をフライパンに開けてブワーッと熱します。
麺を炒めたフライパンそのままで結構、洗う必要はありません。
焼き固めた「カタメ」の麺の上にドーン。
完全に中華あんかけ焼きそばみたいですが、なんというか、「焼きそばず」完成です。
おすすめ味変はラー油。
パリパリな麺があんにほどけて、うめえうめえ。
麻婆豆腐焼きそばず
かた焼きそばとあんかけ方向の「焼きそばず」には、麻婆豆腐(レトルト)というチョイスもあります。
中華×中華はうまい具合にフィットしますね。おいしい。
牛丼焼きそばず
炒めてる「バラ」の麺にレンチンした牛丼のアタマをかけてみましょう。
これもレトルトで充分です。
牛丼タレは甘みが強いので醤油をひと回ししてちょっと焼きからめ、塩味と香ばしみを与えます。
牛丼焼きそばずです。
七味がフィットします。
おいしいんですが、牛丼はご飯のほうがおいしさピーク出ますね。
やみくもにアレンジすればいいってものじゃないことがわかるのも、「焼きそばず」のいいところです。
ミネストローネと肉団子の焼きそばず
焼きそばでなにか変わった味を考えるようなとき、ひとはナポリタンに走りがちなのですが、焼きそばの可能性を広げる「焼きそばず」ではそんな安易ことはしませんのです。
レンチンするとすぐできるタイプのミネストローネをレンチンして、炒めた麺(「バラ」)にぶっかけます。
豆がいっぱいで健康です。
そこにお弁当に最適なミートボールをこれまたレンチンして混ぜて、完成です。
ヤツはとんでもないものを盗んでいく感じの「焼きそばず」です。
満足感高いですし、あこがれのカリ城スパですし、言うことなしです。
かきたまスープ焼きそばず
フリーズドライの固形スープ、かきたまを規定量のお湯で溶かします。
けっこうやさしい味にチューニングされているので、塩をティースプーンで1杯追加するのがオススメ。
「バラ」の麺と合わせて、軽い汁そばにします。
ラー油をちょっとたらして完成です。
かきたまスープ焼きそばず。
小腹がすいた時の夜食にもいいし、2分で作れるので忙しい朝の非常食にもナイスな一品です。
お吸い物焼きそばず
お吸い物の粉2包を1杯分の規定量の水とともにフライパンに入れて煮立てまして、火を止めます。
粉2:水1。2倍の味ってことですね。
そこに水溶き片栗粉をちゃ、ちゃ、と少しずつ入れてはかき混ぜると。
お吸い物があんかけ状になりました。
いい匂いがしますね。
「カタメ」の麺の上からかけますと、たいへん上品なかた焼きそばずの完成です。
これマジで未曽有の味覚なのでやってみ。
黄色いかた焼き中華麺に上等なキノコの香りのあんは味覚の異物衝突です。
オニオンコンソメ焼きそばず
カップスープの素、オニオンコンソメです。コンソメスープはおいしいですね。
飛行機の中で飲むのがいちばん好きです。
例によってこれを2袋使い、1杯分のお湯で溶かします。2倍の濃さですね。
「バラ」の麺と一緒にフライパンでジャーします。
つぶつぶはクルトンです。
ああ、2分でこんな奇跡が起きていいのか。
おいしいものとおいしいものをかけ合わせた、予想通りのおいしさです。
たった2分で完成する、西洋と東洋のいいところを合わせたラーメ……いや、「焼きそばず」です。
おうちで簡単カルボナーラ
カルボナーラ焼きそばずですが、レトルトは使いません。
冷蔵庫にたまたまありあわせの具材があった、というテイで進めます。
レシピはメシ通のこれを参考にしました。
1人分の材料です。
上記リンクのレシピと違うところは卵。
全卵ではなく卵黄を使います。
ブロックのベーコンのほうがいいですね。
薄切りだとつまらなくなります。
焦げ目が出るまで炒めましょう。
生クリームは無いので牛乳です。
さらに粉チーズをバッサバサに入れます。
分量は「こんなもんかな」と思ってから2倍行きましょう。
卵を念力で卵黄と卵白に分けて、卵黄ひとつぶん使います。
フライパンをコンロから一旦上げてぬれ布巾の上に乗せて冷まします。
しっかり冷まさないと、卵黄を流し込んだ瞬間に熱が通って固まってしまいます。
意図せず卵焼きになっちまうのです。
卵黄だけを使うのは、全卵と較べておいしさが段違いだからです。
フライパンをちゃんと冷やすと、このように黄色の濃いカルボナーラソースになってくれます。
「バラ」の麺とからめて、仕上げに黒胡椒をガリガリ。
使わなかった卵
食材
カルボナーラ焼きそばずの完成です。
あのね、おいしいのコレ。
鼻から食べるのがもったいないくらいです。
パスタも中華麺も小麦のヌードルですが、カルボナーラ自体が完成されたお手軽ボーノなので、間違いないんですわ。
焼きそばの冒険
大好きな焼きそばの可能性を広げ、新しい地平に行き着くための営みが「焼きそばず」です。
実際にやってみたら、時短だわ、安いわ、うまいわで、ちょっと完璧なズボラ飯になりました。
なにしろ焼きそばは3食入りで90円台で買えたりします。
そもそも安いんですが、中身はちゃんとしたゆで中華麺。
まともに調理したらお店レベルのポテンシャルを発揮する逸材です。
とくに2分でできるカップスープ系焼きそばずは、夜食にもピンチのときの朝飯にもオススメできるズボラ飯です。
このズボラ飯「焼きそばず」を味わうために、ぜひ寝坊してみてください。
※この記事は2017年7月の情報です。