なぜ君は「蒸籠」を使わないのか【鶏むね肉もしっとり仕上がる】

蒸籠(せいろ)って、使ってみると「おいしい、簡単、便利、手間なし」と便利なことが多いんです。特に火加減と洗い物に圧倒的メリットがあります。ノールック火加減の手放し調理、一周回って究極のズボラ調理器具、蒸籠をプレゼンいたします。

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蒸籠の匂い、しみついて蒸せる

僕はもうカンカンに怒っているんですよ。

なににかって、「レンチン調理は手軽で簡単」という先入観と、それに対して無批判な風潮にですよ。

 

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たとえば蒸し鶏を作るとき。

世間では電子レンジでの調理が簡単で早いってことになっていますが、あれって簡単ですか。注意点多すぎないですか。手数、多くないですか。

 

まあやってみますけど。

 

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鶏のむね肉に下味をつけて30分くらい置いておくじゃないですか。

 

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シリコン製のスチーマーに入れまして。

 

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電子レンジを500wにセットして、「肉が100gの場合はn分チンする」という法則をもとに加熱時間を割り出します。すなわち、肉300gの場合は3n分チンになります。

 

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加熱ムラをなくすために加熱時間の半分のところでいったん取り出して、肉を裏返して。

 

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あちち、あちち。で、また電子レンジに戻して残りの時間チンします。

 

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粗熱が取れるまでゆっくり冷ましてから、切って盛り付ける。

 

これ、簡単ですか。注意点多すぎないですか。手数も多くないですか。

 

特に僕は電子レンジ調理につきものの「いったん取り出して、ひっくり返したりかき混ぜたりしないといけない」という手順が大嫌いなのです。スタートしたら手放しで完成してこそ「簡単」と言えるのではないでしょうか。

 

さらには脂で汚れたシリコン製のスチーマーを洗う任務が待っています。

 

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シリコンスチーマーの角っこについた油脂汚れを落とす作業がこの世でいちばんめんどくさいんですけど、わかりますか。どんなにこすってもこすっても落ちきらないので、どうにも達成感を得られないんですよ。

 

ワット数を前提に秒単位で計算するという加熱時間を考えるのもめんどくさい。洗っても洗っても汚れを落としづらい。

一般に「簡単・便利」とされるレンチン調理、実は全然簡単でも便利でもないのではないか。

 

1周回って究極のズボラ調理器具「蒸籠」

そんな疑念が湧き上がったところで、そこであえての蒸籠ですよ。

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蒸籠と書いて「せいろ」と読みます。この道具は竹や木でできたカゴ状の容器で、蒸気で食材を蒸すときに使います。

このタイプの蒸籠がない場合は一般の「蒸し器」でも代用可能です。

 

蒸籠で蒸し鶏を作りますよ。

 

【蒸し鶏の材料】(300g分)

  • 鶏むね肉 300g
  • 塩 3g
  • コショウ 少々

 

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鶏のむね肉に塩とコショウを揉み込んで下味をつけて30分くらい室温で置いておく。ここまではレンチン調理と同じです。

 

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下味の塩は肉の重さの1%が目安。300gの肉なら3gの塩。あとはコショウを「パッパッパッパ」くらいですね。

 

蒸籠に肉を入れますが、このときにクッキングシートを敷いておくのがおすすめです。

肉汁や脂が蒸籠本体に付着すると、あとあと不衛生なことになります。蒸籠用のシートや布巾もありますが、コストや衛生面を考えるとクッキングシートがベターですね。

あと僕の場合は具材をクッキングシートでくるんじゃいます。完成したときに持ち上げるのが楽なんですよね。

 

鍋で十分な量のお湯を沸かしてガンガン蒸気が出ているところに蒸籠をのせます。

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300gの鶏のむね肉なら10~12分。強火のまま手放しです。

 

時間が来たら蒸籠を鍋から下ろして冷めるまで待ちます。ここで余熱を入れるのも狙いです。

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蒸籠で蒸した鶏のむね肉、パツパツに膨らんでおります。

 

熱いままの肉を切るとうま味が肉汁として流れ出てしまうので、冷めてから切る。これは料理のスゴくうまい人を取材したときに得たノウハウなので間違いないです。

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1cm厚に切って盛り付け。

柔らかく、ジューシー。噛めばうま味がジュワッと染み出してきて、満足度高いです。

100g68円の鶏むね肉でここまでのごちそう感を味わえるのは蒸し調理の魔法、至福ですよ。

 

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レンチン調理でこのクオリティを出すことは、技術的には可能です。

しかし前述のとおり、レンチンは手順も多くて加熱時間がナーバス。蒸籠のノールック火加減と手放し調理の圧倒的な快適さを知ると、レンチンが簡単とはとても言えないです。

 

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なにも考えずに10分ちょい蒸すだけ。簡単ってこういうことでしょう。

 

後片付けも至便。

蒸籠は湿った布巾で拭いて乾かせばOK。クッキングシートでくるめばまず起こらないことですが、肉汁や脂がついちゃった場合はぬるま湯でサッと洗ってください。

洗っても洗っても油脂がヌルヌルし続けるシリコンスチーマーと比べて、どうですかこのメンテナンス性。

 

蒸籠を使うメリットはここからが本番

そして蒸籠のメリットはまだまだあります。

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蒸籠は蒸気を通過させて食材を加熱するシステム。野菜やら魚やら、いろんなオカズを縦方向に積み上げて同時に調理できるじゃないですか。

 

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蒸し野菜です。10分ほど蒸しました。いい塩をパッと振って食べるのがおすすめ。マジ満足です。蒸し鶏と同時に調理できますから、これで主菜も副菜もOKで晩メシの完成ですよ。

 

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中華まん。10分蒸しです。

レンチンだと、ちょっと時間が経ったら皮がパリパリし始めるし、意外と冷めるの早いっすよね。蒸籠で蒸すとそれがなくて、フワフワのまま、温かさが長持ちするんですよ。なんでですかね、気のせいですかね。

 

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冷凍食品も蒸籠で蒸すことができます。

たとばシュウマイ。有名シェフ監修の冷凍シュウマイです。

パケ裏には電子レンジでの加熱方法が詳しく書かれてますね。

 

冷凍の状態でトレイのまま〇〇wで加熱してください、2個の場合は□□分、6個の場合は△△分などなど

 

実は蒸籠で蒸す場合の説明もパケ裏に小さく書かれてるんですよ。

そのテキストはこれだけ。「10分蒸してください」。

加熱時間そのものはレンチンの方が早いとしても、このアバウトさ。

蒸籠、簡単すぎる。

 

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で、やってみて驚いたんですけど。ホントにおいしく仕上がるんですよ。冷凍シュウマイ。レンチンとはレベルの違う、すなわちレベチなうまさなんですよ。

肉は柔らかいし、脂にしっかり熱が入るせいかうま味もしっかり。ふわっふわでジューシー。

柔らかいシュウマイの中からうま味のスープがドバーとあふれ出てきて口の中が「おいしい一択」になるんです。なんつうか、お店レベル。

監修したシェフのお店ではこういうものが出てくるんだろうなと想像できるほどの再現度なんすよ。

 

レンチンの場合は食材に含まれてる水分だけで蒸しますが、蒸籠だと加熱のための水分は下の鍋から昇ってきます。食材から蒸発してしまう水分が少ないので仕上がりが豊潤になるのかなと思いました。

 

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有名シェフ監修の冷凍食品って本来はこんなに高いおいしさポテンシャルを持っているものなのかと驚きもしましたし、これまでレンチンでこれを食べてたことを申し訳なく思ったというか自分が情けなくなったんですよ。

せっかくおいしく監修してくれてた製品のパフォーマンスをこれまで十分に発揮させられてなかったことに気づいて、深く後悔したんですよ。

 

ガスコンロが1口あれば一気に晩メシの支度ができる

あと、これは裏ワザですが。

蒸気を出すために、一番下の鍋でお湯を沸かしてるじゃないですか。そこで味噌汁用の具を茹でておくこともできるんです。

 

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主菜、副菜、味噌汁をガスコンロ1口で同時に調理できるバーチカルスチームクッキングシステムの完成です。

時短・簡単・手間省略。そしてお店レベルにうまいメシ。

 

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こんな感じで、ついでにゆで玉子(蒸し玉子)だって作れます。

 

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ガスコンロを1口しか使わずにこれだけ一度に調理できりゃ便利でしょうがないですわ。

蒸籠と書いて「せいろ」です。蒸すための籠。かなりおすすめです。

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書いた人:鷲谷憲樹

鷲谷憲樹

フリー編集者。ライフハック系の書籍編集、専門学校講師、映像作品のレビュアー、社団法人系の広報誌デザイン、カードゲーム「中二病ポーカー」エバンジェリストなど落ち着かない経歴を持つ器用貧乏。

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