世界に存在しない「架空の料理」をAIに画像生成してもらった

最近よく目にする「画像生成AI」にプロンプト(※ユーザーがAIに対して行う指示のこと)を入力して、世界に存在しないオリジナル料理画像を生成してもらいました。料理の新たな地平が開かれるかも……?

画像生成AIに試しに「ピクニック風景」を描いてもらったところ……

どうですかこの理想的なピクニック風景。実はこれ、画像生成AIに描いてもらったんですよ。

AIとは「Artificial Intelligence」、すなわち人工知能のこと。

人間の知能をコンピュータによって再現しようとする試みです。

そしてコンピュータが学習したデータをもとにしてさまざまなコンテンツを生成する技術。それが生成AI。Generative AI。

メールやアイデア出しなど、デスクワークの軽作業を自分の代わりにやってもらうこともできますが、自分にはできないこともやってもらえるのがGenerative AIの醍醐味(だいごみ)です。

たとえばフォトリアルなピクニック風景の絵を描くこととかね。

 

AIにはいい意味で常識がないので人間のように無意識に発想を制限したりしないし、昔のコンピュータみたいに「ソレハデキマセン(beep!)」と鳴いてフリーズすることもありません。

ならば、この世に存在しない架空の料理も真面目に描写してくれるはず。

やってみよう。

 

今回使用する画像生成AIはこちら。

 

dreamstudio.ai

 

試しにプロンプトを「わんこそば」と日本語で入力。

 

すると、学習データをもとにした「わんこそば」の画像が生成されました。

わっ、びっくりした。

いきなりシンギュラリティ(技術的特異点)に到達してしまったので、「わんこそば」をAI翻訳サイトに入力して、自動で出てきた英文プロンプトで画像生成し直しです。

 

プロンプト:soba noodles in broth served continuously so that the guest or customer never has an empty bowl.

 

たしかにそばの画像は出てきましたが、なんでしょう。フォトリアルなキュビズム。悪夢の中のわんこそば。空間のねじれが未来的です。

 

今度はわんこそばを英語で説明してあげます。ホントにAIちゃんは手がかかるなあ。

プロンプト:Wankosoba is a type of buckwheat noodle in Iwate Prefecture (Hanamaki and Morioka). The soba noodles are dipped in hot soba sauce and placed in the customer's bowl. Whenever the customer finishes eating the soba, the waiter continues to fill the bowl with more soba until the customer is full and closes the lid.

 

「お客がそばを食べ終わったら給仕係が器に盛り付け続ける」の部分をAIが解釈してくれました。こうなるのか。なるほど。AI、完全に理解した。

 

京都の流しそうめん

素晴らしい。食べる人も流れている。夏の京都の涼を感じる一葉の画像が出来上がりました。

なるほど。AI、完全に理解した。

 

AIにプロンプトを投げると予想外の結果が出力されるので、面白くて仕方ないです。まったく飽きません。生成条件の架空度を上げて、この「なんでも作れるAIレストラン」にどんどんオーダーしていきます。

 

本場の四川料理の有名シェフが魔改造した日本のオムライス

赤い部分が四川風。さすが有名シェフ。日本発祥の洋食オムライスをこう解釈したのか、と納得の架空メニューです。

人間の手が不気味になるのは成長途中のAIならではのご愛嬌(あいきょう)です。

 

100年前に日本からブラジルに伝わり、南米料理と融合して独自の進化を遂げたカレーライス

いいですね、いいですね。箸が付いているのは日本料理だからですね。フルーツみたいな部分が南米料理っぽさですかね。ちょっと食べたいもんな。

 

北欧の分子ガストロノミーのシェフが、ファインダイニングレストランで提供している「分子おでん」

これが分子おでんか。初めて見た。上に向かって盛り付けられるラズベリー。ミントの葉を添えるセンス。シャンパングラスに入っているのはおでんの汁ではないでしょうか。日本人の平凡なおでん観では到達できないイメージのジャンプがここにあります。

 

2040年、世界カレーライス選手権で3位になった「タカアシガニと飛騨牛のカレー」

画像生成AIは、未来の料理もクリエイトできるのです。これでわかったのは、AIはタカアシガニを知らないということ。「選手権3位」の部分はドヤ顔のおじさんたちで表現するということです。

 

平成7年、渋谷センター街のコギャルが食べていた巨大なお菓子。見た目はかわいいがおいしくない

AIは未来も描けるし「あったかもしれない過去」も描ける。平成7年の渋谷ではみんなこういうお菓子を食べ歩きしていたよね。

 

これこれ。スペイン坂のお店で買って宇田川交番の前で食べてたわー。

 

「巨大、かわいい、あまりおいしくない」のプロンプトを拾ってくれたみたいですね。

 

思い出したわー。平成7年の渋谷のスクランブル交差点ってこうでしたね。横断歩道がサイケデリックだったんですよね(白目)。

 

魔法王国の宮廷料理。火炎竜の丸焼き、マンドラゴラのサラダ

未来も過去もいけるなら、異世界の料理だって描ける。「魔法王国の宮廷料理」をテーマにそれらしい呪文(プロンプト)を入力、っと。

 

いやいやいや。これじゃお子様ランチだ。宮廷料理でお願いします。

 

火炎竜が入ってるせいか、どうしてもテーブルが燃えてしまうなあ。

 

前菜「マンドラゴラのサラダ」

人間のように動き、引っこ抜くと悲鳴を上げる植物のサラダです。

 

これも「マンドラゴラのサラダ」。

なんかアルファルファみたいでちょっと笑っちゃいました。AIは既存データから学習して出力するので、実在しない伝承上の植物は既存のサラダ画像から生成される感じになるのかしら。

 

メイン「火炎竜の丸焼き」

何パターンか出力しましたが、どうしても丸焼きすぎるか料理すぎる。ちょうどいい「丸焼き」のビジュアルを出すのは難しいですね。魔法の修行が足りないと呪文(プロンプト)が弱い、みたいな気持ちです。

 

宇宙飛行士がよく食べている宇宙味噌ラーメン。具材はチャーシュー、煮玉子、光るネギ、宇宙エビ、火星のクラゲ、赤いハイビスカス

AIの頭の中でなにが起きたか知りようもありませんが、これが宇宙味噌ラーメン。

ハイビスカスと宇宙エビが一緒になっちゃったかのようなビジュアルショック。うまそう。

宇宙飛行士になると国際宇宙ステーションの社食でこれが食べられるのです。宇宙ステーションの社食とは……?

 

宇宙エビってなんだろうと思ってAIに聞いてみました。プロンプトはそのものズバリ「宇宙エビ」。エーテル宇宙の海で泳ぎ、ダークマターを食べる。宇宙エビのエビ言葉は「愛と正義」。そんな感じですね。

 

野生の宇宙エビを取ってきて加工するよりは養殖するのが効率いいはずですね。

AIに「宇宙エビの養殖場」で質問した結果がこう。なんと美しい夕凪のホライゾン。

やべえ、行きたい。ここで働いてもいい。

 

『マッチ売りの少女』が見る幻影、絵に描いた餅

画像生成AIが人間の想像を超えるオモシロ画像をバンバン出してくれるので架空の料理をどんどん注文しておりましたけれども、なんというか『マッチ売りの少女』が見る幻影といいますか、食えもしなけりゃ存在もしないごちそうをたくさん見てたら、僕もひたすら無限にマッチを擦っている気がしてきました。

 

プロンプト:Picnic scene. Hamburg steak, pudding a la mode, curry rice, and spaghetti on the table.

 

 

つまり、筆者が生成してきたのは「絵に描いた餅」、英訳すると「pie in the sky」だったんですよね。

プロンプト:pie in the sky

 

画像生成AIは人間の想像の限界を軽々と超えてくつイメージを見せてくれます。

新しいメニューを考えるヒントもたくさん見つかったのではないでしょうか。

この週末、まずは「宇宙エビとマンドラゴラのアヒージョ」でも作ってみてはどうでしょう。

 

書いた人:鷲谷憲樹

鷲谷憲樹

フリー編集者。ライフハック系の書籍編集、専門学校講師、映像作品のレビュアー、社団法人系の広報誌デザイン、カードゲーム「中二病ポーカー」エバンジェリストなど落ち着かない経歴を持つ器用貧乏。

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