こんにちは! 料理家の美窪たえです。
本日は、ふわふわのはんぺんを甘めの醤油味で煮付けて、出汁などで炊き込んだ茶飯の上に豪快にのせたはんぺん茶飯丼をご紹介していきます。
白身魚のすり身が主原料のはんぺんは、上質なタンパク質を気軽に食事に取り入れられる食材です。お値段もお手頃なので、「タンパク質を取りたいけど今日はお肉の気分じゃないな……」という日にはぴったりのメニューです。
はんぺんの特徴の1つであるふんわりと軽い食感は、白身魚のすり身に山芋や卵白などの材料を混ぜ合わせることで軽い口当たりに仕上がっているんです。
さつま揚げなどの練り物と比較すると、油で揚げていないため、カロリーと脂肪分が控えめなのも嬉しいですよね。
そんなタンパク質が取れてヘルシーな「はんぺん」を主役に据えたはんぺん茶飯丼は、見た目のインパクトも抜群ですよ!
それでは早速、はんぺん茶飯丼を作っていきましょう。
材料(2人前)
はんぺんの煮付け
- はんぺん……2枚
- 出汁……300ml ※水約600mlに出汁パック(1〜2パック)を入れて煮出したものから使用
- 濃口醤油……30g
- 酒……20g
- みりん……20g
- 砂糖……8g
茶飯
- お米……1.5合
- 出汁……270ml ※水約600mlに出汁パック(1〜2パック)を入れて煮出したものから使用
- 濃口醤油……15g
- 酒……15g
- 白ネギ……1/3本
※鰹節や昆布などでとった同量の出汁や、和風出汁の素(顆粒)を水に溶いたものに変更しても構いません。用意しやすい出汁をご準備いただければと思います。
※お米1合に対しての分量は、出汁180ml、濃口醤油10g、酒10gになります。一度にたくさん作りたい場合は、こちらの分量を参考にしてみてくださいね。
はんぺん茶飯丼の作り方「茶飯編」
1.出汁の効いた醤油風味のご飯「茶飯」から準備していきます。
まずお米を洗い、ザルに上げてしっかりと水を切っておきます。このあと、出汁と調味料で炊き込んでいきますので、余分な水分が入ると味が薄まってしまいます。おいしい茶飯を炊くために、ザルで水気をしっかり切るようにしてくださいね。
2.茶飯を炊いていきます。
お鍋にしっかり水を切ったお米、出汁、濃口醤油、酒を入れて蓋をして中火にかけます。10分程で蓋の隙間から湯気が漏れてきますので、火加減をごく弱火に落として9分程炊き、火を消して10分程蒸らしていきます。
※炊飯器を使用する場合は、水分量が内釜の目盛りより少しだけ下になるように出汁の量を調整して炊き上げてください。
丼物のおいしさを左右する重要なポイントはご飯の水加減です。これはカツ丼や親子丼など丼物全般に言えることですが、あとから具材の煮汁がかかることを考えて、お米はやや固めに炊き上げておくのがポイント。ぜひ意識してみてください。
ちなみに「茶飯」にはいくつか種類があり、煎茶・焙じ茶など本当にお茶で炊くものと、お醤油等の調味料で炊くものが存在します。
今回は後者のしっかりと醤油の塩気や出汁のうま味をまとった茶飯を、味が染み込んだはんぺんと合わせます。
茶飯とはんぺんの両方に味がついていることで、口の中で一体感が生まれます。白いご飯でも代用は可能ですが、余裕がある方は茶飯を作ってみてくださいね。
はんぺん茶飯丼の作り方「はんぺんの煮付け編」
1.主役のはんぺんを煮付けていきます。
鍋に煮汁用の出汁、醤油、酒、みりん、砂糖を入れて中火にかけ、沸いてきたところにはんぺんを加えます。
はんぺんは加熱すると大きく膨らむため、鍋の大きさによっては身動きが取れなくなってしまいます。少し大きめの鍋を使ってください。今回は1人分ずつ作っていきますね。
2.中火で1分程煮たら静かに裏返して、裏面もまた1〜2分程煮付けていきます。
はんぺんはとても柔らかい食材なので、やさしく丁寧に裏返してあげてください。
3.両面がしっかりと色付けば、はんぺんの煮付けは完了です。
「もっと長時間煮込んだほうが味が染みておいしいのでは?」と思われた方がいらっしゃるかもしれませんが、長く煮過ぎると一度大きく膨らんだあと急激にしぼんでしまい、ふわふわ感が損なわれてしまいます。
また、はんぺんはそのままでも食べられる加熱済み食品なので、火の通り具合を心配する必要がありません。
はんぺんを加熱する時は、表面がおいしそうな醤油色に染まったら「おわり」くらいがベストのタイミングとなります。煮汁の味付けを少し濃いめにして、短時間でさっと煮るのが、はんぺんをおいしく煮付けるポイントです。
はんぺん茶飯丼の作り方「付け合わせ編」
1.トッピングに使用する白ネギを小口切りにします。
白ネギは決して飾りなどではなく、大事な要素になります。茶飯とはんぺんが近い味わいになるため、白ネギがあることで食感や風味のアクセントを加えてくれます。
できるだけ薄く切ることを心がけながら、「ちょっと多いかな?」と思うくらいの量を準備しておくことをおすすめします。残ったらお味噌汁や冷奴などに使ってください。
はんぺん茶飯丼の楽しみ方
炊き上がった茶飯を軽く混ぜ合わせたら、早速盛り付けていきましょう。
この時、鍋底には香ばしいおこげができている場合があります。全体に混ぜ込むことで香ばしさを行き渡らせることもできますし、おこげだけで楽しんでもおいしいですよね。ぜひお好みの食べ方でおこげを楽しんでください。
茶碗に茶飯を盛り付けたら、その上に煮付けたはんぺんを豪快にのせていきます!
はんぺんの上に白ネギをふわっと多めにのせて、
はんぺんの煮汁をお好みでかければ、はんぺん茶飯丼の完成です!
さて、ふわふわな食感を残しつつ、濃いめの味付けでさっと煮付けたはんぺん。内側にはまだ白さが残っていて、茶飯と一緒に頬張ると複雑なうま味を感じることができます。
出汁のうま味、はんぺんから感じられる魚のうま味、茶飯のうま味やご飯の甘みなどが相まって、箸が止まらなくなる味わいです。多めにのせた白ネギは、シャキっとした食感がアクセントになり、食べていただければその重要性をお分かりいただけると思います。
しっかりとした味付けになっているので、日本酒ともよく合いますよ。
インパクト大! はんぺん茶飯丼弁当の楽しみ方
そして、はんぺん茶飯丼はお弁当にするのもおすすめなんです。
お弁当箱に煮付けたはんぺんと茶飯を詰めれば、蓋を開けた瞬間のインパクトは大! しっかり味付けされているので、冷めてもおいしく食べられます。
お弁当の場合は、白ネギのにおいが気になると思いますので、代わりに青のりをふっています。お好みでゆで卵やお漬物などのおかずを添えれば、立派なお弁当になるんです。少し多めに作った時などは、ぜひお弁当にしてみてくださいね。
意外なはんぺんの楽しみ方
そして最後に、意外にも知られていないはんぺんの楽しみ方をご紹介します。
おでんや煮物など、加熱して食べることが多いはんぺんですが、個人的にはお刺し身風にわさび醤油で食べるのもおすすめです。白身魚のすり身の風味やうま味をダイレクトに感じられ、わさびと醤油がはんぺんのうま味を引き出してくれるので、上品な味わいを堪能することができますよ。
はんぺんをお好みのサイズにカットすれば完成する手軽さに加えて、お酒との相性も抜群。おつまみにもう一品ほしい時などには、ぜひ試してみてください。
まとめ
魚のタンパク質を取り入れられるはんぺんを使った「はんぺん茶飯丼」はいかがでしたか? 簡単に作れるレシピですが、複雑なうま味を感じられる上品な一品になっています。興味がある方はぜひお試しくださいね。
書いた人:美窪たえ
料理する人、食べる人。J.S.A.認定ソムリエ、SAKE DIPLOMA。OLからバーテンダー⇒日本料理人⇒フレンチコック⇒アメリカンデリという、異色の経歴を持つ料理家。料理のおいしさと酒への思いを発信するユニット[おとな料理制作室]としても活動。著書『おとな料理制作室へようこそ』(ワニブックス)が好評発売中。