「煮干し」は脳の疲労に効くらしい。
某社のサプリメントの広告によると、「ヒスチジン」という物質を2週間取ると “頭のさえや注意力向上” が自覚できるのだそうだ。
「ヒスチジン」はアミノ酸の一種で、アレルギー反応を引き起こす「ヒスタミン」の前駆体。
マウスでの実験では学習能力の増強効果が見られたそうだ(※)。
※参考:体内抗酸化ジペプチドの認知症予防作用発見・カルノシン(βアラニル-ヒスチジン)
「頭が良くなってすっきり」が本当なら素敵だが、「ヒスタミン」の影響で鼻水だらだらになってもらっては困る。
それに鼻水だらだらでは頭もすっきりしない。
だが、どうやら「ヒスチジン」をたくさん取ったからといって、「ヒスタミン」がたくさん作られるわけではないらしい。
そこは安心。
「ヒスタミン」には神経機能を安定化させる作用があり、これが脳の疲労回復や学習力向上の理由。さらに大分医科大学の坂田利家先生の研究によると、脳内の「ヒスタミン」は視床下部の満腹中枢に作用して、食欲を抑制するのだそうだ。
肥満のマウスは、視床下部のヒスタミン量が少ないという……きっと私の「ヒスタミン」も少ない。つまり「ヒスチジン」を大量に取れば、頭スッキリ、中年腹もスッキリということに!
……で、煮干しである。
「ヒスチジン」の含有量は青魚に多いのだが、煮干しにも多かったのだ。
煮干しで頭がさえてくる?
ニボニボ系ラーメンがはやっている。
1杯あたり70~150gの煮干しを使い、ぐつぐつ煮た煮干しを突き崩して、濃厚な灰色のスープにする。
その強烈な煮干しの味……絶対、これは体に良いと思っていたのだが、「ヒスチジン」かあ!
しかも「ヒスチジン」は熱に強い。
ぐつぐつ煮ても全然平気。
サプリメントの「ヒスチジン」だと、1日あたり1,650mg。
産地や種類によってばらつきはあるものの、煮干しの遊離ヒスチジン含有量は100グラムあたり400~1,200mg(香水試研報 第15号・山本昌幸『カタクチイワシ煮干しにおける異なる産地のうま味成分の比較』)。
遊離ヒスチジンというは、アミノ酸として有効に働く「ヒスチジン」のことだ。
煮干し100グラムを食べるなんて不可能だが、ニボニボ系ラーメンなら可能だ。
激ニボラーメンを食べて、頭スッキリおなかまわりもスッキリしようではないか!
……それで、作ってみたんですよ。
だってニボニボ系ラーメンのお店、増えたと言っても、みなさんの近所にはまだないでしょ?
私の家の近所にもない。
なので、作ろうと。動物系と煮干しスープを合わせた味だったから、煮干しを水で戻して煮て、
鶏ガラでスープをとって、
こちら(↓)を参考にチャーシューだって低温調理で作って、
ほら、おいしそうじゃないですか!
「まずっ! これ、まずっ、俺は無理。絶対、食べられない」
……すまぬ。
ラーメン屋さんってホントにすごいな。
プロってすごいな。
作ってわかったのは、原価が半端ないという現実。大体の金額だが、
- ニボシ400g 700円
- 鶏ガラ2個 300円
- 日高昆布 200円
- ホルモンの残り 300円
- ネギ3本 190円
- にんにくひとかけら 30円
- 豚肩ロース 450g 600円
- 中華麺4つ 400円
(※↑近所のスーパーの相場です)
合計で2,720円。
それでできるのが4杯。たった4杯。
1杯あたりの原価が約700円。
通常、原価率は30%くらいなはずなので、つまり2,000円以上で出さなきゃもとが取れないってわけだ。
そんなラーメン、誰が食べるって話だ。
プロは仕入れもうまいんだな。
すごいな。
ゼロから激ニボラーメンを作るのは、コスト的にも料理的にも無謀であった。
なにか方法があるはず
……いいこと思いついた。
基本はインスタントでごまかそう。
インスタントの豚骨ラーメンにして、それを煮干しスープで作ればよいのではないか?
煮干しを2~3時間水に浸して戻す。
それを1時間煮る。
フードプロセッサーやミキサーでジュース状に粉砕!
さらに30分煮る。
その間に煮卵を作る。
沸騰したお湯(必ず沸騰させる)に卵を投入。
7分間ゆでたら引き上げ、流水で冷やしながら皮をむく。
これでちょうどいい半熟になっている。
卵はビニールパックに醤油と入れて置いておく。
時々ひっくり返してムラがないようにする。
煮干しスープを目の細かいザルでこす。
残った煮干しかすに水を加えてもう一度煮て、エキスを絞りとる。
煮るのは30分程度。
付け合わせの玉ねぎを刻む。
卵もキレイにできた。
煮干し2回目スープをもう一度こして最初のスープと合わせ、これで完成。
即席めんの作り方に従い、お湯の代わりに煮干しスープを使って即席めんを作る。
インスタントの豚骨ラーメンを選んだのは、煮干しラーメン屋さんのラーメンが豚骨ベースでストレート麺を使っていたから。
完成。
1人分のラーメンの価格は即席めん130円程度に、スープは煮干し150円程度、それと卵と玉ねぎが数10円くらい。
これなら現実的だ。
うまい!
体に染みる味がする。
煮干しの苦みが適度にアクセントになっておいしい。
煮干しスープはみそ汁は当たり前として、カップ麺に使ってもいいし、そのままスープとしても使える(粉末ダシを足すと苦みがごまかせる)。
多めに作っておけば使い回せて便利。
うま味が猛烈に強いせいか、食べ終わってもまた食べたくなる。
続けたら、頭もスッキリするんじゃないか?
そんな濃厚なる滋味という、新しいおいしさなのだった。
※この記事は2017年の10月の情報です。
※金額はすべて税込みです。