冷蔵庫の中で、なにかと眠らせてしまいがちなナンプラー。
タイ料理などエスニック系ごはんには欠かせない調味料だけれど、毎日使うわけでもないし……。
それが、なんと! 私が愛してやまないサバ缶と組み合わせると、イタリアンに欠かせないアンチョビにバケるというミラクルが起きるのだ。それなりのお値段がするアンチョビをサバ缶とナンプラーで再現できるなら、お得にナンプラー消費ができて一石二鳥!
このサバらしい(サバ業界的に「素晴らしい」の意)活用法で、とんでもなく美味しい「アンチョビ風キャベツ」が完成したので、ぜひ読者のみなさまにシェアさせていただきたい。
「アンチョビ風キャベツ」
材料(2人分)
- サバ缶(水煮) 1/2缶(1缶190g)
- サバ缶の汁 大さじ1
- にんにく 2片
- オリーブオイル 大さじ1
- ナンプラー 小さじ1
- キャベツ 1/4個
作り方
みじん切りにしたにんにくとオリーブオイルをフライパンに入れて、弱火で炒める。みじん切りが面倒くさい場合は、チューブにんにく大さじ1でも代用可。
にんにくの香りが出たら、サバの身とサバ缶の汁を投入し、身をほぐしながら中火で炒める。
汁気がなくなるまで炒めたら、ナンプラーを入れ、全体を混ぜる。
最後に、ザク切りにしたキャベツを投入し、強火でざっと炒めて完成。火は通しすぎず、キャベツのシャキッと感が残る程度がオススメ。
濃厚で、発酵したようなうま味が炸裂していて、ちゃんとアンチョビの味になっている! というかこれ、アンチョビより風味豊かでウマい気さえする。アンチョビは塩気が強いけれど、サバ缶×ナンプラーはうま味の方が前面に出ていて、塩気はやや控えめ。だから「風味豊か」と感じるのかも。
また、組み合わせたキャベツも甘みがグッと引き立てられていて、絶妙なマッチングに! 塩気が強くないおかげか、キャベツのやさしい味わいが存分に残っていて、バクバク食べられる。
アンチョビ×キャベツといえばわりと定番の組み合わせだけれど、個人的にはむしろ、サバ缶×ナンプラー×キャベツの方が美味しいかも。
「アンチョビ風キャべツパスタ」はイタリア人にも教えたい逸品
このアンチョビ風キャべツ、アレンジもきいて実に万能なのだ。
まずは、アンチョビ風キャべツパスタからご紹介したい。
材料(2人分)
- アンチョビ風キャべツ 2人分
- パスタ 200g(太さはお好みで)
- パスタゆで汁 おたま1杯分
- 塩 適量
- ブラックペッパー 適量
- 鷹の爪 適量(なくてもOK)
- オリーブオイル 適量(鷹の爪を炒める用)
作り方
パスタはお好みの固さでゆでておく。
先ほどのアンチョビ風キャべツをフライパンで作り、そこにゆでたパスタ、ゆで汁を入れて混ぜ、塩で味を調整。ナンプラーではなく塩で味を濃くすることで、サバのうま味がより生きるようにしているのがポイントだ。
器にもりつけ、仕上げにブラックペッパーをかける。お好みで、弱火でオリーブオイルと一緒にサッと炒めた鷹の爪を和えてもOK。
ウマい! 具のおかげで、とにかく魚介のうま味があふれ食が進むパスタになっている。程よくシャキッとしたキャベツの甘みもふわーっと口の中で広がって、なんだかすごいテクニックを駆使したような味わいに。イタリア現地の方にも教えてあげたいくらいだ。
追いバターでまろやかすぎる「アンチョビ風スープパスタ」もオススメ
さらに「アンチョビ風キャベツパスタ」をアレンジして、寒い時期にぴったりな「アンチョビ風スープパスタ」はいかがだろうか。
材料(2人分)
- アンチョビ風キャベツパスタ 2人分
- 水 600cc
- サバ缶の汁 大さじ1
- ナンプラー 小さじ1/2
- バター 10g
- 塩 適量
- ブラックペッパー 適量
作り方
アンチョビ風キャベツパスタを鍋またはフライパンに入れ、そこに水、サバ缶の汁とナンプラーを追加。中火で加熱し、沸騰直前くらいで火を止め、バターを溶かし入れる。塩、ブラックペッパーで味を調整すれば、完成!
バターが加わることで、スープはコクがありながらもまろやかな仕上がりになり、なんだか「貝だし」風の味わいも感じられる。キャベツの甘みも倍増していて、食べればほっこり間違いなし!
チーズをのせて「アンチョビ風トースト」にしてもウマい!
材料(2人分)
- 食パン 2枚(厚さはお好みでOK)
- アンチョビ風キャベツ お好みの量(1人分もあれば十分)
- スライスチーズ(とろけるタイプ) 2枚
- ブラックペッパー 適量
- ピンクペッパー 適量(なくてもOK)
作り方
食パンに、アンチョビ風キャべツとチーズをのせ、オーブントースターでチーズがとろけるまで焼く。
仕上げにブラックペッパーとピンクペッパーをかけて完成。
とろけたチーズが絡むことで、アンチョビ風キャベツの塩気がよりマイルドに。塩気やうま味をパンが受けとめて一体となり、あっという間に平らげてしまうウマさだ!
アンチョビ不要説まで飛び出しかねない「サバ缶×ナンプラー」、ぜひお試しあれ!
書いた人:池田陽子
サバを楽しみ、サバカルチャーを発信し、サバで日本各地との交流をはかることを趣旨に活動し、イベント「鯖ナイト」の運営、サバグルメの祭典「鯖サミット」の事務局を務める「全さば連」(全日本さば連合会)広報担当「サバジェンヌ」。本業は薬膳アテンダント/食文化ジャーナリスト。著書に『サバが好き!』(山と渓谷社)、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)など。
- 公式HP:http://www.yuruyakuzen.com/
- Instagram:sabasienne58