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メシ通 Produced by RECRUIT

食を楽しみたい人のためのグルメ情報マガジン

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渋谷で深夜2時まで営業する角打ちサンドイッチスタンド、その名も『ドレスのテイクアウト店』

渋谷 こだわり サンドイッチ 角打ち Pickup

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ある日の深夜のこと。

とあるSNSを眺めていたら、食いしん坊の友人がサンドイッチ写真をアップしていたんですね。

残っててよかった! 3つゲット!

そんなコメントと共に写し出された写真が、なんともおいしそう……。そして時計をみれば、なんと深夜の1時15分。

「こんな時間にやってるサンドイッチ屋さんなんて、あるの!?」

そんな疑問がむくむくと。

場所を調べてみたら渋谷駅の近く、なんと夜2時まで営業とな。そ、そんな店があるのかっ!

 

駅から徒歩3分!なのにかなり見つけにくいロケーション

さっそく行ってきたんですけどね、こちらのお店、すっっっごく場所、見つけにくいと思います。見逃しがちなポイントにあるのですよ。順路を写真付きでご紹介しますね。

 

まず渋谷駅西口(モヤイ像のあるほうです)を出たら、歩道橋で246号線を渡り、セルリアンタワー側に行きます。

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すると、こんな感じのところに出るはず。楽器専門店の『ミュージックランドKEY』とか『あおい書店』がある交差点です。奥に見える並木道を抜けていきますよ。

 

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すぐこの十字路になります。もうあと15秒ほど。実は写真の中に見えていますよ。まっすぐ渡ってください。 

 

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右側すぐにある牛丼店の左、人が立っているところが、目的地です!

 

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「ドレスのテイクアウト店」

到着したのはいいですが、この店名どこからどう読んでもサンドイッチ店には思えません。 この謎めいた店名については後述するとして、まずはご主人に登場願いましょう!

 

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森谷義則(もりやよしのり)さん。このかたの経歴がまたものすごく興味深いのですが、ともかくも彼の作るサンドイッチの数々、ご覧あれ!

 

f:id:Meshi2_Writer:20150908082702j:plain右側上からコロッケサンド(180円)、アジフライサンド(170円)、海老ケイジャンサンド、左側がツナ胡瓜サンド(180円)。

 

コロッケは刻みキャベツにレタスを加え、ソースと辛子マヨネーズで味つけ。ふっくらと厚いコロッケはボリューム感も◎。なんとも香ばしいアジフライ、中濃ソースにリーペリンソース(イギリスのウスターソース)、醤油、ケチャップなどを加えた独自の味つけが絶妙。このフライ、お酒のつまみにも最高です。ケイジャンサンドは、チリパウダーやパプリカ香るケイジャンソース×海老フリットが3つ入り。ツナは胡瓜の隠し味に寿司酢が使われているそう。どれも森谷さん独自の工夫がさりげなく加えてあります。

 

f:id:Meshi2_Writer:20150908082715j:plain下からブロッコリーとピーナッツみそサンド(160円)、定番の玉子サンド(100円)、キーマカレーサンド(200円)。

 

ピーナッツみそサンド、ゆでたブロッコリーにせん切りニンジンがたっぷり。ピーナッツクリーム+みそ+クラッシュピーナッツの和え衣、甘く濃厚になりがちなところを、実にあっさりと仕上げられています。玉子サンドも軽くさっぱりとした味わい。

「マヨネーズは少量にして、生クリームを少量加えているんです」と森谷さん。キーマサンドも辛さはひかえめ、でも具の味わいが豊かで食べ飽きません。豚ひき肉に玉ねぎ、ニンジン、ショウガ、ニンニク、セロリ、レーズン、そしてコリコリの食感が活かされたヒヨコ豆と、具材もいろいろ。

まだまだありますよ!

 

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一番人気のトマト、レタス、スモークチキン、チーズのサンドイッチ(200円)。サニーレタスもたっぷり、1つでかなりの満足感です。トマトはセミドライトマトにしているとのこと。こうすることでうま味も凝縮。時間が経ってもサンドイッチが水っぽくならないという利点も。

 

そう、こちらのサンドイッチ、時間が経ってもパサつきもせず、ふやけて水っぽくならないのも特徴なんです。今回、実験的にそれぞれ半分はすぐいただき、半分は翌日食べたんですね。にもかかわらず、どのサンドもしおれるでもなく、かさつくでもなく、おいしさがかなりそのままなのに驚かされました。

 

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サンドイッチはひとつひとつ丁寧にラップドペーパーに包まれています。水気の出そうな素材はどれも下処理されてしっかり水気が切られており、時間が経ってもおいしくいただけます。よく「パンが水を吸わないように」とたっぷりバターを塗る人もいますが、そういう工夫じゃないんですね。こちらのサンドイッチを食べてもらえば分かりますが、重たい脂の感じは皆無です。

※ちなみに森谷さんは「サンドイッチはその日のうちにお召し上がりください」とお客さんにおっしゃっています。今回翌日の昼まで持ち越したのはあくまで実験ですよー。

 

チーズケーキやパウンドケーキなど、スイーツも美味!

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っと、ここでお客さんが見えたので、ちょっと取材は中断。

 

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周辺は学校や会社が多く、昼食を買ったり、帰りがけに夕飯用のサンドイッチを買う人が多いよう。そうだ。いいタイミングだし、いま来たお客さんに個人的なおすすめを聞いてみましょう!

 

「え、取材ですか? 写真は後ろ姿だけにしてくださいね(笑)」

かしこまりました! で、おすすめを教えてくださいな。

「サンドイッチもいいけれど、ここのお店、スイーツもおいしいんです!」

お、おお……そうなのですね。ではここで一挙公開、『ドレスのテイクアウト店』魅惑のスイーツ類をご覧ください!

 

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 右がオレンジブランデーケーキ(1個350円)、左はリンゴ入りブルーチーズケーキ(480円)。どちらも素材が濃厚に香る本格的な焼き菓子。あ、これ紅茶にも勿論合うけど、ワインにすごく合う味だ……。

 

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レモンケーキ(350円)、国産レモンのみを使用。 なんともいい酸っぱさ! 穏やかなのにじんわりと酸っぱくて、変に刺激的じゃなくて。いかにも手づくりのケーキ、という優しい味わいです。

 

あと、この記事が出るころにはひょっとしてシーズンから外れているかもですが「マンゴーとパッションフルーツのプリン」も絶品! フルーツ自体の香りと酸味が活かされたすばらしい出来ばえなので、もし出合えたらゼヒお試しを。

 

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お菓子じゃないけれど、このミートボールとサワークリームのキッシュ(460円)も人気の一品。シナモンで軽く香りをつけた豚肉のミンチに、ディルなどの香草と卵、生クリームを加えたサワークリームをたっぷりとかけて焼き上げてあります。

「これ、パン生地なので正確にはキッシュじゃないんですが、そういったほうが分かりやすいかな、と思って」と森谷さん。パン生地のぶん食べごたえもアップですね。

 

いやーーー森谷さん、どれもこれも美味しいです!!

 

アフター6は、なんと角打ち店へと変貌

さてさて、そろそろこの謎めいた店名についてうかがってみましょう。いったいどうしてまた、このような店名に?

以前、この近くで『dress(ドレス)』というダイニングバーをやっていたんです。週末はジャズライブも出来るような店だったんですが、再開発で立ち退かざるを得なくなってしまって。新しい物件を探していたとき、出会ったのが現在のこの場所です。約2坪なんです、ここ。この広さでやるならサンドイッチスタンドかなあ……と思って。まずはテイクアウトの店にして、あらためて『dress』の場所を探そうと思ったんです。なので店名が『ドレスのテイクアウト店』というわけです

 

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な、なるほど…。しかしまたどうして“ドレス”なんでしょう? ひょっとして元ファッションデザイナー志望だったとか?

いいえまったく。なんとなく色っぽい名前がいいな、と思ってつけました。そしていまだに本店の場所を探し中なんです。なかなか渋谷でいいところがなくて……。ただ、今でもダイニングバー時代の常連さんがよく来てくれるんですよ。それがうれしいですね。

常連さんたち、お店を再開してほしいでしょうね。

はい、お客さんたちも待ちきれないのか、このサンドイッチスタンドでよく飲んでるんですよ。

ああ、そうなんですかー……(*´▽`*)

って、ええっ!?

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なんとこちらのお店、18時以降は厨房スペースの一部が客席に変貌するのです。

サンドイッチスタンドからバル的なドラマティック・トランスフォーメーション!!

 

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夜モードの『ドレスのテイクアウト店』。右側にお客さんがいるのが分かります?

 

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店内メニューのひとつ、「ミラノ風ポークカツレツ」(1,000円)。もう完全に飲みモードの逸品ですが、バターだけでフライされた肉にトマトのガーリックソテーがたっぷりとのっています。ああ、これ笑顔になる味だ…。 チーズがふんわりと香って、たまらない!

 

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そうそう、ここのサンドイッチってつまみにもいいんですねえ。アジフライやコロッケはもちろん、ツナや玉子サンドでワインをやるのもオツなもんですよ! スティック野菜や自家漬けのオリーブなんてメニューもあります。お酒はビール小瓶(550円)、グラスワイン(500円)、そしてウィスキーや日本酒も。

でもまあ、ここでいきなり入ってくるお客さんってのも滅多にいませんよ(笑)。ほとんどがレストラン時代の常連さんです。あと、夜にサンドイッチを買いに来てくれる人が何度か通ううち『私も……いいですか?』って入ってくれるとか。周辺のかたからはきっと『あの店は一体なんなの!?』ってあやしまれてると思います

そう言って苦笑する森谷さん。ご自身も大の酒好きで、時にはお客さんと飲むこともあるよう。

 

ジャズバーからゴールデン街、赤坂の高級クラブを経て、中国大連へ。

ちょっとここで、森谷さんの経歴をご紹介しましょう。

 

<飲食店デビューは24歳。下北沢の名門ジャズバー『LADY JANE』にてバーテンダーとして働きはじめたのが最初だった。この店は俳優の松田優作がしばしば現れる店として有名で、店には優作ファンも連日のように訪れていたとか。LADY JANEで2年ほど勤めたのち、今度は新宿ゴールデン街のマスターを経験することに>

知り合いのママが倒れちゃって、しばらく代わりをやってくれないか、ということだったんです。最初の下北沢の店と、ゴールデン街の店を経験したことで、かなり料理やお酒の勉強ができました

<そこで1年ほどマスターを勤めたのち、次はなんと赤坂・高級クラブのバーテンダーに。客はもちろん、代議士や高級官僚といった面々。ある客の紹介で勤めることになった。これも「人生において本当に貴重な経験となった」という。1年ちょっと働いたところで、友人から店を手伝ってくれと頼まれ、今度はイタリアンレストランのマネージャーとなるが、その場所が驚くなかれ、中国の大連である。「人生ゲーム」だってなかなかこんな刺激的な展開はない……>

大連では6年ほど勤めましたね。36歳になったとき、やっぱり日本で店をやろうと思い、帰国しました。そして『dress』を始めるんです。

こうやってキャリアを並べるだけでも「もんのすごい飲食界の猛者」と思われるかもしれませんが、実際に接する森谷さんに威圧感などはゼロ。「のほほん」という日本語がその身から漂うような、気の良いかたなのです。サンドイッチのおいしさの秘訣をうかがおうと取材すると、何度も「いや……そんな凝ったことはしてないんです」と決まり文句のようにおっしゃる。でも丹念に訊いてみると、レシピのどこかしらに自身のアイディアがある。奥ゆかしいひとなんだな、と思いました。

 

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あ、そうそう、これもお伝えしておきたい。「サンドイッチよりも人気が出て、今ではうちの売れ筋トップの商品」というスモークミックスナッツ(540円)。桜チップでスモークしたナッツ類をキャラメリゼしたもので、これがまあ……なんとも大人の味わい。赤ワインやウィスキーの“アテ”として、実にいいんだなあ。

 

ちなみにこちらのお店、ケータリングも応相談。近所ならば出前も対応しているとのこと。電話予約して人数分の詰め合わせなどを頼み、ハイキングセットなどを頼むのもいいのでは? スイーツ類を結婚式の引き出物にしたお客さんもいたそうですよ。

 

渋谷駅そばに来たら、ちょっと寄り道してみてほしいお店なんです。ちなみに中休みがあるので、ご注意くださいな。では森谷さん、きょうもごちそうさまでした!

 

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お店情報

ドレスのテイクアウト店
住所:東京渋谷区桜丘町15-19 1F
電話番号:090‐4418‐4745
営業時間:11:30~深夜2:00(15:00~17:00は中休み。営業時間中も配達等で抜ける場合もあり)
定休日:日曜日

dress (ドレスのテイクアウト店)

 

書いた人:白央篤司

白央篤司

フードライター。雑誌『栄養と料理』などで連載中。「食と健康」、郷土料理をメインテーマに執筆をつづける。著書に「にっぽんのおにぎり」「にっぽんのおやつ」(理論社)「ジャパめし。」(集英社)がある。

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