5年前、中国・上海のザリガニ専門店でザリガニを食べた。
麻辣風味に味つけされた山盛りのザリガニ。
ニンニクが効いたピリ辛のザリガニは、1つ食べたら、もう手が止まらない。
次から次へとむしゃぶりついて、無言のままで数十分、ザリガニの山を処理していった。
なんだかその経験が面白くて、美味しくて、記憶に深く刻まれた。
それ以来、すっかりザリガニにハマってしまい、日本でもガチ中華店をあちこち訪れてはザリガニ料理を食べている。店で食べるだけに飽き足らず、食用ザリガニを仕入れては、簡単なザリガニ料理も作り始めた。
食べた回数は十数回だが、日本人ではけっこう食べてる方ではないだろうか。
そんな、ザリガニ好きの私がオススメする、とにかく超簡単なレシピを2つご紹介しよう。
ザリガニを食べることでしか得られない、妙な高揚感
▲5年前、中国で食べたザリガニ料理。ガーリックの風味が効いてて、めちゃくちゃ美味い
日本でザリガニは、食材としてはあまり使われていないが、スウェーデンなど北欧では普段使いで食べられている。ザリガニパーティーが開かれるほど、メジャーな食材だ。
中国では、若い人たちを中心にザリガニブームが巻き起こっていて、上海だけでも数千店舗のザリガニ専門店がある。実際、5年前にザリガニを食べた際も、狙って専門店に入ったわけではない。たまたま小洒落た外観のレストランに入ったら、ザリガニ専門店だった。石を投げれば、ザリガニ料理店に当たる状況。
大皿に盛られた真っ赤でキレイなザリガニを囲み、黙々と殻を剥いて、大人数でむしゃぶりつく行為は妙な高揚感があって楽しい。若者たちの間で流行って、パーティーしちゃう気持ちもよく分かる。ザリガニは、食事であり、祭りでもあるのだ。
家で調理するさいは、ネットで食用ザリガニを注文する。伝票の品名欄にもちゃんと「ザリガニ」と書かれている。
発泡スチロールのなかでゴソゴソとザリガニが動く音が聞こえる。ミカンを包むネットのようなものにザリガニが入っている。活きたままの調理に抵抗感がある方は、冷凍ザリガニがオススメだ。
調理の下ごしらえとして、ザリガニを数日水に漬けておく。
水が濁ったら何度か水を交換して、しっかり泥抜きをしておこう。
超簡単!ザリガニ初心者でも出来るレシピ集
一:「塩ゆでザリガニ」 簡単度:★★★★★
まずご紹介したいのが、もっともシンプルにして王道の食べ方、塩ゆでザリガニだ。
ザリガニのうま味と存在感をダイレクトに味わうなら、やっぱりこれ。
めちゃくちゃ調理が簡単なので、つべこべ難しく考えず試してみて欲しい。
寄生虫の観点からも、しっかり熱を通しておくのがポイントだ。
(1)鍋いっぱいの水に、塩と調理酒を適量入れる
(2)ザリガニを入れて、15~20分程度茹でる
茹でると、赤茶色い殻がキレイな赤になる。
しっかり中まで茹であげるのがポイントだ。
(3)しっかり茹であがったら、お皿に盛りつけて完成
ザリガニは皿に盛りつけた時の存在感が凄い。
色味の鮮やかさ、造形のパワフルさ、殻の硬さ。他の食材では味わえない、独特の力を感じる。
(4)そのまま食べてもいいし、調味料をつけてもいい
殻を剥いて、そのまま食べても、塩味が効いてて美味しい。
プリプリした食感で、味は茹でエビに近い。存外、淡泊でさっぱりしている。
ご飯のおかずというより、酒のつまみという感じ。
わさび醤油も合うし、写真のようにピリ辛のチリソースをつけても合う。
【ワンポイントアドバイス】ザリガニの殻は、こうやって剥く
ザリガニの殻の剥き方は、一度覚えてしまえばカニより全然面倒じゃない。
頭の部分をしっかりつまんで、胴体をひねるように、切り離すだけ。
あとは、胴体の殻を剥けばいい。
胴体の殻をむくと、ぷりんとした身が出てくる。
案外、可食部が小さくて、身は親指サイズ。1人で20~30匹食べてもお腹はぜんぜん余裕だ。
頭の部分にザリガニ味噌が少しあるので、好みに応じて食べてもいい。
頭は殻を剥くのが大変だから、そのまま吸い出すのがいいだろう。
二:「ザリガニの味噌汁」 簡単度:★★★★☆
ザリガニの出汁を存分に味わうなら、ザリガニの味噌汁。
見た目によらずザリガニは淡泊な味わいなので、クセの少ない味噌汁に仕上がる。
(1)ザリガニを茹でて、ダシ入り味噌を投入する
(2)ネギを入れれば、もう完成
淡泊ではあるが、しっかりザリガニの出汁が出て、美味い味噌汁だ。
味だけでなく、見た目のゴージャスさもザリガニの長所。ジェネリック伊勢海老として、食卓に彩りとインパクトを添えてくれる。
「ザリガニ食べたことないし、どんな味かも分からない」という方向けに、ザリガニそのものの味を堪能していただける超簡単なレシピを2つご紹介した。
最近、日本でもザリガニ料理を取り扱っている中華料理屋が増えているので「自分で調理するのはちょっと……」という方は、ぜひぜひ近場のお店でザリガニを一度味わってみて欲しい。
ザリガニからしか得られない高揚感が、そこにはあるので。
書いた人:松澤茂信
珍スポットマニア。日本全国1,000ヵ所以上のちょっと変わった観光地や飲食店を巡り歩いています。
- Twitter:松澤茂信
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