みなさんは「生カステラ」をご存じだろうか。
2010年頃の生スイーツブームで見たことがある人も多いかもしれない。
当時、生キャラメルを筆頭に、とろける食感を打ち出した生スイーツが次々と世に現われた。
私もブームに乗って、せっせと口の中をとろけさせていたのを覚えている。
そんな生スイーツのラインアップのひとつに、「生カステラ」があった。
まん丸のホール状で、生地はスフレのようにふかふか、ナイフを入れると中からカスタードがトロリと顔を出す。
私の記憶の中ではそんなイメージだった。
ところが最近、そのイメージを覆す「生カステラ」に出合ってしまった。
割烹 金田屋の「生カステラ」だ。
見た目のインパクトもさることながら、初めて口へ入れた瞬間のショックは今でも覚えている。
具体的にどのような味わいなのかというと、
……説明できない。
何だかうまく説明できない複雑な食感なのだ。
ただ、ものすごくおいしいので、人におすすめしたい逸品なのは間違いない。
ということで今回は、この「何だかうまく説明できないけどおいしい『生カステラ』」をいろいろな人に食べてもらい、感想をまとめてみることにした。
どう思ったか、そして味をどう説明するのかご覧いただき、想像を膨らませてみてほしい。
まずは開封の儀からどうぞ
▲黒豆の生カステラ プレーン(1,080円)
シックなパッケージは贈り物にぴったり。
「食のちばの逸品を発掘コンテスト」金賞のシールがキラリと光っている。
箱から出し、真空パックに入った状態の「生カステラ」とご対面。
この時点で、多くの人がぴっちり密閉されたカステラを見て驚くだろう。
ビニールの包装から慎重に「生カステラ」を取り出す。
この艶やかなボディをご覧いただきたい。ピチピチだ。カステラにピチピチという擬音を当てる日が来るなんて思ってもみなかった。
いったん丸ごとお皿に置いて、まじまじと眺めても良い。とても良い。ありがたい。
包丁で切り分ける。お店のアドバイスによると、6~7等分がおすすめとのこと。
美しい断面が現れた。萌え断だ。
黄色のキャンバスに、大粒の黒豆の模様が芸術的だ。いつまでもお皿の上に飾っておきたい。
生地の様子はこんな感じ。いかがだろうか、みなさんはどのような味わいか想像できただろうか。
実食タイム~お菓子にうとい男性2人の場合~
まずは東京別視点ガイドの松澤さんに食べてもらった。
「なんだこれ。すごい。しっとりしてる!」
『もっと詳しく説明してみてください』
「あれだ、茶碗蒸しっぽい」
『お菓子を茶碗蒸しと!?』
「ちょっと待って。(『生カステラ』を口へ追加しながら)卵焼きっぽいのかな」
『卵が効いてる?』
「そう、しっかり卵を感じる。
これが『生カステラ』かぁ。こう来たかって感じ」
ここでカメラマンの斎藤さんも加わった。
斎藤さんには、あえて「生カステラ」とは伝えずに食べてもらうことに。
『おやつがあるのでどうぞ。お味はどうですか?』
「ありがとうございます。わ、不思議ですね、これ。おいしい」
『ちょっと分析して、なんていうお菓子名か当ててもらっていいですか?』
「卵と牛乳の優しい甘味ですね。入ってるのは黒豆ですか。これも優しい」
「うーん……」
『……』
「……(もぐもぐ)」
『……?』
そう、黙っちゃう。それほどこの「生カステラ」は複雑な食感だからだ。
「オレ、食べた瞬間に思い浮かべた食べ物があるんだよね。プリン!」
『たしかに固焼きのプリンに近いかも!』
「そうですね、プリンはかなり近いですね。でもプリンってもとは液体じゃないですか。液体を固めたのがプリン。これは確かにプルプルしてるけど、液体ベースじゃないんですよね。固体ベースのものが水分を含んだような感じ」
『すごい分析! 原材料は、卵と牛乳、あと小麦粉も入ってますね。これは固体ということですね』
「小麦粉。あ、ちょっと分かってきた気がします。ケーキみたいなことですか?」
「斎藤君、じゃあお菓子の名前当ててもらっていい?」
『既存のお菓子名でお願いします! 例えば「プリン」みたいな感じで』
「……濡れケーキ?」
新たなお菓子が誕生してしまった。濡れケーキってなんだ。
いや、それほどこの「生カステラ」は、カステラを連想させない斬新な味わいなのだ。
実食タイム~甘党の兄夫婦の場合~
兄夫婦の新居へお邪魔した時に、手土産に「生カステラ」を持参してみた。
▲落花生の生カステラ(1,080円)
シルバーのモダンなパッケージ。
兄嫁へ渡すと、
「こんなおいしそうなものを! 気使わなくていいのに!」
と言っていた。
ニヤニヤしていたので、うれしかったのだと思う。
もちろん持参した私もしっかり頂戴するつもりだったので、ニヤニヤしていた。
今回は黒豆ではなく落花生入りの「生カステラ」。
落花生は柔らかく炊いてあり、生地のぷりぷり食感にぴったりだった。落花生の香ばしさも食欲をそそる。
コーヒーと一緒にいただけば極上のティータイムの始まりだ。
『お味はどう?』
「おいしい! 『生カステラ』なんて初めて食べたな」
『そうでしょう、いいでしょう?』
「これカステラって言われないとカステラって分かんないね。そういえば、ねっとりしてて、ういろうに似てるな。いや、芋ようかんも近いかも。」
『確かにねっとり具合は似てる! あ、ごめん。もうひと切れ食べていい?』
初めて食べた落花生バージョンの「生カステラ」がおいしすぎた。
手土産を持参したはずの自分が一番食べてしまったので、次からは気を付けたい。
まとめ
味について
◆卵が効いている
◆卵と牛乳の優しい甘み
◆黒豆の甘みも優しい
◆落花生は香ばしい
食感について
◆しっとりしてる
◆ぷりぷりしてる
◆ねっとりしてる
似ている食べ物
◆茶碗蒸し
◆卵焼き
◆プリン
◆芋ようかん
◆ういろう
◆濡れケーキ
さて、みなさんはどのような味わいか想像できただろうか。
気になったかたは是非試してみてほしい。
お店情報
割烹 金田屋
住所:千葉県印旛郡栄町安食3692
電話番号:0476-95-1105
営業時間:11:00~22:00
定休日:第2水曜日
ウェブサイト:http://kanetaya.main.jp/
※通信販売は、「黒豆の生カステラ」特設ページをご参照ください。 http://kanetaya.jp/lp/
※金田屋店頭、そごう千葉店地下1階「諸国銘菓」で購入できます。(2018年2月現在)