365日餃子を食べている人が「2018年、一番通ったお店」の餃子
こんにちは。BLObPUSです!
皆さんには気になっているのになかなかタイミングが合わず、入ったことのないお店ってありませんか?
自分にとってはこの「手延べ餃子BAR Wing Village」がそういった存在のお店です。
中野駅南口方面は、生活圏と反対側に位置しているのもあって普段あまり行かないのですが、「手延べ餃子BAR」というスタイルが印象的で以前からどうにも気になっていたこのお店。
個人的に取材候補に入れていたところ、『メシ通』で2019年2月末に掲載されたこちらの記事の中でランクインしているじゃないですか。
2018年に一番うかがったお店です。シェフがもともと服部専門学校で料理を担当していた方で、料理に対する造詣が深く、食に対して独特の美学を感じます。餃子はニンニクやラードを入れないかわりに、昆布とカツオ節のお出汁、粗切りにしたお肉と野菜、さらには豚トロの食感で、旨みを重ね合わせるなど、とことん論理的な調理方法が活かされ抜群です。
毎月必ずオリジナル餃子をつくられていて、バターチキンカレー餃子、ゆず餃子、オマール海老の餃子をつくったり……結構トリッキーですね(笑)。餃子界を見回しても、もっとも面白いアプローチをしている料理人のひとりなんじゃないでしょうか。
おまけにその「365日餃子を食べる方」が「2018年に一番通った店」だなんて!
しかし記事は文章だけで実物の写真などは無く……これはもう実際に自分の目と舌で確かめるしかありません。
「手延べ餃子BAR」というちょっと変なお店
雑居ビルの地下にあるバーに足を踏み入れると……。
オーナー兼 総料理長の加藤さんがにこやかに迎えてくれました。
──はじめまして! やっと来店できました。今日はよろしくお願いいたします。加藤さんは服部料理学校で料理人をされていたと聞きましたが、こちらをオープンされるまではどのような料理を作られていたのですか?
加藤:学生として1年半、職員として8年半ほど在籍していましたので、服部学園には約10年お世話になりました。中華専攻だったのですが、職員になってからは和・洋・中さまざまなジャンルの料理に携わり、TVドラマやバラエティで出てくる撮影用の料理なども作ったりしていました。
──なるほど。
加藤:その後、今は会員制になった広尾のお店でお世話になりました。独立を契機にプライベートでも飲みに来ていた中野にお店をオープンしました。
──いろいろなご経験をされてるんですね。なぜ「餃子バー」という変わった業態にしたのでしょうか?
加藤:物件自体が居抜きで元々バーだったこと、私が中華専攻だったことなどもありますが、今まで学んださまざまなジャンルの手法を試せる器として、シンプルでお客様にも違いがわかりやすい餃子が良いのではないかと思い、「餃子バー」という業態にたどり着きました。
──メニューにも「日本一!? 作るのがめんどい餃子ですw」と書いてありますが、どのような手間がかかっているのでしょう?
加藤:「日本一美味しい」と言ってしまうと、好みや主観の問題になりますよね。だけど「作るのがめんくさい」という点であれば、間違いなく自信があります。実際、作るのにすごく時間がかかりますので。
──仕込みに手間のかかる餃子なんですね。
「作るのがものすごくめんどくさい餃子」とは
(写真提供:Wing Village)
加藤:まず生地をこねて1日以上寝かせます。これが寝かせた生地ですけど、ちょっと香りを嗅いでみてください。
──少し甘い香りがしますね。
加藤:はい。僕はその小麦粉を寝かせたときの甘い香りが好きで、その香りを活かしたままお客様に食べていただきたい。なので打ち粉を使わず生地を丸く延ばし、すべて手延べで皮を作っています。
──打ち粉を使うと、どう違ってくるのですか?
加藤:皮がくっつきにくいという利点もありますが、せっかくの寝かせた甘い香りが消えてしまうので打ち粉をしません。あくまでも寝かせた生地の香りと食感を楽しんでもらいたいんです。これはもう、私自身の好みですね。
──具材についてはどうでしょう?
加藤:シンプルな具材を大きめにカットして食感をアップしています。まずは豚肩ロースと豚トロを叩き混ぜます。肩ロースは食感、豚トロはジューシーさが増すんです。
加藤:キャベツ、ニラ、長ネギ、生姜の野菜も混ぜ、ニンニクやラードを入れないかわりに昆布とカツオ節のお出汁を使って、うま味を重ね合わせます。この時に注意しているのは、混ぜ合わせすぎてニラの汁が他の具材に染み込みすぎないようにすること。他の具材との調和を大切に。
──次はいよいよ皮で包んで餃子のカタチに……。
加藤:餃子の皮に打ち粉をしていないので、ものすご〜くくっつきやすいんです。これを一つひとつ丁寧に包みます。これがなかなかめんどうなんですよ……。
──おお……プリッとした出来栄え! こちらの定番餃子の他にも毎月オリジナル餃子を考案されているとお聞きしましたが、過去にはどのような餃子が?
(写真提供:Wing Village)
加藤:いろいろやってます。ハロウィン限定でパンプキンとブルーチーズの組み合わせの「パンブル餃子」とか、春には桜の葉と花弁を使った「春爛漫餃子」と季節を感じられるようなもの。
(写真提供:Wing Village)
加藤:あとは女性も楽しめるよう涼しげな見た目にもこだわった「カクテルグラスの冷やし餃子」は評判良かったですね。もはや餃子と呼んでいいのか? という感じもしますが、餃子の皮でアンコを包み茹で、きな粉をまぶし、仕上げに黒蜜をかけて食べる甘味系「安倍川餅餃子」なんていうものも作ってみました。
──おおお。餃子ひとつにこんなに様々な切り口があるとは。まさに餃子研究所と化してますね。
(写真提供:Wing Village)
加藤:あとは2周年記念限定として「日本一高い餃子」を目指して作った「オマール海老の餃子」。赤海老とオマール海老をブランデーで香りづけした水餃子に、オマール海老のビスクを注ぎ込んで食べるバブリーな一皿でした。確か一皿3000円くらいになってしまいました。
──ここまでくると餃子の概念が変わってしまいますね。驚きです!
餃子だけじゃなく前菜も素晴らしい
さて、お話聞いていたらさすがにお腹がすいてきました。
そろそろいただいてよろしいでしょうか?
焼き、茹で時間に15分くらいかかるとのことだったので、まず前菜的なものをいただきながら待ちます。
▲ピータン豆腐ムース (378円)
木綿豆腐を使った豆腐のムースに胡麻油・刻んだピーナッツ・ピータンをトッピング。優しい甘さと香ばしさが口の中でとろけます。
コレはいくらでも食べられるな〜。
▲よだれ鶏 (一皿810円/半皿486円)
このお店では珍しくにんにくが入ったメニュー。
黒酢ベースのタレをかけた茹で鶏に、仕上げで山椒の効いたフライドガーリック入りの辣油を。
パクチー好きの自分は一気にパクッといただきます。
ビールが合いそう!
いよいよ餃子が焼き上がりました
今日は過去の限定餃子の写真などを見せてもらったので、定番の焼き餃子や焼きワンタン、水餃子をあえて避け、ここでしか味わえない個性的な餃子を注文することにします。
▲コンポタ餃子 (一皿702円/半皿432円)
コーンポタージュをイメージした餡を包んだ、ポットパイのような餃子。
まずはそのまま食べてみましょう。
プチプチしたコーンとクリーミーな甘さ。まさにコーンポタージュそのままです。
加えて皮の食感で食べ応えもしっかり。
別添えの焦がしバター醤油をつけると、香ばしい焼きトウモロコシ風に味変!
▲エビアボ餃子(一皿702円/半皿486円)
餡にフレッシュエビ、アボカド、パクチーを包んだオリエンタルな餃子。
やっぱりエビとアボカドの組み合わせは最高ですね。お好みでマヨネーズをつけても美味しい。
▲マルゲリータ餃子 (一皿702円/半皿432円)
中の餡が熱々なので火傷に注意!
皮の端の方から様子をみながら食べましょう。
中はトロトロに溶けたモッツァレラチーズ入りのフレッシュトマトと、フレッシュバジルを使ったトマトソースが入ってまるでピザのよう。
▲マグマ餃子 (1026円。+108円で春雨追加できます)
こちらは夏にかけての季節限定メニュー(冬は豆乳鍋のようなメニューを出していたそうです)。
このマグマ餃子は中国の「水煮肉片(シュイジューロウピエン)」という四川唐辛子油の沸騰料理をイメージした刺激的な一品。
手延べ餃子のモチっとした食感は今回食べた中ではこのメニューが一番感じられるかも。柔らかく煮えた砂肝も噛むほどに旨味と辛味がからみます。
しかし限定メニューだけでなく、普段のメニューでも面白いアプローチをしていらっしゃいますね。そして取材中から気になっていた、なぜか店内にあるゴングと覆面……。
もしやと思って聞いてみると、加藤さんはプロレスファン!
取材の後半からプロレス談義になり、話が弾んでしまいました。
餃子が美味しいのはもちろんですが、2軒目3軒目として普通にお酒だけ飲んでいく近所の方も多いというのも加藤さんの人柄によるところも大きいようです。
今度はInstagramをチェックして限定餃子を狙ってみよう!
お店情報
手延べ餃子BAR Wing Village(手延べ餃子バー ウイングビレッジ)
住所:東京都中野区中野2-28-1 中野JMビルB1F
電話番号:03-6382-8022
営業時間:17:00〜24:00(LO.23:00)日曜日も営業
定休日:水曜日
書いた人:BLObPUS
オリジナルキャラクターの怪獣フィギュア「BLObPUS(ブロッパス)」をリリースしたのをきっかけに活動開始。国内外のフィギュアイベントに参加しつつ中央線沿線を飲み歩く怪獣おじさん。蓄光素体にメタリックカラーを基調とした独特の色使いで彩色にも定評がある。