「クミン」を使ってバターチキンカレーを作ります
以前、『メシ通』の記事でご紹介した、スパイス料理研究家・印度カリー子さんによる「3種のスパイスで作るスパイスカレー」。
たった3種類だけのスパイスで驚くほどかんたんにスパイスカレーが作れて、多くの読者の皆さまから好評価をいただきました。
我が家でもすっかり定番メニューになっています。
クミン、コリアンダー、クローブ、ターメリック、チリペッパー……。
スパイスカレー作りに欠かせないスパイスは、香りはもちろん、種類によって効能も特徴も異なります。
- どんなふうにスパイスを使うと効果的?
- それぞれのスパイスと相性のいい具材って何だろう?
- スパイス単品だとどんな料理に使える?
スパイスカレーを極めるためには、スパイスそのものについてもっと詳しく知っておきたいですよね。
▲東大院生のスパイス料理研究家・印度カリー子さん。なんとJAPAN MENSA会員(※)でもある
(※)mensa:知能指数(IQ)が上位2%の人が入会できる、国際的な知的交流機関。mensa(メンサ)に入会するためには、人口の上位2%に属する知能指数を有することを入会テストに合格するなどして証明しなければならない
そこで『メシ通』では、毎回さまざまなスパイスについて1種類ずつ印度カリー子さんに掘り下げてレクチャーしてもらうことにしました。
第1回目となる今回は、スパイスカレーのメイン的存在ともいえる「クミン」についてです。
いかにもカレーらしい、いい香りのクミン。クミンの味の特徴は、わずかな苦みと独特の辛み。強い刺激的な芳香があるといわれます。
「クミンをバンドメンバーに例えるなら、ボーカルの役割。主役級のスパイスですね」とカリー子さん。
それほどスパイスカレーには欠かせない存在なのです。
そんなクミンを堪能できるレシピも3点ご紹介いただきます。
まずはインドの旧宮廷料理のひとつとされる「バターチキンカレー」。そして、クミンの香りを活かした「サラダ」と「肉そぼろ」です。
それではさっそく、カリー子さんによるスパイスレッスンを開始しましょう。
実は「クミン」は和食にも合う
──クミンは香りづけ以外に何か効果や効能があるのでしょうか?
カリー子:クミンはセリ科に属する一年草で、ビタミンやミネラルが豊富に含まれています。香りの主成分であるクミンアルデヒドには、消化促進や駆風(くふう/胃腸内にたまったガスの排出を促進すること)など、食欲増進作用があるので、食欲がないときにもうってつけのスパイスと言えます。
トルコやイラン、アラブといった暑い国をはじめ、アフリカ、ヨーロッパ、中央アジア、インドなど、世界中の至るところで料理に使われていますよ。
▲クミンシード(左)とクミンパウダー(右)
──クミンにはシードとパウダーがありますよね。これにはどんな違いが?
カリー子:シードとパウダーのいちばんの違いは「香り」です。そもそも植物は、細胞壁が傷つけられたときに、いわば「自己防衛のための酵素」を出すので、その影響で香気成分が変化して別ものになるんです。
いりごまとすりごまの香りの違いや、丸かじりしたリンゴとすり下ろしたリンゴの香りの違いをイメージしてもらうと、わかりやすいかもしれないですね。
──レシピに「クミンシード」と書かれたものを、勝手にクミンパウダーに変えちゃダメってことですね。
カリー子:香りの成分が違うので、「パウダーで代用したら違うものが出来上がる」と思ってもらった方がいいですね。
クミンに限らず、ホールのレシピなのに「ホールスパイスはミルやミキサーにかけると香りがより良くなる」と思ってわざわざ粉砕して使う人がいますが、それは大きな間違いということです。
──パウダー状に粉砕したら香りが良くなるというよりも、そもそも別の香り、別のスパイスなんだということですね。
カリー子:なので、スパイスのホールとパウダーは使い分けるのが基本です。
──形状以外は同じだと思っていました。どのように使い分けたらいいでしょうか?
カリー子:主に「香りの使い分け」になるかと思います。シードは取り出すことができますが、パウダーは料理そのものに溶け込むので、香りづけをするだけならシード、臭み消しや味のアクセントにも利用したいときはパウダー、といった使い分けができるんです。ちなみに使い方のコツは次のような感じです。
「クミンシード」は加熱して使用するのが基本
カリー子:そのままだと苦みが強いので、加熱して使用するのがおすすめ。クミンシードの火の通し方には
- 乾煎り
- 油で熱する
の2通りがあります。ただ、火の通りが不十分でも加熱しすぎても苦みが増すため、熱し加減が難しいスパイスでもありますね。少しスパイス使いに慣れてきた上級者向けのスパイスとも言えます。
加熱なしでも使える「クミンパウダー」は万能スパイス
カリー子:シードより香りがソフトで、加熱なしでも使用できます。料理に使う直前にクミンシードをミルで粉末にすると、市販のクミンパウダーよりも香りが立ったものになって面白いですよ。また、乾煎りしたクミンシードを冷ましてミルで挽くと、そこに香ばしさもプラスできます。
──クミンと言えばカレーのイメージですが、ほかにどんな料理で使えますか?
カリー子:クミンは醤油、マヨネーズ、にんにく、唐辛子などと相性がよく、生姜焼きやハンバーグ、ポテトサラダ、お寿司などの和食にも抜群に合いますよ。
──和食にも合うとは驚きです。それではせっかくなので、クミンを使ったカリー子さんイチオシのスパイスカレー&アレンジレシピを教えてください。
カリー子:では、甘みが特徴的な「レストラン風バターチキンカレー」と、クミンシードの熱し方2通りをマスターできるアレンジメニュー2品をご紹介しますね。
▲実演しながらご紹介します
クミンが決め手。 3つのスパイスでつくる「レストラン風バターチキンカレー 」
【バターチキンカレー 材料(2人前)】
- 鶏もも肉 300g
- にんにく すりおろし小さじ2(※チューブのものでも代用可)
- しょうが すりおろし小さじ2(※チューブのものでも代用可)
- バター 15g
- トマトピューレ 100g
- アーモンドプードル(アーモンドパウダー) 20g
- 生クリーム 50g
- 塩 小さじ1
- 水 300cc
- クミンパウダー 大さじ1
- コリアンダー 大さじ1
- シナモンパウダー 小さじ2分の1
【以下は、お好みで。無しでも可】
- 砂糖 甘くしたい場合は大さじ2
- カスリメティ 甘い香りづけとしてひとつまみ
- カルダモン 爽やかな香りをつけたい場合は小さじ4分の1
- チリペッパー 辛くしたい場合は適量
- ブラックペッパー 辛くしたい場合は適量
──わざわざ専門店に行かなくても、近所のスーパーで揃う材料で作れるんですね。
カリー子:しかも調理はフライパンひとつ。すごくかんたんに作れるんです。なお、アーモンドプードルは聞き慣れない方も多いと思いますが、パウダー状になったアーモンドのこと。スーパーの製菓材料コーナーに置いてありますよ。
作り方はとてもかんたんです
①フライパンにバターを溶かし、にんにく・しょうがを軽く色づく程度に弱火で炒める
カリー子:本来、ここではサラダ油を使い、バターは工程の最後に投入した方が風味が残るのですが、カロリーが高くなるので私はサラダ油を使わずあえてバターを最初に使っています。これだけで120キロカロリーくらいセーブできるんです。
──にんにくとしょうがのいい香りが立ってきましたね。ちなみにチューブタイプで代用もできるのでしょうか?
カリー子:にんにく、しょうがはチューブでも大丈夫です。チューブのにんにくやしょうがは水分が多くてハネやすいので、入れる際は気を付けてくださいね。
②トマトピューレと水150㏄を加え、ペースト状になるまで弱火で5分ほど炒める
カリー子:トマトはアミノ酸と糖質を含んでいるので、熱を通すと「メイラード反応(※アミノ酸と糖が加熱によって結びつき、起こる反応の事)」を起こして芳香と旨味がアップします。焦がさないためにも、弱火で軽く炒めるのがポイントです。
カリー子:焦がさないようにあくまでも弱火です。ここに水を加えて。
カリー子:スパイスカレーは、こうやってフライパンひとつで短時間で作れるのがいいですよね。
カレーってイギリス由来の欧風カレーみたいな煮込み料理のイメージがあるという人もいるかもしれませんが、インド由来のスパイスカレーは「炒め料理」。スパイスの香りを楽しむため、具材は火を通す程度に炒めるだけ。長時間火にかけると、香りが飛んでしまうんです。
──水分が飛んでペースト感が出てきました。トマトも酸味が抜けた甘い香りに変化しましたね。
カリー子:インドの家庭ではフレッシュな生トマトを使いますが、生トマトは完熟前に収穫するので、どうしても酸味が強くなってしまいます。そのため、濃縮されたトマトピューレを使うことでレストランの味に近づけています。
──トマト缶ではダメですか?
カリー子:ホールトマト缶は種が入っていることがあるのでおすすめしませんが、カットトマト缶なら代用できますよ。ただ、トマトの形状が残っていると舌触りが悪くなるので、炒めながらしっかり潰してくださいね。
③スパイス(クミンパウダー、コリアンダー、シナモンパウダー)と塩を加えてかき混ぜる
──スパイスが加わると、一気にカレーっぽい香りになりますね!
カリー子:パウダースパイスは焦げやすいので、必ず弱火で炒めてくださいね。
④ここで中火にして鶏もも肉を炒める。肉の表面が色づいたら水150㏄を加え、沸騰したら弱火に戻し、ふたをして煮込む
▲中火で鶏もも肉を炒めます
▲肉の表面が色づく程度に炒めたら……
▲水を加えて
▲沸騰したら弱火に戻し、ふたをしめて煮込みます
──鶏肉の焼き時間は、表面に焼き色がつく程度にサッとでいいんですか?
カリー子:肉は長時間火を通すと、水分が抜けてパサパサになってしまうんです。ふわっとした肉感にさせるためにも、炒め時間は短めに。より本格的なバターチキンカレーにしたいときは、事前に鶏もも肉をパウダースパイスと一緒にヨーグルトへ漬け込んで、別のフライパンで表面だけカリカリに焼いてから合わせてください。
⑤アーモンドプードルと生クリームを加え、とろみがついたら塩(お好みで砂糖・分量外)で味を調えて完成
▲生クリームを加えるとこのビジュアル。美味しそうすぎる
──なぜアーモンドプードルを入れるのでしょうか? 香りづけ?
カリー子:アーモンドプードルを入れることで、とろみとコクが生まれるんです。本場ではカシューナッツの粉末を使ったりしますが、日本ではなかなか手に入らないので、スーパーの製菓コーナーにあるアーモンドプードルで代用しました。
ミルやミキサーをお持ちなら、生のカシューナッツ20gを砕いて使った方がより本場に近い味になりますよ。
──生クリームを牛乳に変えたら味が変わっちゃいますかね?
カリー子:カロリーが気になる人は、生クリームを牛乳で代用しても大丈夫ですよ。牛乳で代用するとあっさり目になるので、その場合はアーモンドプードルを1.5倍に増やすと濃厚な味わいを楽しめます。
──ところで、お好みで入れるカスリメティやカルダモン、チリペッパーやブラックペッパーはどのタイミングで入れたらいいですか?
カリー子:③の工程で、ほかのスパイスと一緒に投入してください。カスリメティは煮込むことが重要なので、②の段階で入れてもいいと思います。
▲入手できたらぜひとも入れたい、香りの裏ボス⁉ カスリメティ
カリー子:なお、カスリメティは香りの重要な要素で、バターチキンカレーとの相性もよく、「カスリメティなしじゃ、バターチキンカレーは作れない」という人もいるほど。
──いま検索したら、amazonなどのネット通販ですぐに買えますね。カスリメティ。
カリー子:今回のレシピではなくても問題ありませんが、カスリメティをひとつまみ入れるだけで一気にカレーのレベルが上がるので、もし入手できればぜひぜひ入れてほしいスパイスです!
カリー子:ん~香りも見た目もおいしそう! どれどれ、ちょっと味見してみましょう。(パクッ)うん! おいぴい。
──味見でちょっと物足りなさを感じたときはどうしたらいいでしょう?
カリー子:塩をひとつまみずつ足して調整してみてください。スパイスを足してしまう人も多いのですが、スパイスは香りなので味は変わりませんよ。
──うっかりやりがちですね、気を付けます。味が整ったらいよいよ完成ですね⁉
カリー子:味が整ったら、お皿に盛って完成です!
──カレーの盛り付けって意外と難しいんですよね。美味しそうに見せる盛り方のコツなどないでしょうか?
カリー子:最初にルーだけをかけて具材は後から盛り付けると、具材が埋もれず、ボリュームも出て見栄えが良くなります。
▲3つのスパイスでつくる「レストラン風バターチキンカレー」
カリー子:最後に生クリームを回しかけるとより映えますよ。調理で使った生クリームの容器を捨てずにとっておけば、ヘリに付いた残量を利用できます。
──最後の1滴まで無駄にしないで見栄えもアップ、と。
カリー子:今回はごはんにかけましたが、こってりしたバターチキンカレーはパンにもよく合います。ナンやフランスパンなど、お好きなパンで召し上がってみてくださいね。
──ナンを添えたらより本格的な「レストラン風バターチキンカレー」になりそうですね。それにしても、バターチキンカレーが自宅でかんたんに作れるなんて思いもしませんでした。
カリー子:スーパーで手に入る食材だけでかんたんに作れるので、ぜひチャレンジしてみてください。
──スパイスカレー初心者でも作れるバリエーションが増えてうれしいです。
カリー子:ナッツを自分で砕いたり、鶏肉にひと手間かけたり、スパイスを増やしたり……レベルアップも楽しめますよ。でもその前に、もっとクミンを楽しめるアレンジメニューも知って、クミンをたくさん活用してほしいと思います。
レタスを使って「乾煎りクミン香味サラダ」も作ってみる
──今度はクミンシードを使うんですね!
カリー子:クミンシードは加熱にコツが必要なので、熱し方をマスターできるアレンジメニューをご紹介します。まずは「乾煎り」が覚えられるレシピから。
【材料(2人前)】
- レタス たくさん
- 長ネギ 5センチ
- サラダ油orオリーブオイル 大さじ1
- 醤油 大さじ1
- クミンシード 小さじ2分の1
クミンシードは焦がさないように
①クミンシードをフライパンに入れ、弱火で1~2分乾煎りする
カリー子:クミンシードが焦げないよう、フライパンはゆすりながら、炎に近すぎず遠すぎずの距離で炒ってください。香りが立ってきたらクミンシードに注目!
──香りが立ち上がるのとともに、見た目も変化しているような……?
カリー子:中央部がふっくらとしてくるんです。それが火からおろす合図です。
②炒ったクミンシードを冷ましているあいだに、レタスを50度くらいのぬるま湯で洗い、一口大にちぎって皿に盛る
カリー子:レタスはお湯で洗うと気孔が開いて水分を再吸収するので、鮮度がよみがえったようにシャキシャキになります。
カリー子:その間に長ネギもみじん切りにしておきましょう。乾煎りしたクミンだけでも美味しいのですが、長ネギは加熱しなくても香りが立つので、2つを合わせるとより香り高くなって食欲が増すんです。
③レタスに、みじん切りにした長ネギ、醤油、サラダ油orオリーブオイル、炒めて冷ましたクミンシードをかけたら完成
──ほのかに香るクミンが食欲をそそりますね。
カリー子:クミンの香りをアップさせたいときは、炒って冷ましたクミンシードを包丁で軽く刻んでみてください。
──軽く刻んだだけで香りが広がってきました!
──炒ったクミンシードでも、細かく刻むとクミンパウダーの香りに変化してしまうんですか?
カリー子:刻んだり粗く潰したりすると、また香りが異なります。食感と味わいはホール、香りはパウダーといった感じで、ホールとパウダーの中間みたいになるんです。胡椒でも、原形のブラックペッパーホール、粗挽き、テーブルコショーでは、全然違いますよね。スパイスの香りは、挽き方、空気の触れた回数で変わってくるんですよ。
▲レタスが止まらない! 乾煎りクミン香味サラダ
──シンプルな味付けだけにクミンの香りが活きていますね。噛むたびにクミンの香りが広がるのも、シードを使ったレシピならではと言えそうです。
カリー子:カレーとはまた違ったクミンの美味しさを感じられて、本当にレタスを食べる手が止まらなくなりますよ。次はごはんが止まらなくなる「油で熱したクミン」のアレンジメニューをご紹介しますね。
ごはんが止まらなくなる「W(ダブル)クミン肉そぼろ」
【材料(2人前)】
- 合いびき肉 250g
- にんにく 2かけ(※チューブのものでも代用可)
- しょうが 1センチ(※チューブのものでも代用可)
- サラダ油 大さじ1
- 醤油 大さじ1
- 酒 大さじ1
- 味噌 大さじ2
- 砂糖 大さじ1
- クミンシード 大さじ2分の1
- クミンパウダー 大さじ1
【お好みで】
・チリペッパー 小さじ4分の1~
・ブラックペッパー 小さじ4分の1~
──今度はクミンシードとクミンパウダーの両方を使用するんですね。
カリー子:クミンの香りを存分に堪能できるレシピです。ただ、クミンシードの加熱に自信がないときは、クミンパウダーだけでも十分美味しくできますよ。
クミンシードを油で加熱する場合
①フライパンに油をひいてクミンシードを中火で炒める
カリー子:こちらは油で加熱する方法です。乾煎りにならないように、クミンシードは油の中で炒めてください。
──油が温まる前に投入してしまうんですか?
カリー子:カレーの本場インドでは熱した油にクミンシードを入れますが、慣れていないと焦がしやすいんです。初心者のうちは油が温まる前から入れて経過を見た方が失敗しませんよ。
カリー子:泡立ってきたら油が温まってきた合図なので、焦げないように弱火にします。あとは均等に加熱されるように、フライパンをゆすったり木べらで軽く混ぜたりして炒めていきます。
──クミンシードがほんのり色づいてきましたね。
カリー子:クミンシードが浮いてきたら、ほどよく熱が入った合図です。
──時々フライパンを傾けて様子を見るとわかりやすいですね。
②クミンシードが油の中で浮いてきたら、みじん切りにしたにんにくとしょうがを入れる。軽く色づいてきたら合いびき肉を入れて中火で炒める
──クミンパウダーだけで作りたいときは、この工程からスタートすればいいですか?
カリー子:はい。クミンシードを使わずにクミンパウダーだけで作るときは、フライパンに油をひいて、にんにくとしょうがが軽く色づくまで炒めるところからスタートしてください。
③合いびき肉をほどほどに炒めたら、醤油、酒、味噌、砂糖、クミンパウダーを加え、炒め合わせる
──全部の調味料を一度に入れるなんてかんたんすぎる! 辛くしたいときのスパイスもここで入れていいのでしょうか?
カリー子:辛みを出すスパイスのチリペッパーとブラックペッパーも、ここで一緒に加えてください。量はお好みで。
──チリペッパー、見るからに辛そうですね。
カリー子:チリペッパーは刺激的な熱い辛さが特徴のパウダースパイスです。辛みづけのスパイスには「レッドペッパー」や「カイエンヌペッパー」などもあり、チリペッパーよりカイエンヌペッパーのほうが高級で鮮やかな色合いと、強めの辛みが特徴です。どれでも美味しく辛みづけができますので、チョイスはお好みで。
──ブクラックペッパーの辛みは、チリペッパーとどう違うのでしょうか?
カリー子:チリペッパーが刺激的な熱い辛みなのに対し、ブラックペッパーはひりひりする辛みです。胡椒のさわやかな香りがプラスされるというのも、チリペッパーとの違いですね。
④ごはんにかけたら完成
カリー子:パクチーやみじん切りにした長ネギを入れるのもおすすめです!
▲ごはんが止まらない! W(ダブル)クミン肉そぼろ
──クミンの香りや辛みスパイスの風味で、いつもの肉そぼろがエキゾチックに進化した感じですね。これは確かにごはんが止まらない!
カリー子:和食とも相性がいいクミンならではの、とっておきアレンジメニューです。一度にたくさん作って作り置きしておくと、小腹が空いたときにすぐ食べられるし、野菜とあわせて手軽に夕飯の1品を用意することもできますよ。
──冷蔵庫にある物でできるのもいいですよね。ひき肉が微妙に余ったときにも使えるレシピかと思います。
カリー子:ひき肉の代わりにラム肉を使っても美味しくできます!
クミンを制するものはスパイスカレーを制する
──それにしても、カレーだけじゃなく和食やサラダにも使えるなんて、クミンって本当に万能なんですね。ちなみにカリー子さん、昔はクミンがお好きではなかったとか……?
カリー子:そうなんです。でも、その原因は「熱し不足」でした。熱し方をマスターしたら、大好きになりました。皆さんにも自宅で料理をする際に、いろいろな料理にどんどんクミンを取り入れてほしいですね。
・・・
クミンはさまざまな料理に使えるスパイス。
そして、やっぱり熱し方が大切なんですね。
クミンシードの熱し方をマスターすれば、より本格的なスパイスカレー作りにもトライできて、美味しさと楽しさの幅も広がりそうです。
さて、スパイスの基礎からレシピまで学べるカリー子さんのスパイスレッスン。次回はクミンに並ぶスパイスカレーの立役者「コリアンダー」について深堀りしていきます。お楽しみに!
書いた人:千葉こころ
自由とビールとMr.Childrenをこよなく愛するフリーライター。旺盛な食欲と好奇心を武器に、人生を楽しむことに全力を注いで滑走中。