こんにちは! 料理家の真野遥です。
みなさん、「塩麹」って使ったことありますか??
発酵ブームで一躍脚光を浴びた塩麹。ブームは落ち着いたものの、すっかり塩麹が身近な調味料として定着した方も多いのではないでしょうか。
ただ、市販の塩麹を買ったことはあっても、手作りしたことがある方は案外少ないのでは?
塩麹は塩と麹と水を混ぜて1〜2週間ほど毎日かき混ぜなければいけないので、手作りするのはちょっと面倒……という方も多いはず。
そこで今回は、一晩で作れる自家製塩麹の作り方、そして塩麹で漬けて作るしっとりサラダチキンのレシピをご紹介いたします!
思い立ったらすぐに作れる!「一晩塩麹」
麹を塩水と合わせて毎日かき混ぜることで、麹の持つ酵素が米のデンプンや炭水化物を分解し、うま味とコクのある調味料ができます。これが塩麹です。
麹の持つ酵素は温度が低いほど働きにくいため、冬場に作ると完成まで10日〜2週間ほどかかりますが、夏場は1週間ほどで完成します。
そんな特性を活かし、酵素が働きやすい50℃〜60℃前後に保温すれば、一晩で塩麹を作ることができるのです!
ヨーグルトメーカーがある方は60℃で8時間保温すれば作れますが、お持ちでない方は保温バッグor発泡スチロール+ホット用ペットボトル+毛布を使いましょう!
材料(400ml容器1個分)
乾燥米麹 170g(生麹の場合は200g)
塩 60g
70℃に温めたお湯 250ml(生麹の場合は200ml)
作り方
1.ボウルに米麹と塩を入れて軽く混ぜる。
※麹を冷蔵庫で保存していた場合は、必ず常温に戻してから使ってください。
2. 70℃に温めたお湯を加えてよく混ぜ、清潔な保存容器に移す。
3. ホット用ペットボトルに80℃のお湯を入れ、2と共に保温バッグに入れる。
(今回は480mlペットボトルを4本使用。保温バッグいっぱいに入れるのがポイントです)
※必ずホット用のペットボトルをご使用ください。また、80℃よりも高くすると溶ける恐れがあるため、必ず80℃以下のお湯を入れてください。
4. 保温バッグをさらに毛布で包んで保温状態を保つ。
この時点で塩麹が入った容器の温度は50℃弱まで下がりますが、その後じんわりと温度が上がり、うまくいけばピーク時は55℃程度になります。まずは6時間ほど保温してみましょう。
ちなみに、布団に入れてお腹に抱きながら一緒に寝ると、保温性はさらにアップします。(その場合は、こぼれないようにしっかりフタを閉めましょう!)
6時間後には40〜45℃程度に下がっていますが、ここで少し様子を見てみましょう。
一口味見してみて、麹の芯の硬さが残っていなければ完成です。
しっかり温度が保たれていれば、6時間でも塩麹はバッチリできてしまいます。
ただ、まだ塩のカドが立っていたり芯の硬さが残っていたりしたら、もう少し保温しましょう。
ペットボトルのお湯を入れ替えて、さらに6時間ほど置けば間違いなし。
保温時間が長ければ長いほど、塩のカドが丸くなり、風味がよくなるため、余裕があれば一度お湯を入れ替えて長時間保温するのがおすすめです。
塩麹はそのままでも使えますが、ブレンダーかミキサーなどにかけてペースト状にすると、より使いやすくなりますよ!
肉や魚を漬け込むと、しっとり軟らか。炒め物やスープなど、塩代わりになんでも使えます。
私は特にパスタの味付けによく使っています。とろみのある塩麹を使うと麺とのなじみがよく、素材の味を引き立てて、とてもおいしく仕上がるんですよ。
完成したら、冷蔵庫で保存してください。
半年〜1年程度は問題なく使えます。むしろ、時間が経てば経つほどまろやかになり、コクのある熟成塩麹になりますよ!
自家製塩麹で作る! 超絶しっとりサラダチキン
自家製塩麹を使って、サラダチキンを作りましょう!
脂肪が少なくパサつきやすい鶏むね肉は、塩麹の力が最大限発揮できる食材のひとつ。
鶏肉はしっかり加熱しないと食中毒の危険性がありますが、加熱しすぎると硬くなってしまうのがむね肉の弱点。そこで塩麹の出番! しっかり安全に加熱しても、酵素の働きでしっとり軟らかく仕上がります。
材料(サラダチキン1個分)
鶏むね肉 1枚(300g〜350g程度)
(A)塩麹 鶏肉の重量の10%(鶏肉300gの場合は大さじ1と1/2ほど)
(A)レモン汁 小さじ1
(A)しょうが(すりおろし) 小さじ1/2
(A)こしょう 少々
作り方
1.鶏むね肉は皮をむき、フォークで全体に穴を開ける。
2.鶏むね肉を耐熱性の保存袋に入れ、(A)の調味料を加えてもみ込む。空気を抜いて袋の封を閉じ、冷蔵庫で一晩置く。
※時間がない場合は1時間でもOK。
3.漬け込んだ鶏むね肉は室温に30分ほど置いて常温に戻す。厚手の鍋にたっぷりの湯(分量外)を沸かし、沸騰したら火を止め、鶏むね肉を袋のまま入れる。全体が浸かったらフタをし、1時間半置く。
※鶏むね肉の重量が300g未満の場合は1時間程度で大丈夫です。
※鶏むね肉2枚分で作る場合は、それぞれ別の保存袋に入れて加熱してください。1枚分よりもお湯の温度が下がるため、沸騰している状態で鶏むね肉を入れて10秒ほど置いてから火を止めましょう。
鶏むね肉は、袋のまま流水にさらして冷ましてから切り分けましょう。
そのまま食べるのはもちろん、サラダにのせたり、ラーメンにトッピングしたり、ピリ辛ダレをかけたり、ワサビをつけて薬味と共に食べたりなど、アレンジは無限大!
保存期間は、2〜3日ほどが目安です。
今日から始められる塩麹生活、みなさん是非お試しください。
書いた人:真野遥
商社勤務を経て料理家として独立。 東京と京都を拠点にレシピ開発、メディア出演、発酵食と日本酒のペアリング料理教室の主宰など幅広く活動中。2022年からは「発酵室 よはく」として、発酵を通じて人生に余白を作る活動をスタート。Podcastラジオ「よはく採集」を毎週火曜日に配信中。 著書『手軽においしく発酵食のレシピ』(成美堂出版)、『いつものお酒を100倍おいしくする最強おつまみ事典』(西東社)