【焼うどん】食材&作る人が残念でも……ウマくするには要はコレ

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もう20年も前、学生時代のことなんですが、バイト先の先輩がこう言ったんです。

 

「調味料さえ良ければ、たいていの食材はウマくなるぜ」

 

私がバイトしていたのは大衆居酒屋さん。気のきいた駅前にはたいてい出店している大型チェーン店ですが、ここの料理はまさに「安かろう悪かろう」ってなもんでして、そのうえ学生のバイトが中心だから、出てくるのはお世辞にもウマいとは言えない代物ばかりです。

 

食材も人材もダメって条件の中で、最も低コストにウマい料理を提供するには、「調味料を最高のものにするのが一番」と、その先輩は言う。

 

そういうアンタだって学生バイトじゃねえかというツッコミはあるものの、これには一応の説得力を感じ、実際に試したことがあります。清水の舞台から飛び降りたつもりで買った600円のうどんつゆで、焼うどんを作ったのです。

これがね、実にウマかったんですな。店のまかない当番のときに作ってみて従業員みんなで食べたんですが、とにかく評判がよかった。悪いが、お客さんに出しているものより格段にウマい。

うどんつゆを替えただけで、作り方は店のメニューにある焼うどんと同じなんだけど、居酒屋メニューらしからぬ芳醇な香りが漂ううえ、味の幅もドンと広がった印象でした。

食材がアレでも調味料さえよければ何とかなる!

で、今回は、その焼うどんを通じて、上記のコンセプト【調味料さえ最高なら何でもウマい】を感じていただければと思います。

 

初登場にしちゃあテーマがユルいんじゃねえか、との突っ込みもあろうかと思いますが、楽に安く、かつウマい、そしてメシにも酒のつまみにもなるというメニュー、それが焼うどんなんです。

 

……え、ここまで読んでくださった方、この面倒くさそうな文章を書いている奴のことだから、この先も長いんじゃね? と感じていらっしゃるかと思うので、先に言っておきます。

 

焼うどんなんてのは、実に簡単です。

 

材料さえあれば作業時間は10分。ついでに言うと、その材料だって300円ほどで2人前は作れる。

 

使う食材は以下の通り。

  • 野菜
  • うどん
  • 豚のこま切れ肉

 

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「“野菜”とか“うどん”って、ざっくりすぎるだろ……」という声もそぞろ聞こえてきそうなので少し解説を。

 

まず野菜ですが、スーパーや100均などでも売っている野菜炒めセットみたいなやつ、ありますよね。分量は160g程度で、これだけで2人前作れます。中身は主にキャベツ、もやし、ニンジン、玉ねぎあたりが入っているものがスタンダードなところ。

 

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ちなみに私が勤めていた居酒屋さんでは、キャベツ、ピーマン、ニンジン、玉ねぎ、の4種類でした。なので、今回は100円で買ってきた野菜セットにピーマンを加えます。ピーマンのように濃い緑が印象的な食材が加わることで、視覚的にも引き立ちますしね。

 

ピーマンが苦手なら、ニラなんかでもOKです。ニラが入った野菜炒めセットもありますしね。このあたりはお好みに合わせてどうぞ。

 

次に、うどん。もちろん、イチから茹でるなんてことは面倒なのでしません。従って生めんを使いますが、これもスーパーで売っている安いやつで結構です。3袋セットで100円なんていうのもありますし、バラ売りで1袋30円未満のものもお店によっては置いてあります。

 

肉は価格変動がそれなりにあるものの、豚肉なら200円も出せば2人前程度は十分にまかなえる。

 

100均で売っている肉の量では少々物足りなさを感じるとしても、それでもさほど気にならないですね。実際に、居酒屋さんで出してた焼うどんには、肉なんてほとんど入ってなかったし。

 

こいつらをチョイチョイと炒めた後、うどんを入れて調味料をぶっかけりゃ完成なわけですが、いくらなんでもそれでは乱暴な書きようなので、順を追って少しだけ解説を。

 

【作り方】

① 肉と野菜を炒める(炒めた後、塩とコショウを少々)

なお、パック詰めの野菜を使用する場合、そのままだとパサパサであることも多いので、ザルなどに移して少し水にさらすと生命の息吹がよみがえります。

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② 炒めている間、うどんをレンチンする(パックに入れたままでOK)

うどんのパッケージに切れ込みを入れ、その中に水を少し入れます。レンジに入れてチンするためですが、ここで麺をやわらかくすることで、フライパンで野菜と一緒に炒める際、麺がほぐれやすくなり、かつ野菜と混ざりやすくなるといいます。


いかにも自信なさげな書きぶりですが、居酒屋時代のレシピにそう書いてありましたので私はそうしています。個人的にはレンチンしなくても問題ないと思うけど、さほど面倒な作業でもないし、まあいいかと。


レンジで温めるのは1分弱で結構です。

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③うどんと野菜・肉を混ぜてさらに炒める

野菜をちょいと炒めて、その間にうどんをレンチンし、レンチンが終わったと同時にうどんをフライパンに投入する流れができあがるようなら一流ですな。


ここで私は、結構しぶとくフライパンを回す、というか振ります。多少なりとも香ばしさを出さなければ「焼うどん」じゃないので、うどんに焼き色がつくぐらいまで2分ぐらいは炒めます。

 

④ コショウを投入(好みによる)

コショウは野菜を炒めたときに入れたんですが、私はここでさらに入れます。

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⑤ 「高級なうどんつゆ」を投入

上の写真左が高級めんつゆ。私の使用している「うどんつゆ」は、500mlで600円ということもあって、ふたを開けた瞬間から芳醇な香りが漂います。1リットルで300円なんてもの(たとえば写真右)も多くありますが、それらとは上品さが違う。

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すでにフライパンの中身は、色といい香りといい、この時点で「うまそう」と思える出来につき、これに高級うどんつゆなんて入れた日にはもう……! という雰囲気。絶対にマズいはずはありません。

私は目分量で入れるので、細かい量は正直わからないんですが、2人前には大さじでいうと2~3杯といったところでしょう。

私の使うつゆは3倍濃縮のやつですが、種類によっては4倍濃縮のものも存在します。みなさんが試される場合は、適宜量を工夫しながら実践してみてください。

 

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⑥好みに合わせて、かつおぶしや紅生姜などを添えて

これで完成です。紅生姜は、牛丼屋の弁当を買った際にもらいすぎて余ったものなんかを愛用しています。

 

これね、本当に嫁の評判がいいんですよ。

嫁が外で働き、旦那(私)が家でタラタラ原稿を書く……というスタイルの我が家では、当然ながら毎日の夕食づくりは旦那の仕事なんですが、嫁が家にいる日でも、自分が作るのが面倒なのか、「焼うどんで!」というリクエストが飛びますからね。

 

というわけで、「どんな食材でも、とりあえず調味料さえよければなんとかなる」の第一弾、いかがだったでしょうか。

 

ピンからキリまである調味料の中で、一番高いやつを買っても金額なんてたかが知れているわけですよ。
数千円のスパイスとか、ン万円の醤油とか、世の中にはあるのかもしれないけど、まあ市場に広く出回っているものでは、高いものでも千円前後でしょう。

 

それでもなお、なまじ安いものが目に留まるもんだから、調味料に対しては基準がセコくなりがち。たとえば味噌が700円だなんて聞くと、「うわ、高!」という印象を持ちますよね。

そこをどうにか、ぐっと信念を持って、良いものを手にしてほしいと思います。

 

考えてもみてください、高い調味料を買ったって、その日だけで使い切るなんてことは滅多にない。たいていは次の機会に、また使えるんです。

 

私も、かの先輩に言われましたよ。
「お前、毎週、馬券でバカみたいにヤラれてること考えろよ……」
と。その通りだ、と妙に納得したね。

 

申し遅れました。当時から調味料にこだわるようになったうえ、馬券にもこだわった結果、その後に競馬新聞の記者になっちゃった過去を持つ股旅庵馬ん次(またたびあん・まんじ)と申します、こんにちは。今後ともよろしくお願い申し上げます。

 

 

書いた人:股旅庵馬ん次

股旅庵馬ん次

1973年生まれ。競馬新聞記者、編集者を経てフリー記者。競馬記者時代、ディープインパクトを思い切りdisるコラムを書き、物議をかもす。「馬券も料理も、重要なのはエロス」がモットーの43歳は、SNSに異常なほどの偏見を持つ昭和のおっさんです(単に面倒なだけ)。

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