新大久保で味わう”和”の上質体験

東京の代表的なコリアンタウン・新大久保。K-POPと韓国グルメでにぎわうこの街にて、純和風の銭湯「万年の湯」で汗を流し、老舗そば屋「近江屋」で鴨わさを肴に酒を飲み、〆に辛味大根そばをたぐってきた、と言ったら信じてくれますか? 本日、あなたを新大久保の日本にいざないます。

エリア新大久保 (東京)

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新大久保といえば皆さんご存じ、コリアンタウン。ここに降り立つ人は韓流のグッズを買ったり、韓国料理を食べに来ている人がほとんどです。ただ私は思うんです。コリアンタウンとはいえ、ここは日本。新大久保で和を感じる体験ができないものかと。今回はあえて、新大久保にある”和”を探してきました。

 

新大久保に佇む和の異界

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新大久保駅を降りて右手に進むと広がる韓国系のお店たち。それを目当てに歩道を歩く日本人女性が多いこと! メインストリート、大久保通りの日常風景です。
そんな大久保通りを直進すること約5分……。

 

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………!? 色とりどりな大久保通りと正反対、異様な景色が目に飛び込んできました。

 

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なんだこれは……! 鳥居……?
神社と見間違えるくらい、どこか穏やかな空気が漂います。ここが最初の和体験をする銭湯、「万年湯」です。

 

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ゲートをくぐると大久保通りの騒がしさは消え、静けさに包まれます。

のれん、照明、引き戸、そして木のしつらえ……どれをとっても和風の店構え。

 

純和風! コリアンタウンの隠し湯

新大久保とは思えない静けさのなかに佇む「万年湯」。この環境での風呂はたまらんだろうなぁ……浴室に行ってみましょう。

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どこから見ても見栄えのいい浴室! 「万年湯」は2016年8月、純和風に大改装をおこないました。

浴室全体を包む柔らかい照明、落ち着いた色合いのタイル……。ここだけ見るととても新大久保とは思えません。

 

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うあ~気持ちいい! 和風の窓からあふれる光が水面にゆらゆらと反射している……その様子を眺めていると「あー」以外に言葉が出ませんね。

こちらの主浴槽はいつまでも浸かっていられるぬるめの温度、加えて銭湯でおなじみのジェットバス、電気風呂が設置されています。さらに浴室で使っている全ての水、お湯は硬度成分を除去した軟水です。

 

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もう一つの湯船は微細気泡を発生させて毛穴の汚れまでかきだすシルクバス。温度が高めに設定されており、店主さん曰く「選ばれしものが入れる湯船」。

軟水+シルクは湯上りの肌がもっちりと仕上がり、加えての高温浴ならではの爽快感が最高!

この時間の流れかたは新大久保じゃない! 伊豆のあたりのどっかだ!

 

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さらに「万年湯」の目玉、水風呂。地下水100%の軟水に身を委ねれば、嫌なことなんて全部忘れてしまいます! 新大久保にこんな穴場があったなんて!

 

駅前のおそば屋さんで割烹旅館体験

想像以上の和体験ですっかり旅行気分。旅館で風呂にはいったあとは、お楽しみのメシですね。できるなら「割烹旅館に泊まってる感」を崩さない、上質な和食を食べたいな。

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選んだのは「万年湯」から徒歩5分、新大久保駅からは徒歩0分。絶好の立地で100年以上営業を続ける老舗そば店「近江家」。

 

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まずこの内装。割烹旅館じゃん! 素敵な店内! 2014年に改装されたばかりの店内はどこもピカピカ、かつ和の要素がさりげなくちりばめられています。扉一枚くぐれば新大久保とは信じられない。

 

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「近江家」は、風呂あがりの酒好きにはうれしい、飲めるおそば屋さん。常時利き酒師が選んだ5種類の日本酒をいただくことができます。

このラインアップ、なかなかレアものぞろいな気が……売り切れ次第メニューは入れ替わるので、まめに様子を見に来るのが楽しみですね。

 

酒のつまみクオリティーも高い!

飲めるおそば屋さんだからこそ充実していてほしい酒のつまみ。そのクオリティーが半端じゃないんです!

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まずはこちら、自家製鴨わさ(880円)。
口に入れるとほろほろした触感、ちょうどいい厚みで美味! 

鴨と合わせるのは店主が試行錯誤の結果開発した、そばつゆと赤ワインのブレンドダレ。肉とのバランスをうまくとった、味わい深いタレですね。

 

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続いて京ニシン(700円)。下ゆでの後一晩寝かせてから煮込むという手間暇をかけており、完成までは2日間を要します。

細胞一つ一つまでしっかりと味が染み込み、いくらかんでも味が出てくる! その味がまた繊細で優しい! 老舗の技、そしてかけた手間暇がしっかりと味に出ている! 絶品だなこれは。

 

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近江家の酒のつまみの代表、そば屋のやきとりタレ味(650円)。フワッと広がるこのにおい……天丼のたれをアレンジしたものなのだそう。濃いめの甘辛さが焼き鳥とあう! 口に入れるとふわっふわ! 

添えられているネギもおそば屋さん仕様で、含んでる水分量が多くて甘い! 酒のお供にも最適です。

 

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いただく日本酒は愛知島市、長珍酒造の無ろ過生詰純米酒、長珍。口に入れるとピリッとした辛味のあと、次第に甘みが出てきます。

パンチのある焼き鳥、味わい深いニシンにはベストマッチ! 鴨わさにはもっと口当たりがまろやかな日本酒と相性がいいかもしれません。こうやってゆっくりと料理を味わう時間も乙ですね。

 

締めのそばこそ本番

つまみだけで満足するべからず。「近江家」は江戸前そばのお店です。本来メインのそばを締めにいただくのもなんだかぜいたくでいいな!

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締めのそばは風呂あがりにはさっぱり、ということで辛味大根そば(870円)をチョイス。

つるっとしたのどごしを追求し、北海道産のそば粉を使用。ご主人が思い描いた理想の江戸前そばに仕上がっています。

 

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そばつゆは濃い目に仕上がっているので、三分の一程度そばを漬けていただきます。近江家のそばつゆは鰹節を塊の状態で仕入れ、お店で削り節にして出汁をとっており、味はもちろん、香り高いのもポイントです。

口に入れるとそばの香り、そして確かなかみ応え。そのあとにしっかりとしたそばつゆの味。それに加えて爽快感の強い辛味大根で締める! 

 

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肌寒い日は近江家ならではの、あさり南蛮(870円)をどうぞ。ぷりっとした大振りのあさり、その横に浮かんでいるのは……バター!? 先代店主が開発した時はバターを入れておらず、まだ幼かった現店主の「バター入れてみたら?」という意見が採用され現在の形になったそうです。いわば先代と4代目の合作なのです。あさりとの相性は言うまでもなく、意外とそばつゆとあう! コクが出てうまい!

 

常識を捨てて見つけるおいしさ

最後に確認しておきましょう。ここは日本でも有数のコリアンタウン、新大久保。

誰もがコリアンタウンと認識しているこのまちでも、日本らしさはまちのどこかで、脈々と受け継がれているのです。

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新大久保で割烹旅館体験、まちの見方が変わります。「万年湯」と「近江家」を訪れてみてください!

 

お店情報

万年湯

住所:東京新宿区大久保1-15-17
電話番号:03-3200-4734
営業時間:15:00~24:00
定休日:土曜日

 

近江家

住所:東京新宿区百人町2-4-1 サンビルディング1階
電話番号:03-3364-2341
営業時間:平日11:15~21:45(LO 21:10)
     日曜日・祝日11:15~21:15(LO 20:40)
定休日:土曜日

www.hotpepper.jp

 

書いた人:毎川直也

毎川直也

風呂が好きで、風呂デューサーを名乗り活動中。銭湯、スーパー銭湯、温泉旅館での勤務経験を持ち、銭湯に勤めながらメディア出演をしている。酒が弱いうえに小食なため、「メシ通」には間違いなく向いていないライター。

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