四川料理のスゴイ人が猛プッシュする「肉味噌ストック」を大量に作り置きして毎日の献立を天国にする方法

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 「肉味噌」を作りおきしておくと、ものすごく便利

「四川料理のスゴい人」日本橋のリバヨンアタック料理長・人長良次(ひとおさ・よしつぐ)さんから、今回は「作りおきしておくとすご〜く便利な肉味噌のレシピ」を教わりました。

 

──以前の麻婆豆腐の記事の時に作った「肉味噌」なんですけど。リンク貼りますね。

 

www.hotpepper.jp

 

──このときに「肉味噌をたくさん作って冷凍保存でストックしておいて、いろいろアレンジして使うのが良い」という話がありました。そのアレンジについて教えてほしいです。具体的には、家庭で誰でも簡単に作れる、しかも超絶おいしいスペシャルなオカズを教えてほしいんです。

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:わかりました。まずは肉味噌をたくさん作ることから始めましょう。肉味噌は余っても冷凍にしてストックできるので便利だし、肉味噌ストックがあるとほかの料理にちょい入れしたり、自分なりのアレンジを試したりと、いろいろな料理に使えるんです。他の用途としては……

 

  • 担々麺のアタマにする
  • 野菜炒めにポイッと追加で入れる
  • 豆腐にのせて冷奴の具材に
  • 当然ですが麻婆豆腐の具材に
  • そうめんなどのつけ麺のつけ汁に入れちゃう
  • 食パンの上にクリームチーズと一緒にのせて焼く
  • もちろんそぼろ飯としても絶品

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:……などなど、無限にバリエーションが考えられます。肉味噌があるだけで料理の腕もランクアップしそうじゃないですか。

 

──なるほど、これは便利そう。では、あらためて作り方を紹介しながらやっていただけますと、ネット記事的に助かります。

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:はい、中華料理の基本、肉味噌のポイントをくわしく解説しますね。まずは肉なんですけど、中国では牛肉を使うんですよね。四川省では、農家が水牛を家畜として使ってまして、そこで年を取った牛さんを……。

 

──“牛さん”。

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:そう。牛さんが年取って働けなくなったと。そのままのお肉だとどうしても硬いんですね。で、どうやって食べるかというと、ひき肉として使ったと。

 

──もう刻まないと食べられないという。

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:肉が筋張って硬いので、ひき肉にして使っていたという歴史があるんです。そんなわけで中国では牛肉を使ってることが多いんですけど。僕自身は豚肉の味が好きなので、今回は豚ひき肉で作ります。

 

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──ご家庭で作るときは、鶏でも合挽きでも、好きな肉を使っていいんですよね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:はい、お好きなお肉を使用してください。お店によってはショウガ、ニンニク、豆板醤なんかをいれるところもありますが、僕は担々麺や麻婆豆腐など、いろんな料理に使いたいので、いたってシンプルに、豚のひき肉と甜麺醤とお醤油だけを使って作っています。

 

──かなり材料はシンプルですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:家に秤がない場合もあると思うので、レシピには大さじ小さじとグラム両方で用意しておきました。 

 

中華料理の基礎の基礎……「肉味噌」の作り方

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肉味噌(作りやすい量)

  • 油 小さじ2
  • 豚ひき肉 200g (なんの肉でもいい)
  • 醤油 小さじ2(10g)
  • 甜麺醤 大さじ2(60g)

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:火にかけたフライパンに油を注ぐのはあぶないので、最初に油を小さじ2杯。そしたら火をつけます。強火です。

 

──むむっ。火加減が重要っぽい感じ。

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:ひき肉は、調味料を入れるまでは火を全開。ダラダラ炒めるとせっかくの水分が飛んでしまってカラカラのひき肉になっちゃうんです。一気に強火で炒めることによって、無駄な肉汁を出さない。そこに意味があります。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:鍋があったまってきましたら、ひき肉を入れていきます。ひとつめのポイントはココです。火が通るとお肉が白くなってきますよね。固まる前に、しっかりつぶしてあげる。ほぐすのではなく、つぶす。ダマをつくらない。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:なんでかっていうと、ひき肉というのは火が通ってしまうとほぐれにくいんですよね。逆に、生のままだとどんどん細かくなってきます。だから、火が通る前に、こうやって手早く、手早く、つぶしてあげる。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:油もね、小さじ2杯だと少ないと思われるかもしれませんけど、お肉から脂がこうやって出てくる。これ以上入れてしまうと、脂っこい肉味噌になっちゃうんです。お肉の脂身の具合によって加減したほうがいいんですけど、だいたいひき肉200gに対して小さじ2杯の油がちょうどいいはず。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:時間的には2分くらいで十分にほぐれます。

 

──なるほど、つぶす意識でいくときれいにほぐれますね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:中華鍋だとおたまでガンガン叩くようにつぶしていくんです。

 

──切るんじゃなくて「つぶす」。調理の言葉、重要だなあ。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:ここでいったん火を止めます。きちんと材料が準備できてることってあまりないじゃないですか。僕も家だと、途中で冷蔵庫に調味料を取りに行ったりするんです。その間に肉がカチカチに焼けちゃう。なので、火を止めてから、調味料を入れます。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:お醤油、小さじ2。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:甜麺醤。60gにしてますが、甘いのが好きな方は増やしてみるとか、お好みで調節してください。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:そしたらまた火を全開にします。これがふたつめのポイントです。甜麺醤と醤油の香りを立たせたいので、高温にする。だから火は全開なんです。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:肉味噌は「煮る料理」じゃないんです。こうして炒めて余計な水分は飛ばしてあげて、でもうま味は閉じ込める。ダラダラ炒めると、カラカラになっちゃう。

  

──おお。色と香りがよくなってきた。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:最初は肉汁などもあるので油が濁っているんですけど、こうやって油が透明になってくると「OKですよサイン」です。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:これで完成です。ここまでの所要時間はだいたい10分ですけど、説明しながらなので。黙々とやれば、ホントすぐできますよ。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:そしたらこの肉味噌をベースに、いろいろなアレンジ料理を作っていきましょう。肉味噌は大量に作っておいて冷凍保存しておいて、使う時に使う分だけ解凍するのがおすすめですよ。

 

肉味噌レシピ①:オカズにもおつまみにも最適な「肉味噌ニラ玉」 

肉味噌ニラ玉(1人前)

  • 油 大さじ2
  • ニラ 1/3束
  • 肉味噌 60g
  • 卵(Lサイズ) 2個
  • 塩 ひとつまみ
  • 砂糖 ひとつまみ
  • 醤油 小さじ1/2
  • 長ネギ 1/5本(白いところ)
  • 水溶き片栗粉 小さじ1/2(水:片栗粉=1:2)

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:ニラ玉の材料です。

 

──へえ、水溶き片栗粉を使うんですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:これ、今回の重要なポイントなんですよ、うふふふふ。 まず材料を切ります。長ネギをみじん切りにします。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:まずは芽切りです。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:長ネギが縦に細かくなってるので、あとは刻みます。リズムに乗っていけばノールックでできます。

 

──リズムよく切ると怪我もしないと言いますね。いまのは三三七拍子ですか。

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:今日はそうです。

 

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▲タンタンタン、タンタンタン、タンタンタンタンタンタンタン

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:次はニラです。刻みます。これってワッサーとなって切りにくいですよね。そんなときはタオルをかぶせてまとめてあげると切りやすい。家では輪ゴムでもいいし、布巾でもいい。そうすると広がらないので切りやすいんですよ。

 

──うちの布巾、キタナイんですよね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:オイオイ。布巾は、常にきれいなのを使ってください。僕らはお客様に提供するものなので細心の注意を払って作っていますが、ご家庭でもお子さんや家族が食べるものなので、食中毒には気をつけてください。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:おっと、ニラ切りすぎちゃった。しゃべりながらやってたら止まらなくなっちゃいましたね。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:卵を割ります。2個です。

 

──片手で割るとはニクイなー。

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:いちおうプロなので、これくらいはできないと(笑)。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:卵のカラザ(※たまごを割ったときに卵白に混じっている 白いひも状のもの)は取らなくていいです。めんどくさいじゃないですか。気になる方は取ってくださいね。僕なんかズボラなもんで(笑)。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:味付けは、砂糖と塩をひとつまみ。お醤油が小さじ1杯。ニラ玉は甘いのが好きという人は、お砂糖をもうひとつまみ追加してかまいません。卵焼きって家庭によって味が違いますもんね。

 

──実家は甘いやつでした。

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:ここに水溶き片栗粉が入るんですけど。

 

──卵をかき混ぜてもいない段階で?

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:はい、この段階です。

 

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──けっこう硬めなんですね。水1:片栗粉2ですね。卵液というか卵に水溶き片栗粉を混ぜちゃうんですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:なんで水溶き片栗粉を入れるかというと、卵ってガチガチにするとおいしくないんで、ふわっとさせたい。そのためにはあまり火を通さないようにしなきゃいけない。すると、卵液がまわりに流れてきてしまう。
それを固めるのが水溶き片栗粉なんです。こうすると、中がとろっとふわっとしたまま固まってくれるんです。これはすごく便利です。家庭でも、ぜひやってほしいですね。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:ここに長ネギのみじん切りを入れます。この段階でよく混ぜてください。ウオオオー。

 

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──ヘイヘーイ! けっこう勢いよく混ぜるんですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:さて準備ができました。ここに油を入れます。卵料理なのでちょっと油多めに。

 

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──フッ素樹脂のフライパンはとくに油多めにしといたほうがいいですよね。焼けた玉子がクレープ状にくっついたりするんですよね。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:そうですね。そしたら、火をつけます。中火ですね。油は大さじ1.5入ってます。残りの0.5は、あとで足りなければ入れればいいという考え方です。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:肉味噌とニラを入れて炒めてあげてください。肉味噌はこのまま食べられるものなので火の通りは気にしなくてもいい。なので、目安としてはニラがしんなりしてきたらオッケーです。ニラの香りが油に移っておいしくなるのでちゃんと炒めてあげてください。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:うひー。これだけでもうまそうですね。ご飯にかけたりしてね。

 

──ニラが濃い緑色になってまいりました。

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:緑と黄色は色味として綺麗な組み合わせですよね。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:ここに卵を入れます。水溶き片栗粉が下に沈んでいるかもしれないので、最後にちょっとかき混ぜてから入れましょう。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:ここもポイントです。ゆっくり。あせらない。ゆっくりとかき混ぜます。

 

──強火だけど、ゆっくりなんですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:ゆーっくり混ぜてあげてください。焦ってかき混ぜるとスクランブルエッグになっちゃうんです。作りたいのはニラ玉なので、ひとつにまとめるためにゆっくり混ぜてあげる。まとまってくると、まわりは火が通ってるけど中は生ですよね。軽くつぶしてあげると、中に火が通りやすくなります。……ほら、まとまってきました。そしたらこれを返してください。

 

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──フライパンで卵を投げて、木べらで叩き落とすメソッドですね。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:ほらほら、さっきの水溶き片栗粉が効いてて、卵液が染み出てこないんですね。これでもう完成です。

 

──はやーい。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:見てください。お水が出てないですよね。片栗粉が入ってない場合、いまのやり方だったら確実に水が出てきちゃうんです。こんだけ水が出なくて、ふわふわでやわらかいニラ玉ができるのは、水溶き片栗粉の効果なんです。まあ10分でできるかなと。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:卵料理に水溶き片栗粉。料理の世界では、まあ普通のことなんですけど、一般にはあまり知られていないみたいですね。

 

肉味噌レシピ②:シビれる辛さが刺激的な「麻辣肉味噌うどん」 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:次は、麻辣肉味噌うどんを作ってみましょう。見ている方をビリビリに痺れさせたいと思います。うどんは温かくも冷たくもできるので、季節を問わず、いつでもおいしく食べられますよ。

 

麻辣肉味噌うどん(1人前)

  • 油 大さじ3
  • 唐辛子(ホール) 15g
  • 花椒(ホール) 3g
  • 豆板醤 40g
  • ニンニクチューブ 10g
  • ショウガチューブ 20g
  • 肉味噌 200g
  • 甜麺醤 30g
  • 粉末唐辛子 15g(ただし、好みによる)
  • 水 200cc
  • 鶏ガラスープ ひとつまみ
  • 砂糖 5g
  • 味見してから必要な場合→[醤油 小さじ1(5g)]
  • 水菜 1束
  • 冷凍うどん 1玉

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:材料が多いので、作る覚悟がある人に挑戦してほしいメニューですけど、ホントにおいしいんです。自信があります。マジです。やる価値あります。でも、ぜんぶスーパーで買える素材ですよ。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:はーい、まずは水菜を切っていきます。というか切るものは水菜しかありません。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:長さは食べやすい長さで結構です。

 

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▲中華包丁は「押し切り」に見えて実際は小さくクランク運動をしているという話をしている人長さん

 

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──美しい断面になっております。

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:麻辣肉味噌の麻辣の部分からやります。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:油、大さじ3入れてほしいんです。

 

──ずいぶんいきますね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:まずは麻辣オイルを作ってほしいんです。中国でいうと「香油」ですね。そのための大さじ3の油なんです。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:ちなみにお店で使っている麻辣オイルを見てください。お店では一度にたくさん作っておいて、こんなふうにストックしておきます。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:さてフライパンに油を入れたら火をつけます。弱火です。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:花椒、3g。ホールの唐辛子、15g。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:ここは焦らず弱火でじっくり。焦げないように弱火です。焦げたら苦くなるし、台無しです。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:ここに豆板醤。今日はちょっと多めに40gです。

 

──見てるだけで辛くなってくる。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:豆板醤も、しっかりと炒めてあげてください。豆板醤はしっかり炒めないと、辛味、香り、赤い色が出てこないので。ただしょっぱいだけのものになってしまうんです。こうやって弱火でじっくり炒めると……。

 

──ああ、いい香りでーす。そして赤ーい!

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:次は、ニンニク10gとショウガ20g。割合としてはニンニクが1に対してショウガ2です。これも弱火でしっかり炒めてあげると香りが立ってくるので。

 

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──順番は大事なんですか。

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:すごーく大事です。焦げにくい豆板醤から炒めて、そのあとでニンニクとショウガ。次の甜麺醤と唐辛子の粉は、焦げやすいんです。甘いものと粉状のものは、焦げやすい。だからまだ入れてないんです。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:ここに肉味噌です。200g。さっき作った肉味噌ですね。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:肉味噌を入れてから! 入れてからですよ。順序が大事です。ここに甜麺醤と唐辛子の粉を入れます。甜麺醤は30g。砂糖だけとは違って、コクのある甘みになるんですね。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:ここに唐辛子の粉。15g。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:ここで、今日はさらに。

 

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どばー。

人長さんは、隠し持ってた唐辛子を調理台の下から取り出すやいなや、止める暇を与えることなく電光石火の速さでダブル分を追加。

 

──うーわー!

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:これで2倍、30g。まあまあ、これくらいじゃないとおいしくないから。うん。

 

──やだもー。さすがにこれは、かなり辛いもの好きのためのメニューなのでは。

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:まあまあ。絶対おいしくなりますから(笑)。食べてみればわかりますよ。

 

──2倍の量でもまだ食べ物ではあるということですね。ってか「食べ物ではある」ってなんだよ。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:ここにお水を入れます。200ccです。煮るとか焦げ防止というより、あんかけみたいにしたいんです。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:お砂糖を5gと鶏ガラスープの素をひとつかみ。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:おっと、お醤油はまだ入れないでください。なんでかっていうと、市販の豆板醤は、メーカーによって塩分が違うんですね。ここで味見をして、しょっぱさが足りていれば、味が十分ついていれば、お醤油はいらないです。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:うん、いける。 ぜんぶ入ったら、煮詰めていきます。

 

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──煮詰めるということは、味見したときにちょっと薄いくらいがいいんですね。味が濃いのを煮詰めたらしょっぱくてやってらんなくなりますもんね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:そうです。

 

──クンクン。なんだろう、台湾の街の「辛うまい香り」がする。

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:ワクワクしません? これがいまからきっと、すごくおいしい料理になるんです。その「なっていく様」というのが、僕すごく好きで。これがおいしくなっていくということを想像するだけで、ワクワクするんです。だから料理ってやめられないんですよ。

 

──変態だなー。わかりますけど。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:煮詰まって、とろみがついてきたのわかります? これくらいでオッケーです。

 

──きっかり何分間煮詰めます、とかじゃないんですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:家庭によって、フライパンの厚みや火の強さも違うんで。これ、とろみを片栗粉でつけるんじゃなくて、煮詰めてとろみをつけてほしいんです。甜麺醤や砂糖や肉味噌のとろみで食べてほしい。

 

──このとろみ、砂糖が効いてますね。砂糖のカラメル化というかベッコウ化というか。

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:辛いんだけど、甘い。だから食べやすいかもいれないですね。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:次は冷凍うどんをチンしましょう。うどんの説明書どおりチンしてください。僕がスイッチを押す姿、写真撮らなくていいですか。今日はこのために電子レンジまわりもキレイに掃除しておいたんですけど。

 

──はい撮りますよー。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:家庭でおいしいものを作ることが大事なんで。冷凍うどんのレンチンでいいんです。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:盛り付けていきます。うどんをドンと。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:肉味噌を、こう。うっわ、うまそう……。

 

──なんだかすごい笑顔だ。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:鷹の爪も具です。もちろん食べます。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:水菜をこう。盛り付けは「高さ」が大事です。ちなみに冷たくする場合はうどんを水でシメときます。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:もうこうなったら前回作った自家製ラー油も入れちゃいます。うん、ぜったいうまい。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:最後に花椒の粉です。思いっきりいきましょう。遠慮なく。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:はい、これで麻辣肉味噌うどんの完成です。

 

【実食まかないメシ】食べましょう

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取材はお店のアイドルタイムに行うので、これが人長さんのまかないメシとなります。

 

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赤銅色に輝く肉味噌ニラ玉。こっちは辛味ナシです。

 

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麻辣肉味噌うどん。おとなしそうに見えて、唐辛子を通常の2倍入れ、自家製ラー油や花椒の粉をさらに追加(分量外)した、人長レッドデッドバージョンであります。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:麻辣のあんを煮つめてるじゃないですか。だから唐辛子がやわらかくて、そして辛味が汁に出てるので、唐辛子自体はそんなに辛くないんですよ。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:おーいーしーい、ひとりで食べちゃおうかな。

 

──待って、僕も味見しないと記事を書けないですから。待って。(ズルズル)ゲホー! 麻婆と同じセオリーでくる複雑な辛みと甘み、水菜と花椒のさわやかなリズム。ゲホー! たしかにうまいけど、人長バージョンはやっぱり辛いっす。みなさん、まずはレシピどおりに作るのが無難ですよ。

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:ニラ玉はどうでしょうか。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:ほらほら、ぜんぜん水が出てきてない。

 

──ホントだ。けっこう長時間置いておいたので、通常ならちょいとびっしょりしてる頃合いなのに。

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:そして肉味噌に味がついてるから、卵への味付けは薄めなんだけど、水が出ないぶんおいしさが流れ出してないので、いやあ、我ながらうまい!

 

──ご飯に合う感じだし、お店レベルですね。ていうか人長さん、自分で作って食べて、本当にうまそうにしますよね。

 

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今回は、「作りおき肉味噌」を使った二品ほど紹介いたしました。

肉味噌の味が決め手なので、皆さんもまずはおいしい肉味噌作りからチャレンジしてみてください。

 

f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:とにかくいろいろな料理に応用が効くのがこの肉味噌です。多めに作っておいて、冷凍でストックしておくと料理の幅が広がりますよ。

 

【おまけ】巨大な鍋で8キロの肉味噌を仕込む勇姿  

人長さんが見てほしそうにしていたので、お店で使う8キロの肉味噌を作る様子を見学させてもらいました。

 

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ひき肉に火を通す作業。強力な火で水分を飛ばすのです。

 

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これで個体であるはずのひき肉がトロトロになるんですよ。

鍋を振っていると、ひき肉が液体みたいにウネウネ動いて見えるんです。

 

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おたまでガインガインつぶしてはかき混ぜる、を繰り返します。

 

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業務用のコンロの火力調整レバーは大きいです。

90度動く巨大なレバーをヒザでゴリゴリ動かして、調理しながらコンロのカロリーをコントロールするのです。なぜなら! 鍋から手を離すことができないからです。

 

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ひき肉の真ん中に穴を掘って、そこで調味料を溶かします。

なんかもう砂場の遊びかセメント練るやつみたいです。

バケツに入った自家製の甜麺醤をおたまで豪快に入れる様子とか、超おかしい。

 

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腕も腰もキツくないのは、力を分散させて身体中で作業しているから。

鍋を振り回すとダマになったひき肉が浮いてきます。アレです、砂の中に埋めたビー玉が浮いてくる比重の実験みたいなものです。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:この火力とこの量なので、鍋の中では刻一刻と状況が変わり続けるんです。お店のメニュー、担々麺や麻婆豆腐の大元になるものなので、真剣にやらないといけないんですよ。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190626155723p:plain人長:数秒でも気を抜くと焦げたりダマになったりして質が落ちてしまうので、いつもみたいにヘラヘラやれなくて、すみまっせーん。

 

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 肉味噌を冷ますためのバットもでかい。

 

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熱いままの肉味噌8キロを、プロ用の急速冷蔵できるマシーン(ブラストチラー)に入れて、下ごしらえはおしまいです。

 

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こんなふうに作られた肉味噌を食べたかったら人長さんのお店、リバヨンアタックにもぜひ行ってみましょう。

 

撮影:齋藤泉

 

お店情報

リバヨンアタック

住所:東京都中央区日本橋室町3-4-4 OVOL日本橋ビルB1F
電話番号:03-3548-0840
営業時間:ランチ/月曜日〜土曜日11:30~15:00(14:30 LO)、祝日11:30~14:30(14:00 LO)
ディナー/平日17:30~翌0:30※金曜日のみ翌1:00まで(23:00 FLO/24:00 DLO)、土曜日17:30〜翌0:00(23:00 FLO/23:30 DLO)、祝日17:30〜22:00(21:00 FLO/21:30 DLO)
定休日:日曜日(20名様以上のご予約の場合は、営業させて頂きます)

www.hotpepper.jp

 

書いた人:鷲谷憲樹

鷲谷憲樹

フリー編集者。ライフハック系の書籍編集、専門学校講師、映像作品のレビュアー、社団法人系の広報誌デザイン、カードゲーム「中二病ポーカー」エバンジェリストなど落ち着かない経歴を持つ器用貧乏。

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