目下、料理が癒やし。グルメ系ライターの生活を変えた感動の包丁
こんにちは、ライターの半澤と申します。
コロナ禍の影響でなにかと外に出づらい時代になり気が滅入りがちですが、そんな僕が今夢中になっているのが料理なんです。
コロナ禍をきっかけに自炊する機会が増え、最近は毎日のように料理ばかりしています。
先日は半日かけての余熱調理で鶏ハムを作りました。いやあ、料理があって良かった。気が紛れますよね。
年々、料理を作ることの喜びも深く感じるようになってきています。自宅キッチンまわりの調理器具もいろいろと試したのですが、ある日、たまたま驚異的な切れ味の包丁を見つけてしまったんです。
笑っちゃうほどの切れ味。サンドイッチも食材も、美しくカット
それがこちら、京セラの「cocochical(ココチカル)」(cocochical セラミックナイフ 三徳 14cm 7,700円)。
京セラと言えばその名のとおりセラミックナイフで有名ですが、こちらは2021年に登場した新シリーズ。
切れ味、使い勝手が感動ものの包丁なのです。ほら、分厚いサンドイッチもサックリ、一刀両断。
いろんな食材でテスト。新品の一般的な包丁とは別次元の切れ味でした
まあ、サンドイッチの断面写真では僕の感動度合いがいまいち伝わらないかも。せっかくなので、いろんな食材を切ってみますね。
ちなみに、今回は比較用に新品のほかの包丁も使ってみました。新品なのであっさりカットできるかと思いきや……刃が入るのは途中まで。体重をのせてうんうん唸らねば切れませんでした。
まずは、分厚い豚ロース肉で切れ味を試してみます。cocochicalでは薄切りもラクラクでした。肉もまったくつぶれておらず、体重をかけて切ったというよりも、刃の鋭さのおかげでカットできたという印象です。
続いてこちら、一般的な包丁。切れないわけではないのですが、やや力が必要で、切りきるまでのスムーズさはcocochicalに劣ってしまいました。
続いてはこの手のテストにつきものの、トマト。
cocochicalの切れ味をご覧ください。断面がキレイなうえに、つぶれる様子はまったくありません。試しに家にある包丁で、こんな風にトマトを切ってみて。なかなかこうは切れないことに気づいていただけるはず。
一般的な包丁で切ったものがこちら。切っていると少しつぶれた感じで倒れてしまいました。まあ、これが普通よ。
cocochicalが柔らかいトマトをもろともせず、鋭い切れ味を持っていることが証明できましたね。
続いてイカ。こちらも柔らかくブニブニしているけれど、果たしてどうか?
ご覧のとおりcocochicalは美しくカット。素材がつぶれることもありませんでした。
こちらが一般的な包丁。切れるけれど刃の切れ味だけでなく、やっぱり力も入れないとサックリとは切れない感じ。素材が少しつぶれてしまいました。
切った食材で、豚肉もイカも入れた豪華カレー鍋。トマトもたっぷり。ダイエットのためなるべく夕飯にお米を食べないのですが、この鍋のときは食べたくなってしまう。サクサクとカットできたおかげで調理もはかどりました。
微妙な違いですが、毎日料理を作るとなれば、切れ味の良さは大事だなあとあらためて感じました。
カレー鍋にご飯を入れ、トマトとチーズをのせオーブンへ。背徳のリゾットが完成。締めのリゾットまで楽しめて、大満足の検証でした。
これもひとえにcocochicalのおかげ。包丁が変わると毎日の調理が時短になるだけでなく、素材のサイズもそろいやすいし、料理の味そのものにまで影響するように思います。この感動。伝わりましたか? えっ、お前、自分の料理を自慢しただけじゃないかって?
まあ、落ち着いてください、ここからが本番。
京セラ=京都セラミック。社員が語るcocochicalのスゴみ
(写真提供:京セラ株式会社)
今回は、京セラ株式会社 宝飾応用商品事業部応用マーケティング課の稲別愛さんにお話をうかがいました。すると僕がcocochicalを使って感じた「感動」の理由が、みるみる明らかに!
──実際に開発に携われた方にお話をうかがえるとはうれしいです。京セラさんではcocochicalの前からセラミックナイフを作っていらっしゃるのだとか。
稲別さん:はい、そうですね。それではまず、セラミックナイフの歴史を話しますね。
──お、歴史! いいですね。ぜひお願いします。
▲38年の歴史を誇る、京セラのセラミックナイフ。カラフルキッチンシリーズ(メーカー希望小売価格:5,500円)などでも知られています。(写真提供:京セラ株式会社)
稲別さん:京セラはもともとセラミックスの専門メーカーです。そして、身近な商品にセラミックスの良さを浸透させようということで、私たちの部署ができました。それが1984年のことです。
──けっこうな歴史がありますね。そうか、そもそも「京セラ=京都セラミック」ですしね。
稲別さん:そうですね、セラミックナイフができて、今年で38年になります。
──なんと、僕とほとんど同級生。親近感が湧きます。
稲別さん:2020年には累計2,000万本以上出荷していて、弊社のキッチングッズの中でも売れ行きの良い商品です。ほかにはセラミックスを使ったフライパンなども販売しています。
──そうそう、フライパンも。以前、『メシ通』でもセラフォートについて書きました。あれはいいフライパンだったなあ。
稲別さん:ありがとうございます。それで今回のcocochicalですが、これは今までと違う販路、違うアプローチ、違う価値を提供できるものを……ということで作られました。
──まったく新しいセラミックナイフを作ろうとしたということですね!
稲別さん:これまで商品として包丁が浸透していなかったインテリアショップにも展開しています。
──なるほど、それでこんなおしゃれなんですね。
稲別さん:ところで、もともとセラミックナイフは金属の包丁にないメリットがあるんですが、半澤さんはご存じですか?
──うーん、やはり真っ先に「おしゃれ」が思いついてしまいますね。真っ白い包丁ってのが、まず新鮮でした。ほかには、どんなメリットがあるんでしょう?
稲別さん:セラミックスは金属でなくて、焼き物なんです。「切れ味が長持ちする」「軽い」「素材に匂いがうつらない」「水に濡れても錆びない」など、いろいろな良いことがあるんですよ。
──なるほど、どれも使う人にとって、うれしいことばかりですね。というか、セラミック包丁ってそもそも焼き物なんですよね。忘れがちな事実でした。
▲セラミックスでできているから、さまざまなメリットがあるのです(写真提供:京セラ株式会社)
素材から見直して、まったく違うものに進化したセラミックナイフ
稲別さん:ここまでご理解いただいたうえで、いよいよcocochicalの話です。cocochicalは特許を取った「Z212」という新素材を使用しているんです。
──なんと、素材レベルで変わったんですか。
稲別さん:そうなんです。従来は「Z206」という素材を使っていましたが、これに比べて切れ味が2倍以上長持ちするものになっています。開発チームが10年以上かけて作り上げたんです。
──なんと、そんなに時間をかけて作られたんですね。色も以前のものと同じなので、ちょっとしたマイナーチェンジかと思っていたけれど、別次元の進化なんですね。
稲別さん:はい。なのでcocochicalというまったく新しいブランドを作ったわけです。
若いチームがコンセプトを築き、有名デザイナーが具現化
──商品名がとっても可愛いですよね。どんな思いが詰まっているのでしょう。
稲別さん:使った瞬間の感動、軽い切れ味が長く続き、調理を軽やかに楽しくできるようにという思いがこもっています。
──なるほど、「使った瞬間の感動」は実感させられたなあ。まんまとコンセプトにハマってますね。
稲別さん:うれしいです。
──そして、cocochicalの「cal」は「軽」なんですね。なるほど、軽いしサクサクカットできて、これも納得です。
稲別さん:「心地よい」と「軽い」という言葉を詰め込んでこの名前になりました。
──いやあ、だとしたら本当に名前どおりかと。
稲別さん:ブランドコンセプトなどは弊社の若手、20代、30代のメンバーが中心となりプロジェクトを作り練られていきました。
──へえ、そうなんですね。なんだか今っぽい。
稲別さん:通常の場合、商品を作るとなると企画部門が中心になるのですが、この商品は製造、開発、営業のメンバーも集まって一緒に開発していきました。
──会社をあげた一大プロジェクトだったのですね。
稲別さん:そして、桑野陽平さんという外部のデザイナーさんにロゴや商品のデザインもお願いしたんです。グッドデザイン賞も受けたんですよ。
▲汚れがたまらず、メンテナンスもラク。ハンドルは持ち替えもしやすく汎用性が高いデザインでもある。美しいだけでなく、機能面もスゴい。さすがグッドデザイン賞
──なんと、それはおめでとうございます。若いチームが考えたことを、プロのデザイナーが形にする。こうやって、良い商品が生まれていくんだなあ。ユーザーとしてはその裏側を知ることができて、なんだか感慨深いです。
cocochicalという名前には、ほかにもいろんな「軽」が詰まっている
稲別さん:先ほど「心地よい」と「軽い」という話が出ましたね。もちろんスペック的な軽さもあるんですが、ほかにも意味があります。
──どういうことでしょう?
稲別さん:「軽減」と「軽快」。「軽」はこれらにもつながっています。料理のストレスを軽減し、快く使っていただきたいという思いがあるんですね。
──なるほど、意味が何重にものっかりまくっているんですね! 座布団一枚!
稲別さん:そうなんです。想定ターゲットは30代、40代の共働きのご家庭。みなさんの調理の面倒を軽減できればうれしいですね。
さまざまなファクターが生みだした、心地よい切れ味
──なるほど、見事にこれらのコンセプトを体現しているように思います。軽さについてはわかりました。あと、もう一点、うかがいたいことが。それが、切れ味の良さですね。そもそも、なんでこんなに切れるんでしょう? ほかの包丁と比べてもレベチでした。
稲別さん:ありがとうございます。切れ味については、やはりセラミックナイフ38年の歴史の中での技術向上が大きいかなと思っています。
──ここで、歴史が効いてくるわけですね。
稲別さん:切れ味はいろいろな複合要素のたまもの。まずはセラミックスゆえの素材の硬さ。そして、「ハマグリ刃」という形状。先端が丸くなっていて食材の切り離れが良いんです。これを取り入れたことも切れ味に貢献していますね。
──なるほど「切り離れが良い」という言葉はとてもしっくりきました。食材を押し広げていくイメージですね。
稲別さん:そうです! それと、刃が薄いのも特徴ですね。抵抗値が少ないほど切れ味は良くなるのですが、一方で刃を薄くすると強度は落ちてしまう。
──わあ、バランス勝負ですね。
稲別さん:cocochicalは品質が高いセラミックスなので、薄くて切れ味が鋭くてもしっかり強度をキープできているんです。
──スパッと切れる理由が良くわかりました!
最近料理にハマりだした人を応援するキッチンツール
稲別さん:先ほどお話をしたように家事にかける時間、負担を軽くしたいというのはあるんですが、今はおうち時間が増えたこともあって家で料理をする人も増えたと思うんですよね。
──はい、まさに僕もにわか料理人気取りであります。
稲別さん:そのため、メーカーとしては家族で料理をする時間を大切にしてほしい、という気持ちもあります。
──なるほど、今の時代に寄り添うキッチンツールというわけですね。
稲別さん:料理を楽しむ気持ちを支えてくれる商品なのかな、とも思っています!
──とっても素敵なお言葉!
稲別さん::従来の刃物は重厚なものというイメージでしたが、cocochicalはそれとはまったく違ったもの。新しいライフスタイルに合う新しい包丁なんです。
──いやあ、お話をうかがって良かったです。とっても今の時代に合ったアイテムのように感じます。そして、僕が使って感じた「感動」の謎が解けて良かったです。ありがとうございました。
たくさんの思いが詰まった包丁で料理をする喜び
スパッと心地よく切れるcocochical。たしかにその実力はスゴいです。
でも、今回のお話をうかがうと、ものづくりの大変さ、そして面白さも強く感じました。多くの人がそれぞれに思いを巡らせたものが手元に届き、それで僕らは料理を作っているんですね。
そう考えたら、いろいろな仕事が目の前に山積しているなあ……と気を重たくしていた自分がちょっと恥ずかしくなりました。
さあ、料理を作って、元気にならねば。さて、今日は何を作ろうかしら。
書いた人:半澤則吉
1983年福島県生まれ。2003年大学入学を期に上京。以来14年に渡りながく一人暮らしを続けている。そのため自炊も好きで、会社員時代はお弁当を作り出勤していた。2013年よりフリーライターとして独立。『散歩の達人』(交通新聞社)にて「町中華探検隊がゆく!」を連載するなどグルメ取材も多い。朝ドラが好き。