料理研究家に教わる5,000円以下で買える「一生モノ」のお料理ツールの選び方【フライパン編】

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いつもの料理が劇的においしくなるフライパンがあった?

料理好きを自称する私、半澤。しかし料理もたまにしかしないし、作ったとしてもやっぱり野菜炒め。

これじゃダメだとまずは外側から固めることを決意。外側とは料理のテクニックではなくアイテム!

 

5,000円以下で買える一流のツールを探求し料理できる人間になろうというのが、この企画の目的であります。さて今回、料理家の風間章子さんからこんな連絡が入りました。

 

f:id:Meshi2_IB:20171028154533p:plain風間:素敵なフライパンがあったよ! しかも3,000円くらい!

 

「いいブツが入りましたぜ兄貴」みたいなノリでアレですがあっさりテーマが決定。

今回はフライパンを追求しましょう!

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この人が料理家の風間章子さん。料理教室「人形町キッチン」を運営しながら、雑誌などいろいろな媒体でご活躍されています。

 

彼女が数店舗まわって巡り合ったという素敵なフライパンがコレ!

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▲京セラ セラフォート26cm (3,270円・購入価格)

 

今回はこの京セラ「セラフォート」と私が数年間使い倒した古いフライパンを比較。今までなんとなくしかしてこなかった「フライパン選び」を真面目に考えます。

その前に、大前提。

 

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f:id:Meshi2_IB:20171028154533p:plain風間:前提として、今のフライパンはどれもそんなに悪くない! だけど長年使うとやっぱり反ったり、表面加工が取れてしまったり。買い替えはやっぱり必要よね。 

 

なるほど、ならば選び方がいよいよ大事っすね。

 

半澤の古いフライパンと比較!

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半澤が2〜3年使っているフライパン。(その特徴的な色から以下ミドリと呼びましょう。心の中でちゃん付け、さん付けしてくれてもかまいません)

 

写真に写るからと一生懸命洗ってきたんだけど、やっぱり汚いですね。ミドリ。

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で、裏側は。やはりこんな感じに使い古した感じ。

 

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さて、こちらが風間さんご推薦の京セラ「セラフォート」でございます。新品なので、もちろんキラキラ!

 

で、裏側はこんな感じ。

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近未来感あるなあ。か、格好いいっす。うちのミドリと比べると、もう美しさが違うのです。が、美しさが問題ではなかった! このキラキラの「底」こそIH対応の証し! 「私はガスコンロで使う場合でもIH対応を買うことをすすめますね」と風間さん。え、なんで!? それはテストしていけばわかるとのこと。

 

スペックチェック

対決1「重さ」

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ミドリは570g。感覚的にはかなり、軽いです。片手でヒョイ。全然腕の筋肉を使わない感じ。

 

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京セラ 「セラフォート」は836g。この300gの差は意外と大きい。二の腕がちょっと張るくらいですが、いつもミドリを愛用している私にはちょっと重たく感じました。

すると、この結果を見て「IH対応のものは底に鉄板が入っているので重め、それが安定感につながるのでは?」と風間さん。

え、フライパンも重たい方がいいんですか!?(前回の包丁検証でも重たい方がイイというまさかの結果でした)

フライパンの軽い、重い問題。どっちが良いか実際にテストしながら考えるとしましょう。

 

対決2 「表面の加工」

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ミドリ。

フライパンの縁までは加工がなく。ここに肉がよくひっつくんだよな。そのせいか、ちゃんと洗ったつもりでも焦げ跡がたくさん残っています。

 

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「セラフォート」は縁までしっかり加工。炒め物をするときのあのストレスがこれでなくなる! 超細かいところですが、毎日使うツールなだけにこういう工夫はうれしいですね。

 

性能チェック

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比較調査用の食材を購入!

とはいえ威張るようなものでなく、ご家庭でおなじみの食材ばかり。これでフライパンの性能差なんて出るのかしら?

 

対決1 目玉焼き

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目玉焼きで焦げ付きをチェックすることに。熱したフライパンに油を薄く敷き、焼いてみました。

 

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ミドリ。

意外にも焦げ付きなし! 

「最近のフライパンはそんなにくっつかないよね」と風間さん。

確かに私も普段ミドリを使っていてストレスはありません。

 

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「セラフォート」。

こちらもキレイに、フライパンに焦げ付くことなく焼けました。

ということで対決1はドローです!

 

対決2 野菜炒め

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使い勝手を比較!

いつもの食材で野菜炒めを作ってみます。これは差が出るのでは。と、思ったらなるほど面白い結果に。

 

まずは画像を見比べてみて下さい。

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フライパンを振った際に大きな違いが!

ミドリが軽い力で食材が高々と舞い上がってしまったのに対し、「セラフォート」は上がる高さがちょうどよい。力加減にもよるけど、フライパンから脱出する勢いで FRY HIGH! されると困りますね。

それにしてもなんで、こんなに差がついたの? 鋭い読者の皆さんはもうお気づきでしょう。そう、重さの違いがここで出た!!

 

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▲ミドリ 570g

 

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▲セラフォート 836g

 

このわずかな違いがフライパン振りの安定感につながるとのこと。

「超非力な主婦なら軽いものを選んでもいいけど、持ってみてちょっと重いと思うくらいの方が、安定感あって使いやすいです」と風間さん。

なるほど。軽いのが正義という、素人考えがまたしても崩壊しました。

 

対決3 エリンギのソテー

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なぜエリンギ? と皆さんお思いでしょうが、これで焼きムラをチェックしたいと思います。フライパン全体でキレイに焼けるかを比べてみましょう。予熱ナシ、表裏合わせて6分間かけて焼くという同条件で検証します。

 

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まずはミドリ。

いやはや、かなりまだらに焼き目が付いてしまいがっかりな見た目に。これ、お店で出されたら怒るなあ。

 

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ちょっとおいしそうには見えませんね。いつも愛用していたミドリの作品なだけに、なんか持ち主の僕もちょっとへこみました。 

 

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「セラフォート」。

驚くほどキレイに焼けてびっくり。

「まんべんなく火が通っていますね」と風間さんも感動!

老舗の洋食屋さんの付け合わせに出てきそうなレベル。キレイなソテーができあがりました。

 

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調べると、「セラフォート」には遠赤外線効果があるとのこと。熱伝導が良いので、エリンギに火が通り反ってフライパンから離れる部分ができても、熱を均一に通すことが可能というわけ。遠赤外線ってよく聞くけど、熱伝導がこんなにスゴいんですね!

熱伝導!

そう! 

フライパン選び、最大のキーワードはコレでした。もっとおもしろく比較できないでしょうか。そんな半澤のムチャぶりに風間さんは驚きのテストを提案、「空焚きしてみましょうか?」

そ、それ面白そう。というわけで。

 

対決4 空焚き

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ガスコンロのセンサー機能を活用。高温になるとセンサーが感知して火を弱くしてくれるという機能なんですが、同じ条件で空焚きしたら差が出るのでは。強火で比較しました。

※空焚きはフライパンを傷めるのでマネしちゃダメ!

 

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ミドリ。

火にかけて59秒でセンサー感知(強火が自動的に弱くなる)→1分29秒で強火に戻るという結果に。

センサー解除まで約30秒。

 

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「セラフォート」。

火にかけて1分28秒でセンサー感知(強火が自動的に弱くなる)→2分30秒で強火に戻りました。センサー解除まで約1分。

と、これだけではわかりにくいので、ここでわかったことを解説します!

 

解説

  • ミドリ:センサー感知&解除までの時間が短い→すぐ熱くなるけど、すぐ温度が下がる。フライパンの温度が安定しない
  • セラフォート:感知&解除までの時間が長い→ゆっくり熱くなる。フライパンの温度が長く安定していた

つまり、セラフォートは「同じ温度」をしっかり保ってくれるということがはっきりしました。これは料理しやすいですね。つまり弱火でもしっかり焼き上げることが可能というわけ。ガス代削減にもつながる!? そう、これが「熱伝導」の力!

 

対決終了!

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ご覧の通り、「セラフォート」が使い勝手の良さ、熱伝導の優秀さを発揮し圧勝。

風間さんいわく「いつもの料理よりワンランク上のものを作るならフライパンは絶対良品を選ぶべき」とのこと。

 

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やはりこのエリンギが象徴的。弱火でもキレイな焼き色、しかもまんべんなく。というのは熱伝導の良さのおかげ。野菜炒めならいいけど、ちょっとイイ肉とか焼くときはやはり良いフライパンを使いたいですね。

さ「セラフォート」シリーズには卵焼き器もあるので、卵焼きにこだわりたい人にも絶対オススメです。

 

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今回も作った料理をおいしくいただきました。

なぜかダリっぽい目玉焼き、野菜炒めとの相性最高だったけど、「焼きそばにすればよかったね」と風間さん。

え、今言いますか? うん、間違いないっすね。せっかく「セラフォート」をゲットしたので、自分で焼きそば作って食べます。さよならミドリ! ありがとうミドリ!

 

お店情報

人形町キッチン

住所:東京都中央区日本橋人形町3丁目2-10
ウェブサイト:FORM☆AGGIO 

 

 

書いた人:半澤則吉

半澤則吉

1983年福島県生まれ。2003年大学入学を期に上京。以来14年に渡りながく一人暮らしを続けている。そのため自炊も好きで、会社員時代はお弁当を作り出勤していた。2013年よりフリーライターとして独立。『散歩の達人』(交通新聞社)にて「町中華探検隊がゆく!」を連載するなどグルメ取材も多い。朝ドラが好き。

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