えっ、築地より新鮮?「江戸や鮨八」の“超鮮度”今朝どれ刺身を味わいつくす【阿佐ヶ谷】

f:id:Meshi2_Writer:20170531171156j:plain

築地よりも新鮮!?

関東地方で新鮮な魚介類を食べたいと思ったら、誰もが真っ先に思い浮かべるのが「築地市場」ですよね。

全国から新鮮な魚介類がいち早く集まり、近郊の飲食店へと運ばれてゆく。
「今日築地から届いたばかりです!」なんて魚にありつけた時のうれしさ、そしておいしさといったらありません。

ところが先日、都内のとあるお店で、「毎週木曜は築地よりも新鮮な魚が食べられます!」と宣伝されているのを発見しました。

築地より新鮮? それってどういうカラクリ?

どうしても気になります。
これはもう、行ってみるしかないでしょう!

f:id:Meshi2_Writer:20170531170946j:plain

▲江戸や鮨八 阿佐ヶ谷店

 

さっそくやってきました。都内杉並区阿佐ヶ谷駅から伸びるパールセンター内。
ここが、木曜日に行けば、築地より新鮮な魚を食べさせてくれるらしいお店です。
店名に「鮨八」とありますが、寿司専門店というよりは、豊富な鮮魚料理を気軽に味わえる、寿司居酒屋さんといった趣です。

f:id:Meshi2_Writer:20170531170958j:plain

▲入り口にさっそく「今朝どれ刺身盛り」の文字が

 

「木曜日は漁港買い付けの日!!」との記載もありますね。
このあたりに秘密がありそう。

というか、10皿限定ながら、500円というお手頃価格も気になります。
一体どんな刺身盛りが食べられるのか、ワクワクする〜!

 

f:id:Meshi2_Writer:20170531171006j:plain

▲夕方すぎで、店内はすでに大盛況

 

みなさん、噂の鮮魚を食べに来られているのでしょうか。

 

刺身盛りがナント500円!?

ではでは、何はともあれ、入り口にあった、「今朝どれ刺身盛り」(と生ビール)を注文させてもらいましょう。


お願いしま〜す!

f:id:Meshi2_Writer:20170531171022j:plain

▲今朝どれ刺身盛り(500円)

 

……え!?
な、何かの間違いじゃないですか!?
この、世にも鮮やかな、竜宮城で出てきそうなご馳走が……500円!?

店員さんに10回は確認しましたが、間違いないそうです。
とてもじゃないけど信じられない……。

ただしこの刺し盛りは、ちょうどおじゃました時期だけの期間限定、かつ1日10皿限定の、超サービスメニュー。
取材時に運良く注文できただけで、いつ行ってもあるというものではないようなので悪しからず。

ただ、後ほどゆっくりと理由を説明させてもらいますが、こちらでは、よそでは滅多にありつけないようなクオリティーの魚介類を、信じられないくらいリーズナブルにいただけることは間違いありません。
限定メニューがないからって行かないというのは、絶対にもったいない!

 

f:id:Meshi2_Writer:20170531171042j:plain

さっきの写真ではアジのしっぽに隠れてしまってましたが、奥にはぷりぷりの生しらすも!

 

盛り込まれた魚の種類は、店員さんがその場で手書きしてくれました。

f:id:Meshi2_Writer:20170531171051j:plain

▲達筆!

 

新鮮&豪華ラインナップ

刺身盛りのラインアップは常に流動的だそうですが、この日は、「生しらす」「あじ」「初カツオ」「生さば」「油ぼうず」「金目」の6品!

中でもひときわ目を引くのが、ちょっと聞きなれない「油ぼうず」の存在ですよね。
アブラボウズといえば「白身のトロ」ともいわれ、漁師町以外ではなかなか味わえない幻の魚。
絶品であると同時に、その脂の乗りっぷりは、食べすぎるとお腹を壊してしまうという逸話もあるほど。
僕は以前、千葉県の銚子市に遊びに行った時に一度だけ食べたことがあるのですが、まさか東京・阿佐ヶ谷の街で出合えるとは!

まずはその「油ぼうず」からいただいてみましょう。

f:id:Meshi2_Writer:20170531171100j:plain

▲醤油に付けると一気に広がる脂

 

おずおずと口に運ぶと、まさに「とろける」としか言いようのない口当たりと、甘く優しいうま味、そして豊潤な脂。
脳天に衝撃が走るうまさです!

 

f:id:Meshi2_Writer:20170531171119j:plain

▲金目

 

こんな高級魚を食べたのはいつ以来か……。
上品なうま味と、新鮮さがダイレクトに伝わる心地良い歯ごたえが快感。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170531171127j:plain

▲「初カツオ」は薬味たっぷりのポン酢で

 

肉厚の身がとろりととろけて薬味と混然一体に。
これまたたまらん〜!

 

f:id:Meshi2_Writer:20170531171136j:plain

▲生しらす

 

最近は保存技術の向上によりスーパーなどにも出回るようになりましたが、身の弾力と甘味が明らかに違う!
まさしく港町で味わう生シラスそのものです!


いや〜すごい、なんなんだこのお店……。
時空でもねじ曲げて、阿佐ヶ谷と漁港を裏口でつなげてるのかな? でもそれって違法じゃないの?
と、よくわからない思考におちいってしまうほどに新鮮な魚の数々。

 

秘密は仕入れ方法にアリ

ひとりで考えていてもらちが明かないので、ここで「江戸や鮨八」のオーナー、早茂久さんにご登場いただきましょう!

f:id:Meshi2_Writer:20170531171013j:plain

▲オーナー早茂久さん

 

いやね、実は、なんでそんなにも新鮮な魚を出していると言い切れるのか、あんまり気になったもので、直接お話を聞かせてもらいたいと事前にお約束をしてたんですよ。

この早さんが、聞けば聞くほど、言葉の節々に仕事に対する情熱があふれ出すお方で、過激に断言してしまえば「食の変態」!
今回の記事スペースでは、たくさん聞かせてもらったおもしろいお話のほんの一部しか紹介できないかもしれませんが、なるべくお伝えできるようがんばりたいと思います。


そもそも早さん、飲食業に就く前は、ディスコのDJをやられていたそう。
イケイケですね!

が、事情があって、お父様が鷺宮という街で営んでいた一軒の居酒屋さんを継がざるを得なくなり、飲食業界に転職。
すると仕事へのやりがいに目覚め、めきめきと商才を発揮し、お店を「江戸や鮨八」とリニューアルして、いまや都内に4店舗もの系列店を持つオーナーへ。
ちなみに「これからもどんどんお店を増やされるんですか?」とうかがったところ、「現状が自分の目の届く限界なので、そういう方向はないでしょうね」とのこと。
信頼できる〜!

 

f:id:Meshi2_Writer:20170531171147j:plain

▲お話を聞いている横で料理長が次々作り上げる料理たちも気になる

 

f:id:Meshi2_Writer:20170531171156j:plain

▲おまかせ刺し盛りの一例。もはや芸術!

 

さん:「きれいでしょ? 料理長は僕より料理うまいんで!」

料理長:「いやいや、オーナーはちょっと目を離すと、すぐ漁港に行っちゃうからじゃないですか(笑)」


と、お互いの信頼関係を表しているかのような会話が心地良いです。

そして上の会話にもあるように、こちらのお店、当初は普通に築地などから魚を仕入れていたわけですが、それでは飽き足らず、やがては早さん自らが漁港に足を運ぶようになったそうなんですね。

で、ここからがすごい!
普通はこういったお店単位で漁港の「セリ」に入る権利を得ることは難しいのですが、早さん、とにかく現地に通いに通いつめ、熱意の末、水揚げ量で日本一を誇る「銚子漁港」と、三浦半島の「長井漁港」、ふたつの漁港でセリに入る権利を獲得してしまったのです。

つまり、一般的には漁港で水揚げされた魚を築地に卸し、そこから各お店へ渡るまでに1日のタイムラグが発生するところ、「江戸や鮨八」は、直接買い付けた魚をその日のうちにお店に並べることができる。
というわけで、今朝まで海で泳いでいた魚をその日にいただくことができるという、正真正銘の「今朝どれ」の魚というわけだったんです!

魚というのは、とれたてよりも少し時間を置いた方がうま味の増す種類もあるそうですし、こちらでも普段は一般的なルートでの仕入れもしています。
そういう基本はきちんと踏まえた上で、毎週木曜日は、オーナー自らがその日に仕入れた超鮮度の魚をいただけるというわけ。
鮮烈な歯ごたえと、どこをどう探しても、本当にこれっぽっちも臭みのない、それゆえに際立つ魚本来のうま味。
一度は経験して損はない、驚きの食体験といえるでしょう。

もちろん、魚の種類はその日の仕入れによって変わります。
さんいわく「この日は大当たり!」とのこと。

また、間に業者を挟まない分、驚くほどリーズナブルな価格でいただけるのも本当にうれしいポイントですよね!

 

魚に合う日本酒も豊富

さて、「毎週木曜日は築地以上に新鮮」の謎が解けたところで、あとはゆっくりと、お店のレギュラーメニューなども含め、堪能させていただくことにしましょう~。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170531171207j:plain

▲地ダコ唐揚げ(680円)

 

他にも数ある名物メニューの中でも、地ダコ料理は早さん一押しの品!
国産にこだわったタコはジューシーでうま味たっぷり。
それをニンニク醤油に漬けてからりと揚げてしまったわけで、普段食べていたタコはなんだったんだ! というおいしさです。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170531171218j:plain

▲十四代 中取り純米 無ろ過本生(1,480円)

 

魚に合うお酒も種類豊富です。

「今朝どれ刺身盛り」があまりにもリーズナブルだったので、普段ならとても手が出ないぜいたくなお酒をいただくという暴挙に出てしまいましたが、それでも合わせて約2,000円。
これ、銀座のお寿司屋さんだったらいくらになるんだろう……。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170531171227j:plain

▲っていうか、表面張力!

 

サービス精神がエグいです。

ちなみに安心していただきたいんですが、ここは別に高級な日本酒だけをそろえているお店というわけではなく、リーズナブルなお酒や焼酎、さらにはサワー類などの気楽なお酒もきちんと置かれています。
チューハイがなんと300円という、そんじょそこらの激安大衆酒場にも負けない攻めた価格設定なのを見た時は、思わず早さんに握手を求めてしまいましたよ。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170531171236j:plain

▲茹でたて地ダコぶつ(680円)

 

先ほどのタコがあまりにも衝撃的なおいしさだったのでこちらも。
写真ではわかりづらいですが、なんとまだ湯気が出ているゆでたての熱々!
シンプルな塩ゆでて最大限のうま味を引き出されたタコを食べていると、まるで自分も漁港にやってきてしまったかのような気分になってきます。

 

夏の至福、岩牡蠣&凍結酒

さらに、

f:id:Meshi2_Writer:20170531171246j:plain

▲運良くあった銚子産の岩牡蠣!

 

調理されているところに思わず「すごいですね!」と声をかけると、「お出ししましょうか!?」と。


い、いいんでしょうか……ぜひ……。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170531171258j:plain

▲岩牡蠣(680円)

 

うわ、あらためて目の前に届いてみても、ちょっと見たこともないサイズの牡蠣です!

思い切って一口でほおばると、口中に広がる磯の香りと驚くほどのクリーミーさ。
いやぁもうなんていうか……ただただ幸せ……。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170531171307j:plain

▲百十郎 赤面・純米 無ろ過 生原(980円)

 

これはお酒をおかわりせざるをえないでしょう。
お店おすすめの「百十郎」は、たっぷりとうま味があるのにキレが良く、食中酒にぴったり。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170531171318j:plain

▲凍結酒 松竹梅 豪快 生酒(600円)

 

誠にせんえつながら、調子に乗ってさらにおかわり。

こちら、専用の冷蔵庫で特定の温度に保ったお酒で、瓶に入っている段階では液体なんですが、

 

f:id:Meshi2_Writer:20170602110258j:plain

ご覧の通り、

 

グラスに注いだ瞬間にちょうど良いシャーベット状に凍ってしまうという面白い一品。
飲むと体の熱がスーッと引いていくような心地良さで、夏には特にたまらない一杯といえましょう。

 

最後の締めは握りで

最後はやっぱり軽くでもお寿司で締めたいところ。
おまかせで3カンほど握っていただきました。

f:id:Meshi2_Writer:20170531171548j:plain

▲お好み握り「中とろ」「金目」「生ダコ」

 

1カン80円〜で、金目や生ダコはこの日の今朝どれなので時価。
中トロは250円。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170531171604j:plain

▲官能的な美しさ

 

さんが自分で市場へ行くようになる前は、お店一番の看板メニューだったという中トロは、もはやうなるしかない美味でした。


はぁ、幸せな時間だった……。

今朝どれの魚はもちろん、その他の料理やサービスなど、全てに驚きのあるお店「江戸や鮨八」。

この日早さんにうかがった中で、特に印象的だった言葉に、「『ご馳走』という言葉は、お客さんの笑顔に思いを馳せて、自らが走り回るという意味だと思っているんです。僕はそれを大事にしています」というものがありました。
確かに、この日頂いた料理の数々は、不思議とそんな想いまでが感じられるような、まさに「ご馳走」。


「江戸や鮨八」は、ここ阿佐ヶ谷の他に、鷲宮の本店、そして、新井薬師、ひばりヶ丘にもお店がありますので、ご興味がある方はぜひ、足を運んでみては?

 

お店情報

江戸や鮨八 阿佐ヶ谷店

住所:東京都杉並区阿佐谷南1-36-9
電話番号:03-5929-9239
営業時間: 17:00~深夜1:00 (LO 0:00)
定休日:無休、ただし12月31日のみ休業

※この記事は2017年5月の情報です。
※金額はすべて税込みです。

 

書いた人:パリッコ

パリッコ

DJ/トラックメイカー/漫画家/居酒屋ライター/他。FUNKY DANCE MUSIC LABEL「LBT」代表。酒好きが高じ、雑誌、Webなどの媒体で居酒屋に関する記事を多数執筆中。

過去記事も読む

トップに戻る