このカキ氷、それぞれ何味だと思いますか?
最近めっきり涼しくなってきた。
これを書いている現在、筆者は実家に帰省中なのだが、東北ということもありずいぶんと過ごしやすい。
しかし、心残りがある。
今年は一度もカキ氷を食べなかったことだ。
カキ氷といえば、イチゴ・メロン・レモンなどのシロップはすべて同じ味ということがTwitterを中心に、話題になっていた。
もちろん果汁を使っているようなシロップは例外だが、一般的な、いわゆる屋台で食べるようなタイプのカキ氷は、シロップの違いというと着色料と香料しかなく、味自体は同じ……色のイメージで脳が錯覚し、味が違うと感じるそうだ。
それでは、みぞれ味のシロップに着色料で色をつければ、連想する味のように感じるのだろうか?
実験してみた。
STEP1 着色料を使ってシロップを作る
てっきり実家にカキ氷機があるかと思っていたのだが、引っ越したときに捨ててしまったらしい。
なので、急遽Amazonをポチッた。
カキ氷機、みぞれシロップ、着色料、製氷機を注文。
これから時期外れということもあり、カキ氷機を格安で購入できた。ラッキー。
実家に届いた「しろくまくん」。見覚えがある気がしてこれにしたのだが、昔うちにあったのはパンダちゃんだったそうだ(どうでもいいですか、そうですか)
赤はベニコウジ、青は海藻、黄はクチナシからできているという天然着色料を用意した。粉末タイプ。
まずは着色料の粉末を溶かしてそれぞれ舐めてみたのだが、味の大きな差はみられなかった。
しいて言えば、青色がちょっと海藻っぽい味のような気がしないでもなかったが……。
次に、みぞれシロップの原材料を見てみると、砂糖と有機レモン果汁のみ。
つまり、何色であろうが、言ってみれば「レモン味」が正しい。
砂糖とレモン果汁でできたシロップだそうです
粉末を濃い目に溶かし、そこにみぞれシロップを混ぜる。
赤はイチゴ、青はブルーハワイ、緑はメロンをイメージして作った。
緑は黄色と青を混ぜてみたよ。
イチゴ、ブルーハワイ、メロンのイメージ。キレイな発色だ
STEP2 氷を削ってシロップをかける
続いては、製氷カップに入れ冷凍庫で一晩寝かせた氷を削っていこうと思う。
しろくまくんの頭部を開けて、氷をセッティングする。
脳内を覗いているような画。ウニを詰めたら一気にグロくなりそう。ちょっとやってみたい
氷を削っていく
シロップをかけたら、完成
売っているものとは微妙に色が違うが、イチゴとブルーハワイとメロンに見えなくもない。
というか、これがカキ氷である以上、それ以外の味には見えない。
STEP3 実際に食べてみよう!
まずは、赤色のカキ氷から食べてみる。
うん。イチゴだ。
レモン果汁だとわかっているが、赤くて甘酸っぱいと、だいたいイチゴ味ってことでいいような気がする。
赤色のカキ氷はイチゴ味に感じる。ちなみに練乳をかけたら再現度が高かった
次はブルーハワイに見立てた、青いカキ氷をいただく。
屋台で食べるブルーハワイは、なんとなくマリンっぽい味がする。
……マリンっぽい味って何だ?
びっくりするほど味の表現が抽象的である。
ブルーハワイって本当に色のイメージだけなんだな〜と改めて気付いたところで、こっちの青いカキ氷の味はどうだろうか。
食べてみると、「あ、さっきと同じ味だ」という感想。
色はブルーハワイなんだけどなぁ
最後は黄緑色。
メロンっぽく感じるだろうか?
……あぁ。
やっぱりさっきと同じ味だ。
最初に食べた赤色はイチゴ味だと思ったのに、食べ比べてみると、後から食べたものも同じ味だとわかってしまう。
そして、「あ、あれってイチゴ味じゃなかったんじゃないの」と気付く。
君は、メロンじゃない。そして、さっき食べた君だってイチゴじゃなかったんだね
STEP4 知らずに食べると、どう?
ここまでは自分で全部やっているので、正直なところ騙されようがない。
そこで、この実験のことを知らない人に食べてもらうことにした。
味覚音痴が多い栗本家のなかで、もっとも舌の肥えている父に食べてもらうことにした。
「カキ氷、食べてみて」と、父の寝起きを狙って持って行った。
寝ぼけている方が、もしかしたら騙されるかもしれない。
ずっと近くにいると怪しまれかねないので、少し他の場所で待機してから再度父の元へ。
私「どう?」
父「うん……。おいしい、よ?」
なんだか、娘に気を使っているような、むしろ寝起きだからぼんやりしているような、釈然としない態度。
私「何味だと思う?」
そもそも、カキ氷を3種類も持って行って、「何味だと思う?」なんて聞いている時点でかなり怪しいのだが。
父「これ(赤色)は、イチゴかな~? で、こっち(青色)は、えー? ブルーハワイ……なのかな? これ(黄緑)は、メロンなの? うーん……」
赤→青→黄緑の順で食べたもよう
かなり戸惑っているのが伝わってきたので、「実は全部同じ味なんだよ」と教えてあげると、「やっぱそうだよな!」と、急に目が覚めたような反応をされた。
「赤色だけはイチゴっぽいと思ったけど、その後で食べたのも全部同じ味っぽくて舌がバカになったのかと思った」とのこと。
父によると、
「貧乏だったころ、赤い着色料の食べ物はなんでもイチゴ味だと思って食べていたから、イチゴ味だと思い込むのかも」だそうだ。
「脳に味の記憶が蓄積されているので、その情報で脳が勘違いする」と。
でも、別のものを食べてみたところで同じ味なので、その情報が間違いだったと気付く……。
なるほど! あまり期待していなかったのに、それっぽい解説までつけてくれるとは。
今回の実験でわかったことは、
一品のみであれば色で騙せるが、食べ比べると同じ味だとバレる!
ということ。
「着色料を集めたらいろんな味が楽しめる」ということでもないので、3色買いそろえた私としては残念な結果。
でも、その日の気分で色を変えてみる分にはいいかもしれない。
もしくは、普通にシロップを買うと、もっといいかもしれない。
書いた人:栗本千尋
1986年生まれ。青森県八戸市出身(ですが、実家が最近なぜか仙台に引っ越しました)。情報系雑誌をはじめ、旅行やグルメ雑誌、webメディアなどでお仕事しています。旅行会社→編集プロダクション→任侠系DVD会社勤務を経て、2011年からフリーライターに。2014年に出産し、一児の母になりました。