京都のイスラム教徒が集う鶏づくしラーメン! ローカルハラル認証のワールドワイド麺屋とは?

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イスラム教徒に大人気のラーメン屋があると聞き……?

観光都市・京都。近年では、アジアやヨーロッパ圏はもちろん、イスラム圏の人たちの姿も普通に見受けられるようになりましたが、気になるのが「ご飯どうやってるんだろう……」ということ。

 

豚肉はもってのほかだし、お酒も飲めない。世の中に売られている食品には、豚由来の食品添加物がたくさん使われてますよね。そう考えると日本って、イスラム教徒の人たちが食べられるもの少ないな〜。と、考えていたところに、イスラム教徒の人々御用達のお店があると聞きました。しかもなんとラーメン屋。

 

ラーメンって言ったら豚とかお酒とか使いまくりじゃないの!?
気になって仕方がないので、ライター平山が、早速行ってみました。

 

お店は京都の玄関口、JR京都駅の西、歩いて約10分のところにあります。

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塩小路通と堀川通がぶつかる交差点。お店はこの標識のすぐ横にあります。

 

ありました!こちらが「Ayam-YA」さんです。「NO RAMEN NO LIFE」と書かれた店頭。ムスリム達にもこのスピリット、伝わってるー!?

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店頭にはしっかり「ハラル認証」のマークが!

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ガラス越しのピースサインでたどり着いた喜びを表します。

 

ハラル認証の「ハラル」とは、アラビア語で「許された」という意味を持つ言葉。ざっくり言うとイスラム教で食べることが許されている食品を指します。豚肉食の禁止以外にも、イスラム教徒が安全に食事をするには数多くのルールがあるんです。「ハラル認証」を受けたお店は、きちんとしたルールに則って料理を提供していますよ、とイスラム圏の人に伝えるため、このマークを貼っているんです。

 

早速中に入ってみましょう。

 

店内はスッキリとしたたたずまいです。

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子ども用の椅子もあり、家族連れでも安心仕様。

 

お店についてお話を聞きたいところではありますが、まずは食事をいただきましょう。

 

濃厚!黄金色に輝く鶏づくしのラーメン

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濃厚鶏そば 醤油 並 750円。

 

驚くべきはこの黄金色に輝くスープ。一口すすると、鶏のうまみがブワワ~っと広がります。何じゃこれ!おいしい〜!

 

正直、ハラルフードってお味はいかがなものかしら……と不安だったんですよ。あらぬ考えが頭をよぎってた30秒前の私を張り倒したい。鶏肉の重厚なコクと甘み。その奥にたくさんの野菜のだしが顔を覗かせています。

 

中太麺に濃厚なスープが絡みますね〜。チャーシュー(もちろん鶏!)はレアで口当たりがプリプリ!箸が止まりません。

 

夢中で食べているうちにつけ麺も到着しました。

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つけ麺並 850円。

 

まずは麺だけを一口。シコシコもちもちの太麺、噛めば噛むほど小麦の甘みがじんわりやってきます。

 

濃厚鶏そばよりもドロリとしたスープをひとすくいすると、鶏肉のかたまりが登場しました。つけ麺にはチャーシューではなく、この鶏肉が入っているようです。

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鶏肉は、普段食べるものとは比べ物にならない旨さ。鶏肉自体がすごく濃厚な味を持っています。

 

つけ麺のスープは、鶏のうまみに加えて魚粉がプラスされています。この魚粉がとってもいいアクセントになって、力強い麺にも負けないパンチのあるスープになっています。こっちもとっても美味。

 

後から聞いたのですが、魚粉は日本初のかつお節でハラル認証を取ったメーカーのものを使用しているそうです。

 

厨房の前には、唐辛子や黒胡椒などが置かれた棚が。味にアクセントをつけたい人は、こちらから各自取って使いましょう。

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割りスープもこちらに。

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割りスープを残ったラーメンスープに加えて、最後まで楽しみました。割りスープは昆布としいたけのだし汁。滋味あふれる味で、ごくごくと飲み干しちゃいました。

 

お客さんの声に背中を押され、ハラル認証取得を決意

おいしく食事をいただいたところで、店長の森田さんにお店についてうかがいました。

 

―:ハラルのラーメンなんて、画期的なお店ですよね。

森田さん:もともとはこの場所で名前の違うラーメン屋さんをやってました。その時から鶏のみのラーメンを提供していたんですが、イスラム教徒の人も何人かいらっしゃいました。その時はハラル食品を材料にしてはなかったんですが、そのあたりは妥協されてたんだと思うんです。リニューアルにあたり、根強い「安全なものを安心して食べたい」というお客さんの声をふまえ、ローカルハラル認証を取得することにしました。

 

―:そもそもハラルフードってどんな規定があるんですか?

森田さん:たとえば飲酒が禁止されているイスラム教では、醤油なども規制の対象になります。製造過程で自然発生したアルコールはOKですが、アルコールを添加して醸造したものはNG。豚以外の肉も屠殺方法や解体方法が厳密に規定されていますし。

 

―:そのルールから外れたものは「ハラム(禁止されたもの)と呼ばれるんですよね。そのあたりは何となく知識があるんですけど、「ローカルハラル」の「ローカル」とは、どういう意味なんですか?

森田さん:じつは、ハラルの認定には、国際的な基準がないんです。飲酒OKの戒律がゆるい国もあれば、女性ひとりでの外出が禁止されているほど、戒律が厳しい国もある。国ごとにかなりバラつきがあるため「これ!」というルールが設けられない。

 

―:ええ!

森田さん:なので、いろんな団体がいろんな基準を独自でつくってハラル認証を行っています。「ローカル」という言葉はそういう意味なんです。

 

―:じゃあ基準のゆるい団体でハラル認証を取ったお店だと、戒律の厳しい国の人たちが食べられなかったりするんですね。

森田さん:もっと怖いのはハラル認証だと安心して、知らずにその人たちのなかでハラムな食べ物を口にしてしまう場合ですね。本人に提供されなかったとしても、お店にお酒が置いてあるだけでダメなことも人によってはあるので。

 

―:厳しすぎる。

森田さん:日本だと考えられないですもんね(笑)。うちの店は、イスラム圏すべての人に安心してもらえるよう、戒律が厳しいマレーシアが指定した認証団体からハラル認証を受けています。食材はすべて、しかるべき団体からハラル認定を受けているものを使用し、アルコールも一切使用していません。

 

―:食材すべて一新となると、ラーメンづくりはゼロからのスタートになりますよね。ハラル食品のみで味のクオリティを高めるのは難しかったんじゃないですか?

森田さん:その苦労はありましたね。たまたま鶏オンリーということでイスラム圏のお客さんが多かっただけで、もちろん日本人の常連さんもたくさんいました。やっぱり日本のラーメン屋なので、日本人に「おいしい」と言ってもらえないと意味がない。いかに両方の国の人からの合格点を得られるかは大きな課題でした。

 

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特別に見せていただいたハラル認証の食材。食材はしっかりと認定を受けた場所から仕入れています。

 

―:しっかりおいしかったです!ハラルフードって味はどうなのかな~と思ったんですが、鶏のスープが本当においしくて衝撃を受けました。

森田さん:ありがとうございます。

 

リニューアル後はお祈り部屋も完備

最後に、店内にある「お祈り部屋」も見せていただきました。ハラル認定だけではなく、お祈り部屋まであるとは!

 

礼拝が毎日の生活に欠かせないイスラム教徒の人からすると、とってもうれしい配慮ですね。日によっては日本人が森田さんだけという日もあると笑っておられましたが、それも納得です。普通なかなかここまでできません。

 

入り口入ってすぐにあるお祈りの部屋。

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お祈り部屋を表すピクトさん、女性側はスカーフを頭にかぶっていました。

 

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お祈り部屋は前が男性側、奥が女性側です。女性は男性の前でお祈りをしないので、普段は引き戸で仕切られています。手足や口などを清めるための洗い場や、聖書、女性のお祈り部屋には着替え用の服も完備されています。天井には、メッカの方角を示す矢印もありました。

 

「留学生の人が最初ひとりで食べにきて、常連になるうちに、来日した家族をつれてくる……ってことがよくあります。いまはインドネシア人のアルバイトの子も協力してくれて、より安心して食事ができる店づくりを進めています」と森田さん。日本人とイスラム圏の人々が、同じ食べ物を食べられるお店ってまだまだ少ないと思うんですが、こちらはその最先端をゆく、何ともワールドワイドなお店なのでした。

 

森田さん、どうもありがとうございました!

 

店舗情報

Ayam-YA
電話番号:075-344-1456
住所:京都京都市下京区御方紺屋町2-1-11
営業時間:11:30~14:30/18:00~22:00
定休日:日曜・祝日

 

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書いた人:
平山(おかん)

京都在住。編集者/ライター/たまにイラストレーター。阪神間の酒場をうろつく酒好き。大学時代のあだ名「おかん」がいまや通称に。趣味は料理とアジア旅行。

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