大分の「りゅうきゅう」はもっとマネされてほしいうまさだった【フカボリ】

「ホットペッパー」&「ホットペッパービューティー」本誌との連動企画、「フカボリ! 美味なるご当地グルメ」。第12回は、大分の名物料理「りゅうきゅう」です!

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大分県育ちの板前さんが以前に、こんなことを教えてくれました。

 

うちのほうにさ、「りゅうきゅう」って料理があんだよ。お店のまかないでも定番でね。簡単でうまいんだよー。

 

教えてもらい試してみたら、ホントに簡単で、うまい。

おかずによし、酒のアテにもよし!

 

さてその前に、「りゅうきゅう」とは何ぞや?

 

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「りゅうきゅう」とは、魚の切り身を醤油ダレに漬けた大分の郷土料理。早速、作り方をご紹介します。

 

1:タレを用意する

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【漬けダレの作り方】

「醤油:みりん」を2:1で混ぜます。そこにすりゴマ少々。

 

終わり。

 

あえてレシピにするなら刺身1人前に対して

  • 醤油(こいくち) 大さじ2
  • みりん 大さじ1
  • すりゴマ 少々

以上。カンタンでしょ?

 

基本、ここに好みの魚を数分漬ければ完成です。

スーパーの刺身でOKですよ!

 

さて、どんな魚が合うの?

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先の板前さんいわく、

 

おすすめはアジ。脂がのって、値段が手ごろなときにゼヒ試してほしいね。

 

とのことで、早速漬けてみました。

おお……甘辛いゴマだれとのアジの相性、確かにすばらしい。こりゃあいい酒のアテになるぞ。アジは酢との相性もいいけど、みりんの甘さとも共鳴するんだね。

 

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つづいてカンパチ

しっかり脂のってたので「ちょっと味、重たくなるかなあ……」なんて想像しましたが、軽やかに裏切られました。

 

うまい。

なんかこう……「どんぶりメシ持ってこーいッ!」って叫びたくなるような。写真のたったひと切れでバクバクいけそう。

昔ばなしに出てくる大盛りごはん欲しくなる。

 

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そして撮影日当日、たまたまスーパーで安かったキンメダイ

 

内心「ちょっともったいないかな……」とも思ったんですよ。

 

試してよかった。

キンメのいい意味でのクセの無さ、そしてあの脂感と好相性! これまた日本酒か焼酎を呼ぶなあ。素敵なつまみだ。

 

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これまた撮影日にスーパーで特売だった、ビンチョウマグロ

 

すばらしい……。

正直、脂のノリ&身の張りはイマイチなビンチョウマグロでした。しかしそのあたりをりゅうきゅうダレがうまーくカバーしてる。醤油に漬けることで身がしまり、甘みプラスで味もノリます。

 

「りゅうきゅう」、そりゃ状態のいい魚でやればおいしいのはもちろんですが、ちょっとイマイチな刺身をよりおいしく食べるのにも向いています。

スーパーの閉店間際、セールになってるちょいとくたびれた刺身なんかのリメイクにもおすすめ!

 

このほか、タイやブリも合いました。刻みネギやおろしショウガ、またはワサビなど、薬味類はどうぞお好みで。ちょっとカボスなんて搾るとまたおいしい

 

漬ける時間はどうしたら?

これ、好みにもなっちゃうんですが、以下のような感じ。

 

・味わいさっぱり→漬け時間短め 3~5分程度

(タイなどの白身魚系)

・脂のってコッテリ→漬け時間長め 5~10分程度

(ブリ、カンパチ、ハマチなど)

 

アジはけっこう味が入りやすかったです。あっさりが好きな人は、1~2分でも十分。あと、切り方にもよります。厚めなら長く、薄かったらもう1~2分で。

 

おすすめ利用法

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スーパーの刺身売り場、「切り落とし盛り合わせ」なんてたまにありますね。これ、りゅうきゅう初トライにおすすめ。一度にいろいろ楽しめます。

5分を目安に漬けてみて、おかずにするもよし、つまみにするもよし。

 

漬けダレは酒入りバージョンも

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このタレ、日本酒を加える人も多いんです。

そこで

A:醤油、みりん、すりゴマ

B:醤油、酒、みりん、すりゴマ

で、漬け比べてみましたよ。酒とみりんは同量、醤油との構成比は2:1のまま。具材はカンパチ。漬け時間は同じです(10分程度)。

 

うーん。

酒入りのほうが

  • 味に奥深さが出る
  • まろやかで上品

と、いえなくもない。けれど「醤油&みりん」だけのシンプルさ、パンチのある感じも捨てがたいな。今回は簡単に、醤油&みりんのレシピでいきましょうか

※酒を入れたい人は「醤油:みりん:酒」=「2:1:1」でやってみてください。

 

元々はどんな料理?

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「りゅうきゅう」、どんぶりにするのもこっちではよくやるね。県南のほうではここに熱いお茶をかけて食べるよ。「あつめし」って呼ばれている。

 

と、先の板前さん。

 

そもそもなんで「りゅうきゅう」と呼ぶのかというと、

  • 琉球(現在の沖縄)から食べ方が伝わった
  • ゴマ好きだった千利休にちなんでつけられた

なんで説があるようです。「茶人の千利休はゴマを料理によく使った」ってのはよく聞かれますな。ゴマ和えのことを利休和えなんて呼んだりもするし。

 

「りゅうきゅう」、元は漁師料理で、食べきれない魚を醤油に漬け、ちょっとでも保存期間を延ばそうとしたのがはじまりと伝わります。

 

どこが発祥というのでもなく、福岡宮崎にも、そして海向こうの愛媛にも似たような料理があります。魚の切り身を醤油やみりんに漬けて、ゴマや卵黄と一緒にいただく。古くから交流がいろいろあったんだろうなあ。

 

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なんてことを思いつつ、今日のランチもりゅうきゅう丼に。卵黄のっけるとまたうまいんだ! 今回はビンチョウマグロとキンメです。

 

あとね、こっちだと新鮮なサバの刺身でもよくやるよ。でもこれはなかなかよそだと食べられないね。ぜひ大分遊びに来て、体験してください。

 

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関サバはじめ、関アジ、城下カレイなど、大分は魚介のうまいものもイッパイ。写真は別府温泉の湯けむりです。この光景を目にしたときは、なんともいえず旅情が湧きましたねえ。

興味を持たれたかたは、ぜひ大分を旅してみてください!

 

企画・文・撮影:白央篤司

白央篤司

郷土料理がメインテーマのフードライター。雑誌『栄養と料理』『ホットペッパー』農水省広報誌などで執筆。著書に「にっぽんのおにぎり」(理論社)「ジャパめし。」(集英社)など。

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